IS-Junk Collection-【再起動】   作:素品

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少々、駆け足ぎみな内容。やはり文字数制限がツラい

ということで決闘前編回


第八幕 Duel

一夏に決闘を突きつけてから一週間、ついに約束の日が訪れ、アリーナの控え室にて制服でなく青を基調としたIS用のボディスーツに着替えたセシリアは、入念に自身の専用IS『ブルーティアーズ』のチェックをしている。

 

だが、そんな作業をしながら彼女の考えていることは別にあった。

 

あの日、一夏の背中に銃口を向けた日、自身の胸に渦巻いた感情は確かに『怒り』であった。ISの武装を生身の人間に使用すればどうなるか、それが判らない彼女ではない。それ故に納得できない。自分が"あの二人"のことを言われ、怒りを覚えるなんて有り得ないはずだから。

 

「・・・・・・・・・・・・なぜ?」

 

この一週間、何度となく繰り返してきた自問自答。単純明快な答えは既に頭に浮かんでいるのに、それを否定してまた問い掛ける。

 

思い起こすのは二人の姿。

 

母は強い人だった。ISが台頭するよりも前から女手で複数の会社を経営して、オルコットの名に恥じない成功を収めた実力者。

 

父は情けない人だった。いつも人の良さそうな笑みを貼り付けて、母の顔色を窺うばかりの意思薄弱で軟弱な人間だった。

 

そんな二人が、セシリアは"嫌いでしょうがなかった"。

 

「いるか、オルコット」

 

「ぅひゃい!?」

 

思考の海に埋没仕掛けていた頭が、突然掛けられた声により一気に引き上げられる。

 

慌てて声の方を見れば、黒いスーツの長身の女性、一夏の姉の織斑 千冬が仏頂面で立っていた。

 

「準備万端、といったところか。随分と気合いが入っているようだな」

 

「・・・・・・なぜ、ここに? 大切な弟さんのところに行かなくてもよろしいのですか?」

 

「皮肉のつもりか? アイツのところには山田先生がいる。それに、一人でもアイツは問題ない」

 

誤魔化すように強がってみるが、元世界最強に通じるわけもなく簡単にいなされてしまう。

 

「随分と信頼なさっているのですね」

 

「確信しているだけだ。信頼のような高尚なものじゃない」

 

「・・・・・・それで、ここにいらっしゃった目的はなんですの?」

 

「お前にアドバイスを、と思ってな」

 

セシリアが負けると暗に言われているよう言葉に、セシリアは先程までの苛つきもあり声を張り上げそうになるのを必死に抑えた。自分が素人に負けるのか、たかが男風情に負けるのか、と。

 

だが、千冬の雰囲気はやたらに重苦しい。

 

それに合わせて言われたアドバイスは、ある意味セシリアの予想通りであり、予想外のものだった。

 

「これから一時間、アイツを"殺すことだけを考えろ"。出来なければ、死ぬのはお前だ」

 

◇ ◇ ◇

 

ISの出撃ゲート付近で一夏は、ウェットスーツ型のISスーツを着て重厚な搬入口の前で立っていた。

 

その顔は彼には珍しく、目を細めて退屈そうに扉を眺めている。

 

「いざやるとなると憂鬱だねぇ」

 

「なにがだ?」

 

そんな一夏に背後から呼び掛けたのは、彼のルームメイトでもあり、この一週間剣道の師匠でもあった篠ノ之 箒であった。

 

「だってよぉ、緊張すんだろ。クラスの皆の前でやるんだぜ? 負けたら赤っ恥やん」

 

「・・・・・・・・・・・・お前は負けない」

 

ひどく巫山戯た調子で振り向くと、顔を俯かせた箒がか細い声でそんなことを言った。

 

「あら、意外と期待とかしてくれてんだな。そう言ってくれると俄然ヤル気が湧いてくるぜ!」

 

そんなことを言いながらカラカラと笑う一夏を視界の端に入れながら、箒は今の一夏の言葉を心中で否定する。

 

一夏には勝って欲しい。その思いは確かにある。だが、この一週間で素人同然の彼を教導していく内に強烈な"違和感"が彼女の中で根付いていた。

 

一夏は負けない。これは期待といった夢想を語るようなものではない。

 

それは『確信』だった。

 

この男は負けない。形容しようがない、もはや強迫観念のようなものが箒の中を占領していた。

 

「お待たせしました!」

 

そんな空間に駆け足で入ってくる女性が一人。一組副担任である山田 真耶は、息を切らしながらに一夏の元へ駆ける。

 

軽く手を振ってヘラヘラと笑いながら彼女を出迎え、一夏は再び搬入口の方に向き直った。

 

