歪みのボイドトーン   作:茶見倫

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自身の亡霊

意識を取り戻すと自分が暗い部屋に布団をしかれその上に寝かされていることに気がついた。

「何が起こったんだ、、、?」

ふと部屋を見回すと部屋の隅に[何か]がいる。

その[何か]は全身を黄金に包み体のラインにそって赤い線が引かれた機械のような見た目をしている。

 

そして[何か]を近くで見ようと立ち上がったとき、体が動かないことに気づいた、いや正確には足が張り付いたと言うのだろうか。

まるで足の裏に釘を打ち込まれたように[固定]されている。

]そして[何か]は立ち上がりこっちに近づいてくる。

「おい!お前はッ何者なんだッ!」

そして[何か]は機械のような音を耳元で囁く。

「あなたは私だ。器が壊れぬように。絹が破れぬように。ガラスが砕けぬように。それは変わらない。」

何を言っているのだろう?何かの詩だろうか。

「お前はなんなんだよ?」

震えた声が知らないうちに普通の声を塗り潰す。

「あなたは私。私の名前はFOOL。あなたの悪霊。愚かな原動力。私は壊れている。ですがあなたを守りましょう。」

 

 

 

「歌夢ー?大丈夫?」

鏡良に体を揺すられ目を覚ました。

「今のは、、、夢?」

「まだ寝ぼけてるの?あ、これ作ったから食べて」

そう言って小さな鍋を前に置く。

「これ食べ終わったら君が誰なのか調べに行くから。」

「了解、にしても何の鍋なんだ?ずいぶん甘い匂いがするけど」

「開けてからのお楽しみ~」

そう言って鏡良は部屋から出ていく

(鍋は結構好きな方なんだよな。特にごぼう鍋は、、、)

蓋を開けると甘い匂いの正体がわかった。

「チョコレート、、、」

 

「どうだった?あの鍋」

「最高だったね、、、、、、」

まだ喉のところがとろみが残った感じがしている。

(特にあのレタスとチョコレートが、、、、)

苦しそうな様子を気にも止めず鏡良は家を出る。

「取り敢えず、あそこの山に行きましょ。」

「ん?、、、山に行くのか。」

「あの山は昔から沢山の人が行方不明になってるの。」

なんでもあの山は25年ほど前から人攫いが住み着いてるそうだ。

「なんで人攫いが山にいるってわかってるのに捕まんないんだ?」

「何度か警察は山に入って捜査したらしいけど逆に何人か行方不明になったらしいわ。」

鏡良の車にのせてもらい登山道についた。山からは不気味な視線を感じる。

 

「なぁ、結構奥まで進んで来たけど特に気配はしないな。そもそも人攫いが僕の正体を教えてくれるのかわからなくないか?」

「、、、、」

「どうした急に無視しだして、、、、鏡良?」

振り向くとそこに居るはずの鏡良は居なくなっていた。

「ウケケケ、、、やっと気付いたか~?お前が一人で話してるところ、めちゃ面白かったぜぇ~?」

木から大きなリュックサックを背負った男が話かけてくる。

「鏡良はどこだ?」

「このリュックサックの中だよ~。」

(何を言ってるんだ?あんなにものが詰め込まれたリュックサックに人が入る訳ないだろ。)

「ウケケケ!じゃあな間抜け!」

「おい!待て!」

男を追いかけようとして階段から足を踏み外す。

「あっ!」

重い音のあとに声が頭の中に響く。

(あなたが[私]であるために。[何度]も繰り返す。あなたが[望む]終わりを迎えるために。私は[FOOL]契約です。全てはあなたの前に。)

「誰が話しかけて来てるんだ!」

体が動かない。光が傘を閉じるように消えてゆく。

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