「恵みをもたらせ『蒼燕』」
武の周りを青い炎を纏う燕が飛び回る。
すかさず恭弥がトンファーからトゲの玉を打ち込んでくる。
しかし燕が炎の渦を作り吸い込んでしまう。
あとはトンファーと刀での撃ち合いだった。
「そろそろ行くぜ。
時雨蒼燕流特式10の型・燕特攻!」
武の得意技と恭弥がぶつかり合う瞬間
「爆ぜろ『紅豹』」
2人の間に赤い炎が打ち込まれる。
「てめぇら!
熱くなりすぎて十代目にお怪我があったらどうするつもりだ!
お怪我はありませんか十代目?」
そこには同じ霊術院の制服を着た自分の右腕がいた。
「隼人、もう始解できるの⁈
俺と似たり寄ったりのタイミングで死んだのに早くない?」
そう、嵐の守護者獄寺隼人その人だ。
実はツナが死んでから3日後に隼人も死んでおり、雲雀にしごかれた後医務室へ行き来する際偶然出くわしたのだ。
「隼人、今は授業中のはずだよ。
相変わらずなサボり魔かい?」
「おい雲雀、単位ならもう全部取って始解もできるようになったんだ。
十代目の特訓にご助力させろ。
山本がありで、おれがなしってのは納得いかねーぜ。」
死してなお、十代目命な隼人。
「隼人、なんでそんなに早く始解ができるの?
それにその武器って…」
隼人の左手には小手と弓が合体したような武器、Gのアーチェリーを強化したような武器が装備されていた。
「十代目、みたところですがあなたの浅打には十分な霊圧が吸収されています。
あとはきっかけ次第で目覚めると思います。
それから、俺たちの始解の形状について。
これについてはある仮説を立てるのに十分な根拠があります。」
「そうだぜツナ。
斬魄刀は魂の具現化だ。
ってことは、もうなんとなくわかってんだろ?」
ツナもなんとなく気づいていた。
前世の武器、ボックスアニマル、それらが始解であらわれている。
「十代目、あなたの葬儀も含めてですが守護者の火葬の際にはそれぞれのボックスアニマルも望んで共に葬られています。
その際に魂が融合し、それが斬魄刀に現れていると思われます。」
もう10年も前の話、恭弥さんが死んだときにボックスアニマルの扱いについて揉めたことがあった。
このときには継承のためにボンゴレギアはボンゴレリングに戻っていて、ナッツたちアニマルはアニマルリングに戻って俺たちが個人保管していた。
しかし持ち主が死んだ以上悪用される恐れが生まれたアニマルリングをボンゴレで封印するかどうするかで生き残っていた十代目ファミリーの幹部たちで話し合った。
だけど、恭弥さんのアニマルのロールが恭弥さんと眠ることを選んだ。
だから恭弥さんの指にアニマルリングをはめて火葬し、そのまま骨壺に納めたんだ。
これから先残りのファミリーが死んでも同じように葬られるだろう。
「ってことは、俺の斬魄刀にはナッツの力が…」
「はい、可能性は高いです。
あとはきっかけ、それさえあればあなたの斬魄刀の名前もいずれわかるでしょう。
なんたって俺にできたんです、十代目にできないわけがありません。」
相変わらず期待が重い。
だけど長い時間を経てこれは信頼だと感じられるようになった。
そんなとき恭弥さんが俺に向かってトゲを打ち込んできた。
咄嗟に刀に霊圧を込めて受け止めるが、棘は増殖し俺を覆うように広がっていく。
「ふぅん、隼人の言葉で考えたんだけど、ならきっかけを作ればいいよね。
綱吉、昔ボンゴレの試練を受けた時と同じ状況を作ってあげるよ。
ほら、早くしないと球身体の維持に酸素が消費されて死んじゃうよ。」
「ツナ!」
「十代目!」
2人の呼ぶ声が遠くから聞こえる。
あの時もありったけの炎を込めて、仮死状態になってようやく試練を突破したんだ。
なら今回も…
ツナ…ツナ…
誰?俺を呼ぶのは、
俺はいつでも君のそばにいるよ、ツナ…
「ナッツ、なんだか久しぶりだね。
お前と話せる日が来るなんてな。」
声のする方を振り返ると俺のボックスアニマル、天空ライオンのナッツが座り込んでいた。
相変わらず手乗りサイズな俺の相棒。
ツナ、俺は戦いたくない…君もそうだろ?
「そうだね、ナッツ。
俺もお前も戦うのが好きじゃない。
だから俺に始解をさせてくれなかったんだろ?」
名を知れば俺は死神になる。
力があれば戦いに巻き込まれる。
だからナッツは俺に力を貸さなかった。
君はもう死んだんだ、戦わなくてもいいじゃないか!
それに霊圧はコントロールできてるんだ、もう周りを傷つけることはない!
だから、諦めてくれ。
俺の、君の斬魄刀の名前を知ることを。
相変わらず優しいな、俺の相棒は。
でも
「名前を教えてくれ、俺の斬魄刀。
もし誰かが傷つくときに、守れる力があるのに守らなければ俺は死んでも死に切れないよ。
俺は人を傷つける力が欲しいんじゃない。
誰かを守れる力が欲しいんだ。」
おれは真っ直ぐな気持ちを伝えた。
ナッツは諦めたような顔をしていた。
はぁ、わかったよ。
俺は君の相棒だからな。
再び最高の大空をここに
我は汝、汝は我
汝の眼前の敵を焼き尽くす己が炎
我が名は…
「…球身体が壊れるね。」
様子を見守っていた恭弥たちだが、球身体にヒビが入るのに気づいた。
そして隙間から橙色の炎が溢れていく。
「おい獄寺、この炎って…」
「間違いねえ。
これは、十代目の炎だ‼︎」
そして、球身体が弾け飛ぶ。
あたりを土煙がまい、視界を塞ぐ。
「ツナ!
無事か⁈」
思わず武が叫ぶ。
そして、土煙がはれ…
両手と額に炎を灯す大空が立っていた。
「超えろ『獅炎丸』」
ちなみに山本の始解はそうえん
獄寺はべにひょう
ツナはしえんまる
とそれぞれ読みます