2018年10月19日……とある山中ダム湖で、轟音の様な叫びが響き渡った。
『オッ……オオオオオォッ!!!』
特級呪霊・真人を祓った俺は、山崖に佇む呪詛師・夏油へと視線を向け相対する。
「高みの見物もここまでだな……夏油!!」
俺はメカ丸の右腕の照準を夏油へ向けると、呪力が集まりメカ丸の掌が煌々と輝き始める。
勝てる!!
「撃て!!」
皆に……
「メカ丸!!」
会える!!
……その瞬間、コックピットの内部壁は巨大な拳によって突き破られた。壊れた壁からは、蜘蛛の様に体を変化させた真人が這い出て来ている。
「ッ!」
仕留め損なった!?……だが、まだ領域は1本残っている!!
ジャコッという音を響かせ、右手に持った〈簡易領域〉を起動する。
直に……ブチ込む!!
真人の両手が近付いて来る……
〈簡易領域〉はまだ届かない……
死を纏った10本の指が視界を埋め尽くす……
ダメだ、間に合わない……
「クソッ……」
グチャッ
与 幸吉は、敗北した。仲間との再会を果たす事もなく、地獄へ堕ちる……筈だった。
「……?」
スッと眼を開くと、最初に飛び込んで来たモノは暗闇だった。
「此処は、地獄……か?」
そう口にして……気付く。痛み……全身を針で刺され続ける様な痛みを知覚する。この痛みは……
「……は?」
そこで初めて、見上げていた顔を下ろすとそれは……生まれてから一番見慣れた光景だった。
「此処は……」
身体に繋がれた無数の医療用チューブ、浴槽を満たす治療液、全身を覆う包帯、二の腕から先が消失している右腕、上半身しか感じる事が出来ない皮膚の感覚……
「夢……だったのか?」
いや、夢と言うには余りにもその感覚は生々しく……死の感覚を思い出した様に身体が僅かに震え、浴槽に満たされた治療液が波紋を広げる。
「……」
五体満足で動いていた先程とは違う。右腕と膝から下の肉体は消えており、腰から下の感覚も失くなっている……この世に生まれ落ち、17年間過ごした身体……天与呪縛に蝕まれた身体だ。
「まさか、反転術式……? いや、俺は間違いなく死んだ筈……」
死者を生き返らせる……それは、あの五条悟でさえ不可能な事象だ。
「……何が、起こった?」
その問いが暗闇の中へと消えると、静寂が俺を包み込んだ。
混乱する頭と心を落ち着かせ、今現在の状況を確認する。
……2018年6月19日、真人に殺された日から4ヶ月前の日付だ。
「クッ……ハハハ…………」
誰かの術式、或いは呪具や呪物の影響……原因について思考を巡らせるが、直ぐにどうでも良くなった。
「この状況、利用しない手はない……な。」
当然ながらこれから起こる事を確認して、記憶の擦り合わせをする必要はあるが……この記憶が本物なら、俺はこれから先4ヶ月の未来を知っているという事になる。それは、途轍もなく大きなアドバンテージだ。
「冷静に、焦らず計画を練る。利用出来るモノは、なんでも利用して……
そして……
メカ丸、その体を消耗品として扱うな……少しは労われ。
メカ丸よ、せめて女の好みくらいは即答出来る様になれ。でないと、呪術師としていつまで経っても半人前だぞ。
メカ丸、似合ってるわよそのメカ丸キーホルダー……ぷぷっ。
メカ丸ー、コレ職員室まで持って行くの手伝ってー。
メカ丸、一緒の任務ですね。頑張りましょう!
会うんだ……皆に。
ー続かないー
……みたいな話が読みたいです(願望)
この短編が誰かの創作意欲を刺激しますように……あわよくばメカ丸の話を書いてくれますように。