邯鄲の枕っていう、古事記を知っているかな?
あるところに夢も何も無いくせに、自分の人生に不満ばかり溜めこんでいる少年がいたんだ。少年は代わり映えのない毎日に嫌気が差して邯鄲っていう場所を目指して故郷を出た。物語はある日ある所で少年が仙人に出逢う場面から始まっていくんだ。
少年は仙人に自分の不遇な日常についての不平不満と愚昧な愚痴を、憂さを晴らすように言ってやったんだよ。
仙人からしてみれば、たまったもんじゃないよね。唐突に見ず知らずな行きずりの少年にそんなことを言われてもハッキリ言ってどうでもいいし、ましてや怒りこそすれ同情なんてできるわけもない。
でも、やっぱりそこは仙人といったところなのかな? 最後まで話を聞いてやるだけでなく、使えばどんな願でも叶ってしまう枕、なんていう秘密道具を少年に渡してしまったんだ。
勿論、少年は枕をもらったよ。
自分で何をするかも考えないで、ひたすらに改善もしない現状についてグダグタ言うだけのこの手合いは、相手がどうゆう意図で好意をくれるのか考えもしないのさ。
さて、枕を使った少年の人生は見るも美事に激変していった。
美人なお嫁さんをGETできたり、あっという間に出世していったり。だけど、出世に目が眩んで欲が出てしまったうえに投獄されてしまって、獄中で自分の所業を後悔して自殺しようとしたりしてる内に無罪放免されたり。自分を見つめ直した少年は、義に立ち上がり動き出したり。そうやって頑張ってる内に王様になって臣民たちにも慕われる最高の王であり続けたり。そして、死の際には多くの子供や孫たちに囲まれ、誰もが彼の死を惜しみながら眠るように最後の刻を越えたんだよ。
そして、少年は目を覚ますんだ。
状況が掴めないでいる少年の目に入ったのは、寝る前に火にかけていた煮える前のお粥だったのさ。
実は少年が見た一生分の毎日は、お粥さえできない短い夢だったというのが、この物語のオチ。
そんな夢から少年は自分の浅ましさを痛感し、何故か枕元に立っていた仙人に礼を告げて故郷に帰るんだけど、『僕』が言いたいのはそこじゃない。
簡潔に言うならば、皆が過ごす現実が、夢でない確証は何処にもないってことなんだよ。
もし気になったんなら、今すぐ頬をつねってみたら面白いかもよ?
どうせだから言っておくけど、この世界は、『僕ら』が見続ける白夜の明けることのない夢なんだよ。ひどく夢見心地のいい、最悪な夢。
嫌な現実を、ひどい夢のようだと表現することがある。もし、その言葉を引用するなら、『僕』の毎日こそ悪夢の連続だ。早く終わって欲しいと思う反面、それでも生きていたいと思う自分がいるんだ。
―――閑話休題もここまでにして、そろそろ本題に入ろうか。
今回の成績についてだけど・・・・・・、うん、いいんじゃないかな。
正直に言えば、期待した通りにやってくれたし、ある意味では予想以上だったかな? ただ、あんなにペラペラと喋るのは戴けないね。誤魔化すのは面倒だったよ。
まぁ、それでこそだよ。
ハッキリ言えば、合格だ。お前は『英雄』の道へと踏み出した。『世界』に都合のいい、仕立てあげられる『英雄』の道を。
今は筋書通りの展開に、当たり障りの有りまくるような平凡の日々だけど、お前が周りに与えてる影響は彼女たちの中で確かな形になっていっているよ。まだ、時間はかかるけどね。
それまでは、『僕ら』が舞台装置として世界を回すよ。
じゃあ、またいつか。
それまでに、答えを用意していてくれよ?
なぁ、『一夏』くん。