前回とはうって変わって、暗い話になります。
パーティの解消を宣告されたベル。
正体を知られ、ロキファミリアに向かうドヴァキン。
そして二人を心配するヘスティア。
物語はデイドラ王達の思惑通りに進んでいた。
<回想>
あるところに一人の女性がいました。
その女性は名をアストリッドといい、【闇の一党】と呼ばれる組織のリーダーでした。
その組織は暗殺を生業としており、常にタムリエルの歴史の影に存在していました。
しかし、【闇の一党】は世界の混乱により、大きく衰退していました。
そのような厳しい状況の中でも、アストリッドは彼女の夫をはじめとする、個性的な仲間と共にスカイリムで暗躍していました。
彼女は夫を愛し、仲間を家族のように大切に思っていました。
ある日、組織のもとにある噂が入り込んできました。
「とある少年が【黒き聖餐】を行なっている」と。
【黒き聖餐】は誰かの暗殺を願う者が【闇の一党】と接触するために行う儀式でした。
本来であれば【黒き聖餐】が行われると、すぐに【闇の一党】にその知らせが届くのですが、今はとある理由で【黒き聖餐】が行われたことを察知することができず、行動が遅れてしまいました。
アストリッドはすぐに依頼者のもとへ向かい、暗殺対象を聞き出しました。
対象は「親切者のグレロッド」という老女でリフテンでオナーホール孤児院という名の孤児院を経営していました。
彼女はグレロッドの行動や孤児院の構造を観察して簡単な依頼だと判断し、その日の夜に暗殺を決行することにしました。
ところが夜に孤児院に侵入しようとしたところ、黒いローブを着た男が孤児院から出てくるところを目撃しました。
その男の隠密技術は、一流の暗殺者であるアストリッドでなければ気が付かないほど高度でした。
アストリッドが孤児院に入ると、老女は既に死んでいました。
彼女はすぐに男の後を追いました。
幸い、リフテンからすぐの廃屋で寝ているところを発見し、部下を使って別の廃屋に連れ去りました。
男はうなされているようでしきりに一つの寝言をつぶやいていました。
「ごめんなさい。お母さん…」と。
*
「まったく、パーティを解消すると言ったときはどうなることかと思ったよ」
ヘスティアがベッドに横たわっているエルディンに話す。
「ああでもしないと、ベルは私に頼ってしまうからな。『かわいいカジートには旅をさせろ』というやつだ」
エルディンは、ベルがエルディンありきな戦い方をしたことを重く受け止めていた。
来るかもわからない救援に命を賭けたベルの行動は褒められた手とはいえない。
さらに、エルディンと共にいる状況に慣れてしまうと、判断を誤る可能性や危険な戦法を取りかねない。
あとは個人的な思想だが、ノルドの戦士として、助けを待つというつまらない戦いで命を落とすなら、素手でもなんでも潔く戦って死ぬ方がマシだというのもあった。
そこでエルディンは、ダンジョン内ではベルとは別行動か、共にいても仲間として行動しないという結論に至った。
もちろん本当に危なくなったら助けるが、ヘスティアにのみそれを明かし、ベルには「万が一死んだら骨は拾ってやる」と本気で言っておいた。
「確かにそれはそうだけど、もう少し言い方があったんじゃないかい? 君にパーティ解消を言われたときのベル君の顔はひどいものだったよ」
ヘスティアが少しムッとした顔で言う。
「あまり懐かれても都合が悪いからな。私もいつまでここにいられるかわからない。今日にでもロキファミリアに殺されるかもしれないしな」
「おいおい、あまり縁起の悪いこと言わないでおくれよ。流石のロキもそんなことはしないだろう」
エルディンの上に乗りながらヘスティアが言う。
エルディンは自分が殺される可能性を捨て切れずにいたが、ヘスティアを心配させまいと軽口を叩く。
「案外勧誘されるかもしれないな。もしそうなったら迷ってしまうな」
「…エルディン君、なんだか僕への当たりがきつくなっていないかい?」
「なぜそうなったか、ヘファイストスにでも聞いてみるんだな」
最初の頃は、仮にも女神であるヘスティアのことを敬ってはいたが、ヘスティアが駄目駄目な女神だということを知ってから、エルディンはヘスティアに対する扱いが雑になってきていた。
「君はサディストだね。…更新するからじっとしててね」
すっかり機嫌が悪くなったヘスティアが、エルディンの背中に触れる。
…
どこまでも広大な緑色の曇り空と、本が続く世界が見える。
「…私はお前に褒美を与えた。…次はお前の番だ。ダンジョンの深層に行け。私にあのダンジョンの全てを見せるのだ」
…
「エルディン君」
(今のは?)
