「ここ、本当に通路なのか?いつもなら2分で着くぞ」
懐中電灯で照らされた闇の中、カミーユ達はNERV内を彷徨い歩いていた。いざ入ってみたはいいものの、実際は迷路の様な構造になっていて10分程経った今でもまだ着いていない。しかも所々に配管が見えるところからすると、整備用の道だろう。どこで間違えてしまったんだろうか。
「あそこまで行けば、きっとジオフロントに出られるわ」
「四回目だぞ。そのセリフ」
意気揚々と前を進むアスカに着いていってはいるが、そろそろ先頭を変えた方がいいかもしれない。本当に道を覚えているんだろうか?
「いちいち細かいわね!つまんないことばっかこだわってさぁ!」
「こだわって何が悪い!」
「静かにして」
アスカがカミーユの頬をつねっていると、レイが待ったをかけた。
「人の声よ」
それを聞いて耳を澄ましてみると、確かに上の方から声が微かに聞こえて来た。よく分かったもんだ。
「日向さんの声だ」
「日向さーん!おーい!」
アスカが大声をかけるも反応はない。だが声は近づいて来ている様だ。だんだんはっきりして来た声の内容に耳を傾けてみると。
『報告、使徒接近中!使徒接近中!』
「使徒⁉︎」
「来たのか……」
こんな状況で来られてはエヴァの発進も危ういだろう。それ以前にジオフロントにつかなければ発進できない。
「時間が惜しいわ。近道しましょう」
「リーダーは私よ。で、近道はどこかしら?」
レイが無言で指差した先は、伏せていけば通れるサイズの小さな通気孔だった。幸いにも蓋の部分は空いていた為すんなりと入る事が出来た。
独特な匂いの中を進んで少し経った後、カミーユは二人に質問を投げかけた。
「なぁ、使徒がどんな存在か知ってるか?」
「何よこんな時に」
「いや、急に気になったんだ。エイリアンなのか、そもそも本当に敵なのか」
「アンタバカぁ?訳わかんない連中が攻めて来てんのよ。降りかかる火の粉は払うのが当然じゃない」
「どんな存在だろうと、命令に従うだけ」
「そうか」
カミーユが少し考え込んでいると、通気孔の終わりが見えて来た。だがようやく立ち上がった先は二つに分かれた通路だった。
「右ね」
「左だと思う」
「左だ」
「……左でいきましょうか」
こういう時、レイとカミーユの勘はよく当たるのだ。それを知っているアスカは左を選んだ。
しばらく進んだ後、今度はアスカがレイに質問を投げかけた。
「率直に聞くけど、アンタって碇司令に可愛がられてるの?」
「いいえ」
「贔屓されたりとかも?」
「ないわ。自分で分かるもの」
「本当に?」
「ええ」
アスカはそこで話題を終える事にした。このまま続くと、いつあのメカニック爆弾が爆発するか分からない。もし馬鹿にするような発言をすれば、すぐにボカンだ。前にその事で壮絶な死闘になったのを思い返しつつ歩くと、今度は瓦礫で塞がれた通路に出た。周りにも、排気管等が散乱している。
「どこか通れそうな所はあるか?」
「ダクトを破壊して、そこからいきましょう」
「手際いいわね」
テキパキとその辺のガラクタでダクトの蓋を破壊し、中へと侵入する。中は本当に狭い、一人ずつでなければ無理だ。
「いい?絶対に見ないでよ!」
「分かってる。ん?」
「今見たでしょ!」
順番を考えるべきだった。下着を見られたと勘違いしたアスカに頭を蹴られるが、実の所カミーユはダクトの違和感に気づいていた。先ほどよりも音が反響しているのだ。
思いっきり叩いてみると……ビンゴだ。
ダクトに収められていた体が放り出され、エヴァのケージ内へとアスカとカミーユは不時着する。一方レイは綺麗に両脚で着地した。
「貴方達……」
顔を見上げると、見慣れた金髪博士が感心した顔でこちらを見ていた。
「準備の方はどうです?」
「スタンバイ出来てるわ」
リツコが後ろを親指で指す。そこにはエントリープラグが固定され、パイロットの搭乗を待つ初号機達が鎮座していた。
「機械も動かないのに、どうやったんですか」
「古き良き人力で引っ張って来たの。碇司令のアイデアよ」
「父さんの……」
頭上の足場で珍しく的確な指示を出すゲンドウを見ながら、カミーユは腹パンで勘弁してやろうと思うのだった。
エンディング
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バッドエンド
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ビターエンド
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ハッピーエンド