(棚からネギをしょって金が歩いてきた。まさか相良家の穣さんが居るとは、あの方へのよい土産になるだろうなぁ!しかもあの横にいた少年、俺の能力に気づいてない!)
この男の名前は黒紙 笛 [くろし ぶえ]人攫いである。
(ウケケケ、本当に最っ高の、、、)
「かもだぜ!、、って思ってンだろ?」
黒紙はゆっくりと振り返る、、、そこには歌夢が立っていた。
「お前ッ!なんでここにいるンだッ!、、、まぁ、いいぜぇ?お前をバラして内臓にすりゃあよ。金と安全が手に入るんだろぁ!」
そういってバタフライナイフを頭をめがけてダーツのように投げる。
「FOOL!」
ピトォ
黒紙が投げたナイフは歌夢の額に当たる、、、が血は一滴も出ない。
「お前の投げたナイフはたった今から俺の額で接着された。」
「ウケケケ、、、そうか、、そうかよ!お前も悪霊憑きかァ」
悪霊憑きという言葉に歌夢は首をかしげる。
(そりゃそうだそんな旨いお話はねぇってことだな。なら奴も拐う。それでハッピーエンド。)
「なぁ、、、あんた悪霊憑きがわかンねぇって訳だ?教えてやるよ。」
黒紙は殴るわけでもなく触れようとしてくる。
(あなたは[あの手]に[触れて]はいけない。[彼も私]と同じ。それが助かるために)
「あんたはその手で触れるのがトリガー、、、何が起きるのかわかんないけど。」
ウケケケと笑って
「触れたらわかるぜぇ~ーッ!」
(俺の[BAG]は触れたものを大きさを無視して詰め込む能力。入れた時にその入れたものの重みを感じることを除けばノーリスク。)
「触っちゃ駄目なら触らせなきゃ良いんだろ?」
黒紙の手にナイフが突き刺さる。
「がっーッ!」
「返すよ、、、それをがしっかりと落ちないようにね。」
手に刺さったナイフを抜こうとしてあわてた黒紙は違和感を覚えた。
「なんだこのナイフッゥゥゥ!」
ナイフの刃はピタリとも動かない、まるでそこに固定されたように。
「FOOL。それは[AとB]を互いに接着する。それを剥がすことは出来ない、簡単でシンプルな能力だ。」
歌夢は黒紙の前まで歩く。
「鏡良を返せ。」
「わかったよォォォォ~、だから早く手当てをしてくれぇぇヨォ~。」
それほど手に刺さったナイフは痛いのだろう。
少しずつ黒紙の息が早くなってゆく。
「その前に鏡良を返せ。」
「なら後ろのカバンを開けてくれよォ~俺一人で開けられねぇンだよ~」
確かに背中に背負っているカバンは割れる前の風船のように大きく膨れ上がっている。
「しょうがない、、、なら片方の手を切る。それで良いな?」
ナイフの刺さった黒紙の手は地面にボトリと落ちる。
カチャ!
後ろの鍵に触れてもないのにカバンが開く。
「能力を解除するゼェ~ー?」
「待てッ!」
FOOLがカバンを閉じようとする前に中から無数のガラクタが吹き出してくる。
「FOOLッ!接着するんだッ!今すぐ俺の手に!」
「モード2、、、[失敗]。接着を[優先]。[私]への[負担]、、、オーバー?」
ガシャドカッ!
(潰れる、、、このままじゃッ!)
津波のようなガラクタの山がひとかたまりに左手に接着されている。
「もしもそのガラクタの山を止めるのをやめりゃあよぉ?もしかしたら鏡良穣さんは潰れるかもなぁ?」
そう言って黒紙は離れようとする。
「おい!お前忘れ物があるぜ?」
「待て、、、それは俺の手!?止めろォ!」
「何が起こるかわかんないけど、、、どうやら打開できそうだ!」
体を押し潰そうとするガラクタの山に黒紙の左手をぶち当てる。
大きな灰色の重りは黒紙のBAGに入ってゆく。
(まず、、、い。重みが)
黒紙は叫び声もあげずに地面へ埋まってゆく。
(やっと、終わったか?)
BAGから赤い染みが広がってゆく。
ズキンッ!!
「[思いだせ]人攫いの顔を。[捨て去れ]過去の記憶を。あなたが幸せを辿るように。繰り返す。」
激しい頭痛が電撃のように脳を締め付ける。
そして思い出した。
「俺は、、、何度も死んでいる。」
そう呟いて倒れこんだ。