エルディンは今見た光景を知っている。随分昔に訪れたことがある。
しかし、何故今その光景を見たのかはわからない。
「新しいスキルが発現しているよ! すごいじゃないか!」
「…ああ」
ヘスティアの言葉で我にかえり、ステイタスを確認する。
[エルディン・ホワイトメーン]
Lv.5
力:A 880 +2
耐久:B 740
器用:C 660 +6
敏捷:C 656 +2
魔力:A 899 +3
[発展アビリティ]
<鍛治><付呪><錬金術>
[スキル]
<
アカトシュに祝福された竜殺しの証。
・ありとあらゆるシャウトを使用できる。
・竜系モンスターとの戦闘時、能力が大幅に上昇する。
・竜系モンスターにとどめを刺した時、経験値を大幅に獲得する。
<
戦士・魔法・影の全ての道を極めた証。
・装備している武器・防具により、アビリティに補正がかかる。
<
吸血鬼の血を持つ証。
・夜の間、力・敏捷・魔力が向上する。
・毒、疫病に対して耐性を得る。
・日光を浴びている間、全ステイタスが低下する。
・吸血鬼の王に変身する。変身時はレベルが1上昇する。
<
既存の技を派生させて新たな技を習得する。
技習得時に<
[習得した技]
・召喚武器創造
・雷鳴一閃
[魔法]
<攻撃魔法>
相手に直接ダメージを与える魔法
・破壊魔法は炎、氷、雷の属性魔法を放つ。
・召喚魔法は武器を召喚する。
威力はアビリティに依存。
<回復魔法>
自身や周囲を回復する魔法。
また、アンデッドに対する浄化魔法。
<変幻魔法>
周囲に物理的及び精神的な影響を与える補助魔法。
・変性魔法は物理法則に影響を与える。
・幻惑魔法は他人の精神に干渉する。
(知らない間に何かされたようだな)
エルディンはハルメアス・モラの姿を思い浮かべて舌打ちする。
どいつもこいつも、人をおもちゃの様に扱うのはやめてほしいものだ。
「スキルが発現したのに嬉しそうじゃないね」
「嫌なことを思い出しただけだ、気にするな」
そう言うとエルディンはベルを呼ぶ。
部屋に入ってきたベルは落ち込んだ顔をしていた。
「どうした?」
エルディンが尋ねる。
「…いえ、せっかくエルディンさんの修行のおかげで強くなれてたのに、これからは修行してもらえないと思うと残念で」
ベルはため息をつく。
「勘違いしているようだが、お前を一人にするのはダンジョンの中だけで、修行はこれからも続けるぞ」
(むしろ、弱音を吐かなくなるくらい、今まで以上に厳しくしてやる)
「…え? 本当ですか!?」
エルディンがそんなことを考えているとも知らず、ベルの顔が明るくなる。
「ああ、もちろんだ。今日も午前中は修行だ。早く準備するといい」
「はい!」
そう言って準備をすると、エルディンとベルはヘスティアに見送られて城壁の上へと向かった。
*
その日はあっという間に時間が過ぎた気がした。
修行については、【幻影】との戦いでベルはついに十秒以上耐え切ることに成功した。
攻撃面もかなり改善されており、有効打こそないが惜しいところまで攻撃が届く場面もあった。
だが、これで満足されては困ると、エルディンは【幻影】の武器をさらに攻撃頻度の高い二刀流に変えたため、再び生存時間が短くなってしまった。
輪を掛けて難しくなった修行に、ベルは涙が出そうになっていた。
昼食を食べた後はベルと別行動を取り、ダンジョン探索を行なった。
ちなみにエルディンは弁当を自分で作り、ベルはシルから弁当を貰うのが日課になりつつあった。
今日は夕方には戻る必要があるため、エルディンは15階層辺りを探索し、早めに切り上げて戻ってきていた。
そして現在、夕方というには少し早い時間だが、エルディンはギルドへと向かっていた。
理由はロキファミリアのホームの場所を尋ねるためである。
エルディンはまだこの街の地理を完全には把握できておらず、ロキファミリアのホームの場所も知らなかった。
