歪みのボイドトーン   作:茶見倫

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悪霊に憑かれた家

「考えがある。って何をどうするんだ?」

「私の家系は少し変わってるの。たとえ養子にしようとしている相手が記憶喪失になっていたり家をもっていなくても、相良家に敬意を払える者 なら何人でも養子になることができるの。」

「そして、、、その敬意を払える者かどうかの判断は今から行われている。」

後ろから髪の長い男が歩いてくる。

「鏡良、そちらの方が例の記憶喪失の男かい?」

「ええ、そうよ。彼は名前も記憶も何ももってない。だけど、それでも相良家に入ることは可能でしょ?」

もちろんと言うように深く頷いてから、今度はこちらに手を出して

「君の名前はわからないけど、、、私は 相良 発作(はっさく) と呼ばれている。今日は君が私の家族になることを願っておこう。」

ずいぶん感じの良い人だ。

 

そして鏡良に案内されて座敷に座らされる。

周りを軽く見ると自分以外にも数人ほど男女がテーブルを囲んで座っている。

「さて、それでは君たちが敬意を払える者か、、、手短に判断させて頂こう。」

集まった人々の前に羊羮が配られていく。

(マナーを守れるということがこの家に敬意を払える者ということなのか?何かおかしな気がする。)

「さて、、、その羊羮を食べてくれ。私は気にしなくていい。つまり私はここにはいないと思って食べてくれ。欲しいものがあれば召し使いに聞いてくれ。」

(これを正しく食べなければいけないのか。とりあえず周りの反応を伺うか?)

配られた羊羮はみんなそれぞれの方法で食べている。箸やフォーク、ナイフで均等に切って食べている人もいる。

 

(全員ばらばらの選択をしてるせいでまっっったく、正解が分からないぞ?いや、、、発作は「私は気にしなくていい」と言っていた。なら、、、)

羊羮を素手で掴んで貪る。

周りがこちらを見てからヒソヒソと「諦めた」とか「馬鹿な奴」と呟く。

発作はパチンと手を叩いてから

「羊羮を素手で食べなかったものは出ていけ。私は「私を気にしなくていい」と言った。しかしどうだ?お前らはフォークだか箸だとかこちらをチラチラみて自分を着飾る、、、信用には値しない。帰れ。」

 

ずいぶんな暴論じゃないか。しかし有無を言わさない圧がある。

「さて、お客が帰った所で契約を始めよう。まぁ名前を書いてくれれば後はやっておこう。」

「分かった。たださ、名前が分かんないんだ。」

そういえば自分のような誰かも分からない人を養子するというのはこちらにとって美味しすぎるのではないだろうか?。

「なら私が決めるわ。あなたの名前は相良 歌夢 (カム)でどう?」

縦にうなずいた瞬間何者かに首を絞められ意識を失う。

 

 

 

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