BLEACH Xoversoul   作:カチドキホッパー

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30話

 心の森を抜けた先、滝のある場所にナッツはいた。

 

「ナッツ…」

 

 ツナの呼びかけにゆっくりと顔を上げるナッツ…

 

『…何をしにここへきた』

 

 ナッツらしく無い物言いにツナは思わず立ち止まる。

 

『ツナ、俺は君に最初に言ったよな。

 もう闘う必要はないって。

 それでももう一度、守るために力が欲しいと求めたから俺はあの時に名を教えたんだ。

 なのに、どうして君はまだ1人で戦おうとするんだ?

 どうして自分自身の力だけで戦おうとするんだ、俺は君なのに!』

 

 ナッツは一体何を言っているんだ?

 混乱するツナをよそにナッツは会話を続ける。

 

『君はかつての仲間の魂のかけらを持つものと闘うのだろ?

 やめた方がいい、君の炎は仲間を傷つけるためには燃えないのだから…

 話は終わりだ、帰れ!』

 

「待ってくれナッツ!

 俺にもわからないんだ、骸が、炎真が敵になって…

 あいつらが破面になってるけど本人じゃ無いかもしれないって説明を聞いても、倒すべき敵って言われてもどうするべきなのか…

 言い訳になるかもしれないけど、忘れてたんだよ。

 ナッツの心が俺と合わせ鏡になっていることを!

 斬魄刀になったことで魂レベルで一緒なんだもんな、お前が凹んでないわけないよ…だから!」

 

 そう言ったツナの前を炎が掠めた…

 

『何か勘違いしているね…なるほど、あの零番隊の死神の言う通りだ、何も理解していない…

 それがわからないうちは話にならない、帰れ。』

 

 気づけばナッツは真紅の鎧を纏う大獅子となって目の前に立ち塞がる。

 

「おい、ナッツ⁈

 やめろよ、俺はお前と…」

 

『ナッツ?

 違うな、俺の名前は天獅子死炎丸だ。』

 

 炎を纏った爪が連続でツナめがけて降り注ぐがかろうじて避ける。

 

『なぜ戦わない?

 かつての仲間と戦うつもりの男が、自身の斬魄刀すら屈服できなくてどうする?

 ここは君の心の中なのだぞ。』

 

 どうやら今のナッツ、死炎丸には言葉で語る気はないらしい。

 

 しかし、何か引っ掛かる。

 心の中…そうか!

 

「そういうことか!

 こっちも、卍解!」

 

 ツナはその額と拳に炎を灯す。

 天獅子死炎丸、卍解状態での死神と斬魄刀がぶつかり合う。

 しかし、勝負は拮抗しているとはいえなかった。

 ナッツの纏う炎の爪をツナの炎のオーラのリングでは相殺しきれず、炎の逆噴射でかろうじて避けているだけだ。

 

 このままじゃジリ貧だ…!

 

『どうしたツナ、それが、その程度が君の卍解か?

 なら諦めろ、今の君は他の守護者にすら劣る!』

 

 とうとうナッツが口元でチャージしたビックバンアクセルがツナをとらえる。

 岩肌に叩きつけれたツナは、卍解は解けてしまったかのように額の炎が消える。

 下を向くその顔に表情は見えない。

 そしてなかなか立ちあがろうとするものの、震える膝が邪魔をするツナにゆっくりと歩み寄るナッツ。

 

『君は、何もわかっていない。

 俺が卍解を託した意味を、その力を。

 俺は君に修行をつけるつもりで戦ってるわけじゃない。

 君の心を折って、もう戦えないようにするためさ。

 じゃあねツナ、死神なんてやめちゃいな。』

 

 そして炎を纏った前足を振り上げ、ツナに振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、約束された感触はナッツには伝わらなかった。

 

「…確かに俺にはナッツの言ってることの意味はわかんないよ。

 でも、ここで引いたら、死んでも死に切れねえ!」

 

 ナッツの前足はツナの青色に輝くグローブに白刃どりされ、凍りついていた。

 

『凍獅子…だと⁈

 馬鹿な、ビックバンアクセルを加減せず打ったんだ!

