1話 出会い
「うるせえ!黙って殴られろ!」
僕が5歳の時にお母さんが病気で死んだ。元々お父さんがDVだったから、その矛先は全部僕に向いた。来る日も来る日も殴られ、はたかれる日々。
そんな日常が1年たとうとした冬の日。僕は、限界になり家から逃げた。どこか安全なところに逃げようと雪の中裸足で走っていた。だけど、6歳のましてやろくに食べさせて貰えない子供の足じゃ、長距離を走ることなどできず力尽きて道端に倒れてしまった。
(お母さんのところに行けるのかな...)
薄れゆく意識の中そう思っていた。
「ママー、パパー、あそこで誰か倒れてるよ!!」
「えっ!?ほんとだわ!君、大丈夫!?」
「とりあえず病院だ!!」
気づくと白い部屋のベットのうえに寝ていた。
(ここ、どこだろう?)
すると、ピンク色の髪の女の子が心配そうに
「大丈夫?今、パパとママをよんでくるね!」
と言ってどこかへ行ってしまった。
その後、すぐに男の人と、女の人が来て
「大丈夫?どこか辛いところはない?」
と言うので
「だい..じょうぶ、です」
と、答えると
「良かったわ...、ところであなたは虐待されてるのかな?さっき先生が殴られた跡があるって...」
僕は、今までの事を全部話した。お母さんのことも虐待のことも。すると、女の人は泣きながら
「っ、辛かったのね..もう大丈夫だからね...」
そう言われ、僕は泣いた。虐待を受けて、どんなに痛くても流れなかった涙が溢れ出てきた。
ひとしきり泣いたあと女の人が
「ねえ、私たちの子供にならない?」
と言われ僕は嬉しかった、そして同時に不安になった。一緒にいていいのか、幸せになっていいのか。1人で悩んでいるとピンク色の髪の女の子が
「私に妹ができるの!?」
と嬉しそうに言っているのを見て、僕は
「家族に..なっても..いいですか?」
と伝えると、女の人が
「いいのよ!私たちの家族になりましょう!」
その日、僕は上原家の一員となった。
「そういえばあなたの名前はなんて言うの?」
「.......雪、です」
「そうなの!いい名前ね。これからよろしくね、雪ちゃん。」
「....よろしく、お願いします」
「ふふっ、可愛いわね。家の子は1人はこの子で、もう1人上に女の子がいるから、あなたは3女ね。ひまり、可愛い妹が出来て、よかったわね」
「うん!」
「前から、弟か妹、欲しがってたもんな」
........ん?
(もしかして...)
「.......ぼく、男です」
「「「えっ!?」」」
(大丈夫、だよね?)
登場人物
上原 雪…本作の主人公。母親譲りの綺麗な白髪を肩まで伸ばし
ている男の娘。上原家の人が大好き。保護欲をそそられ
る雰囲気を出しており、周りから愛されている。
女の人…上原 香織 雪、ひまり、ひより、の母親
男の人…上原 裕二 同じく父親
女の子…上原ひまり 雪の姉、ブラコン
出てきていないが…上原ひより ひまり、雪の姉、ブラコン
ここからAfterglowや他のバンドとの絡みも増やします