17話
あれから半日かけて王国にUターンした。僕は吐かずに生き残った。だが、なんっか微妙に記憶がぼやけてよく思い出せない。周りからは思い出さない方が身のためだ的なこと言われるし。ルースも覚えてないって言うし。
「勇者達よ、ご苦労だった。」
「ホントにな………」
アベルが、げっそりしながら答えた。
「ハハハ………。」
オールが、どこか遠い目をしていた。
「…………。」
一番ボロボロで喧嘩したあとみたいになってた翔真は、力強く頷いた。
僕は……………特に何もしなかった。
「まぁ…よい、ゆっくり休め。」
何かを察したかのように王様が言い、その様子にアベルが涙ぐんでた。そんなにハードだったの!?
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「次どこ行くんだっけ?」
休めとか言いながら次の日に実質出張をスケジュールにぶちこむとか頭おかしいんじゃない?って思った。絶対使い潰す気満々だよ。
『確か風の谷だな。』
なにそれ、ナウシカ?
『違う。あとなんだそれは?』
僕の脳内から情報見ろ。
『分かった。暇ならな。』
………ところで風の谷って遠い?
『まあ、なかなか距離はあるな。朽ちた大地よりちょっと遠いくらいだ。』
結構あるじゃねぇかよ。………ん?風の谷ってホントにナウシカだっけ?ラピュタのような気もしてきた。
『………調べたところナウシカだな。』
……君僕が忘れたものまで調べられんの?
『いや、単純に貴様の記憶を直接調べたら出てきただけだ。貴様が大幅に記憶を改変してない限りは真実が出てくる。今回は疑問程度だったから少々霞む程度ですんでいた。』
君もだいぶフランクになったねぇ。前はもうちょっとケチだったのに。
『………そうか?今と変わらない気がするが。』
………やっぱりそうでもなかったかもしれん。スマン忘れろ。
『貴様はいつの間にか偉くなったな。この俺に命令口調とは。』
マジ?ならあのむかつく部長ボコボコにする事こと出きるかな。
『そういう意味じゃない!貴様アホになってないか?』
人は変わるんだよ~無情にも……さて、次の戦いに向けてもう寝ますか。
『貴様は前まで戦いに意欲的じゃなかったよな?なんなら逃げたがってたよな?』
いや、もうこの際僕の使命を全うしようと思って。
『使命だと?』
いやぁ~よく考えたんだけど。僕たちは所詮魔王軍と戦うことを求められた者達だろ?そのために強大な力をもらい、王国に尽くす。でもさ、よくよく考えれば、僕たちは恐怖の存在にもなりうる。なぜだか分かる?ルース
『死なないからか?』
そ、死なないってことは死を恐れる必要はない。痛みを恐れても、死を恐れることはなくなる。もし、そんな集団が悪さをしたら?反乱を起こしたら?
『まぁ、出られないようにするしか無いな。それこそ監獄にぶちこむとか。』
その通り。誰だってホントは首輪を着けたいんだ。特に自分より強いものや規格外の力を持つものにさ。………でも、僕はもう首輪をつけられるのはごめんだね。誰にも縛られることなくのんびり生きたい。1日1日をいちいち覚えて無いくらいの味気ない人生を送りたい………たまには刺激が欲しいけどね。
『そのためにさっさと魔王軍を倒すという役割を果たすと?………だが、そうなると勇者達は必要なくなるぞ?王子であるアベルは別として、それ以外は?お互い特に思い入れが無いぞ?何せ、魔王軍がいなくなれば用済みも良いととこだぞ?』
まぁ、口実つけて縛り付けては来そうだね。それこそ騎士団に入団させるとか。
『どうするつもりだ?縛られるのは嫌なんだろ?』
そこら辺は交渉だな。王がすぐ人を信じるほど愚かなら良いけど………見たところそうじゃなさそうだ。
『………お前、かなり悪どいこと考えてないか?』
………いや、ちょっと上層部脅して味方増やそうかなと思っただけさ。王様はともかく、それ以外は5割位クロの匂いしかしないからね、この国。
『……大丈夫なのか?この国。少し心配になってきた。( ´Д`)』
おや、意外だね。君がこの国を心配するなんて。
『一応母国だしな。軽い心配位はする。』
僕はいよいよ君のことが分からなくなりそうだ。
『安心しろ、俺も貴様の事が理解できなくなったところだ。』
お互い様だな。そこらへんは。
『………さて、もう寝よう。俺はつかれた。』
なら最初から寝かせろよ。………おやすみ。
『おやすみだ。』
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あ~良い朝だ。爽快爽快……ホント、ムカつくほどになぁ!
