「貴方がカミーユビダン君ね?」   作:クソザコぎつね

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今回は短編です。


BELIEVE SIGN

 

「ジェネレーター出力を7.82%上げて。それからプラグ接続回路をg3タイプに変更」

 

忙しく動くモニターの数値を確認しながら、リツコは零号機の調整を確認していた。先の使徒との戦闘に置いてレイから零号機のレスポンスが悪いと指摘が出たのだ。データ上では変わりない筈なのだが、レイが慣れたという事だろうか。

 

「レイ、動きはどう?」

 

「問題ありません」

 

「そう、なら良かったわ。上がっていいわよ」

 

三時間に及ぶ調整の末、なんとかレイの好みに合う設定が完了した。具体的に言うなら前の設定より30%ほど反応速度を上げている。

 

「お疲れ様でした」

 

「ああ、ちょっと待って。ついてらっしゃい」

 

プラグスーツからの着替えが完了したレイを呼び止め、自分の研究室へと案内する。

 

「ええと確かここに……あった!これよ」

 

「何ですか?これは」

 

謎のジャンク品や資料にコンピューターが計算を刻む中、繋がれていた配線を取り外しながらリツコは機械の山からの出土品をレイに差し出した。

 

「自律思考型球体状ロボット。名前はハロよ」

 

「ハロ……?」

 

ハロと名付けられたそれは緑色の球体をしており手の甲で叩くとコンコンと音がした。見た目に反して軽いが頑丈そうだ、銃弾を防いだりも出来そう。

 

「オハヨウ、オハヨウ」

 

「喋った……」

 

手元から離れ、地面を跳ねながら挨拶してくるハロにレイは目をパチクリさせていた。なんせこんな物に会うのは初めてなのだから。

 

「それ、貴方にあげるわよ。その為に作ったんだもの」

 

「私の為に?」

 

「ええ」

 

そう言ってリツコは満足そうに頷いた。何故くれるのかレイは疑問に思ったが、すぐにそれは排した。何かリツコには考えがあるのだろうと思ったのだ。

 

「…ありがとうございます」

 

「礼ならいいわ。言うならカミーユ君に」

 

「カミーユ君に…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後レイは自宅に帰ってきていた。勿論ハロも一緒だ。連れて歩いていた為か道端でよく話しかけられたが、ロボットだと答えると相手は大体納得してくれた。青い猫型ロボットと一緒だと考えたのか?黒服さんがたまに追っ払ってくれるのもちょびっと頼りになった。

 

「ココ、レイノ家?」

 

「そうよ」

 

「サップウケイ、サビシイ」

 

「何も置いてないもの」

 

一先ず帰ってきて最初は風呂に入ろうと浴室のドアに手を掛ける。

 

「……入る?」

 

「ハイル、レイトイッショ」

 

「お湯は大丈夫なの?」

 

「ダイジョーブ、モンダイ、ナイ」

 

手早く下着を脱ぎ、浴槽に浸かる。少ししてハロもちゃぷんと着水してきた。お湯に浮かんでいるぞ、どうなってるんだ。

10分程浸かった後、浴槽から出てシャンプーを手に取る。

 

「ハロは洗わなくていいの?」

 

「アラウヒツヨウアル。アラッテホシイ」

 

望み通りにシャンプーを泡立て、ハロの全体にわしゃわしゃしてやる。シャンプーであっているかは分からないが文句は無さそうだ。気分よさそうに目を閉じている様子に何処か心が温かくなる。こんな気分初めてだ。

 

シャワーで泡を流してやると、満足したかの様に再度お湯に浸かってしまった。そんなに風呂が好きになったのか、ハロ。

 

それから自分も髪、体、顔を洗い、風呂を出る。タオルでハロを拭いていると、何処かペットのようにも感じてきた。犬や猫を飼うとこんな感じなのだろうか?

 

セカンドインパクトが起きてから常夏となったこの国でも、いつもより暑い日はある。今日がその日だ。

棚から出来るだけ薄い物を身につけ、ハロと共にコンビニへ行く事にした。

最近買い物に出掛けていなかった為、冷蔵庫が空だったのだ。

 

「車道にあまり出ないでね」

 

「ワカッテル、キケン、キケン」

 

フンスと澄ました様な顔がその球体から感じ取れる。ただの鉄仮面かと思えるがこんなに表情豊かなのは赤木博士の賜物だろう。

 

サンダルと、ぽよんとした二つの足音が、自動ドアをくぐる。

だがカゴに冷凍食品を入れている最中、店内に見知った人が入ってきた。

 

「レイじゃないか」

 

「…カミーユ君」

 

少し戸惑いながらも挨拶を返す。

 

「ハロの調子はどうだ?」

 

「ええ、問題無いわ。……ありがとう」

 

「礼なんかいいよ」

 

そういってハロを撫でるカミーユの顔はいつもより柔らかかった。ハロもどことなしか気が抜けているようだ。

 

「でも、悪いわ」

 

「気にしないでくれ。……どうしてもって言うんなら今から家に来てくれるか?アスカがカレーを作りすぎたんだ」

 

顔を上げてカミーユはそう言う。他人の手料理なんて初めてだ、すごく気になる。

コクリと頷くと、カミーユは先に会計を済ませて出ていった。

それからレイはカゴの中に入れていた冷凍食品をボックスに戻し、何も買わずハロと一緒にミサトの家へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「いただきます」」」」

 

パクッ

 

「何これ辛ッ⁉︎水取って水!」

 

「ゲホッ、ゲホッ。分量間違えたな⁉︎だからレシピ通りに作れと…痛ッ」

 

「何よ!そんなに言うなら貴方が作ればいいじゃ無い‼︎」

 

「なんだと⁉︎」

 

「それよりミサト!水!」

 

「」(あまりの辛さに白目を剥いている)

 

「ミサト⁉︎」

 

「ミサトさん‼︎」

 

「舌が……ヒリヒリする」

 




え、レイはこんなに喋るのかって?感情が豊かなカミーユと会って何か変わったんでしょう。だがその他一切のことは分かりません。
カミーユがコンビニに来たのは、ニュータイプ的直感で水を買いに行った方が良いと感じたからです。

エンディング

  • バッドエンド
  • ビターエンド
  • ハッピーエンド
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