彼女(メリュ子)は百合ヶ丘のリリィ。   作:Celtmyth

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Ep. 49 0 Th 101 2nd V 111 l.

 

 

 彼女と共有する夢から自分の夢の中へ戻ってきた。言葉にすればおかしい内容だけど、事実だからそのまま受け止める。

 私の夢の中は、あまり変わらない。周囲は真っ黒な海が広がっていて他には何もない。違いと言えば私の姿が竜の姿であること。船の上ではなくこの体を丸められる程度の広さしかない島にいたという事。これはきっと境 白英としての前世を整理してメリュジーヌ・ヴィヴィとしての精神をあらわした物なのかもしれない。さらに付け加えるなら夢の中にいる筈なのに現実世界の事が知覚できる事だった。

 

『……機体(からだ)の再生率は26%。ただし、()()()()()()()()()

 

 あの日、私の機体(からだ)は完全に蒸発したみたい。でも、私のマギはしっかり残っていたみたいでそれを集めて再生しようとしていた。消滅する直前に海へ落ちたことで再生中の機体(からだ)はその海の底にある。

 

『不完全な状態だからエネルギーに使う魔力の回復率も低い。魔力が少ないから再生も遅い。進むにつれて上がってるけど、このままじゃ数年かかるわね』

 

 例え竜でも全身の自然回復はすぐにはいかないみたい。しかもこうして夢の中で意識がはっきりしているのも溜めた魔力を使っていてより遅い。これは私が結梨の想いから記憶の復旧を優先させたせいだけど。

 

『その陰で彼女と話が出来たのも事実なのよねぇ』

 

 記憶の修復は元になった彼女(メリュジーヌ)の残留思念も復活させ、私と対話を実現させた。あの時の時間だけではあったけど、この先の励みになるものを受け取った。後悔はない。

 が、焦りはある。ここでも感じる程の殺意に染まったマギが百合ヶ丘の一帯に膨れ上がっている。特に発信元である場所は強い。彼女たちがただやられるとは思ってはいないけど、やっぱり結梨は大丈夫なのかと不安にある。

 

『でも、方法がない訳じゃない』

 

 これは彼女の、メリュジーヌ(彼女)の世界から持ち込まれた者。私が無意識に繋いでいた確かな縁。

 結梨がそれを引っ張てくれたなら、私はキミの所へ戻って来られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん~~~~」

 

 あの光が落ちて、なんだかピリピリするような感じと怒った様な匂いと不安そうな匂いがする中、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ああもうっ、こんな時にCHARMが使えないなんて」

「今は誰のCHARMも起動してないわ。悔しいのは皆同じです」

 

 後ろで皆が何かを話してる。梨璃も夢結もいないから皆不安になってるから、頑張って二人を探している。特に楓は梨璃に会えたけど夢結がいないから梨璃が探しに行って置いてけぼりになったって言ったから。そのせいで後ろの皆が何を話しているのかはよく聞いてない。声だけ聞こえてるだけだった。

 

「なら、どうして梨璃さんのCHARMだけは使えたんです?」

「それは梨璃のレアスキルと関係あるやもしれんな」

 

 そこにミリアムの声が聞こえた。ミリアムは大丈夫だって言ってたから探してなかったけど、聞こえたからその姿を見てまた二人を探しに戻る。

 

「レアスキル?」

「カリスマ。支援と支配のレアスキル」

「知っとったか」

「薄々検討は」

「カリスマ使いは他にもいるのにどうして梨璃だけ?」

「そこは謎じゃな」

 

 なんか梨璃の話をしてるみたい。でもまだ梨璃は見つからない。うーん、()()()使()()()()()()()()()()()()()()。思ったような所が見れないよ。

 

「……もし、今は自分しかCHARMを扱えないと知ろうとものなら、梨璃さんの事ですから1人であのHUGEに立ち向かいかねませんわ」

「そこまでお馬鹿と思いたくはないが、梨璃なら―――って、さっきから何を眺めとんじゃ結梨」

「んー? 梨璃と夢結がどこにいるのか探してるー」

 

 でもまだ見つからないなー。うーん、楓が言ったようにあのHUGEの所かな? みんな逃げてるって言ってたから後回しにしてたし。

 

「結梨、心配なのはわかるがここから探しても遠くて見つからんぞ。二水が鷹の目を使えとったら見つかって――――なんでお主が鷹の目使っとるんじゃあ!?」

「んっ!? あっ」

 

 ミリアムが隣で大声を上げたから元に戻っちゃった。もう一度……。

 

「……よしっ」

「よし、ゃないわい! えっ、と言うかなんでレアスキル使えとんのじゃ!?」

「ちょ、ちょっと結梨さん。顔を見せてください!」

「むぎゅ」

 

