帝国の外道どもめ!
ロキの提案にドヴァキンはどう答えるのか?
そしてロキがすんなり同盟を組むはずもなく、ドヴァキンにある仕事を押し付ける。
果たして、ドヴァキンとロキファミリアとの関係はどうなるのか?
<回想>
アストリッドはこの男のことを知っていました。
エルディン・ホワイトメーン。
スカイリムでこの男の名前を知らない者はいませんでした。
同胞団の導き手。
ウィンターホールド大学アークメイジ。
そして【
彼は間違いなく歴史上で最も偉大な英雄の一人でした。
ところが彼はテュリウス将軍の地位を奪おうとして帝国を裏切ったため、指名手配されていました。
英雄ドラゴンボーンがそのような行為をしたことに人々は驚きました。
しかしアストリッド達、裏の世界の人間には真実が伝わっていました。
帝国軍が力を持ち過ぎたエルディンを恐れて消そうとしたこと。
とある作戦から帰ったエルディンを罠に嵌めて殺そうとしたこと。
部下であり彼を慕っていた女性が、彼を庇って殺されたこと。
アストリッドはエルディンのことを少し不憫に思っていました。
やがてエルディンが目を覚まし、アストリッドに何者か尋ねました。
彼の目は生きることに絶望したかのように光を失っていました。
アストリッドは自分の素性を話し、仕事を横取りした貸しとして代わりに用意した三人のうち、一人を殺すように命じました。
エルディンは無表情でアストリッドを見つめていましたが、やがて剣を抜き、何も訊かずに一太刀で三人の首を刎ねました。
壁に血飛沫が飛び散り、床に血溜まりができます。
エルディンは表情を変えずに再びアストリッドを見つめます。
アストリッドにはその表情が「次はお前か?」と問いかけているように見えました。
アストリッドは一切の躊躇いもなく殺しを行なったエルディンに戦慄しましたが、一方でこの男を【闇の一党】に引き入れれば、かつての栄光を取り戻せると考えました。
そしてアストリッドはエルディンに言いました。
「あなた、私達の家族にならない? 歓迎するわ」
それまで無表情だったエルディンが僅かに表情を変えました。
しばらく沈黙した後、エルディンが言いました。
「一つだけ約束してほしい。…何があっても私を裏切らないでくれ」
その言葉を聞いて、アストリッドはエルディンの心がいかに壊れかけているか悟りました。
表情こそ変わっていないものの、アストリッドには彼が今にも泣き出しそうな子供のように見えました。
アストリッドはエルディンの側に寄り、抱きしめました。
「安心しなさい。私達は家族よ。絶対にあなたを裏切ったりしない」
エルディンはその言葉を聞いて、わずかに笑いました。
やがて二人は闇の中へと消えました。
しかしアストリッドは知りませんでした。
この先、自身に悲劇が訪れることを…。
*
「同盟だと?」
エルディンが訊き返す。
「せや、ウチとお前で同盟を結ぶんや。具体的には、次の遠征に自分も参加してほしい。もちろん報酬は支払うし、必要なもんがあれば、ある程度ならウチのファミリアで用意したる」
ロキが説明する。
エルディンはしばらく考えた後、質問をする。
「…なぜ部外者の私を引き入れる? ロキファミリアだけでも戦力は十分だと思うが…」
「それが、そうでもないんや。前回の遠征が失敗に終わったんは知っとるよな?」
「ああ。イレギュラーが起きたのだったか?」
エルディンも噂で聞いていた。
新種のモンスターの邪魔が入り、到達階層を伸ばせなかったとのことだ。
「せや。次の遠征はなんとしてでも成功させたい。そのためには、ウチの団員以外にも高レベルの冒険者が必要なんや。特に自分は剣の腕もピカイチやし、魔法も使えるらしいからな。喉から手が出るほど欲しい逸材やわ」
「なるほど。ダンジョンの奥に私を連れて行けば、デイドラ王達も満足して、引き上げてくれるかもな」
「…チッ。バレとったか。でも、そっちにメリットはあっても、デメリットはないはずや」
「一応聞くが、拒否することはできるか?」
「別にええよ。ただ、うっかり他の神に自分の正体をバラしてしまうかもしれんな。神々の好奇心を舐めとったら痛い目に遭うで」
(ここの神もデイドラに負けず劣らずいい性格してるな)
エルディンは改めて考える。
ロキの言うとおり、ダンジョンの深層へ向かえばデイドラの王達は機嫌を良くするだろう。
それで飽きるとは思えないが、少なくともオラリオに直接干渉することは控えるはずだ。
エルディン自身も、ダンジョンの深層へ行ける機会があるのに、それをふいにする気は全くなかった。
「その話、受けよう」
エルディンが答えると、ロキはニヤリと笑う。
「エルディンならそう言うと思ったで。
ほな、いきなりやけど最初のお仕事や」
「…悪い予感がする」
お仕事という言葉にエルディンは顔を歪める。
「そんな難しいことやあらへん。ウチのファミリアは血気盛んな奴も多くてな。遠征に参加するからには、そいつらに実力を認めてもらわなあかん」
そう言うとロキは立ち上がる。
「そこで、ウチの団員の誰かと模擬戦で勝って、実力を認めさせるんや。簡単やろ?」
「…なるほど」
「もちろん、万が一負けたら、この話は無かったことになるで。さあ外に出よか?」
*
まもなく日がへ沈む時間となっていた。
「…てな訳で、誰か戦いたい奴おるか?」
模擬戦ということで、ある程度の広さがある中庭に来たロキは、集めた団員に話しかける。