エイナに聞けば教えてくれるだろうと考え、換金するついでに彼女を探すつもりだった。
「あー、やっぱり来た!! ロキの言ってた通りだ!」
換金を終え、エイナを探そうとしたところ、すっかり聴き慣れた声がギルド内に響いた。
見ると、エイナと向かいのソファにいたティオナが立ち上がってこちらに手を振っている。
エイナもこちらに気づき、軽く会釈する。
エルディンは二人に近づき、話しかける。
「ティオナ、エイナと何をしている?」
「何って、君を待ってたんだよ!
ロキが『エルディンはウチらのホームの場所知らんやろし、おそらくギルドに訊きに行くはずやから、迎えに行ってくれるか』って!」
ティオナが説明する。
「エルディンさん、お疲れ様です。
ヒリュテ氏があなたと待ち合わせているということで応対をしていました。
ではヒリュテ氏。私はこれで失礼します」
「ありがとねー! エイナさん!」
エイナが会釈して席を離れ、ティオナが手を振る。
「それじゃあ、早速案内するね! 着いてきて!」
「ああ、よろしく頼む」
エルディンはティオナを追ってギルドを後にした。
*
道中エルディンとティオナはお互いに質問をして話を弾ませていた。
「ロキファミリアのホームはどの辺にある?」
「オラリオの一番北にあるよ!
すごい大きいからエルディン君も驚くはずだよ!
エルディン君はヘスティアファミリアって言ったよね?
ホームはどんなところなの?」
「古い教会の隠し部屋だ。
今のところ三人で住んでいるが、それでも少々手狭には感じるな」
未だにベッドは一つのため、ベルとヘスティアがベッド、エルディンがソファという生活が続いている。
そして毎朝ベルの叫び声で目を覚ますのが日課になっていた。
「隠し部屋ってなんだかかっこいい響きだね!
エルディン君はどうしてヘスティアファミリアに入ったの?」
「成り行きだ。路頭に迷っていたところを拾ってもらったんだ。
他のファミリアを訪れる余裕がなくてな」
「えー、それならロキファミリアに来てくれれば良かったのに。
エルディン君ならどのファミリアでも間違いなく活躍できると思うのにな。すごい強いし」
(ロキファミリアも悪くなかったかもな)
エルディンはヘスティアに知られたら怒られそうなことを思う。
「確かに悪くないかもな。また路頭に迷ったら眷族にしてもらおうかな」
「それ本当!?」
「…冗談だ。私がいる限り、ヘスティアファミリアは安泰だ」
「なーんだ、つまんないの」
(エルディン君とダンジョンに行けたら、楽しそうなのにな)
エルディンの反応に、ティオナは少し残念に思う。
「ところで、昨日のことについてロキから何か訊かれたか?」
エルディンはロキの思惑を探るべく、ティオナに質問する。
「うん。アイズ達と一緒に新種のモンスターとの戦いの様子について訊かれたよ。どんな魔法を使ってたとか、どれくらいのレベルに見えたとか」
(やはり探られてるな)
「それで、なんて答えたんだ?」
「それはもうすごいって答えたよ! 詠唱無しで魔法を連発するし、
「…かなり詳しく話したみたいだな」
「うん! ロキも興味深そうに聴いていたし、ついついたくさん話しちゃった!」
ティオナの言葉にエルディンは少々げんなりする。
(誤魔化すのは不可能だな)
そんな話をしている間にロキファミリアのホームにたどり着いた。
「ここが私達のホーム、【黄昏の館】だよ!」
「…これは確かにすごいな。流石はオラリオ屈指のファミリアだ」
エルディンは館を見上げて感想を言う。
門の前には門番が立っていて、ティオナを出迎える。
「ティオナさん! おかえりなさい! そちらの方がエルディン様ですね」
「そーだよ! 通してあげて!」
中に入ると何人かの団員がエルディンを迎え入れる。
「お待ちしておりました、エルディン様。失礼ですが武器を預からせていただきます」
「えー、なんで? 別に良いじゃん。エルディン君は何もしないよ?」
