BLEACH Xoversoul   作:カチドキホッパー

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あけましておめでとうございます
今年も不定期ですが進めていきますのでよろしくお願いします


18話

 会場は雨の音で満たされていた。

 それ以外の音を奪われたからだ。

 この男、山本武によって。

 

「卍解

 燕犬纏・蒼叢雨」

 

 10数秒降り続いた雨が止んだ後の空には虹がかかるが誰もその美しい架け橋など見てはいない。

 全員の視線の先には、柄が二つついた馬鹿でかい大剣を肩に担いだ武が涼しげな顔で立っていた。

 武の首元、腕、足にはそれぞれ金に輝く装具を纏っていて、形態変化と一護の還元術状態の死神の姿をあわせたような見た目だった。

 世界は卍解した山本を冷静に分析する。

「これが山本の卍解…

 なんだかんだで一護の兄貴に似た姿になったな。

 って、ツナと獄寺は何であんな顔してんだ?」

 

 反対側に座っていたツナと隼人の顔は、一言で言うとポカーンとしていた。

 

「…ねえ、隼人。

 俺たち2ヶ月前に卍解の見せ合いしたよね?」

 

「そうですね十代目。」

 

「その時ってボンゴレギアの形態変化と同じ二刀流でやっぱりなーとかって話たよね?」

 

「そうですね十代目。」

 

「じゃあさ、あれって何?」

 

「そうですね十代目」

 

 隼人は既に物言わぬ骸…もとい処理落ちして何も答えれない状況になっていた。

 しかし、現実は目の前に広がるものが全てだった。

 現に武の霊圧は卍解していなければ出せないほど高密度なものだった。

 ツナと隼人はさておき、お互い卍解した状態での第二ラウンドが幕を開ける。

 

「さぁ、霧幻!

 これで卍解したのはお前だけじゃないぜ!

 こっからは延長戦だ!」

 

「それが山本殿の卍解…

 なるほど、黒崎一護副隊長と似ておられる。

 しかしでかいだけの刀ではこの霧幻宮からは出られぬよ。」

 

 霧幻は新たな髑髏兵を生み出し、あっという間に武を取り囲む。

 その上から四体のガシャ髑髏が刀を振り上げてくる。

 

「悪いな、霧幻。

 有幻覚だろうと、霊圧の幻だろうと克服済みなんだ。

 時雨蒼燕流、特式12の型

 霧雨・霧斬」

 

 武が刀を振ると立ち所に髑髏兵とガシャドクロは消え去っていった。

 あまりの驚きに霧幻は動揺する。

 

「貴様何をした!

 我が髑髏兵が一瞬で消え去るなど…」

 

「答え合わせをしようか。

 特式12の型は対幻覚奥義。

 本来なら右太刀、左太刀で完成する技だ。

 俺の斬魄刀には2匹の獣の力が宿ってんだ。

 そのうちの1匹、犬の次郎が斬撃の通った箇所の匂いで霊圧と力の核の部分を解析した。

 そんで燕の小次郎の力でそれを全て射抜いただけだよ。

 んで、今俺の刀は馬鹿でかいから一瞬で2回振り抜いたのさ。」

 

 簡単なように言うがとんでもない卍解だ。

 それだけではなくそれをやってしまう武の技量がとんでもない。

 

「ふっ、やはりとんでもない男だ。

 貴方には小手先の技で勝てないのか…

 だけど負けるわけにはいかぬのです!

 我が斬魄刀よ、呪われし我が魂よ!

 理に背き、あるべき人の形を捨て真なる夜叉へとその身を写せ!」

 

 そして藍色の炎が霧幻を包み込み、その形を変える。

 ツナは直感でその正体を突き止めた。

 

「まさかとは思ったけど、間違いない!

 霧幻の魂には、ヘルリングの一部が宿ってる。

 しかも幻騎士の使ってた、骨残像のリングだ。」

 

 そして炎を振り払った先には、死覇装の上にスタイリッシュな鎧と髑髏の仮面を被り、2振りの大型の刀を構えた霧幻だった。

 

『はぁぁぁ…

 思い出した、思い出したぞぉ山本武ィ!

 我が魂には貴様を斬るために心を我に食わせた幻騎士の魂も混じっておる。

 憎い、憎い憎い憎い憎いぃぃぃ!

 なぜだ!

 なぜ貴様の主人は貴様を裏切らない!

 なぜ私は、白蘭様に、神に屠られたのだぁぁぁ⁈

 おのれ、許さぬぞボンゴレデーチモォォ!」

 

 もはや魂に自我が飲み込まれ、暴走し始めた霧幻。

 相対する武は

 

「そっか、やっぱりお前も幻騎士なんだな。

 未来の世界でお前を切ったのは俺だ。

 お前の憎しみを、俺が清算するよ。」

 

 そして柄を両手で持つと、斬魄刀が大剣と小太刀に分かれた。

  

「もう、終わりにしよう。

 攻式9の型、写し雨」

 

 太刀筋から波を起こし霧幻を包んでいく。

 霧幻は水面に映った武を斬り、武が写し雨を決めた。

 かに思えたが、しかし

 

『ふはっ!

 その技など等に見切っておるわ!

 今度こそ切り刻んでくれよう!』

 

 水面の反対側、本来の武にあり得ない数の太刀筋を浴びせていく霧幻。

 綱と隼人は思わず目を逸らす。

 だが

 

『なんだ、この手応えのなさは?

 なぜ血が出ない?』

 

 斬撃は全て武をすり抜けていた。

 そして霧幻の足元から武の声が聞こえる。

 

「確かに、以前までの俺なら今のであんたに負けてたろうぜ。

 だけどな、俺はツナや獄寺、13番隊のみんなと笑って過ごすために強くなり続けなきゃなんねーんだ。

 そしてこれがその到達地点、俺が作り上げた型のその先だ。

 攻式9の型真打、うつし雨・雨写身(うつせみ)」

 

 切られていたはずの武は波へと消えた。

 そして霧幻の刀が弾き飛ばされる。

 

『ぐっ

 また私を斬るのか、山本武ぃ!』

 

「あぁ、今のあんたは幻騎士の亡霊だ。

 だけどその体は霧咲霧幻のもんだ。

 返してもらうぜ。

 時雨蒼燕流8の型

 篠突く雨!」

 

 二刀から繰り出された篠突く雨が幻騎士の亡霊を切り裂き、全てを洗い流していく。

 後に倒れていたのは安らかな顔をして束の間の眠りについた霧幻だった。

 そして武はツナと隼人の方を振り返り、リング争奪戦の時から変わらない、いつもの笑顔で一言だけ拳を突き出し言った。

 

「勝ったぜ!」

 

 

 

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