友愛、ではなく。《了》   作:\コメット/

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Fateを知って6年、ようやくSNセイバーの可愛さに気づいて遅れた限界化を果たしたわたくしです。


夏の記憶をキミと②

 

 

ジャンヌ・オルタと刑部姫が会話をしている最中、こっそりと立香を回収した私とマシュさん。

ハベトロットは私の水着作成、村正は所用を思い出したようで別行動だ。

 

「特異点の方が大事だけど、おっきーとオルタには悪いことしちゃったかなぁ」

 

デスマーチから一抜けしてしまったことに罪悪感を感じているのか、はたまた徹夜で疲れているのか、彼の足取りは重たい。

 

「早めに終わらせて、手伝いに戻りましょう。その時は私も手伝います、先輩」

 

「わ、私もっ!・・・タブレット端末以外でできることがあれば」

 

立香とマシュさんは以前、サバフェス会場が特異点化した際に同人誌を描くことになったらしく、そこで技術を深めたのだとか。

文字ならまだしも、絵を描く心得が皆無の私にとっては羨ましい限りだ。

 

「じゃあ、アルトリアには夜食をお願いしようかな」

 

美味しいのを頼むよ、とニッコリ微笑む立香に、喜んで頷く。

鉄板のおにぎりがいいかな、具は目が冴えるように梅干し・・・あ、そういえば照り焼きチキンの残りがあったから小さく切って・・・。

 

「マシュはルルハワ以来だろうけど、大丈夫?」

 

「はい。トーンから背景、小道具描きまで。不肖マシュ・キリエライトにお任せください」

 

「流石オレの後輩、隙という隙がまるでない」

 

夜食用だから塩は少量にして・・・ん?私がおにぎりの具を考えている間に、二人が良い雰囲気だ。

 

「それじゃ、気を引き締めて特異点修復に・・・どうしたの?アルトリア」

 

「え・・・あっ」

 

無意識のうちに、なのだろうか。

私の手は、立香の服の裾を引っ張っていた。

 

「や、あの、これはその」

 

ほんの一瞬だったのに。

ただ一言二言、言葉を交わしてただけなのに。

彼が私以外の女の子と話していることに、ヤキモチを焼いていたらしい。

 

(い、卑しいにも程があるぞ私・・・)

 

咄嗟に掴んでいた手を引っ込めて、自分のスカートに両手でシワを作る。

俯いた顔を上げることができない。

どんな表情をしているのか、今、私は。

きっと、真っ赤か真っ青のどちらかだろう。

 

「アルトリア」

 

「な、なんでしゅ?」

 

声が上擦った挙句、噛んでしまった。死にたい。

 

「もしかして、妬いてくれてた?」

 

「や・・・!妬いてないです!」

 

図星を言い当てられて、つい否定してしまった。

けど、ここで素直に答えるのもどうかと思うのだ。

ぷいっとそっぽを向く私を見て何を考えたのか、意地悪な顔をしたのち、マシュさんにボソボソと耳打ちをする。

 

(あぁ、そんな近づいて・・・!)

 

彼の口とマシュさんの耳との距離は、くっつく寸前だ。

またも、悶々とした気持ちになってしまう。

ヤキモキが抑えられない。

 

「ほい、マシュ」

 

「えっと、はい」

 

相談を終え、二人がし出したのは握手。

彼の右手と、マシュさんの右手が互いに握られる。

何の変哲もない、普通の握手。

そう、普通の握手なのだ。

普通の、普通の・・・。

 

「う、うぅ〜・・・!」

 

なのになぜ、こんなにも心がざわついてしまうのか。

オベロンや村正に女子らしからぬ仕草を指摘されて笑われるので、仕草には気をつけている私だが、これには地団駄を踏まずにはいられない。

 

「もうっ、先輩?アルトリアさんを虐めるのはやめてあげてください」

 

「反応が可愛かったからつい・・・ごめん」

 

「先輩ったら・・・アルトリアさん。私はアルトリアさんの先輩へ対する想いは、とても美しいと感じています」

 

握手をやめ、唸っていた私の前にマシュさんがくる。

 

「・・・卑しくない?」

 

「全然。こんなに真っ直ぐな、瑞々しい感情が卑しい訳ありません。好きな人のためなら、当たり前の反応ですよ」

 

だから必要以上に気にしないでください、と彼女は私を励ましてくれた。

そして、バツが悪そうに立香が頭を下げる。

 

「ごめん、アルトリア。揶揄ったりして。妬いてくれたの、思った以上に嬉しくって・・・」

 