 すぐ楓に顔を掴まれ、他の皆も私の所に集まって顔を覗かれた。

 

「あら、本当に使えてますね」

「二水、お前は使えるか?」

「やってみます! ……ダメでした!」

「と言うか梨璃さんと夢結様を探してると言ってましたわよね! どの辺りを探してどこを探してないでしょうか!?」

「みんな、落ち着こう」

「でも楓の言う通り二人を探して貰った方がいいじゃないか?」

 

 みんなしてワイワイ騒ぎ始めようとしたところに梅の言葉で楓の手が離れた。

 

「二人を探していい?」

「ああ、いいゾ。ちなみにどこを探すんだ?」

「百合ヶ丘の所はいなかった。でも梨璃はHUGEの所に行くかもって言ったからそこを見てみる」

「お願いします結梨さん。本当はいてほしくはないんですが……」

「わかった」

 

 今度こそ二人の姿を探して、あのHUGE辺りを見てみる。さっきよりあのHUGEは怖いって感じがするし、なんだか大きくなっていく。あと、私が戦った、メリュが倒してくれたHUGEに似ている気がする。

 

「――――梨璃、いた」

 

 そんなHUGEの目の前の所に梨璃を見つけた。

 

「今どちらにいらっしゃいますの!?」

「CHARMを構えて一人でいるよ」

「『まさか』が当たってしまいましたわ!」

「筋金入りの無鉄砲だからナ」

「私も、無鉄砲、したいっ」

 

 梅の言葉に鶴紗が同じことをいった。すると鶴紗から、ううん。みんなから不安の匂いがなくなって熱い気持ちの匂いがし始めた。

 

「うん、こんな所で何もできないなんて嫌だっ」

「もちろん、諦めるには早すぎます」

「そりゃあそうじゃ! ワシらが張り子の虎であり得んことじゃ!」

「当ったり前ですわ!」

「……そうですね、そうですよね!」

 

 その匂いのようにみんなから強い言葉が出ていた。でも、

 

「どうするの?」

「それはこれから考えるんじゃ」

「状況も変わるかもしれませんからね。ですから結梨さん、梨璃さんとHUGEを見ていてください」

「わかった。でも夢結は?」

「今は後回しでいいでしょう。それにあの方もジッとしていないでしょう」

 

 夢結もみんなみたいに熱い気持ちになってるって事だね。なら心配ない。

 楓に言われたとおりに梨璃とHUGEを見てみる。HUGEは大きくなってたのが終わってあれ以上に形は変わってない。あっ、梨璃がHUGEを撃った。でもダメージになってる感じじゃない。

 ん、HUGEの目がこっちに、

 

 

 

 

 

 

 

Ahaaアアアaaaaああaaaaaaaaaa!!!

 

 

 

 

 

 

 

「あああああああああああああっ!」

 

 今まで思った事ない気持ち、誰も許せない気持ち。多分、これは『怒り』。本でしか知らない感情。

 

「結梨さん!?」

 

 楓の声が何とか聞こえたけど足に力が入らなくて倒れそうになって、誰かに体を受け止められる。

 

「大丈夫ですか結梨ちゃん! 何かあったんですか!?」

「ちょっと待て。……レアスキルは発動したまま。じゃが鷹の目を使っとる感じじゃない」

「待て。結梨、今どんな気持ちだ?」

「気持ち……。倒したい、許せない……、戦いたい……」

 

 胸の中のぐちゃぐちゃな気持ちを何とか口にするけど、気持ちを抑えてないとみんなに何かしちゃいそうで嫌だ。

 

「……ルナティックトランサーですね」

「えっ、なんで?」

「おそらくHUGEに当てられたんじゃろう。結梨が複数のレアスキルを使えるのは精神的な感受性によるものと百由様は仮説を立てておった。ここまで殺意と敵意を向けとるHUGEなら特に……。いや、この話を聞いておってこの可能性に思い至らなったワシのせいじゃな……」

「ミリミリのせいじゃないゾ。結梨、ルナティックトランサーは感情が鍵だ。気持ちを落ち着かせろ。そうだな、眠るようにリラックスするんだ」

「わかっ、た」

 

 落ち着かない気持ちを必死に抑えておやすみをする時のようにする。胸の中のぐちゃぐちゃがどんどん消えていくのがわかる。

 

「……治まったみたいですね」

「楓……、ごめんね」

「気にしないでいいですわ。それよりも結梨さん、立てますか?」

「多分、立てる」

 

 そう言ったけどいつもより力が入らない。立とうとして、また倒れそうになって支えられる。

 

「無理をするものではありません。私が支えてあげますわ」

「ありがとう」

「あとレアスキルを使うんじゃありませんのよ」

「うん、ごめんね……」

「そんな事は気にする必要はありませんわ」

 