『……どうかしたのか?地味にうるさいぞ。』
イヤ、最近良い朝ばかりで逆に憂鬱になるなと。
『なら雨が降れば良いのか?』
雨は嫌いだ。曇りくらいがちょうど良い。
『わがままだな……だが地味にその気持ちが理解できるのが実に腹立たしい。』
コンコン
「お~い、そろそろ出発するぞぉ~。」
「大丈夫です。間に合ってます。」
「ハァ!?どゆこと!?なにいってんの!?」
あ、ヤベ。宗教勧誘と同じ流しかたしちゃった。
ガチャ
「あ、あ~ごめん。ちょっと寝ぼけてたみたい。」
「お、おお?そうか?なら、良いんだけど……」
ヨシッ!ギリギリセーフ!
『アウトゾーンに片足入ってた気もするが……』
それでもセーフはセーフなんだよ!黙ってろ!ぶん殴るぞ!?
『貴様……そんな狂暴だったか?最初からイカれてはいたが……』
ハハ!ついに気がふれたんじゃね?知らんけど。
『……冗談無しでそう感じてきた。』
「お~い!聞いてるか?」
「ア?あ、あぁ、ごめん。ボーッとしてた」
ヤベッ!いま人と話してた。失敬失敬。
『お前……そのうち愛想つかされるぞ?』
お、珍しいね、僕の心配とは。
『……それより話し聞かなくて良いのか?』
そうだね。スマンスマン。
「で、なんだったっけ?話って。」
「だから、これから風の谷行くぞ?」
「え?あ、あぁ、そうか。ナウシカ行くの今日か。」
「ナウシカ?なんだそれ?」
「あ、気にしないで、こっちの話だから……」
「なら良いや。さっさといこうぜ。みんな待ってる。」
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「…………。」
馬車……だと?あなた方、僕が乗り物弱いって知らせなかった?
「イヤ、知らんだろ。それに、前に馬車乗ってたろ。朽ちた大地の時。」
ウン。それは平地が多かったから平気なんだよ。少なくともこんな凸凹の道でグラグラ揺れまくってる馬車は無理だ。船ほどじゃないにしろはきそう。
『いや、船の方が揺れてなかったろ。』
それは…あれだよ。精神的な理由だよ。
『なるほど、自分でもよく分かってないと。』
……ノーコメントで。
「そう…ッ言えば。風の谷になにしに行くんだ?」
ヤベッ!行きなり喋ったから吐きそうだった。
「我は先ほど聞いたが、どうやら魔王城に行くために伝説のデカイ鳥捕まえるらしい。」
「へ?どういうこと?」
「あれですよ。海は魔の海域でムリ。陸は遠回りになる。なら、いっそのこと伝説の鳥空飛んで行こうってことですよ。」
「ほえ~何度聞いてもさっぱりが意味分からん。」
アベル…それに関しちゃ同意だ。遠回りくらい了承しろよ。絶対伝説の鳥使いたいだけだろ。僕のところだと絶対動物愛護団体が黙ってないぞ!ま、僕アイツら嫌いだけどな!何故かって?それ見てると人間のエゴを間近で見てる気分になるから。捨てられたならもうほっとけよ、って思ってしまう。だってそうだろう?結局死ぬなら好きなことさせりゃ良いじゃないか。確かに、捨てた飼い主に思うことがない訳じゃない。拾った、産まれた、買った、懐かれた、様々な理由があれど…飼うと決めたならキチンと死ぬまで育てるべきだ。(致し方ない事情があるなら仕方がないが……)ま、極論言うとエゴがウザい。
『貴様一回刺されろ。』
えぇ……そこまで?
『そこまでだバカ!アホ!クズ!こんなことを俺に言わせるな!貴様絶対反感買ったぞ?おそらくその思いを全人類が知ったらそのうちの7割には絶対ゴミを見るような眼で見られるぞ!』
「どうやら、目的地についたようだ。」
「へぇ、ここが風の谷ね。」
結論。普通の谷があるだけ。
「で?デカイ伝説の鳥は?」
「あ、あの卵じゃないですか?………って、え?」
「「「「デカッ!!」」」」
なんと、目の前には大体8メートルは高さのある卵が在ったのだ。
「……たぶんこれで良いんだよな?」
「は、ハイ。伝説の鳥は、卵のなかで勇者が来るのを待ち続ける……って在りましたから。」
「なんだそれ?初耳なんだけど……」
「イヤ、そんなことはどうでも良いんだ。それよりは………」
「たぶん、思ってることはみんな同じだよな?」
「あぁ、」
「そうですね。」
「「「「この卵、どうする?」」」」
ハイ、きれいにハモった。
でも分かるよ。でかいもん、それほどまでに。
「……もういっそのこと割っちゃうか。」
『……お前、アホか?』
だって、この中雛鳥じゃなくて眠ってる伝説の鳥だろ?なら………ん?雛鳥じゃない?………あ!思い付いた!
