今俺はベットに寝ている。
体はほとんど動かない。
気づけば俺の周りにいたみんなはほとんど死んでいた。
気づけば俺も60歳、あの日ボンゴレボスを継いでから今日まで走ってきたけど、生き急ぎすぎたみたいだ。
横に妻のきょうこがいる。
いるのは分かるのに目が霞んでもう姿も見えない。
「つっくん、よくがんばったね。
もういいのよ。」
「父さん、あとは俺に任せてくれ。
11代目を継いでから15年も経つんだ。
だからファミリーのみんなのことは俺が守るよ。」
息子の宗徳もいたのか。
そんなことすらわからない。
もう、声も聞こえなくなってきた…
「あぁ…幸せだったな」
でもなんでこの歳で30代から見た目変わんねーんだよ、白髪くらいだぞ…
死ぬ時まで外見を弄り続けてきた家庭教師の姿が目に浮かぶ。
妻も少し老けただけで美しさに変わりがなく、陰であの夫婦不老の薬でも飲んでんのかと囁かれ続けたほどだ。
あぁもう限界だ。
そしてボンゴレ10代目沢田綱吉はその生を終えた。
ツナの死から1週間が経過した頃、死んだはずの彼は見知らぬ土地に立っていた。
「はぁー、死後の世界って本当にあるんだなぁ。」
ツナが死んでしばらくして、自分が霊体になったのに気づいた。
そしてそこに黒い和服を着た男がやってきて、有無を言わさず刀の柄を押し当てられ額に「死生」の字を刻まれた。
魂葬という行為らしいが、やった男は死神と呼ばれる魂の均衡を保つ存在でどうやら初挑戦だったらしく顔は脂汗まみれ、力みすぎて腕は震えていたので現世から消失する時めちゃめちゃ痛かった。
あの顔ちょっと覚えてないけど次あったら覚えてろよ。
なんて思っているがようやく死後の世界で人並みの暮らしができると知って心は躍っていた。
先に死んだ友人たちを探して呑気に後から来る妻や子供を待つ気でいたのだ。
しかしこの男にそんなことが許されるはずもなく
「沢田綱吉さんですね?
私は護廷13隊・1番隊副隊長伊勢七尾と言います。
突然で申し訳ございませんが、あなたを捕縛します。」
副隊長を名乗る女死神に縄で縛られ誘拐された。
待て待て待て、俺まだこっちの世界きて1週間だから犯罪も何もしてないんだけど⁈
そして引きづられるまま豪華な建物の奥に連れて行かれ放り投げられた。
「でっ」
強かにうった顎に手をやる。
縄を解かれた勢いで自分が勝手に転倒したみたいだ。
「あらぁー、これはまた勢いよく行ったねぇ。
七緒ちゃん、もうちょっと穏便に運んであげてよ。」
声に気づき目の前を見上げると女物の着物を羽織り編み笠を被った年配の男が座っていた。
「初めまして、沢田綱吉くん?でいいのかな?
ぼかぁ、護廷13隊総隊長兼1番隊隊長京楽春水。
突然だけど君さ、死神にならない?」