ティオナが団員達の対応に不服そうにする。
「ロキ様とお会いするので、念の為の措置です。どうかお許しください」
(武器を取り上げられるか。予想はしていたが)
「ティオナ、大丈夫だ。…大切に扱ってくれ」
エルディンはティオナを宥めると、全ての武器を渡す。
「またね! エルディン君!」
「案内してくれてありがとう。またな、ティオナ」
「ではこちらへどうぞ」
エルディンは団員に案内され館の中へ入っていった。
*
「少々準備がありますので、この部屋でお待ちください」
エルディンは応接室に案内される。
内装も綺麗なものだ。
エルディンはこれからロキと何を話すかを改めて整理する。
誰が接触したのか。
どこまで知っているのか。
自分をどうするつもりか。
主な確認事項はこの三つだ。
特に最後の一つは、場合によってはロキファミリアと真っ向から対立する可能性すらあり得る。
いざとなれば此処にいる者を皆殺しにする必要が出てくるかもしれない。
(奥の手を使う必要があるかもな)
エルディンがそう考えていると、扉が開かれた。
「やあ、エルディン君。ようこそ僕達のホームへ」
入ってきたのはロキファミリアの団長フィンだった。
「まさか団長直々に来るとは思わなかった」
「君はロキの重要な客人だし、僕が直接案内しないと失礼だと思ってね。着いてきてくれ」
フィンに着いていくとすぐそばの部屋の前で立ち止まる。
「ロキ、入ってもいいかい?」
「ええで! 入っておいで!」
フィンがノックをして呼びかけると中からロキの声が聞こえる。
フィンが扉を開けて中に入ると、そこは応接室と比べて狭めの部屋だった。
部屋の中央に椅子が置かれており、その奥の机にロキがいた。
「よお、エルディン! よく来たな」
ロキが軽い挨拶をする。
「招待してくれて礼を言う。ロキ」
エルディンが会釈する。
「とりあえず座ってや! フィンもこっちおいで!」
エルディンは勧められるまま中央の椅子に座り、フィンはロキの後ろに移動する。
「さて、まずは昨日の騒動でウチの子供達を手伝ってくれてありがとうな。ホンマに助かったわ!」
「僕からも礼を言わせてくれ。レフィーヤを救ってくれてありがとう。聞いたところによると、治療までしてくれたみたいだね」
ロキとフィンが改めて礼を言う。
「こちらこそ、ミノタウロスの件ではアイズに助けてもらった。昨日もアイズ達のおかげで迅速に討伐ができたうえ、私が倒れた時に世話をしてもらったからな。…ありがとう」
エルディンもミノタウロスの件と、昨日の騒動の件について礼を言った。
「せや、皆に自分の話を訊いたときに、レフィーヤが顔を赤くしていたんやけど、何かしたんか?」
「…私からは何も。レフィーヤに聞いてみてくれ」
エルディンには思い当たる節があったが、ここで話す気はなかった。
「ふーん。まあええわ。それじゃあ本題に入らせてもらいたいんやけども…」
「その前に一ついいか。私はあまり自分のことを知られたくない。できればあなたとフィンにだけ話をしたい」
ここで一旦話を区切り、右の壁に目を向ける。
「隣の部屋で六人ほど聞き耳を立てているようだが、彼らを遠ざけてはもらえないだろうか?」
「あー、すまんな。ウチもやめろって言うたんやけどな。…リヴェリア、ガレス! ここは大丈夫やから、みんなを連れ出してや!」
「ティオネ、命令だ! 他の三人を連れ出してくれ!」
…チョット、ティオネ! イタイカラハナシテ…
…リヴェリアサマ! デマスカラ、ニラマナイデ…
…ガレス。カカエルノハヤメテホシイ…
…
「さて、これでええか? 皆エルディンに興味深々やねん。許したってや」
「恩に着る。…それで私の素性について訊きたいのだな?」
それまで、緩い空気感を出していたロキが、一転して真剣な眼差しになる。
「話が早くて助かるわ。
ウチが訊きたいんは三つや。
一つ目、お前は何や?