自身の発言をすぐに見直し、本心から謝るのは彼の美徳の一つだ。

揶揄った理由も、決して私を貶めようとした訳ではないことが妖精眼で分かる。

 

「・・・私とも握手して頂ければ、許してあげなくもないです」

 

「握手で許してくれるんだ・・・」

 

「むっ、聞き捨てなりません。そして心の中でチョロいと思いましたね貴方。ならハグ、いえ、この際です。キスしましょうキスをほら早くさあさあ」

 

「なんでそんな押し押し!?ちょっ、人前だからキスは・・・」

 

「私は別に構いません」

 

「オレが構うの・・・って、顔覆って何やってんのマシュ」

 

「何も見ませんのでどうぞお二人で・・・!」

 

「その気遣い今いらない・・・!」

 

筋力Bで押し切ったのでした。

 

 

 

******************

 

 

 

「私は・・・私は悲しい・・・!そして、同時に猛々しく怒り狂っている・・・!」

 

「トリスタン卿!?どうしたのですか!」

 

「今回のレイシフトによる召喚適正、我々円卓の騎士では彼のみ無かったのだと」

 

「落ち着きなさいトリスタン!」

 

「そこをどいて頂きたいベディヴィエール卿・・・!このフェイルノートで一撃、そう、一撃でなにもかも、一切合切決着させかねません・・・!眼前の貴婦人達を放置して何が嘆きの騎士か、何が円卓か・・・!」

 

「誰かこの良い声で妄言を垂れるヘルシング矢野を止めてください!!」

 

 

 

******************

 

 

 

「なんでしょう、あれ」

 

管制室前の廊下にて、円卓の騎士の方々が揉めに揉めていた。

発端はブリテンでお世話になったトリスタンさん(異聞帯の彼とは別人)のようで、暴れる彼をベディヴィエールさんが必死に押さえつけている。

 

「ロクでもないことなのだけはわかる」

 

「はい・・・」

 

理由はどうあれ、いつもとそこまで変わらないやり取りを傍観する立香と、混じってトリスタンさんを説得するランスロットさんを見てため息を吐くマシュさん。

あれが日常とは、統括するアーサー王は大変だろうなぁ。

 

「それより、二人とも準備は良い?これからレイシフトな訳だけど」

 

「私はいつでも。ただ、アルトリアさんが」

 

「おーい、アルトリアー!」

 

準備できていない、と言い終わる前に。

猛スピードで、糸車に跨ったハベトロットがやってきた。

 

「お待たせ、ご注文の品だよっ」

 

「早っ!?」

 

流石は職人と言うべきなのか。

にしても早過ぎる。別れてから1時間ほどしか経っていない。

だがたしかに、彼女の腕の中には大事そうに私のために作ってくれた水着が抱えられていた。

 

「間違いなく、マスター悩殺の逸品さ!」

 

「あ、ありがとう・・・何かお礼、できないかな」

 

「いらないよ。けど強いて言うなら、二人が結婚式を開く時の仕切りでもやらせてもらおうかな」

 

「まだ気が早いかな!?」

 

「お、それはいつかはやると受け取っていいね?期待して待っとくよ!」

 

立香とマシュさんに醜態を晒した挙句に言質まで取られた私は、やり切った笑顔で嵐のように去っていくハベトロットの背中を見届ける。

 

「アルトリア、それ何?」

 

「ふぁ!?あぁっとこ、これはですね、今回のレイシフト用にハベトロットに編んでもらった・・・」

 

「水着!?うわぁ、楽しみだな。絶対似合うよ!」

 

まだ広げてもないのにどうしてそう断言できるのかな、嬉しいけども。

しかし、着た後の姿を見られるのは兎も角、これから着る水着を見られる方が恥ずかしいのはなぜだろう。

 

「急いで着替えてきます!」

 

「ゆっくりでいいよ〜」

 

小さいとはいえ一応特異点修復する前なのにえらい落ち着いてるのは、単純に場数によるものか。

近くの空き部屋に駆け込んで、私はハベトロットがくれた水着に腕を通すのであった。

 

 

 

******************

 

 

 

着替えに向かったアルトリアを見届け、オレとマシュは先んじて管制室へ入り、ダヴィンチちゃんやホームズ、シオン、所長との簡単なブリーフィングを終えた。

 

「既に多くのサーヴァントが先行している。羽を伸ばすにはまたとない機会だからね」

 

後から私もついていこうかな、とホームズはパイプタバコを扱いながら笑った。

今回出現した特異点は、それほど規模が大きくなく、なんなら発生源の目星もついているのだとか。

タイムリミットも一週間はあるそうなので、遊ぶだけ遊んで、帰りたくなった時に狩ればいいとの見解だ。

 

