ベル君とヘスティア様は疲れて一日中爆睡してます。
<回想>
コドラクとエルディンが出会って数年後、コドラクは同胞団をまとめるリーダー的な存在になっていました。
また、エルディンは十代半ばという若さにもかかわらず、同胞団の中でも高い実力を持つ戦士となっており、次の試練を乗り越えれば、同胞団の幹部に昇進することになっていました。
コドラクは自分の息子の成長を嬉しく思いましたが、エルディンが幹部になることは素直に喜べませんでした。
同胞団の幹部になる者は狼の血の祝福、つまり、ウェアウルフになる必要があり、この呪いを解きたいと考えているコドラクは、息子に同じ苦しみを背負ってほしくありませんでした。
エルディンは無事に試練を終え、同胞団の幹部となりました。
そして、慣習に従い、ウェアウルフとなりました。
しかし、直後に事件が起こりました。
シルバーハンドという獣狩りの集団により、同胞団の幹部でコドラクの古い友人が、殺されてしまい、同胞団とシルバーハンドの間で報復合戦が始まりました。
コドラクはエルディンに血の祝福の正体とデイドラの王子ハーシーンの存在、
自分が治療法を探していることをエルディンに打ち明け、手伝ってほしいと頼みました。
エルディンはコドラクの考えに賛同し、手伝うことを決めました。
そしてコドラクに、自分が魔術の大学であるウィンターホールド大学に行き、呪いを解く方法を探すことを提案しました。
コドラクはエルディンの提案を受け入れ、ウィンターホールド大学に送り出しました。
自分の息子が、狼を倒してくれることを信じて…
*
<??? >
「起きろ、定命の者よ」
エルディンは自分を起こす声を聞き、目が覚める。
もういい加減聞き慣れたその声にうんざりする。
「またか…シェオゴラス」
「おお、嫌そうな顔だな?
ワバジャックを当てて起こそうとも考えたが…」
シェオゴラスがニタニタと笑う。
いつもの格好とよく似た寝巻きに、奇妙な形をした帽子をかぶっている。
「…それで、今度はなんの用だ?」
エルディンが訊くとシェオゴラスは神妙な顔をする。
「いや、なに。お前があまりにもつまらないことを考えるからな。
少しばかり文句を言いに来たのだ」
「…つまらないだと? なんのことだ?」
シェオゴラスの言葉にエルディンはしらを切る。
「定命の者の考えることは実につまらない。
特に、お前は儂とは違い、中途半端に定命でなくなったからな。
本当につまらない奴だ」
エルディンは黙っている。
シェオゴラスが続ける。
「お前の考えてることを当ててやろうか?
…お前はあのベルとかいう小僧を、自分を殺してくれる英雄にするつもりだろう!?
どうだ、どうだ!? 当たっているだろう!?」
シェオゴラスの言葉にエルディンは渋々答える。
「ああ、その通りだ。
スカイリムにはいなかった。
オラリオにならいると思った。
そして見つけた。ベルは英雄になる素質がある。
…私を超えるほどのな」
「確かにあの小僧は面白い、実に不愉快だ。
昔の友を思い出す」
シェオゴラスが眉間に皺を寄せる。
「しかし、お前に死なれると儂の暇潰しがなくなってしまう。
…そうだ、お前もこの世界でもう一度、英雄を目指してみるってのはどうだ!?」
シェオゴラスの提案に、エルディンは目を丸くする。
やがて、苦笑して答える。
「確かに、英雄になるのもいいな。
…だが、やはり私は英雄ではなく、化け物の方がお似合いだ」
「そうか。…まあ良い。
あの小僧を育てるのにも時間がかかるだろうし、お前が死ななければ儂はそれで良い。
…さて、朝食の邪魔だ。帰るがいい」
そう言うと、シェオゴラスは文句を言わせる間もなくエルディンを送還する。
「…せっかく英雄に戻れる機会があるのだ、儂と違ってな。なぜそれを不意にするのだ」
一人、シェオゴラスが呟いた。
<ヘスティアファミリア ホーム>
*
エルディンはソファから身を起こした。
シェオゴラスに起こされるなんて、最悪の目覚めだ。
時計を見る。
時計の針は昼時を示していた。
ベッドを見ると、ベルとヘスティアが互いに抱き合って寝ている。
二人が起きる様子はない。
一人ダンジョンに行くのもいいが、せっかくの機会なのでエルディンは買い物をしようと考える。
早速服を着替え、短剣を腰に装備すると、エルディンは静かに外へ出る。
空は雲ひとつなく、太陽が輝いていた。
改めてエルディンは日の光の下を歩いていることに違和感を覚える。
以前は日の光を浴びると肌が焼け、生命力を大きく削られてしまっていたが、今では力の低下は感じるが、日光に苦痛を感じることはなくなった。
(こんな日が来るとはな)
しばらく太陽を見つめた後、エルディンはバベルを目指して歩き始めた。
*
<バベル内部>
バベルは五十階に分かれており、そのうち二十階までは商業施設となっていた。
多くの商業系ファミリアが様々な商品を販売しており、中は活気で溢れている。
エルディンはまず、服屋を探した。
今の格好はスカイリムで着用していた物で、雪国用に厚手の生地が使われている。