 楓に支えられながら見えなくなった梨璃と、ここからでも見えるHUGEの方を向く。遠くだけど小さく戦う音が聞こえる。するとHUGEの方が三つある大きな翼みたいの一枚が外れて地面を叩いて、そのまま百合ヶ丘の方に飛んでいく。もう見えないけど大きな音が聞こえたから多分当たった。

 

「今、校舎の方に!」

「慌てるな。百合ヶ丘にはマギによる防除を張っておる。ま、衝撃までは防げぬから窓ガラスなどはおジャンじゃろうて」

 

 みんなも同じことを思ってる。

 HUGEに当てられたせいなのかよく見えないし、なんか不安が大きい。梨璃は大丈夫なのかな? 夢結はどうしてるのかな? 私は何もできないのかな。初めての気持ちがさっきと違う形に胸の奥をグチャグチャにしていく。

 怖い。あのHUGEがいるのが。梨璃と夢結が危ないって思うと。何もできないことが。何か、何か、誰か―――――。

 

「あれは!」

 

 その声に俯きかけた顔をあげるとHUGEの三枚の翼が何か挟んで、そしてその目が光っている。その間の光景はなぜかゆっくり流れるように見えて、そのおかげでHUGEより小さな、梨璃と夢結の姿が見えた。でもそれは、HUGEが二人を攻撃しようとする光景。

 真っ白になった頭に、私は無意識に叫んだ。

 

 

 

「二人を助けて―――――! メリュ―――――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もちろん、愛するシルトのお願いだからね』

 

 聞こえた声と、赤い光、そして大きな音。その三つが胸の中のぐちゃぐちゃを吹き飛ばしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づいた時には梨璃と、HUGEがいる戦場。しかも落下中で梨璃は気を失ってないにしろ、意識が危うかった。すぐにその体を受け止め、怪我も汚れもつけずに降ろす。

 

「HUGEは……」

 

 梨璃に意識を向ける直前に確認した時は胴体が()()()()()()()瞬間。着地する前にその巨体が倒れた事は耳からの音で気づいていた。陰に隠れながらHUGEの様子を見てみると、その巨体に爪痕のような三本の傷と、十字の傷があった。ルナティックトランサーを使っていた時の記憶は曖昧なのだけれど、CHARMでも傷つかない程頑丈だったのは感覚で覚えていた。一体何が……。

 

 

 

 

 

『そっちは無事かしら? 見た所怪我はないようだけれど』

 

 

 

 

 

 頭の後ろ、視界の真後ろからその声が聞こえた。反響がかった声だけど、その声色はもう二度と聞けないと思っていた物。その声が聞こえ、ここまでの考えが浮かんだのは一瞬。私はそれと同時にその姿を確認しようと顔を向けた。

 機械的な黒い両翼に尻尾。手足も同じく黒く爪先は鋭く、同時に二本の黒い大剣が両手に掴まれることなく浮いている。

 でもそこはどうでもよかった。それはかつて見たあのドラゴンと同じ特徴だったから違和感なんてなかった。でも()()姿()はその特徴を混ぜ合わせながら、もう見ることはないと思っていた笑顔を見せてくれていた。

 

「メリュ、ジーヌ」

『そうだよ夢結。ただ申し訳ないのだけれど最初の挨拶は結梨にしてあげたいの。だから今は、一緒にHUGEを倒しましょう』

「……ええ、構わないわ。その我が儘な気持ち、少しだけわかるから」

 

 変わっていなかった。その自由気ままな性格も、堂々とする物言いも。こんな奇跡がどうして起きたのかはわからない。

 メリュジーヌ・ヴィヴィが帰ってきた事実さえあればそれも些細と思えた。

 




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Ep.10 The 2nd Vol.

 2nd Vol.はsecond volumeの略語で中編の意味

 そして百合ヶ丘のメリュ子復活! やっとここまで来たよ……!
 復活の際、姿は第三霊基の状態。百合ヶ丘の制服じゃないのは前の竜化で破けたから。

 加えて結梨の使用レアスキルに『鷹の目』『ルナティックトランサー』追加。
 ちらちら見えていた令呪もここで使用。描写はないけどデザインはフリージア。使われたのは『霊基復元』と『召喚』。結梨が夢の中であったメリュ子(FGO)から霊基情報を貰っていたのでこの時点で復活は可能でした。魔力もメリュ子(本作)の逆流で――ここオリジナル設定――三画分ちゃんと確保していたので量は十分。

BOUQUET編終わり後について(今後は溜めて投稿するので間隔は長くなります。

  • ラスバレ編に突入
  • FGOクロス多めのストーリー
  • こっちは休んで停滞している他の作品をする
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