「「「「おめでとうございまーす!」」」」
「ありがとう♪皆」
一人だけ缶ビールだが、それも一興。コツンと乾杯の合図がなる。
ハーモニクステストから帰ってきた後、玄関を開けると揃いも揃ってクラッカーを吹かしながら大勢による昇進パーティーが開催された。
リビングには至る所に花等の飾り付けがされており、テーブルには大量のフライドチキンやピザが並べられている。
「ありがとう鈴原君」
「ちゃうちゃう、言い出しっぺはコイツですねん」
コイツコイツとトウジはケンスケを片手で指差す。
「今回の主催者は私、相田ケンスケ。相田ケンスケでございます!」
シャキッと背を伸ばして立つとケンスケはよく通る声で言った。
「ありがとう相田君♪」
「いえ〜、礼を言われる程のことは何も。当然のことですよ」
照れ臭そうに頭をかいているが、実際今回のパーティはケンスケが言い出さなきゃすることもなかっただろう。友人の行動力に少しの敬意を払いながら、カミーユは一口コーラを口に注ぐ。
「せやけど、なんで委員長がここにおんねん?」
「私が誘ったのよ」
「「ねー?」」
アスカの発言に頷く様に、ヒカリに抱えられたペンペンも声を上げた。
「レイも、よく来てくれたわね」
「ハロも行きたいって言ってたから」
このような場面にレイが出席してきた事に一同は少し驚いていた。
「レイ、タノシイカ?」
「ええ、とても。ありがとうハロ」
そう言いながらレイはハロを優しく撫でた。以前まではこんな姿は見られなかったであろう。
「加持さん、遅いわね」
アスカが腕時計に目を通すと、予定より10分程遅れていた。
「そんなにカッコイイの?加持さんって」
「そりゃもちろん!そこの芋二人に比べたら月とスッポン。比べるだけ加持さんに申し訳ないわ」
「なんやと⁉︎」
トウジがアスカに掴みかかり、より一層賑やかになってきた。それを見ながらカミーユはまた一口、コーラを飲む。
「苦手?こういうのは」
右手側に座ったミサトが小さく話しかけてきた。それにカミーユは少し考えながら応じる。
「苦手っていうのは少し違いますよ。仲間とはしゃいだり馬鹿な事をするのは好きですから。ただ、少し混乱しやすいんです」
「混乱?」
「暑苦しいって言った方が近いかもしれません」
「ふ〜ん」
ミサトが空になったビール缶をカラカラと揺らしながら探っていると、今度はカミーユから質問が投げかけられた。
「ミサトさんは何の為に戦ってるんです?昇進の為じゃないんでしょう?」
その質問にミサトは目を少し見開いた。同時にカラカラとした缶も動きを止める。
一瞬の沈黙が流れた後、苦笑いしてミサトは答えた。
「大正解。でも、昔の事なんて忘れちゃったわよ」
そこでキリよく会話を打ち止めする様に、インターホンが鳴る。
「きっと加持さんだわ!」
アスカの顔が笑顔に満ちるが、すぐにそれは消えてしまった。残ったのは訝しむ気持ちである。
「本部から直なんでね。そこで一緒になったんだ」
「「怪しいわね」」
ミサトとアスカの声が重なる。玄関先に立っていたのは、オレンジのシャツを着こなしたリョウジと、いつもよりラフな格好で身を包んだリツコだった。
「あら、ヤキモチ?」
「そんな訳ないでしょ」
ミサトは平静を装おうと、空のビール瓶を口付ける。
「いえ、この度はご昇進おめでとうございます」
それに続いて、リツコも軽く礼をする。二人とも親友の昇進とも有れば心の底からめでたく思えるのだ。
「これからはタメ口聞けなくなったな」
「なぁに言ってんのよ、バーカ」
「しかし、司令と副司令が揃って日本を離れるなんて前例の無かった事だ。これも留守を任せた葛城を信頼しての事さ」
「こんな時に副司令は何処に行ってるんです?」
流石にゲンドウは出ないだろうが、副司令は来そうなものだ。一体何処に行ったんだろうか。
「今は南極よ」
ーーーーー
「いかなる生命の存在も許さない死の世界、南極。いや、地獄と言うべきかな」
空にはオーロラが舞い、赤い海と塩の柱が連なるその地を真っ直ぐ進む船団がいる。その船団の中央、一際大きな船に司令と副司令はいた。
「だが我々は立っている。生物としての形を保ったまま」
「科学の力で守られているからな」
冬月は嘲るように言った。
「科学も人の力だ」
「その傲慢が15年前のセカンドインパクトを引き起こした」
冬月は辺りの地獄を見渡し、溜息をついた。
「その結果がこの有様、与えられた罰にしては重すぎる。まさに死界そのものだよ」
「だが原罪なき浄化された世界だ」
「それでも、私は罪のある人が溢れる世界を望むよ。たとえ滅びるとしてもな」
無数の空の星が瞬く宇宙を見上げながら冬月は呟いた。
『本部より入電。使徒らしき不明物体が大気圏外に出現した模様』
遥か彼方より、それはやってきた。
エンディング
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バッドエンド
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ビターエンド
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ハッピーエンド