「なんじゃさっきのは! 何が起きたんじゃ!?」
ミリアムさんの言う通り、短い時間で様々な事が起きていますわ。結梨さんが叫んだと思ったら大砲のような音と同時に突風が吹いた。その後は梨璃さんたちがいる、戦っているであろう戦場で広がるような光の環と重量あるものが衝突した音が驚いた。ミリアムさんは後者の方を言っていますね。
「あれは、まさか……」
「二水さん?」
HUGEの狂気に当てられて立つ気力のない結梨さんを除いて誰もが驚愕と疑問を抱いてると思っていた中で二水さんだけが違う反応をしていました。
「ふーみんさん、レアスキル使ってらっしゃる?」
「えっ? あっ、使えてます!」
「マギは使えないんじゃ」
「……あっ、CHARMが動いた」
ただその理由を聞く前にレアスキルを使えている事や鶴紗さんがCHARMを動かせることが確認された。私もジョワユーズを起動してみると問題なく使えてました。
「二水さん。鷹の目を使って、何を見ましたの?」
でもこの事実と二水さんが見た物は別物の筈。聞くと彼女はハッと思い出したように目を見開き、そこから涙をこぼし始めた。
「どうした二水! 梨璃に何かあったのか!?」
「いえ、梨璃さんは無事です。夢結様も合流していて……、それに……」
「来て、くれたんでしょ」
いつもの早口が覚束ない二水さんの代わりに、結梨さんが代わりに答えた。ある程度は回復したのか立つ足に安定感があった。その上で、汗が流れる顔で笑顔を見せていた。ですが来てくれたとは……。えっ、もしかして。
「はいっ。姿こそ変わってますが、メリュちゃんが、生きてました!!」
「梨璃」
お姉様の声が聞こえる。目を開けるとお姉様が優しく微笑んだ顔が見えた。
「梨璃、まだ戦える?」
「……はい、お姉様」
ただそう言われた私は微笑み返して応える。まだ戦いは終わってないから。
「と言っても、現状の私たち
「はい……。えっ、あれ? 三人?」
『私もいるわ』
その声に、嘘、と思わずにはいられなかった。でもちゃんとその声を聞いて、お姉様ももう一人いる事を口にしていた。まさかと思いながら体を起こして声がした方へ顔を向けた。
「……メリュ、ちゃん」
そこには死んだはずのメリュちゃんがいた。黒い翼とか尻尾とか爪とか、あと恰好が下着みたいで寒そうだし恥ずかしいなとか――――。なんだかHUGEがいるってわかってるのに混乱して考えが纏まらない。
『落ち着こう梨璃。それに話だったらHUGEをどうにかしてからしましょう』
「う、うん。あ、でも話し方が変わってる?」
『こっちが素なの。結梨以外には見せてなかったけど、この姿になると取り繕う気すら起きないだけだから』
今まで男のような、凛とした感じだったのに今は年相応の女の子の感じがする。でもやっぱりドキドキするようなカッコよさがあるなぁ。
『少し落ち着いたみいだけど先に伝えておくわ。あのHUGEを倒す方法だけど、私が前に倒したHUGEに使った技は使えないわ』
「貴方がいなくなったキッカケになったHUGEとの戦いね」
『そう。使うには魔、ギを溜める必要があるけど、問題なのは威力。この前のは体が崩れかけだったから威力は激減してたの』
「えっ、あれ本当はあれ以上なの?」
『ええ。ここ一帯を炎で焼き尽くす威力があるわ。加減が出来ればいいのだけれど、そんな時間はさすがにないからね』
そこまでの威力があるんだ。じゃあ使うわけにはいかないよね。なら、楓さんに助けたアレなら。
「なら大丈夫。時間を掛ければ一柳隊の皆がやっつける方法を考えてくれる筈だよ」
「……そうね」
『そっか』
お姉様とメリュちゃんは詳しい事は聞かなかった。ただ私と一柳隊の事を信じてくれていた。
その時、CHARMの銃声が聞こえた。
「「『マギスフィア!」」』
視界にあのHUGEと、軌跡を描くマギスフィアが映った。それにあの緑色の光は、雨嘉さんのマギの色。
……みんな、気付いてくれたんだ。
『ノインヴェルトをやるんだったら、邪魔をされる訳にはいかないわね』
「ええ、そうね。私たちでHUGEの注意を引きましょう。梨璃、メリュ。行くわよ」
「はい、お姉様!」
『もちろん』
絶対にあのHUGEを倒すんだ!
