BLEACH Xoversoul   作:カチドキホッパー

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因果虹炎編
24話


 昏い、どこまでも続いていて光を飲み込むほどの闇。

 何もない暗闇かと思われたがそうではなかった。

 

「…フ、生粋の破面とやらも大したことはありませんでしたね。

 あっさりやられてしまうとは情けない。」

 

「いやー、相手が悪かったと思うよ。

 愛染くんを倒したあの黒崎一護くんが相手だからね♪」

 

「ハッ、カスがやられた。

 それだけのことだ…」

 

 三者三様の意見の話題は一護に倒された破面、ジョニー・ハードロックのことだった。

 つまりこの声の主たちがジョニーを現世へ送り出したということだ。

 そして声の主たちが闇のさらに奥を見つめる。

 

「まだ彼の目覚めは遠そうですね。

 有象無象の魂だけでは埒があきません。

 一狩り行きましょうかね…かまいませんか?」

 

 その声に沈黙を保っていた存在が答える。

 

『カマワナイ。

 アァ、嫉妬モツレテイケ。

 ヤツラガクレバ宣戦布告シテコイ強欲。」

 

 そして強欲と呼ばれた者の足跡は闇に吸い込まれていった。

 

 

 ところ変わって十三番隊舎。

 それぞれ席官になったツナたち、業務量は格段に増えたのだが…

 

「終わったー!

 ボスの時の事務処理に比べたら余裕!」

 

 ボンゴレボスの時の事務作業は六徹くらいの時もあったなぁとしみじみ感じるツナ。

 今は業務時間内に全ての作業を終わらせられている。

 元々容量の良い獄寺は当然として、山本もなんとか30分程度の残業でこなしていた。

 

 席官任命から半年、頻繁に現世で虚討伐に行くことはあったが、脅威にされていた破面の出現の報告はなかった。

 そう思っているとツナの執務室に隼人が入ってきた。

 

「十代目、今晩ご予定はいかがですか?」

 

「なにもないよ?

 どうしたの隼人?」

 

 キョトンとするツナに辺りを見回すと声を潜めて話を続ける。

 

「実はお話ししたいことが…

 山本も誘って個室のある居酒屋を予約してます。

 詳しくはそこで。」

 

 少年時代の無鉄砲さは形を潜めたが、物事をはっきり口にする隼人にしては珍しく歯切れが悪い。

 厄介ごとか

 瞬時に感じ取ったツナは仕事道具を片付けると二つ返事で了承し、私邸へ着替えに向かった。

 

 3人とも普段着用の和服に着替え、店に集まっていた。

 ツナは明るめの茶色、隼人は黒地に赤色の刺繍で豹が描かれており、武の水色の和服には燕の模様があしらわれていた。

 

 3人で仕事の労を労い、ちびちびと肴に仕事の愚痴を言いながら酒を入れていく。

 生きていた頃からの3人の飲み方は変わらない。

 そして小一時間ほど経ったころにツナが切り出した。

 

「隼人、話があるんだよね?」

 

 和やかだった雰囲気が一瞬で張り詰める。

 

 隼人は恐る恐る口を開く。

 

「俺たちの任官の件です。

 確かに隊の中で卍解を使えるのは隊長、副隊長を除いて俺たちだけです。

 ですが、それだけで死神になって4、5ヶ月だった俺たちを席官にするでしょうか?」

 

 隼人のことなに眉を顰めるツナ。

 

「違うって言いたいの?

 隼人のことだから、この話を俺たちにするだけの根拠を掴んでいるんだよね?」

 

 ツナは目で、さぁ話せと訴える。

 隼人は一瞬言いづらそうにしたが、次には覚悟を決めて口を開いた。

 

「…実は、新人トーナメントの直前に任務に出た席官数名が消えているんです。

 変な噂が立たないように長期任務の扱いとなっていますが、当人たちがいた部屋は秘密裏に荷物を整理されています。

 そして消えたのは8番隊の7席、8席。

 9番隊の13席、15席。

 そしてうちの、10席、11席、12席。」

 

 武が思わず立ち上がる。

 

「なんだよそれ!

 俺は3年もこの隊にいるんだぞ!

 気づかないわけがねえ!」

 

 武が動揺するのも織り込み済みなのか、冷静に隼人が続ける。

 

「落ちつけ山本。

 お前も長期任務で一年くらい帰ってこないやつを見たことがあるだろ。

 現世駐留とかって言われたら誰も違和感を持たねえ。

 そんでもって俺らの出した結果だけを見ればどう考えたって功績を認めてって話になる。

 実際の意図だけは上の人間に聞いてみないとわかんないけどな…」

 

「ですって。

 その辺どうなんですか?副隊長。」

 

 ツナの言葉にハッとする二人。

 

 集中きて感知してみれば、わずかだが障子の向こうに一護の霊圧を感じた。

 

「バレちまったか。

 バレねえようにかなり霊圧を抑えてたんだがな。

 それが見透かす力、ボンゴレの血ってやつか。」

 

 後頭部をかきながら一護が個室に入ってくる。

 

「そこまで知ってるんだったら、俺たちが生前何者だったかもわかってますよね?

