「えぇ〜⁉︎修学旅行に行っちゃダメ?」
急遽ミサトから悲報を伝えられたアスカを横目に、カミーユはコーヒーを啜っていた。なんでも使徒が来た時にすぐ対応できるようパイロット達はここから出られないらしい。
「ちょっとアンタ!コーヒーなんか啜ってないでなんか言ってやったらどうなの?」
「こうなると思ってたさ。実際使徒がいつ来るかは分からないからな」
正論をぶつけてやるとアスカは鼻を鳴らして言ってきた。
「諦めてたってわけね」
「…」
今の発言は少しイラっとくるぞ。無言でテーブルの下の足を蹴り飛ばしてやると、向こうも蹴り飛ばしてきた。
「いつも待機待機!守ってばっかりじゃない。たまにはこっちから居場所を突き止めて攻めたらどうなのよ」
「出来たらやってるわよ」
ため息混じりに投げられた質問にミサトが苦笑いで応じると、カバンから二つのカセットを取り出してきた。PC用であろうそれには俺とアスカの名前が書かれている。…嫌な予感がしてきたぞ。
「ま、これをいい機会だと思ってみなさいな。少しは勉強出来るでしょ?貴方達が学校のテストで何点取ったかなんて情報ぐらい筒抜けなんだから」
やっぱりそうか!ミサトの発言に頬が引き攣るのが分かるぞ。恐らくあのカセットにはこれまでのテストの点数や成績が諸々入ってるんだろう。マズイな、国語と社会は絶望的だった筈だ。登場人物の心情なんか分かるわけないだろ!人によって感じ方や考えは違うんだから。
考えるだけでも憂鬱になってくるぞ、これは。
─────
そんなわけで結局国語と社会の勉強をする事になった俺はNERV本部に設けられているプールの片隅でPCと睨めっこするはめになってしまった。ミサトからのせめてもの厚意で今日一日プールを貸し切らせてもらってるわけだが、正直いって興味は無い。
それよりも目の前の問題だ。ドッチボールを上手くなりたい弟に対しての兄二人それぞれの教え方が書かれた問題だが…
「何してるの?」
「国語の勉強」
「ったく、お利口さんね」
「そんな事いってもやらなきゃいけないだろ…」
ふと顔を上げると、先程プールから上がってきたであろうアスカが仁王立ちしていた。なんとまぁ、派手な水着だな。14歳にしては大きい胸を強調するように胸周りのフリルは一切つけられていない。むむ、いつも我慢しているとはいえ刺激が強いぞ。
「どれどれ?…ここの事柄で詰まってるのね。この問題だったら少年の兄二人の優しさと厳しさの対比を表していると書くのが正解よ」
本当か?と思いながら答えを見てみると、物の見事に当たっていた。やっぱり国語は分からないな。俺はてっきり二人目の兄の様に教えるのが正しいと言う事を伝えてると思っていたぞ。
「こんなにパッと出て来るならどうしてテストの点数が低かったんだ?」
「問題がなんて書いてあるか分かんなかったのよ。漢字はまだ全部覚えてないしね。向こうの大学じゃ習わなかったし」
「大学?」
ここに来て新事実だ。ドイツでは飛び級制度があるんだったか?14歳で大学を卒業となると、相当頭が良い事になる。アスカに教えてもらった方が進むんじゃないか?
「ここはなんて書いてあるの?」
「2000年9月13日以降の条約についてだ」
そう言ってアスカが指差したのはセカンドインパクト後の世界情勢に関連した設問だった。ここら辺は色々起こりすぎて全部覚えるのが難しいんだよな。
ええいままよ。癪だがここはプライドを捨てるしかない。勉強が終わらない事には何も始まらないからな。
「あー…良かったら教えてくれないか?イマイチ勉強が進まないんだ」
「…ええ、良いわよ」
少し驚いた顔をすると、アスカは了承の返事を寄越してきた。アスカの事だからこれを貸しと思うかもしれない。
ふと山積みの国語問題集を取りページをパラパラとめくってみると、苦虫を噛み潰したような気分になった。例えばこの走れメロスとかいうやつだが、ツッコミ所が多すぎる。太陽の十倍速いとかあり得ない。このディオニスとやらもそんな簡単に心を入れ替えるわけないだろ。作者が何を伝えたいかと問われても、よく分からん。肝心の作者が借金そっちのけで将棋を指す奴だから説得力の欠片もないぞ。
少し後悔をしつつ、カミーユは目の前の問題に取り組むのだった。
お久しぶりです。
久しぶりすぎて書き方すら忘れてしまいました。
カミーユのセリフを考えるのが一番難しいんですよね。
エンディング
-
バッドエンド
-
ビターエンド
-
ハッピーエンド