マギスフィアが水色に変わって、二水にパスが通ったんだとわかった。みんながメリュたちの為に頑張ってる。その中に、私はいない。
もう立てるようになったけど万が一があるからここに残るように言われた私。そもそもCHARMがないからノインヴェルト戦術には参加できないって言われた。
鷹の目はまた使えてる。二水が使えたから使ってみたら使えたけど、HUGEの影響が残ってるみたいで少し苦しい。でも使わなきゃ見れないから我慢する。
「メリュ、みんな……」
今なら梨璃の気持ちがわかる気がする。何も出来なかった、何も出来ない気持ちが。メリュが戦ってるのに私は一緒にいない。見る場所を変えれば百合ヶ丘のみんなも動き回ってる。みんなも力になりたいって動いてるのかも。
「……私も戦えたら」
そう思って、手をあげる。みんながいなくなってから気づいた、手の後ろにある絵みたいな跡。なぞったら花にも見えるそれからはメリュを感じる。思い返せばメリュを想う時はここを握ってたし、ここから思いを感じられた気がした。
「頑張って……」
せめて祈りだけは、強く込めてあげたかった。
『感じてるわよ』
何せそれは
『っと!!』
そんな事を考えてる間にHUGEの腕が迫る。それをかわし、右のジョフロアで弾く。
『重っ……!』
重量、うん。これはHUGEの方が抵抗してるわね。HUGEは私に対して敵意や殺意を向けるって話は正しいようね。実際に梨璃や結梨より私に攻撃が集中してる。散弾のように全方向にマギの球を撃つ中、私にだけは巨大な三本の腕が振り降ろされている。HUGE自身が放つマギの弾に当たっていろうがお構いなしに狙ってくる。
「メリュちゃん!」
『大丈夫よ! そっちこそ流れ弾とかに気をつけなさい!』
「うん!」
梨璃とすれ違い様に声をかけられたけど力強く返事をして、梨璃もそれ以上は踏み込まなかった。
それよりもマギスフィアのパス回数。この回数を見逃したらHUGEを倒すタイミングを逃す可能性だってある。今の回数、色が変わったのは……六回!
『夢結!』
「ええ、そろそろよ!」
彼女もパスの回数を把握してみたいでほど同時にHUGEから距離を取り、梨璃も少し遅れて離れる。そのタイミングの直後、マギスフィアの色が神琳のオレンジになる。
「マギスフィアが来るわ! 梨璃、私が受け取るからフィニッシュは貴方が――――」
近づくマギスフィア。私は除くから夢結が最後の流れを叫んでいたら、HUGEの腕が三つに分かれ、合計九つに分離した。
「えっ!?」
『っ!』
戸惑う夢結を他所に、嫌な予感がした私はすぐに飛んだ。マギスフィアを代わりに受け取り、それを夢結に渡す。そう判断したが九つの内三つが私に迫る。
『くっ!?』
二つは両手のジョフロアとフロモン、残り一つは右足の爪で受け止めたけど動きは止められ、マギスフィアはHUGEの手に奪われた。マギスフィアは黒く染まり、そしてHUGEは残りの六つで囲むように円を描いて確保していた。
『邪っ、魔!!』
すぐにHUGEの拘束を解いたけどこの三つは再び私に向かってくる。どうやら私だけはどうしても意識せざるを得ないようだけど、この瞬間だけは鬱陶しいわ!