 てか、なんで知ってるんですか?」

 

 いつもの柔らかい空気でもなく、戦闘時のような空気でもない、言うなればボスとしての威圧感をツナから感じた一護は誤魔化そうと考えていたのをやめて正直に話すことにした。

 

「京楽さんに聞いた。

 雲雀の生前の知り合いって噂だけならなんも思わなかったんだけどな、あいつが素直にいうこと聞くってなると別だろ。

 それに卍解の修行見てても明らかに戦い慣れしてやがるから一般人な訳ないと思ってな。

 そんで少し調べた。

 悪かったな。」

 

 一護の言葉に嘘がないとわかると圧はすぐに消えた。

 

「そんじゃ次は俺がお前らの疑問に答えねーとな。

 失踪については、事実だ。

 正直生死も確認できてねえ。

 いなくなった奴らは情報収集に長けたやつでな。

 虚圏への偵察任務に行ってんだ。」

 

 虚圏(ヴェコムンド)

 それは破面たちが住む虚の世界。

 常に夜の世界であると言われている。

 

 それはつまり

 

「破面絡みってことですよね?」

 

「あぁ、間違いねえ。

 今は何が起こっているのかわかんねえ。

 隊長格ですら行くことを禁じられてる。

 現状はどうしようもねえ、が。

 もし何か起こった時に先遣隊としては卍解を習得したお前らが行くことになるだろうな。

 確かに穴埋めって思うかも知れねえが、もしもの時にお前らならなんとかできる、自信を持って送り出せる奴らだって信じてるからルキアと俺はお前らを席官に押したんだ。

 そこだけは信じてくれ。」

 

 この人ほど真っ直ぐな目でこっちを見てくれる人は他にはいない。

 裏社会で多くの人間と物理的に、また精神的に戦ってきた3人にはそれだけで一護を信じる理由としては十分だった。

 

「分かりました、黒坂副隊長。

 期待に応えてみせます、俺たちに誇りにかけても。

 仲間の、あなたからの信頼も俺たちの誇りですから。」

 

 ツナの言葉を聞いた一護は、生意気言うじゃねえかと笑いながら酒の席に加わった。

 本当の意味で仲間になった瞬間だった。

 そして決意を新たにする。

 いつ何が来てもおかしくない。

 再び修行を始めたツナたち。

 しかし、現実は物語よりも奇なり、というやつだ、

 飲んだ一週間後の出来事だった。

 

 

 緊急伝令!緊急伝令!

 並盛町にて、大量の死傷者発生!

 霊圧計測の結果、中級以上の破面2体と断定!

 黒崎副隊長、沢田10席、獄寺11席、山本12席は至急一番隊に集合願います!

 

 準備を整えて5分後には全員が集まった。

 

 

「ごめんねぇ、今動ける人が君たちしかいないんだ。

 それに場所は君たちの故郷っていうじゃない、しっかり守っておいで。」

 

 京楽の言葉に気合が入る。

 

 そして現世に降り立った四人が見たのは地獄絵図だった。

 付近の家屋は火事に飲み込まれ、人々は悲鳴を上げていた。

 そして何十もの虚が人々を襲っていた。

 だが、一護を驚愕させたのはそこではない。

 ツナが、怒っていた。

 表情は前髪に隠れていて見えないが、怒気が霊圧となって溢れ出し、周囲の外壁を砕いていく。

 

「…武、小次郎で火を消して。

 虚は、俺が殺す。

 隼人、ごめんけど京子たちの様子を見てきて。

 副隊長、卍解禁止で霊圧抑えろって言われましたけどすみません。

 抑えきれません。」

 

 

 そういうと、ツナは瞬歩で上空へ飛ぶ。

 そして、

 

 

「卍解!凍獅子死炎丸!

 霊圧知覚全開、ターゲットロック!

 零地点突破ファーストエディション・乱れ雪!」

 

 ツナの霊圧が吹雪となり、触れた虚を氷漬けにしていく。

 呆気に取られていた武と隼人も動き出す。

 一護も次々と虚を切り倒していく。

 そして全ての虚を氷漬けにしたところで、空間が開いていく。

 中から二人の破面が出てくる。

 上下真っ白な衣装、二人とも多少のデザインの違いはあるもののほぼ同じと言っても良かった。

 そして特徴的なのは顔を覆う仮面、わざと被っているような仮面だった。

 一人は意地汚い笑いを浮かべた仮面、もう一人はムンクの叫びをより悲壮にしたような仮面だった。

 

「おや?おやおや?

 なんということでしょう、まさかこんなにも早く現れるとは!

 君たちが出てくるのを待っていましたよ、ボンゴレ十代目。

 我々はセッテペッカート。

 我が名は強欲、隣の男は嫉妬。

 以後お見知り置きを、と言っても無駄ですね。

 あなた方はここで死ぬのだから。」

 

 十刃とも違う新たな破面の集団ということなのか?

 疑問を考える一護だが、その思考をツナが遮る。

 

「お前たちが誰だろうと関係ない。

 何が目的か知らないが、関係のない人を傷つけたことを後悔しろ!」

 

 その額には炎が灯る。

 卍解・天獅子死炎丸

 ツナは既に臨戦体制でいた。

 そして先手必勝と言わんばかりに突っ込むが直線的すぎたためカウンターを食らう。

 地面に叩きつけらる前に炎で体制を立て直す。

 そして強欲から、聞き覚えのある笑い方が聞こえてきた。

 

 

「…フッ。

 フフフフフ。

 クッフフフフ、愚かですねぇ、ボンゴレ十代目。

 あまりノロノロしてるとグサリ、ですよ。」

 

 そして強欲がゆっくりと仮面を外す。

 そこにいたのは

 

「なっ、お前は!

 なんでお前がそんな格好でこの街を傷つけているんだ!

 答えろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 六道骸!」

 

「気安く名前を呼ばないでください、マフィア風情が。

 いえ、今は死神風情が、が正しいですかね?」

 

 そこにいたのは藍色のナッポーヘアー、霧の守護者の片割れ六道骸だった。

 

 

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