『……おいおい、まさかとは思うが…』
「ヨシ!この卵ぶっ叩いて中の鳥無理矢理でも起こすぞ。」
「ハ、ハァ!?なに言ってんの!?」
「………なるほど、一理あるな。」
「イヤ、ないですよ!?アホなんですか!?」
「もう、それくらいしかないだろ。この卵運ぶ方法。」
「イヤッ、ここ四天王の縄張りの近くですよ!?危険です!」
「うわ、また出たんだけど衝撃の新情報」
まじかよ。ええい!だが、背に腹は変えられん!
「ヨシ!全員構えて!」
「分かった!」
「それくらいしかやることないしなぁ!」
「私の周り脳筋ばかりじゃないですか!?えーい、ままよ!こうなりゃヤケクソです!行きましょう!せぇ~の!」
「「「「ハァァァ!!」」」」
ドッゴォォォォン!
ドン!←卵は無傷。ヒビひとつなし。
「「「「………。」」」」
『………これは…想像以上の固さだ…』
「もう一回行くぞぉ!」
「「「オォォォォォォォ!!!!!」」」
「せーのでいくぞ!せーのっ!」
「「「「セイヤァァァァァァ!!!!」」」」
ドッゴォォォォン!
ドン!←また卵は無傷。ヒビひとつなし。
~しばらく繰り返し~
「「「「ゼェ、ゼェ、ゼェ……」」」」
「もう、いっちょやるぞ。」
「「「ハイ!」」」←完全にノリに流されている状態
「「「「オンドリァァァァァァァ!!!!」」」」
ドッゴォォォォン!
シュゥゥゥゥゥゥ
瞬間、あまりにも激しすぎて砂煙が舞った。
「「「「ハァ、ハァ、ハァ、やったか!?」」」」
ピカーン!←無傷。かすり傷の1つもない。
「あ、あぁ、アァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!もうヤダァァァァァァァァァ!!!腕痛ァァァァァァァァイ!」
「ヤバイ!アベルが壊れた!どうすれば良いのだ!廃世よ!」
「とりあえず斜め45度からぶん殴れ!」
「なんでですか!?」
「何となくだ!」
壊れたら45度の角度で殴りゃぁ良いんだよ!かの有名なのび太の母さんも言ってた!(言ってない。テレビは言ったけどそれ以外は言ってない。)
「分かった!」
「リギルさん!?そこ分かっちゃいけないですよ!?」
「すまん!」
そういい、翔真が思いっきり後頭部の斜め45度からアベルをチョップを食らわせた。
ドシュ!
「カハッ!」
バタッ!
「……気絶したんだが、どうしたら良いんだ?」
「さあ?水でもかけて叩き起こせば?」
「分かった。」
「もう、私はなにも言いません。」
バチンッ!
翔真がアベルの頬をひっぱたいた。
「いってぇ!?何!?」
「卵最後の一回叩くから起きて。」
「え?あぁ、そうなのね。分かった。」
「まだ……私のやるんですね。」
「それしかやることない。」
「俺もそこは同意する。」
「ハイ、みんな位置ついたァ?最後だから全力振り絞るよぉぉ!せーの!」
「「「「オンドラァァァァァァァ!!!!」」」」
ドッゴォォォォン!
シュゥゥゥゥゥゥ……
やはりまた砂煙が舞った。
「今度はたてないぞぉ、フラグ。」
ピキ!
お、まさか?この反応は?
ピキピキ
「つ、ついに……ですか……」
ピキピキ
バキーン!
「トリィィィィィィ!!!!」
「「「「は?鳥の鳴き声ってこんなの?」」」」
「トリィ!(こんなのとはなんや!こんなのとは!)」
「「「え?鳥って喋れんの?」」」
『……どうやら、勇者の共通のスキル。『多言語翻訳』が機能しているらしいな。』
え?あのスキルって勇者共通なの?でも、鑑定で見たときはなかったような……
『それは、共通の能力ゆえにわざわざ読み取らなかったのだろう。知ったところで大したことないしな。』
はぇ~そういうもんか?
『知らん。』
いや、知らねぇのかよ………
全然役立たない豆知識…最近廃世は剣で全力で攻撃するとき奇声を上げるようになり。そのせいで一部の王国の人からバトルジャンキーだと思われてる。
違和感ハンパなかったんで今更ながら一部修正しました。
…廃世って、どんなキャラだったっけ?