「卍解
『天鎖斬月』」
吹き荒れる霊圧が晴れた時、一護の死覇装はスタイリッシュになり、その右手には刺々しい黒い太刀が握られていた。
「卍…解…?」
聞き慣れぬ単語に働かない頭で答えを探そうとするツナ。
確かにわかるのは一護の霊圧が比べ物にならないほど上がっていることだけだ。
「ほぅ、これが伝説の…
十刃や愛染を葬った卍解を拝めるとは光栄だね。
だが急ぐなよ、黒崎一護。
どっちかが死ぬまでの殺し合いだ、もっと楽しもうぜ!」
戦いの愉悦に身を委ね、岩石砲を連続で飛ばしとどめはセロを混ぜた特大の玉を飛ばしてきたジョニー。
だが一護は
「遅ぇよ」
黒い斬月を一振りすると全て斬り伏せてしまった。
「おいおい、事前情報とカケラも同じとこがねえぞ。
聞いてたよりも強いじゃねえか。」
冷や汗をかきながら一護の実力を見誤ったことを後悔するジョニー。
次の一手を思案しようとするが
「悪ぃな、テメェのせいで部下が死にかけてんだ。
最初から斬り合いしようとか思ってねえんだよ。」
言い終わると同時にジョニーの目の前に移動した一護は斬月を上段に構えると黒い霊圧を凝縮し、纏わせ…
「これで終いだ。
月牙、天衝ぉ!」
ジョニーをカケラも残さず消滅させた。
ジョニーが倒されたのを見届けたツナは緊張の糸が途切れ、意識を暗闇へと落としたのだった。
「…以上が現世派遣任務の顛末です。京楽総隊長。」
ところ変わって一番隊舎。
一護はツナたちを連れ帰り四番隊に放り込んだあと、ルキアと総隊長への報告に訪れていた。
「ご苦労だったね一護くん。
しかし、所属不明の未確認破面ねぇ。
一護くんが、定期的に虚圏に偵察に行ってくれてるのにそんなことが起こり得るとは考えづらいんだけどねぇ。
あり得るとするなら…」
「愛染に従わず、虚圏の果てに逃れたというやつらってことですかね。
だが、なんの情報もこれまで入ってきてないんっすよ。
総隊長…いや、京楽さん。
早いとこ調査行ったほうがいいと思うんで、任務にしてもらっていっすか?」
一護は考えていた可能性を口にするが、行ってみないとわかんないものはわかんないと結論付ける。
そしてその言葉に京楽は考え込むが…
「うーん…
それについては別の人にお願いしちゃおうかなって考えてるんだよねぇ。
ルキアちゃんと一護くんには別のこと頼みたいんだよね。」
京楽の言葉に疑問を持ったルキアが尋ねる。
「私と一護に、ですか?
それは一体…」
「うん。
綱吉くん達を鍛えて欲しいんだ。
彼ら始解で3人とは言え、帰刃まで戦えたんでしょ?
なら、相手が何者であるにしろ戦力の増強は必須なわけだよね。
一護君の報告が本当なら彼らは戦力としてカウントできるし、どうせなら卍解まで習得させちゃおうよ。
準備期間は偵察隊の任務も考えると3ヶ月くらいかな。
どんだけ無茶しても君の奥さんが治せちゃうし、足りないなら雲雀くんも投入していいよ。
必要なら他の隊も巻き込んでいいからね。
それに何人か戦力になりそうな若手もいるみたいだから、その子達もついでによろしくー。」
「そいつは願ったり叶ったりだな。
京楽さん、偵察には誰が行くんすか?」
「な、い、しょ」
悪戯なウインクを残して京楽は執務室に戻っていった。
「しかし一護、奴らにそれほどの力が本当にあるのか?
確かに将来性は感じるが、山本も経験が浅いし、沢田と獄寺に至っては始解してまだ2ヶ月もたたぬであろう。
俄には信じられぬが…」
「そう考えんのが普通だろうよ。
でもな、あいつら3人は共通して戦いのスタイルがもう見つかってる。
それに、沢田の斬魄刀な。
ありゃただの炎熱系じゃねーぞ。
敵の攻撃を凍らして止めやがった。
破面と初対面で、あそこまで奴らが追い詰めたんだ。
なら、卍解まで行っちまえばほんとに戦力になるぜ。」
一護の顔は自慢の弟たちのことを語るかのように嬉しそうだった。
これはひょっとするのか?
そう考えながらルキアは隊舎への道を歩き始めた。
「起きたか沢田。
お前以外の2人はまだ寝てるよ。
安心しろ、治療済みであとは起きるだけだからよ」
ツナが目を覚ました時に一護が隣に座っていた。
「おれ、は…」
「起きなくていいから寝てろ。
あの任務から10日過ぎた。
お前らのダメージがなかなか抜けなくてようやく起きれるようになった感じだな。
ざっとしたことだけ伝えとく。
今別働隊を奴等の本拠地捜索の任務にあててる。
情報が集まれば今から3ヶ月後に攻め込む。
お前らにはもっと強くなってもらうからな。
休める時に休んだけよ」
言うだけ言って一護は部屋を出て行った。
聞きたいことは山ほどあった。
破面、卍解。
だかやることは生きてた頃と変わらない。
仲間を守るために、死ぬ気で鍛えるだけだ。
「はぁーあ
浦原さんも急にすごい頼みしてくるよなぁ。
俺ももう見た目ほど若くないんだけどなぁ。
ついでに顔でも見に行こっかなぁ、元気にしてるかなぁ。
父ちゃんと母ちゃん」