『っ!? 梨璃、夢結!?』
そこで二人は奪われたマギスフィアを追うように駆けていた。ただここから声は聞こえづらくても、言い争いをしてるような感じだった。それでも息の合った動きをしている。
『ホント、見習いたいわ!』
シュッツエンゲルとシルトとしていつか私も結梨と同じ戦場で戦いたいと思うのは不謹慎なのか、それとも羨望なのかしらね。
襲い掛かる三つをいなし、私もマギスフィアの奪還に参加する。
『梨璃、夢結!』
二人の名前を呼ぶと同時に
「やった!」
梨璃からそう聞こえたけど、よく見たら黒いマギスフィアの色が梨璃のCHARMへ侵食していた。
「マギを吸い過ぎてる!」
そこへ夢結が梨璃のCHARMの剣先を断って弾く。飛んでいくマギスフィアはHUGEのマギが抜けたようで色を取り戻していく。
梨璃たちがゆっくり降りていくのを確認した後、私がマギスフィアを回収に向かおうとしたけどまたHUGEの腕が邪魔をしてくる。しつこいと悪態をつきそうだったけど、それよりもマギスフィアの行方に集中する。まだ消えていないなら繋げる事は出来る。
ただそれは私だけが考えている訳じゃなかった。
『……あれは』
マギスフィアに向かっていく人影が二つ。アールヴヘイムの天葉と楠美だった。彼女たちがマギスフィアを受け止め、HUGEから離すように、または奪われないように投げた。その軌跡を追えば今度は依奈が受け止めた。
『みんなが繋げようとしてる』
それに気づいた時、私のやるべき事が決まった。邪魔をしてくるHUGEの腕を弾いて距離を取る。視界にHUGEを収めるために、その動きを予測するために。ただこの時点でHUGEの意識は私よりマギスフィアに向いてる。今はそっちの方が脅威に感じているようだけど私への警戒を忘れていない。
そしてHUGHが選んだのは、マギスフィアの方。
『邪魔は、させない!!』
HUGHがマギスフィアのある方へ腕を放つと同時に私も翼を広げて飛ぶ。まっすぐHUGHの腕に向かうんじゃなく、大きな曲線の軌跡を描きながら。そして目標が間近になったタイミングで急減速と軌道の変更。マギスフィアを、パスを繋いでくれているリリィ達を守るためにHUGHの腕を弾く。ジョフロアで、フロモンで、両足の爪で、トドメには
――――カァアン!!
『った!?』
背中に衝撃。あまり痛くはなかったけど衝撃が強く、私の体が打ち上げられる。飛ばされる最中で後ろを振り返ると分離する前のHUGEの腕がそこにあった。どうやら見逃した三つがまた合体したみたい、だけど。
『やられっぱなしは、好きじゃないのよ!!』
『ざまぁみなさい』
仕返しが成功し、
『ふぅ……』
文字通り一息を着いたらマギスフィアの行方を確認する。もうパスの間隔は短く、その回数も多い。これは複数のレギオンどころか百合ヶ丘全員がパスを繋いでるみたいね。
そこに私が参加するかどうか――――
「メリュ!」
その声が頭を真っ白にした。驚愕と困惑、だけど少しの納得。偶然も重なって、ここでの邂逅になった。真っ白になった頭は思いのほか冴えていた。私は笑って、結梨を見下ろす。
『一緒に来る?』
右手を差し出すように、そしてジョフロアを手渡すように。
結梨は目の前で浮かぶジョフロアを見つめ、私と目を合わせる。その交差で、お互いの想いは
「私も、梨璃たちの力になりたい! だから連れてって、
その言葉と一緒に結梨がジョフロアを握ると、黒い刀身がマギで満たされ透けた白へ変わっていく。無垢な結梨にピッタリの色ね。
「おおっ?」
結梨が掴んだジョフロアを引き寄せ、体ごと浮かせるとそのまま腰を掴んで支える。
『やるのはマギスフィアのパス。私の武器は二対の一つの武器だから同時にやるのよ。出来る?』
