学生転生-何がなんでも生き残る-   作:かいおう

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第一話の後書きで更新は遅くなるかもと言いましたが、第二話と第三話はある程度文章を作っていたので、早めの更新になります!



第二話 「才能開花?」

王都アルス。

世界最大の都。

人魔大戦を勝利に導いた勇者の名を冠した町だ。

この町を生まれてはじめて見た時、人は驚愕を隠せまい。

 

丘の上にそびえる、荘厳なる王城。シルバーパレス。

城を囲む、上級貴族たちの巨大な邸宅。

それらを囲む要塞のような城壁に、そこからどこまでも広がる町並み。

巨大な闘技場。

絢爛たる騎士団の訓練場。

聖ミリス教団の美しい神殿。

街中に張り巡らされた水道橋。

世界最大の商社の本部。

水神流宗家の道場。

劇場が立ち並ぶ歌劇街。

艶やかな女性の色香漂う宿場街。

ラプラス戦役の勝利を記念して作られた門。

 

町はどこまでも広がり、決して視界に収まりきることはない。

母なるアルテイル川を超えて、どこまでも、どこまでも……。

これがこの世のすべてがあるとまで言われる、人族最古の町である。

 

冒険家・ブラッディーカント著 『世界を歩く』より抜粋。

 

 

 

---

 

 

 

転生してから三年の月日が流れた。

俺はこの『世界を歩く』という本で、今の自分の場所を確認することができた。

確かに大きい建物が多い町だなって思ったけど、まさか世界一の国の首都だったとは。

ここだったら不自由なく平和に暮らせそうだな。

 

この世界にネットはないため、知識を得ることができるのは本しかないが、なぜか活版印刷の技術がなく、すべて手書きのためかなり高価なものらしい。

我が家にも本は『世界を歩く』と『三剣士と迷宮』の二冊しかない。

 

『世界を歩く』は世界中の地名やその特徴、見所が書かれている。

つまりガイドブックみたいなものだな。

著者はS級冒険者のブラッディーカント。

冒険者というのはまだよくわからないが、まあそういう職業って認識でいいのだろう。

 

『三剣士と迷宮』は後に剣神、水神、北神と呼ばれるようになる若い天才剣士たちが、巨大迷宮を見事に踏破するというお話だ。

 

俺が気になったのは三剣士と迷宮に出てきた、三人の剣士のことだ。

この三人は御伽噺(おとぎばなし)ではなく、実際に存在しており、彼らの剣技は三大流派として残っている。

 

なぜ俺がそれを知っているのかと言うと、俺のニューファザーであるラバンに、

「さんだいりゅうはってなにー?」と子供らしい無邪気な笑顔で言うと、

「この歳で剣に関心があるのか……!」と嬉々とした表情になり、俺に大量の知識を与えてくれた。

 

まずは剣神流。

速度を重視しており、相手を一撃で葬る圧倒的な攻撃力を持っている。

剣神流だけでなく他二つの三大流派もそうだが、初級、中級、上級、聖級、王級、帝級、神級とランク分けされており、右に行くほど強い。

聖級にまでなると”光の太刀”と言われている、その名の通り、光の速度で剣を振る奥義を使えるようになり、この奥義があるから剣神流は三大流派の中で最強と言われているらしい。

 

あ、ちなみにラバンは剣神流の聖級、剣聖らしいです。

ただの一般人ではなかったようだ。

 

次は水神流。

防御とカウンターを主体としている剣であり、達人になると剣技だけではなく、魔術も簡単に受け流してしまうとか。

剣の性質上、我慢強い者は水神流に向いており、そうでないものは剣神流に流れていくらしい。

 

そして剣神流にも水神流にも馴染めなかったものは、北神流を学ぶ。

北神流は剣術というよりは、生き方と戦い方を学ぶ流派だ。

門派は星の数ほどあるらしい。

結構、卑怯なことを平然とやる人間が多いため、ラバンはあまり好きではないようだ。

さすがに北神はやらないだろうけど……。

 

と、まあこれが三大流派の主な特徴だ。

俺はまだ三歳だから剣の修行はやっていないが、あと二年も経てば流派を選んでその道を進むことになるだろう。

ラバンが剣聖だから剣神流をやることになると思うが、個人的には水神流を習いたい。

 

防御を主体としているということは、変な輩に襲われたりトラックに突っ込まれても、それを防ぐことができるということだ。

それに剣神流はガツガツすぎて、あまり俺の性格にあっていなさそうだ。

 

ラバンみたいに自信満々で、普通の三歳の子供なら理解できないような剣の知識をペラペラ喋れるやつなら、剣神流が向いているだろうな。

 

俺はどちらかと言うと受けの人間だ。

面倒事にはあまり首を突っ込まず、吉良〇影のように平穏な生活を送る。

それが俺の新しい人生の目標だ。

 

まあ、剣神流でも自分の身は守れるだろうからなんでもいいか。

 

 

 

---

 

 

 

転生して五年の月日が流れた。

今日は俺の誕生日。

 

この世界に誕生日を祝う文化はないと思ったが五歳、十歳、十五歳で何かを送ったりパーティーをするということになっていた。

 

「「おめでとうクレイド!」」

 

ささやかなパーティーだったが、俺はこの人生で初めて、ラバンとフィアに誕生日を祝われた。

料理も普段より豪華で、前世ほどではないがかなり美味しい。

 

そしてご飯をあらかた食い尽くした時、ラバンとフィアが俺に誕生日プレゼントを渡してくれた。

 

「これは……!」

「フッフッフ、かっこいい長剣だろう?」

「あら、私のだって負けてないわよ」

 

俺は誕生日プレゼントで真剣を貰った。

ラバンから貰ったのは全長1m程度で持ち手が赤色のロングソード、フィアから貰ったのは全長30cm程度で持ち手が金色のダガーだ。

 