二つ目、お前の目的はなんや?」
「…先に質問させて欲しい。その方が話が手短に済む。
…誰があなたに接触した?」
「まあ、流石に気が付くわな。…そいつはサム・グエヴェンと名乗っとったわ。突然ウチの部屋に現れて、酒をくれと抜かしよった。お前のお友達やろ?」
(サム・グエヴェン、サングインか)
「ああ、大親友だとも。酔い潰れるまで酒を飲む間柄だ」
エルディンが皮肉を込めて言う。
「ちょっと待ってくれ、ロキ。君の部屋に侵入者がいたのか?」
フィンが口を挟む。
「せや。ウチがガネーシャんとこのパーティーに行った次の日の夜やったな」
「なんで言ってくれなかったんだい?
ロキの部屋に侵入を許すなんて、見張りは何をやってるんだ」
「フィン。その男は直接ロキの部屋に現れたのだろう。
警備を厳重にしたところで無駄だ。
…もう一つ、そのサムはあなたに何を話した?」
「ほな、話したるわ。あれはウチがドチビに言われたことに傷ついてやけ酒してた時や…」
そうしてロキはサムことサングインとの会話の内容を語り始めた。
*
「…それで、あんたは誰や?
何が目的や?」
ロキが質問する。
「俺はサム・グエヴェンって言うんだ。
…いいだろう。こんなにうまい酒をくれたんだ。
話してやろう。
俺たちのことも、お前の知りたがっているエルディンのこともな…」
サングインはお猪口に入った酒を飲み干すと、再び話し始める。
「お前も気づいていると思うが、俺は人間じゃねえ。かと言って、お前と同じ神でもない。
端的に言うとな、俺はお前たちとは違う成り立ちをした世界から来たんだ」
ロキは目を見開くが、口は挟まずにいる。
「もう少し驚いてくれてもいいんじゃないか? …まあいい。
あのエルディンという奴はその世界のスカイリムという地から送られてきた人間だ。
奴は【
人の中ではおそらく最強の存在だ。
定命の存在の中で最強とも言っても過言ではない」
「奴をこの世界に送った目的はこの世界で冒険させる為だ。
まあ、俺たちにとっては暇つぶしだな。
あのおもちゃを使ってこの世界を遊び尽くそうってわけだ。
…おもちゃが壊れるまでな」
「…お前らがどうしようもないっちゅうんは良くわかったわ」
(人をなんだと思ってんねん)
ロキは心の中で静かに怒る。
「そう怒るなよ。お前だって、本質的には俺たちと変わらないだろうに」
「…それで、エルディン自身は何が目的でこの世界に来たん?