 立ち上がれるはず、いや卍解を切り替える余裕なんて!』

 

「ナッツ、俺がお前と戦ってきた間に何度も使った力を忘れたの?

 死ぬ気の零地点突破・改。

 久々すぎてちょっとくらっちゃったけどね。」

 

 ことの真実は至極簡単で、当たる直前に直感で零地点突破のタイミングを取り戻し、技を喰らいながら三分の一程なんとか吸収したということだ。

 

 ナッツは戦慄する。

 そうだ、俺たちの大空は今を常に超える男。

 故に死炎丸の解号は『超えろ』。

 忘れていたのは俺の方だと言うのか…

 

「ナッツ、いや死炎丸。

 俺は君の力だって使ってるはずだ。

 第一、天獅子にならないとダブルイクスバーナーは打てないし。

 形態変化だって!」

 

 そういうツナの口を凍っていない前足で遮る。

 

『ツナ、それでも君は俺の力を使っていないよ。

 技も、戦い方も、全て君自身がこれまで積み上げてきたものだ。

 俺の卍解が君にとってそれを発揮しやすいから、そう言う形だと君が思い込んでいるだけだよ。』

 

 もしかして…

 

「もしかして死炎丸の能力の、俺はまだ上澄を使っているだけだってことなの?」

 

 ゆっくりと頷く天獅子。

 そうか、そんな独りよがりな戦いで、かつての仲間に負けてボロボロになったら…俺と合わせ鏡のナッツは耐えられなかったんだろうな。

 

「そっか…

 ほんとに俺は、君とプリーモが託してくれた力の意味を理解してなかったんだね。

 でも、今からでも俺と一緒に戦ってくれないか?

 俺さ、こっちに来てから守りたいものが増えたんだ。

 正確には戻った、といえなくもないんだけど…

 だけど、今の俺じゃ守りたいもの全部守れないんだ。

 虫のいい話だってことはわかってる、それでも!」

 

 気づけば目の前の獅子は、いつもの小さなナッツに戻り泣いていた。

 そして前足をツナの心臓に当てる。

 気づけばプリーモもツナの肩を抱いている。

 ナッツが口を開く。

 

『もういいよ。

 君の覚悟、確かに受け取った!

 俺たちの全てを君に預けるよ。』

 

「あぁ、デーチモ。

 俺の真の後継者であるお前にしてやれることは少ないが、今一度その力で己が目指す理想へ死ぬ気で辿り着くといい。

 その先が滅びでも栄えでも、何かを守るだけでも、手を貸そう。」

 

 自身の斬魄刀から託された想いを胸にツナはゆっくりと目を閉じる。

 

「ありがとう、死炎丸。」

 

 

 

 

 そしてゆっくりと目を開くと一護と王悦が死炎丸を結界で包んでいた。

 

 

「馬鹿野郎、チャン一!

 もっと霊圧込めろYO!

この辺りが吹き飛ぶZE、部下の不始末は拭えYO!」

 

「知らねえよ!

 なんで急に斬魄刀からアホみたいに霊圧が漏れてんだよ!」

 

 見ると死炎丸から炎の霊圧が溢れ出している、と言うか垂れ流されている。

 

 あるぇ⁈

 おっかしーな、うまく和解してきたはずなのに。

 

 そうしていると王悦がこちらに気づく。

 

「起きたらこっち手伝えYO!

うまく行ったはずなのに、こんなこと初めてSA。

 どんだけ馬鹿でかい力DA」

 

 よくわからないけど、うまくはいったみたいだ。

 でも、とりあえず俺も残った霊圧を結界に流し込むと刀身が輝いて…

 

砕けた。

 

「んなぁ!

 えっ、うそ、なんで⁈」

 

 狼狽するツナと困惑する一護。

 しかし王悦は1人何かを考え込む。

 一護は思う。

 

 誰でもいい、この空気をなんとかしてくれ…

 

 

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