オラリオはそこまで寒くない上、目立ってしまうため、服を新調したかった。
店を探していると、いかにもそれっぽいところを見つけた。
店の名前は『リディアント装具店』というらしい。
(どこかで聞いたような名前だ)
店の名前に親近感を持ち、入ってみる。
「…いらっしゃい」
明らかに無愛想なエルフの女性が出迎える。
店内を見渡すと、ありとあらゆる服装が飾られていた。
中には、昨夜の豊穣の女主人の店員が着ていたものに近い服や、結婚式で着るようなドレスなどもある。
「今の流行はどんなのだ?」
エルディンは店員に尋ねる。
「…さあ、あなたに合うような服は
うちでは取り扱ってないかもね」
店員がぶっきらぼうに答える。
俺の身なりを見て、上客じゃないと判断したらしい。
「そうか、残念だな…」
エルディンが小袋をカウンターに置き、中身を見せる。
「できれば、ここで買い物がしたいんだが…」
店員が中身を見てぎょっとする。
中には金や銀の指輪に宝石など、値打ちのある品が詰め込まれていた。
「私に合う服がないとは残念だ。
他をあたろう」
「さあ、どうぞこちらへ!
あなたのような素晴らしいお客様をお待ちしておりましたわ。
今、お茶をお持ちしますわね」
先程までとは違い、愛想良く振る舞ってくる。
エルディンはその変わりぶりに苦笑し、案内されるまま奥へと続いた。
*
リディアント装具店で何着か服を購入し、エルディンは次に雑貨店を探した。
理由は料理道具を買うためであった。
ホームには最低限のものしか揃っておらず、作れる料理の幅が限られてしまっている。
意外に思われることも多いが、昔からエルディンは料理するのが好きであった。
旅の間、疲れを癒す数少ない手段が美味しい料理だ。
エルディンは試行錯誤を繰り返し、気に入ったレシピをノートに書き留めていた。
ちなみに、一度セラーナに料理をさせてみたが、とても食べられたものではなかったため、それ以来、一度も料理をさせていない。
店を探していると、『ベアソレ雑貨店』という、これまたどこかで聞いたことのある店を見つける。
中に入ると、人間の男が声をかけてくる。
「ようこそ、ベアソレ雑貨店へ!
なんでもあるぞ、友よ、なんでもだ!」
先程のエルフとは違い、愛想がいい。
「料理道具を探しているのだが…」
「ガラクタだって言う人もいるが、俺は宝物って呼んでる」
そんなよくわからないことを言いながら料理道具の置いてある場所へ案内してくれる。
エルディンは必要な物を集めていく。
鍋に、フライパン、包丁…
一つ一つ手に取り、馴染むものを選んでいく。
そうしてじっくり時間をかけて、納得のいった物を男に渡す。
「全部で2500ヴァリスだ」
男が言う。
別に払えなくもないが、エルディンは交渉を試みる。
「1800ヴァリスでどうだ」
「おいおい、それはいくらなんでも安くしすぎじゃないか?
…2400ヴァリスだ」
「それではあまり変わらないだろう。
…切り良く2000ヴァリスでどうだ」
「2250ヴァリス。これ以下は無理だな」
「じゃあ、そこのスプーンも付けてくれ」
「…参った! スプーンも付けて2250ヴァリスだ」
「礼を言う。この店の評判を広めておこう」
「あんた、いい性格してんな。
また来いよ!」
「ああ、また来る」
戦利品を持って店を後にする。
これで、大体の目的は達成した。
あと一つだけ、エルディンは見ておきたいものがあった。
*
「なんだ、この法外な値段は…」
ショーウィンドウに並べられた短刀に付いた値札を見て、エルディンがため息を付く。
エルディンはヘファイストスファミリアが経営する武具屋に来ていた。
この世界の武器がどういうものか確認することが目的であったが、あまりにも高すぎる値段に少々呆れていた。
確かに、細部までかなりの意匠が凝らされており見栄えはかなり良い。
しかし、値段に見合った業物であるかと問われれば、素直に頷くことはできなかった。
おそらく、ここはヘファイストスファミリアというブランドを全面に押し出した店なのだろう。
より実用的で、良心的な価格の装備は他の所にあるのかもしれない。
エルディンが、店の前で武器を眺めていると、店の扉が開けられて、一人の女性が出てくる。
炎の様な赤髪が腰まで伸びており、右眼には眼帯をつけている。
そして、その女性が纏う独特の神威は、彼女が普通の人間ではないことを物語っていた。
「いらっしゃい。見たことのない顔ね」
「エルディン・ホワイトメーンだ。
…あなたは?」
「ここの主神をやってる、ヘファイストスよ。
よろしくね」
ヘファイストスが名乗る。
「それで、うちの商品はどうかしら?」
ヘファイストスの問いにエルディンはお世辞を言う。
「さすがは世界に名を馳せる鍛治師の集団だ。
どれも素晴らしい物だな」
「…よくもまあ、神に対してお世辞が言えるわね」
ヘファイストスが目を細める。
「すまない。
…実際に使ってみないと、武器の良さはわからないからな。
見た目だけでは判断できないというのが正直だ」
エルディンが本音を言う。
「そう。
そういうことなら、是非買って使ってみてくれないかしら?
