今年もぼちぼち書いていきます
早速全部書き終えたあと文章が全て消えると言うアクシデントに見舞われましたが気にせず楽しんでください
「お、折れた…」
王悦の試練で内面で斬魄刀と殴り合い、本当の意味で分かり合った、はずだった。
しかし現実に戻ってみれば斬魄刀から溢れ出す霊圧を二人が抑えていて…そしてツナも霊圧を込めた瞬間、刀身が砕けた。
だが王悦はそれを見て何かがあるのか、考え込んだまま動かない。
何かを言わねばと焦った一護が話し出す。
「だ、大丈夫だ沢田。
俺の時は折れた卍解直してもらいにきたくらいなんだ、きっとなんとかなるさ。
な、王悦さん?
…頼むからなんか言ってくれよ。」
元気付けるつもりで王悦に話をふるも聞こえていないのか無反応で、次第に一護も焦り出す。
「…チャン一、ちょっと黙っててくれないKA?
沢田ちゃん、その虹の欠魂にちょいと全力で霊圧を込め続けNA。
それからチャン一、和尚が呼んでたからさっさと行きなYO。」
和尚、名を兵主部一兵衛。
零番隊の中心にして、この世で最初に卍解に至り、全ての名前を見通す死神。
和尚が呼ぶならきっと大事な用事なんだろう。
一護はこの場にツナを一人残して大丈夫かとその表情を覗き込むが…
「…悪くねぇ顔つきだ。
沢田、頑張れよ。」
ツナの覚悟を決めて霊圧を込める表情に何かを感じたのか、エールを残し瞬歩でその場を離れる一護。
目指すは和尚の待つ離殿。
その頃地上では…
「時雨蒼燕流、攻式八の型『篠突く雨』!」
「霜天に坐せ!『氷輪丸』!」
打ち上がる水の斬撃と宙からそれを喰らおうとする氷の竜がぶつかり合う。
せめぎ合う二つの力は、やがて紙一重で氷の竜に軍配が上がった。
「俺の始解に真っ向から技でぶつかり合うとはな。
これが時雨蒼燕流、聞きしに勝る技だ。
山本武、稽古相手に白羽の矢が俺に立ったことを幸運に思うぞ。」
そう言うのは白髪の小柄な男性、しかしその白い羽織が隊長であることを示す。
日番谷冬獅郎十番隊隊長。
氷雪系最強と謳われる氷輪丸を持つ、千年血戦を生き抜いた猛者の一人。
「俺の方こそありがとうございます、日番谷隊長。
隊長の氷を、俺の技で凍らされず斬れるようになればもっと高みを 目指せるって総隊長が勧めてくれたおかげっすね。」
「俺の方こそ、斬魄刀だけじゃなく斬術を磨いているところでお前とやり合えるのは渡りに船だ。
更木に持っていかれずにすんでよかった。
だが、この氷輪丸は氷雪系最強だ。
そうそう簡単に斬れると思うなら、見当違いもいいところだぜ。
先ずはお前の卍解を見せてみな、それが俺の始解の手に負えないと思えば俺も卍解で稽古をしようか。」
そして日番谷の放つ凍てつくような霊圧に一瞬押される武。
だが、
「へっ、いいっすね!
こう言うの燃えるっす。
だから、アンタから卍解を引き出すのが修行の第一関門ってとこか!」
その霊圧を押し返すように爆発的に蒼い霊圧を迸らせる。
「卍解!燕犬纏・蒼村雨!」
一方その頃隼人はというと
「だーっ!
芝生!アホ牛!
ちったぁクロームを見習え!
始解するために斬魄刀と語り合えって言ってんだろうが!」
「極限やかましいぞ、タコヘッドォ!