お前らに脅されとるんか?」
「それは本人に聞いてくれ。俺は知らん。
…さて、この酒は貰っていくぜ」
そう言ってサングインはいつのまにか、酒の入った瓶を片手に持って立ち上がった。
「な、それはウチの秘蔵の酒や!」
ロキが奪い返そうと手を伸ばすが、サングインは手を上に挙げて、瓶が届かないようにする。
「それじゃあな! またいつか一緒に酒を飲もうぜ!」
「待てや! …最後に訊くが、お前自身は何がしたいんや?」
ロキの問いに、サングインはニヤリと笑って答えた。
「決まってるだろう。…この世界の酒を飲み尽くし、宴を開いて楽しむ為だ」
*
「…という訳や」
「ロキ、本当にオラリオとは違う世界があるというのかい?」
フィンは信じ切れずに、ロキに訊く。
「…ウチかて、簡単には信じられへんわ。
せやけど、あの男は人でも神でもない、別の存在なのは確かやった」
「奴は我々の世界ではデイドラの王と呼ばれる存在だ。
かつて神々が我々の世界の創造を始めた時、その創造に加わらなかった者たちだ。
概念としては神とそう変わらないが、本質的に邪悪な存在として認識されている」
「お前もとんでもない者に絡まれてるなあ。神々よりタチが悪いで」
「全くその通りだ。…大体わかった。ここからは私の話を聞いてくれ」
そこからはエルディンがスカイリムのことや自分がオラリオに来た目的を話し始めた。ヘスティアに話した内容よりも簡潔だが、エルディンのいた世界のことは概ね理解してもらえた。
「…ほんまに突拍子もない話やけど、嘘ついてへんから信じるしかないわな」
「僕も俄には信じられないけど、彼の使う魔法や身につけている装備がオラリオの常識から逸脱しているのは事実だしね」
「信じてもらえたようでよかった。
…最後に一つ」
エルディンは少し語気を強めて、ロキに質問した。
「あなたは私をどうするつもりだ?
この場で殺すか?」
ロキは一瞬目を見開いたが、すぐに鋭い目つきに変わる。
「…殺す、言うたらどうするつもりや?」
神らしく威厳を持って言い放つ。
「決まっている。全員返り討ちにして悠々と出ていく」
「ウチのファミリアを舐めとるみたいやな、ガキが」
「…」
「…」
沈黙が続く。
エルディンがいつでも【揺るぎなき力】のシャウトを叫べるようにと身構えたその時、
「ロキ? 茶番はもういいかい?」
それまで黙っていたフィンがロキに言う。
「ちょっ、フィン!? もう少しやらせてえな!」
「まったく、エルディンが本気にしたらどうするつもりだい?」
「だって、エルディンが意味わからんこと言うからつい…!」
そう言って笑い始める。
何が起こっているのかわからないエルディンは口を開けたまま固まる。
「くくく…エルディン、ウチが自分のこと殺そうとしてると思ったん? …どんだけ疑り深いねん!?」
「…違うのか?」
「そんなこと、するわけないやん。もちろん、お前のこと訊いたときは警戒したけど、昨日の一件でお前が悪い奴やないというのはようわかるわ」
ひとしきり笑った後、ロキはエルディンにある提案をした。
「ウチからの最後の質問や。…エルディン、ウチらと同盟を組まへんか?」
今回はアストリッドの話です。
帝国に裏切られ、母親を殺したドヴァキンがなぜ暗殺ギルドに入ったかが語られるはずです。
本編は長くなってしまいましたが、あまり進みもしませんでした…。
補足① ステイタスの文面について
ステイタスの魔法の部分が若干変わっていますが、ステイタスだけで文字数が増えてしまう為短くしました。今回のステイタス更新で変更されたのはスキルが追加されたことだけです。
補足② スキル【オグマ・インティニウム】について
例えばライトニングテンペストの火属性、氷属性版が撃てるようになったりとか、魔法で剣に一時的に付呪を施したりとかができるようになる予定です。
ドヴァキンの強さってダンまちの世界だと、どれくらいのLv.だと思いますか?(ドヴァキンは全スキルを習得済みとします。)
-
Lv.8以上
-
Lv.7
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Lv.6
-
Lv.5
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Lv.4
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Lv.3
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Lv.2
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Lv.1