あなた、なかなか強そうだし」
ヘファイストスが購入を勧めてくる。
「残念だが、私は規模の小さいファミリアに属しているのでな。そのような余裕はない」
エルディンが断りを入れる。
「あら、そうなの。
聞いてなかったけど、あなたどこの所属なの?」
「ヘスティアファミリアだ」
「…ヘスティアですって?」
ヘスティアの名前を聞いた途端、ヘファイストスの眉間に皺がよる。
「ああ。…知っているのか?」
ヘファイストスの反応が気になってエルディンが訊く。
「知ってるも何も、あの子最近までうちに居候してたのよ?
でも、あまりにもグータラしてたから私も堪忍袋の緒が切れて追い出したのよ。
今あの子が使っている教会の隠れ家だって、私が提供した物だし…」
ヘファイストスの話を聞くにつれて、今度はエルディンの眉間に皺がよる。
今更ながら、安易にファミリアを決めたことを後悔した。
「でも、ヘスティアも無事眷族ができてよかったわ。
どうして、ヘスティアファミリアにしたの?」
エルディンは少し間を起き、経緯を話す。
「…自分でもよく覚えていないが、気がついた時にはオラリオにいて、途方に暮れていたところをヘスティアに誘われたのだ」
「…なんだかよくわからないけど、あなたも大変みたいね」
ヘファイストスが同情の目を向ける。
特に疑う素振りはない。
「全くだ。…ところで、もう少し価格の安い武具が売っているところはあるか?」
エルディンが話題を変える。
「ああ、それなら良い所を知っているわ」
ヘファイストスがエルディンに店の場所を教える。
「いつか、うちの武器も買ってよね。
…それとヘスティアによろしく言っておいて」
「礼を言う。…ヘスティアのことも含めてな」
エルディンはそう言うと店を後にする。
ヘファイストスが店に戻るのを確認して、一息ついた。
(どうやら、上手くいったようだな)
エルディンは神に嘘が通用したことに安堵する。
エルディンは自分自身に、ある魔法を掛けていた。
記憶操作。
幻惑魔法の一種で、エルディンが発明した魔法の一つだ。
これを使えば、限定的であるが、自身や他者の記憶を改竄することができる。
今の場合は、オラリオに来た時の記憶を曖昧にすることで、本当によくわからないうちにオラリオに来たと思い込んでいたため、嘘だと見抜かれなかったのだ。
操作する記憶領域を間違えると、重大な記憶障害になる可能性もあるため、
慎重に使う必要がある魔法だが、神と対峙する際には重宝するだろう。
(さて、明日からベルの特訓だ)
エルディンは最後の目的である、訓練用の武器を探すため、ヘファイストスに教えてもらった店へ向かった。
意外と家庭的な趣味を持つドヴァキン。
セラーナがポンコツお姫様になっていく。
補足①記憶操作
精鋭レベルの魔法。
対象の精神に干渉し、記憶を改竄する魔法。
使い方としては、殺人を見られた時の記憶処理など。
大掛かりな改変はできず、効果も永遠ではない。
前回の話で、ベル君にもちゃっかり使用しています。
オリジナルの魔法は今後もいくつか出すかもです。
なるべくスカイリムの世界観に沿うようにします。
ドヴァキンが長年かけて編み出したと妄想してください。
補足②ウェアウルフの治療について
実際のゲーム中はコドラクがあっさりと魔女の居場所を
教えてくれますが、このドヴァキンの場合は一緒に
治療法を調べており、その過程で、
ウィンターホールド大学に行ったという設定となっています。
今回はしょうもない茶番で終わってしまいました。
次回からまた物語が進みます。
ドヴァキンの強さってダンまちの世界だと、どれくらいのLv.だと思いますか?(ドヴァキンは全スキルを習得済みとします。)
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Lv.8以上
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Lv.7
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Lv.6
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Lv.5
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Lv.4
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Lv.3
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Lv.2
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Lv.1