前世では絶対に貰うことがないプレゼント筆頭だな。

 

両方ともそれなりの値段だろう。

一体、我が父はどんな仕事をしているのだろうか。

フィアは家にずっといるから主婦だというのがわかるが、ラバンは何をやっているのかわからん。

まあ、そんなことを気にしても仕方がないか。

 

「ありがとう父さん、母さん!」

「クレイドも俺みたいに、立派な剣士になるんだぞ!」

「でも怪我には気をつけてね」

 

ラバンはそう言って、俺の頭を撫でた。

フィアはその様子を見て、とても嬉しそうな顔をしている。

精神年齢は二十歳を超えている俺だが、撫でられるのはまあ……悪くはない。

 

---

 

そして次の日から、俺の剣術の稽古が始まった。

 

俺とラバンは、木刀を持って家の庭に立っている。

その様子を家の中からフィアが見ていた。

 

「いいか、クレイド。剣は半端な気持ちで学んではいかん。すなわち剣とは──」

 

長かったので以下略。

まあつまり、真面目に一生懸命やれってことだ。

 

俺も手を抜くつもりはない。

この世界で生き抜くために、必要なことだ。

全力でやってやる。

 

「覚悟はできたか?クレイド」

「はい!」

 

俺の剣術修行が始まった。

 

 

まずは素振りからだ。

俺は今までラバンが庭で素振りしていたのを参考にしてやってみた。

 

「ふむ……。フォームはそこまで悪くはないが、腕に力が入りすぎだ。もう少し軽く振る感じでやってみろ」

 

ラバンのアドバイスはわかりやすく、どこがダメでどう直せばいいのかを的確に教えてくれた。

こんなスキンヘッドだから教えるのは苦手そうだと思ったが、全然そんなことはなかった。

さすがは剣聖だ。

 

素振りの次は型、その次は庭に置いてある木人形に打ち込み。

俺の剣の修行は、順調に進んでいた。

 

そして剣の修行を初めて一ヶ月が経った。

 

いつもの様に素振りと型を終え、打ち込みをやろうとした時だった。

 

「クレイドも剣に慣れてきた頃だろう。一度、俺と打ち合ってみるか」

 

とラバンに提案された。

打ち込みでラバンが相手をしてくれたことはあるが、打ち合うのは初めてだ。

ラバンの攻撃を俺は受けれるだろうか。

 

俺とラバンは庭で向かい合っている。

 

「クレイド。今から俺はお前に攻撃する。それを防御するか、避けるかはお前が判断しろ」

「……はい」

 

俺は木刀を構えた。

どこまでやれるかは知らないが、今までやってきたことを信じるしかない。

 

何も言わずにラバンが剣を振ってきた。

俺はそれを避けず、剣で受け止めた。

速いが対応できないという程ではない。

手加減してくれているのだろう。

 

俺とラバンは何度も、何度も剣を打ち合っている。

ラバンが一方的に攻めていて、押されている状況だ。

 

「いいぞクレイド!だが防御だけではダメだ!攻撃もやってみろ!」

(あんたの剣が速すぎて抜け出せねぇんだよ!)

 

俺はずっと受けに回っていた。

なんとかして対処しなくてはいけないが、隙がない。

こりゃ無理だ。

 

そして、ラバンが俺の頭めがけて剣を振り下ろしてきた。

先程のよりスピードが全然速い。

これで終わらせるつもりだったのだろう。

 

だが、それは失敗した。

 

俺の剣がラバンの剣を()()()()たのだ。

剣は軌道をズラされて、俺には当たらず、空を切った。

何をやったのかは自分でもわからない。

これが、火事場の馬鹿力ってやつか?

 

「なっ……!?」

 

ラバンは驚愕している。

俺だってびっくりした。

本当に何が起きたんだ。

 

「まさか…いや、そんなわけが……」

 

稽古中だったということも忘れ、何やら考え事をしているようだ。

 

「父さん、終わりにしていいですか?」

「……ああ。ゆっくり休めよ」

 

俺はラバンを置いて、家の中に戻った。

手にはまだ、剣を受け流した時の感触が残っていた。

 

 

 

---ラバン視点---

 

 

 

「……参ったなぁ」

 

俺はクレイドを部屋に戻し、外に突っ立っていた。

そして、これから息子をどう育てるかを考えていた。

ウチの息子はとても優秀だ。

 

三歳の時から本を読んでいたし、言葉だって大人と同じように喋れている。

駄々をこねたり、我儘を言うこともない。

おねしょの勢いが凄かったのと、元気に走り回りすぎて怪我が多かったくらいしか欠点はなかったな。

 

俺はこの子の将来に期待した。

剣神流を習わせていつか『剣の聖地』に行く。

頭の良いクレイドなら合理を突き詰めて、俺がなれなかった剣王になれるはずだ。

そして最終的には剣神に……。

 

「だが、あいつの才能が()()()だったとはな……」

 

クレイドには剣の才能がある。

俺はそれを最初から見抜いていたが、それが剣神流ではなく水神流だったとは。

 

さっきの打ち合いの時、あいつが最後に使ったのは間違いなく、水神流の技だ。

俺は一度も教えたことがないし、そもそも使えない。

 

恐らく偶然出たものだろうが、だとしても……。

 

「この俺があそこまで綺麗に受け流されたのは初めてだな。さすがは俺の息子だ」

 

俺は誇らしい気持ちで家の中に戻った。

明日にでも、道場に連れて行くとしよう。

 

どこまで伸びるかが楽しみだな。




原作主人公のルーデウスは魔導士だったので、クレイドは剣士にする予定です!
第三話では、まさかのあいつが早速登場するかも……!?
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