「うん、失敗しないようにお姉ちゃんに合わせる」
『そこは信頼してるわ。だって
「うんっ!」
返事と一緒に結梨も片手で私の肩を掴み、お互いが離れないようにして飛ぶ。結梨を抱えてる分、速度は落ちるけどパスに参加するまでには十分。
結梨を抱えて飛ぶ都合上、速度と高度を考慮しているせいで木々に当たらい程度で飛んでいる最中、何人かのリリィとすれ違う。顔見知りも多く、特に百由からは『今度研究室に――』と途中までしか聞こえなかった台詞が聞こえた。
「メリュ、みんながあそこに!」
結梨が差し示す先には一柳隊の皆が集まろうとしていた。その交差点では、まさにマギスフィアが飛んでくる位置。
「おお、お前たちも来たナ! それにしても飛べるなんて羨ましいゾ!」
「梅!」
その途中、梅が木々を踏み台にしながら現れた。速度を見る限り縮地を使って。
『よく追いつけるわね』
「まあナ! 梅たちがマギスフィアを打ち上げるから、最後はお前たちが梨璃と夢結に渡すんだゾ!」
「『わかった!」』
ここで私は高度を上げ、梅も下へ降りていく。そしてマギスフィアの到着点、その地面に対しての真上にやってくるとそのマギスフィアが打ち上げられてきた。
「梨璃!」
『夢結!』
そのマギスフィアを結梨と受け止める。百合ヶ丘のリリィ全員の想いが込められたそれは重く、同時に力強さを感じる。
「『いっけぇえええええええええ!!」』
そこへ私たちの
「ノインヴェルトはCHARMを著しく消耗させるのですのよ! 覚えておきなさい!!」
下からそんな楓の声が聞こえたけど私たちはマギスフィアの行方を見守る。
梨璃は刀身が折れた自分のCHARMを捨て、夢結のCHARMを一緒に握っている。そして二人はマギスフィアに向かって跳び、マギスフィアを受け止める。その延長線上にはHUGHがいて、HUGEは二人を阻もうとするも止める事は出来ず、
二人の一撃を受けたHUGEは一刀両断され、爆発した。
「んん……?」
梨璃たちがHUGIをやっつけた後、私はお姉ちゃんに強く抱きしめられたと思ったら重い力が体を押しつぶされそうな感覚が来た。それで思わずお姉ちゃんの剣を手放しちゃったけどその後すぐにおっきな爆発が聞こえて大きく揺れる。目が回りそうになったけどすぐに揺れがなくなって体を押しつぶそうとした力もなくなった。
『ふぅ、危なかったわね』
「お姉ちゃん?」
『ごめんね結梨。でもあの爆発をあの場所で受けてたら地面に叩きつけられてたかもしれなかったから、ちょっと強引に移動しちゃった』
「私の為だったなら気にしないよ」
『ありがとう』
お姉ちゃんのほうが小さいから私が顔を見下ろす形だ。それ以外に見えるのは手放したけどしっかりお姉ちゃんの所にある剣。それと空から雪のように降るマギ。これからはみんなの匂いがする。きっとあのマギスフィアの欠片なんだと思う。
『結梨』
「何?」
※復活したから文字コードする必要はないけどおまけで載せてます。
69 112 46 49 48 84 104 101 76 97 115 116 86 111 108 46
↓
Ep.10 The Last Vol.
後編は3rdじゃなくてlastを使うみたいです。
このあたりで説明する部分はあまりないので聞きたいことがあれば感想欄にお願いします。
それではBOUQUET編の最後、お楽しみしていて下さい。あとアンケートの結果で方針を決めますのでよろしくお願します。
BOUQUET編終わり後について(今後は溜めて投稿するので間隔は長くなります。
-
ラスバレ編に突入
-
FGOクロス多めのストーリー
-
こっちは休んで停滞している他の作品をする