俺は座って刀と座禅を組むなど出来んことを、貴様はまだ理解できんのかぁ!」
「はぁ、獄寺氏、笹川氏も落ち着いてください。
俺もやっては見てるんですが、なかなかこのZAZENというのがしっくり来ない。」
隼人と言い争っているのは晴の守護者・笹川了平と雷の守護者・ランボだった。
了平は10年後の姿から少し老けた30の姿、ランボは当時でいう二十年後の姿だった。
元々イタリア人のランボがなぜこちらの尸魂界にきたのか、難しい話はなく、中学に上がる前に沢田家に養子に入り日本国籍を取っていたと言う理由に他ならない。
そして揉めていた理由、それは始解に至る修行における刃禅が二人の肌に合わないと言うものだった。
理論派の隼人、優等生のクロームは当然そのやり方を重視していた。
一護やツナのような戦闘中に始解をおさめるというのは稀を通り越して奇跡のようなものだ。
しかしそのやり方の前例がある以上、全く荒唐無稽な話とは言えない。
だが、昔よりはマシとはいえ、依然として頭の硬い隼人と型破りな了平がぶつかり合うのは火を見るより明らかだった。
「…しゃーねえか。
二人とも表に出ろ!
どうせお前らのことだ、ギリギリまで追い込まねえと始解できねえだろ。
俺とガチンコバトルだ!
あくまで始解の修行だからな?
刀使わねえと進まねーんだよ!
クロームはそのまま、多分二、三日以内にはできるようになるはずだ。
行くぞ!」
そう言って外に出ていく3人を見送るとクロームこと凪は
「…相変わらず、騒がしい人たち。」
そう呟くと自身の修行に戻っていった。
以前と違うのは、その口元に僅かな微笑みを浮かべていたことだろうか。
そして別の場所では…
「…珍しい。
兄が、誰かと鍛錬したいなどと。
わたしを訪ねてきた理由について問いたい。」
「別に、たまには強い相手とやり合いたいと思っただけさ。
京楽さんの勧めもあったし、何より君とは一度戦ってみたかったのさ…朽木白哉。
君の千本桜、どうにも噛み殺したくなる。」
「ふっ、更木とは違う静かなる獣といったところか。
ならばその駄賃、ほとんどの者が知らぬ兄の卍解ではらってもらおうか。
来い、雲雀恭弥。」
恭弥の修行相手は六番隊隊長、朽木白哉。
多彩な技を持つ斬魄刀・千本桜を有する強者。
四大貴族の当主であり、誰かと修行というとなかなかに稀なことだった。
始解した二人の戦いは苛烈の言葉に尽きる。
舞う刃の花びらを次々と紫炎の霊圧を纏ったトンファーで防いでいく恭弥。
余裕なように見えるが
『厄介だね、この刃の数。
だからこそ噛み殺しがいがあるけど、始解でこの量、もっともそれを操り命に届かそうとする技術は感嘆に値するね。
朽木白哉、思った通り君は面白い。』
強い敵である程燃え上がる恭弥でなければ心が折れるだろう。
白哉も千本桜を操りながら
『始解でかろうじてとは言え、千本桜を捌き切るとは…
黒崎一護の卍解のような高速戦闘が能力ではないだろうに。
雲雀恭弥、恐ろしい男だ。』
始解とはいえ千本桜を全力で操る自分と互角にやり合うその姿に徐々に愉しみを感じ出していた。
「雲雀恭弥、そろそろ駄賃を頂こう。」
「…へぇ、ってことは君の卍解を見せてくれるのかい?
