外見至上主義から実力至上主義へ   作:仁611

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No.3

『不細工は人権が無い』

 

 

俺が中学生の時にトップカーストに言われた言葉だが、小学校の時には既に感じていた事でもあった。とある女子の体操服が無くなっていたのだが、体調が悪くて保健室にいた俺が疑われてしまい。保健医が常駐していたにも関わらず、かなり責められていたのだが実際は他クラスの女子が借りていたらしく、疑いは晴れたが担任を含めて誰も俺に謝った者は居なかった。

 

俺自身は、授業も真面目に受けて休んだ事も一度も無い模範的な人間だったのに、不細工だと言うだけで何の根拠も無く疑われた上に、謝罪は必要ないと判断された。

 

世の中は、目付きが悪いと直ぐに暴力的だと思い込んだり、片親の家庭は貧乏だと勝手に決めつける。中身や詳細を確認するのは二の次であり、見た目がすこぶる悪いと確認は一生しない可能性すらある。

 

因みにこの話をしているが、今全然関係無い小テストを行なっている最中だが、俺は既に全問解き終えて思考に耽っていた。プール事件から山内は本格的に平田・鳳眞アンチになり、水泳で3位と手抜きをしたにも関わらず、拍車を掛けるように悪口を偶に呟いている。

 

彼は入学当初、誰よりも早く彼女を作ると公言していたが、本気でそう思っているかが怪しい程に嫌われて行ってる。イケメン嫌いの池ですら、プールの出来事は自分達が悪いと理解して悪口を言わない。若干嫉妬混じりの文句は聞くが、それは人のサガだろうからな。

 

原作では、須藤・山内・池の勉強を見る流れになるのだが、堀北は本気で生理的に嫌悪するレベルで彼等を嫌っているし、もしかしたら退学になってしまうかも知れない。

 

 

 

 

『♪〜』

 

終了を知らせるチャイムが鳴り、既にテストをかなり前から放棄していた生徒は居眠りから目覚め、本日の授業が終わったと喜びを漏らしながら放課後の予定を話している。

 

本の向こう側で見ている分には良かったが、実際にその現場で体験するとスラムの学校に行けない子より酷かった。スラムの子ですら義務教育でなく学べるなら静かに聞くし、生きる為の悪以外は真面目に生きている。

 

だがDクラスは、授業中でも大声て駄弁り端末をいじって居眠りもするのだから、救いようが無いほど時間を浪費している。社会人になったら良く言う人がいる『学生に戻りたい』と言う言葉は、二つの意味で言う人達が居るが、一つは楽だから学生に戻りたい人と、もっと勉強やスキル取得などに時間を使ってれば良かったと言う人に、大まかに分かれるだろう。

 

その時が今なのに『後悔は先に立たず』とはよく言ったものだな。寮に戻りながら思考に耽っていると、前方には杖を突きながらゆっくり歩く女子生徒が見える。本当ならば神室が側に居るのだが、彼女は万引きをどうやらしてないのか、パシリにはなっていない様で代わりに知らない女生徒が鞄を持って一緒に歩いてる。

 

無駄に絡まれるのも嫌なので、敢えて「そう言えば」と言う言葉を相手に聞こえる声量で発して、彼女を走って追い越して行く。当然だが寮まで止まらずに自室まで辿り着き、現在は何故か堀北が俺の部屋で料理を作ってくれている。

 

 

 

 

 

 

 

あの日は、雨が降っていた為に傘を忘れた俺は校舎の玄関口で空を見上げていた。そんな折に、堀北が偶然訪れた事で一緒の傘で寮に帰宅する事になったにだが、堀北は材料をこれから買いに行かないと夕飯が食べられないとのことだが、本降りになって来た雨を見て傘に入れてもらったお礼にご馳走する事になった。

 

 

「貴方は料理も出来るのね…出来ない事何てあるのかしら?」

 

「勿論、俺にだって出来ない事はあるぞ」

 

「例えば、何があるのかしら?」

 

「女性をデートに誘うとか…」

 

「私は今どこにいるのかしらね……」

 

「……え〜とだな。やった事が無いことは出来ないな」

 

「やれば直ぐに習得するでしょ?」

 

 

あれは休みの日に一緒に本屋へと行った日だが、本屋の横は楽器屋があるので楽器は出来るのかと言われて、ピアノとチェロが出来る(前世?)と言い、バイオリンが置いてあったので堀北に教えられながらやったら、あっという間に即興で弾ける様になり、楽器屋の店長さんも面白がっていろんな楽器をやってみた。

 

ギター・ベース・ドラム・サックス・トランペット・フルート・木琴と続き、終いには琴が置いてあったので記憶にある動画を頭に浮かべながら弾いてみたら出来てしまったのだ。

 

記憶する事に異常に長けている肉体と、異常に発達した聴覚によって脳内で音階を作り弾けてしまう。武術をあっという間に覚えた要領で他も出来るなど、この身体に出来ないのは精神面に作用する事だけかも知れない。