「最低限の警戒はしておくように。君は替の効かない人材なのだからな」

 

そう言う所長だったが、バーベキューセットやテントを持たせてくれるあたりにこちらを気遣う仕草が見て取れる。

 

「一泊ぐらいしてもいいかもしれないね」

 

「はい。沖縄の星空を浜辺で、というのはロマンがありますね」

 

「流れ星見れるかな」

 

都会育ちのオレにとっては、特異点や異聞帯で見るもの全てが新鮮だ。

幾度となく胸躍る光景を目にしてきたけど、神秘的な現象に想いを馳せる癖は治りそうにない。

マシュも同じのようで、好奇心によるウズウズが滲み出ている。

あとはアルトリアを待つだけであり、丁度管制室の入り口のドアが開かれた。

 

「おい、まだ行ってないな!?」

 

アルトリアかと思ったが、入ってきたのは片手に包みを持った村正。

 

「あ、おじいちゃん」

 

「おじいちゃん言うな。んなことより、マスター。注文の品だ。アルトリアに渡してやれ」

 

持っていた小包の中には、オレが事前に村正へ頼んだ品と・・・別の人に受注した物が入っていた。

 

「途中でバーヴァン・シーと会ってな。直接持ってくのは面倒だからついでにってよ」

 

「後でお礼言わなくちゃなぁ」

 

「先輩、一体お二人に何を・・・え?」

 

小包の中身を隣で確認するマシュから、驚きの声が漏れる。

 

「もしかして先輩、私とアルトリアさんがお教えする前から特異点のことを?」

 

「実はそうなんだ」

 

昨夜、おっきーの同人誌制作の手伝いをしていた休憩時間でのこと。

飲み物を欲して食堂へ向かうと、ダヴィンチちゃんとホームズが発生した特異点について話し合っているのを発見。

聞けば、そこは沖縄の、且つ海に近い場所なのだとか。

 

「それから急いで村正と、ガラテア経由でバーヴァン・シーに頼んだんだ」

 

「こいつの手の早さにはビビるぜまったく。なんなら水着まで誰かさんに頼んどけばいいのによォ」

 

「異性から水着プレゼントされるってどうよおじいちゃん・・・」

 

「・・・あー」

 

流石のアルトリアでも若干引くだろう。

 

「まぁなんだ、ちゃんと渡してやれよマスター。儂は部屋に帰る」

 

「うん、ありがとう」

 

礼を受け取って、満足そうに頷いた彼はすぐに管制室を出ようとして、

 

「ーーーああ」

 

立ち止まる。

 

「どうしたの?」

 

「なぁマスター、悪いが儂の作ったやつは儂が渡していいか?」

 

 

 




村正に異聞帯の記憶はないです。けど、記録は見てます。

躍動トリオの学パロ書きたい・・・。幼馴染設定で、三人とも剣道部!

キャストリア:剣道部部長、中学戦績はパッとしないけど、高校で覚醒する大器晩成型。立香ガチ恋、オベロンにいつも揶揄われている。三人で男女混合全国制覇&インハイ個人優勝が夢。男子からの人気が高く、そのせいで女子達にいじめを受けていたがどこぞの幼馴染が知らないうちに粛正してた。モテる。

立香:剣道部副部長1、県でもそこそこ名の知れた少年。いがみ合ってる二人を宥める係。キャストリアが好き。圧倒的コミュ力により男女問わず人気。優等生と思われがちだが、他二人とだいぶバカやらかしてる。夏に橋から川ダイブはザラ。バカやるたびに村正先生に三人仲良く怒られてる。モテる。

オベロン:剣道部副部長2、中学にて全国優勝経験有りの天才型。おまえらもう結婚しろよと毎日ブラックコーヒー飲んでる。練習はかったるいけど二人やってるししゃーねー俺もやるかみたいなスタンスでいつも練習に取り組んでる。部室や部費、道具の管理は他二人ができないので仕方なく担当してるが、割と性に合ってる。モテる。

村正先生:体育教師兼剣道部顧問、三人の絆が強過ぎて他生徒が入りたがらないのが悩み。問題児(三人)の世話をしなければならないのも悩み。最近赤銅髪に白髪が混じってきたのも悩み。試合後教え子三人がよく食べるので財布の底が尽きかけてきたのも悩み。悩みしかない。

道着着た三人が凛とした表情で、立香、キャストリア、オベロンの順に並んで正座してるところ想像するだけでご飯何杯もいける。


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