君の力次第では見せてあげるよ。」
「ふむ、ならば早々にその言葉を後悔させよう。
卍解。」
白哉が斬魄刀を切先を下に向け落とすと、地面に溶け込んでいった。
次の瞬間、白哉の背後に巨大な刀身がそそり立つ。
さながら、桜並木のように。
「卍解・千本桜景厳。
この億の刃を止めたのは圧倒的速さや冷気など何度かあったが始解程度で止まれるものではない。
今一度言う、卍解することを勧める。」
白哉の言葉に不適な笑みを返す恭弥。
「そうだね、その言葉通りなら流石の僕も卍解しないとまずいね。
だけど、これだけの力は始解じゃないと味わえないからね。
まずは味わってから、かな!」
そして駆け出す恭弥を迎え撃つ千本桜景厳。
仕込み武器で最初は余裕で渡り合っていた恭弥の顔にも次第に脂汗が浮かぶ。
「わぉ。
これは予想以上だね。
だからこそ、戦い甲斐がある。」
しかし、次第に刃はその体へ届く。
2分経たないうちに、恭弥の体には多数の切り傷ができていた。
「…驚嘆、と言う言葉はこう言う時に使うのであろうな。
まさか始解でこれほどまでに刃を防ぎ切るとは。
私も兄を侮っていたようだ、これよりは殲景で相手をしよう。」
その言葉に恭弥の目が見開かれる。
「嬉しいね、まさかその技まで見れるなんて。
気が変わったよ、君には見せてあげる。」
辺りを焦がすほどの紫炎の霊圧が吹き荒れる。
「行くよ、卍・解」
それから2日後の昼下がり、一護は和尚のもとで修行を進めていた。
「…そろそろ頃合いかの。
一護、ちょっとこっちゃこい!」
「なんだよ和尚。
あれから2日間、ずっと霊圧をこの高濃度の霊圧が漂う空間で放出し続けるのが修行かよ?
結構きつかったぜ?」
一護の霊圧を持ってしても、この空間での修行はなかなかの苦行でしかなかった。
「ほっほ。
それくらい弱った方がお前さんには都合がええじゃろ。
現霊王、いや、おんしの前ではユーハバッハというたがよいかのぅ?
奴から力を取り戻したくはないかの?」
一護の眉がぴくりと動く。
千年血戦時、自身の持っていた虚の力を母から受け継いだ滅却師の力と共に奪われた一護。
あれから何十年も過ぎたが、いまだに回復する兆しもない。
当然だ、根こそぎ奪われたのだから。
「…そんなこと、できんのかよ?
それにあいつが奪った力は俺だけじゃねえはずだ。
その中で俺の力だけを奪うなんて…」
「もう用意はできとるぞ。」
そう言った和尚は懐から掌大の玉を取り出した。
崩玉に似た見た目だが、感じるこの力は…
「…え、まじで俺の力かよ!
返せ、さっきまでの葛藤とかを!
しかしアンタホント仕事早いなおい!」
そして懐かしさすら感じる力にゆっくりと手を伸ばす。
おかえり、俺の
瀞霊廷の午後は穏やかな陽射しが差し込んでいた。
しかし、その静寂を引き裂くように警鐘がなる、
『緊急伝令!
瀞霊廷上空に虚の霊圧を確認!
記録上の霊圧とは一致しませんが、十刃クラス相当。
落下予想地点は十三番隊修練場跡地。
十三番隊長並びに獄寺十一席、山本十二席は直ちに討伐に向かってください。
その他、卍解可能な副隊長以上については周囲の結界設置後向かってください。』
突然の緊急事態に騒がしくなる瀞霊廷。
そしてルキアと隼人、武が修練場跡地へ辿り着く。
「隊長、これまでこんなことって。」
「いや、わたしも知る限り初めてだ獄寺。
!くるぞ、構えろ!」
遮魂膜を突き破り力の塊が落ちてくる!
最も目立つのは頭部から突き出した2本の角だ。
だが、それよりも目を引いたのは
「…バカな!
その髪、その霊圧…
それに、天鎖斬月だと⁈」
仮面の後ろからは腰にまで届くオレンジ色の髪。
そしてボロボロな死覇装から見える肌は白い。
その手には黒崎一護の斬魄刀があり、その霊圧こそ虚なものが混じっているが、紛れもなく一護のものだった。
あまりの出来事に隼人と武は見ていることしかできなかった。
晴れていたはずの空はいつからか雨が降り出してきた。
その時見えたルキアの顔に流れていた水は雨だったのかそれとも…
「…おまえなのか?
答えろ、一護!」
ルキアの叫びすら目の前の虚の咆哮にかき消され行った。