 

 

「ところで、何を作ってくれているの?」

 

「海鮮パエリアで作るロコモコ」

 

「パエリアを作れるのね。フライパンでするのかしら?」

 

「ああ。フライパンにオリーブオイルを入れて、ニンニクのみじん切りとひとつまみの生姜を軽く炒めて、香りをオリーブに移させたら下処理が終わった海鮮を炒めて行き、全てに7割程火が通ったら魚介は引き上げて、魚介エキスが滲み出たオリーブに無洗米を投入する。お米がオリーブを吸って、半透明になるまで満遍なく炒め続けて行き、ブイオンスープを計量した量だけ投入して、サフランとローリエを一緒に入れたら強火で5分程炊いて、蓋をしたら弱火で10分程お米を炊き上げてから、海鮮類を再度投入して5分程炊き上げて最後に強火で10〜20秒炒める。出来上がった物をお皿に取り分けたら、予め作っておいたミニハンバーグとシャキシャキレタスのカットとプチトマトのカットにパプリカを乗せてからレモンをお好みで掛けて完成」

 

「……次は私が何か作るわ」

 

「?そうか、ならお願いする」

 

 

そう言って今日、堀北は俺の部屋で生パスタでボロネーゼを作ってくれている様だが、キッシュを昨晩作っていたらしく一緒に食べていいらしいが、今日の食事は神室も知っていて明日は神室が作ってくれるらしいのだ。

 

彼女は部活が終わり次第俺の部屋で食事を摂るのだが、この二人は負けず嫌いなのかやたらとと張り合っている。休みに片方と一緒に過ごすと必ず次週はもう片方で、神室が俺の部屋のベットで昼寝をした翌日には堀北もする。

 

彼女達の口癖になっているが『フェア』と言う言葉を良く聞くが、ここまで仲良くしてる友達に優劣を付けるつもりは無いし、君達は俺が男だと分かっているのか聞いてみたい。

 

 

 

 

 

 

 

堀北の料理がもう少しで完成と言う時、神室が合鍵で“俺の部屋へ”遠慮なく入ってくる。ここ数日繰り返している事なので、俺自身慣れ始めている事に恐怖を感じる。

 

始めの数日は「お邪魔します」だった言葉が、今では「ただいま」に変わってしまっているが、彼女達は俺の部屋での滞在時間は自室と変わらなお勢いで増えて行く。

 

神室が手洗いとうがいを終わらせると、堀北も慣れた様子で3人分食器や飲み物を用意する。最近では漸くまともに会話が成立する様になってきたけど、話題はもっぱら学校の疑問点や他クラスの動向と言った内容で、個人に関することなどは食事中に食べ物や料理の話ぐらいだ。

 

 

「今日も美味いな」

 

「確かに洋食系は、堀北の方が圧倒的に美味しい」

 

「神室さんの和食には勝てないけれど、洋食だけは負けないわ」

 

「う〜ん……洋食は基本的にハーブと特殊な調理法とかの知識を多く持ってると良いと思うけど、和食は手間と豆知識が多く必要になるだろうな。二人で料理したらもっと凄いものができそうだな」

 

「「……」」

 

「お前ら何だかんだでかなり仲良くなった癖して、何でお互いがそれを頑なに認めないんだ?」

 

「「別に(そんなつもりは)」」

 

「……」

 

 

これでも本当に進歩したよな…。最初の頃は、互いに帰ることを相手に進めて来たり、俺との仲の良さをアピールしあったりしてた。俺がこんなに可愛い子とこうして仲良くしてもらってるだけでも、感謝しないといけないな。

 

 

 

 

 

 

そして遂に、実力至上主義の幕開けを知らせるゴングが鳴り響いていた。朝のホームルームを始めるチャイムが鳴ると、プライベートポイントが振り込まれて居ない事への不満を漏らして、茶柱先生に文句を言っている。

 

茶柱先生が先ほど言った『お前達は本当に愚かだな』と言う言葉には、全力で同意したい程に酷い光景だった。山内はプールの時の件に懲りずに茶柱先生に「生理ですか?」など良く言えたな…。本堂や池なども、ポイントをきっちり使い切ってジュースすら買えないとか、お小遣もらったら貯めることをしない無計画人間だと公言してる様なものだ。

 

それは安易に将来性が危ぶまれる程の浪費癖で、給与を残せなくて結婚出来ない男の3大悪癖の一つだろう。俺は現在の容姿を除けば、貯金も計画的にして来たし、つまらない男と思われるかも知れないが趣味には基本お金を掛けない様に頑張ってる。

 

 

 

 

茶柱先生によって、今まで緩み切って居たクラスメイトの思考回路にスタンガンを撃ち込む言葉を賜り、漸く前に進む為の行動を開始し始めるのだろう事に少しホッとしている。

 

授業中はうるさいし、下品過ぎる言動は同性であってもモラルを逸脱し過ぎていて色々想わずには居られなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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