「では、織斑くん。これがあなたの専用機―――」

 

思い駆動音とともに、防御壁がその口を開いていく。

 

そこに現れたのは【白】。

 

目を逸らしてしまいそうに成る程の眩しい純白を放つISが、鎮座しその全容が三人の前に晒される。

 

「『白式』です。スイマセン、本当なら昨日の内にも、織斑くんにお見せすることができたのですが・・・・・・」

 

「姉貴に止められたんでしょう?」

 

「そうなんです。でも、なんで織斑先生はこんなことを・・・・・・」

 

白式の名前を告げてから、申し訳なさそうに謝罪する真耶に、一夏は白式へと笑いながら歩きだす。

 

「あの人は優しいんですよ。そのくせ、公平にやろうとして空回りしちゃう困ったさんではありますがね」

 

ケラケラと笑い、一夏は尚も白式へと距離を詰め、そしてその遂に機体へと手を触れる。

 

瞬間、空気が爆ぜた。

 

「キャアアアーーー!?」

 

「くっ、あぁ・・・・・・!!」

 

全身貫くような破砕音、鼓膜を突き破るほどの音の津波に箒と真耶の二人は、耳を押さえて痛みに床に蹲る。

 

男というイレギュラーがあって、何か起こるかもしれないと身構えてはいた二人だが、今はこの音に耐えるしかなかった。

 

「おーい、大丈夫ですか二人とも?」

 

少しして、人間の断末魔のような音が止み、かすかに聞こえてきた言葉に二人が恐る恐るに顔を上げると、白の装甲を纏った人形(ひとがた)がいた。

 

滑らかな曲線にシャープなラインの鎧。ただ、先程までのような白ではなく、まるで艶消しをしたかのように光を反射しない"くすんだ白"。目元にはカッターの刃を二枚直角に合わせたようなものがあり、その目と視線を隠している。

 

「そんな、『初期化』と『最適化処理』どころか、『一次移行』まで行くなんて・・・・・・」

 

真耶は眼前に起きたことに驚きを隠せないでいる。そんな彼女を見ず、未だ呆けたように見ている箒に対し一夏は笑う。

 

「んじゃ、行ってくる」

 

箒の返答も聞かず、その笑顔の真意さえ告げずに、一夏はアリーナへと飛び立っていった。

 

◇ ◇ ◇

 

円を囲むように作られたアリーナの中央の空中にて、二つの青と白がいた。

 

「それはどういうつもりですの?」

 

青、四枚のフィンアーマーを従えた機体『ブルーティアーズ』を展開したセシリアは、自分よりも遅れて来た白、『白式』こと一夏の突然の行動に疑問を呟く。

 

「これは決闘なんだろ? なら格式と様式美を尊重すべきじゃないか。まずは互いに挨拶しなきゃ始まねぇもんなんだろ?」

 

セシリアには心底理解できなかった。自分の中のイメージの一夏と、目の前で恭しく、まるで英国紳士のような無駄のない挙動で頭を下げている。

 

「俺は織斑 一夏。若輩の素人がこの場、そして貴女のような方と闘うなど不相応の極みですが、誠心誠意正々堂々とやらせていただきます」

 

すでに試合開始までのカウントは始まっている。それでも一向に頭を上げる気配のない一夏に、セシリアは困惑する。

 

《4》

 

だが、こちらがそれに応えないのは些か失礼に思えた。

 

《3》

 

千冬に言われたこともあったが、頭を下げている人間に返礼せずにいるのは淑女としての品が問われる。

 

《2》

 

セシリアは一夏にならい、同じように頭を下げた。

 

《1》

 

「私はセシリア・オルコット。これよ―――」

 

《0》

 

〔警告! 敵IS 武装展開し急速接近〕

 

「っ!!?」

 

セシリアが咄嗟に左へ向けスラスターを全開にして飛ぶ。するとすぐそこを巨大な剣が高速で通り過ぎていく。

 

「くふ、ふひひ、ひぃゃはははははははははははははははははははは!! あ〜ぁ、外しちまった」

 

だらりと腕を下げ、上下逆さまの状態で一夏は愉しげに笑う。

 

そんな一夏を見て、みるみる顔を憤怒で染め上げながら、セシリアはライフルを一夏へと向ける。

 

「この、卑怯者!!」

 

そんな言葉に一夏は、やはり笑う。

 

「卑怯、詭道に、鬼畜外道大歓迎! 最後に笑ったヤツが勝ちだ!」

 

笑う、笑う、一夏はどこまでも高らかに笑う。

 

「さぁ、人形劇の始まりだ」




内容としては、大分お粗末

本格的にPCを考えています

今更なんですが、UAとは何なんでしょうか?
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