集められたのはフィン、リヴェリア、ガレス、アイズ、ティオネ、ティオナ、ベート、レフィーヤの七人だ。
エルディンは中庭に来た後、武器を選ぶということで一旦この場を離れている。
「エルディンのLv.は知っておるのか?」
ガレスが質問する。
「Lv.5って聞いとるけど、ポテンシャルはLv.6に近いと思うで。
ガレスと戦っても一方的な勝負にはならんと思うわ」
「ふむ、それなら是非手合わせしてみたいのう」
「私もやりたい!」
ティオナが手を挙げる。
「私がやります! 団長に相応しい男か、見極める必要があります!」
ティオネも名乗り出る。
「ティオネ、その言い方は語弊があるよ。…僕は遠慮するよ」
「私も遠慮する。この場はガレス達の方が適任だろう」
「私も対人戦は苦手なので…」
フィン、リヴェリア、レフィーヤの三人が辞退する。
「…」
「ベート、どうしたん? お前なら『この前の借りを返す!』とか言い出しそうやのに?」
ロキは意外に思った。
「…気分が乗らねえ。勝手にやってろ」
そう言ってベートはその場から離れていく。
(なぜかわかんねえが、奴に対して怒りが湧かねえ)
ベートは自分で不思議に思いつつも、ただの気まぐれだと思い直し、近くに腰掛ける。
「…なんか変なもんでも食ったんかな? まあええわ、そしたら…」
「…ロキ。私にやらせてほしい」
それまで黙っていたアイズが口を開く。
「三人とも、お願い。私にやらせて」
アイズがガレス、ティオネ、ティオナに顔を向け、頭を下げる。
「ちょっと、アイズどうしたの!? そこまでしなくても…」
ティオナが慌てる。
「…そこまで言うなら、アイズたんで決まりやな! ほな、これ使ってや。さすがに真剣は危険やからな」
そう言ってロキは刃のない練習用のレイピアを渡す。
「…ロキ、ありがとう」
アイズがレイピアを受け取ったところでエルディンが戻ってきた。
「ロキ、こちらは準備ができたぞ。相手は誰だ?」
エルディンは片手剣と盾を選んだ。
対人戦において、最も得意とする武器だ。
「ちょうどええところに戻ってきたな。対戦相手はアイズたんや」
「そうか。【剣姫】と手合わせできるとは、滅多にない機会だ」
「…よろしくお願いします。…本気でかかってきてください」
そう言って二人は中央へ、残りのメンバーは邪魔にならない場所まで下がる。
騒ぎを聞きつけて、周囲にはロキファミリアの団員が集まっていた。
「フィン、悪いけど審判をやってくれるか? 二人の動きを見れるんはフィンぐらいしかおらんし」
「構わないよ。…最初からアイズに模擬戦をやらせるつもりだったんだね?」
フィンにはロキの思惑が読めていた。
「まあな。アイズたん、色々と思い悩んでたみたいやし、エルディンと戦うことで何か見えると思ってな」
「彼にそこまでの実力があると思うかい?」
正直なところフィンはまだエルディンの実力を疑っていた。
そのため、ロキがここまで執着する理由が分からなかった。
「…レフィーヤが少し変わったんは気付いてるか?」
「急になんの話だい?」
「ちょっとばかり逞しくなったと言うか、自信がついたように思わんか? …レフィーヤが言うには、昨日のモンスターとの戦いで心が折れそうになったとき、エルディンから魔力が流れてくるのを感じて、勇気が湧いてきたって話やったわ」
フィンはレフィーヤの方を見る。
確かに少しばかり堂々としているように見える。
「アイズにも何か変化を期待してるんだね。…ロキの思惑が上手くいくように僕も努めるよ」
フィンは主神の期待に応えられるよう、気合を入れる。
「頼むで、団長」
*
エルディンとアイズが向かい合う。
「ルールは五本先取とする。相手を無力化するか、急所に攻撃を加えたら一本だ。ただし相打ちの場合は無効とする。一本が入ったらお互いに距離を置くこと」
フィンが説明をする。
「魔法は使用してもいいが、相手に甚大な危害を加える魔法は禁止とする。エルディン、いいね?」
「問題ない」
エルディンが答える。
「では両者、距離を取れ」
アイズとエルディンが離れる。
アイズは武器を構えるが、エルディンは夕日を眺めている。
「…構えなくていいの?」
アイズが問いかける。
「ああ、すまない。始めようか」
エルディンは盾を構える。
「用意…始め!」
フィンが合図をする。
先に動いたのはアイズだった。
一気に距離を詰めてレイピアを振るう。
エルディンは盾を前にして、その一撃を防ぐ。
レイピアと盾がぶつかり合い、火花が散る。
エルディンがすかさず片手剣を振り下ろす。
手元を狙うが、アイズは回転して避け、回し蹴りに繋げる。
蹴りは盾で防がれたが、エルディンが大きく後退する。
再びアイズが接近する。
今度はエルディンが先に攻撃を仕掛ける。
アイズはエルディンの攻撃に合わせてレイピアを当てる。
お互いの武器がぶつかり合うが、エルディンが押し切る。
アイズが少し後退する。
エルディンが斬りかかるが、アイズはステップで回避する。
「す、すごい。エルディンさん、アイズさんと互角です」
レフィーヤが驚く。
「うーむ、まだ様子見という感じじゃがのう」
ガレスが言う間にも、何度か攻防が繰り返される。
アイズが若干優勢で、エルディンが防御に回る場面が多い。
「けっ。何をチンタラやってんだ」
ベートが毒づく。
相変わらず口が悪いが、確かにエルディンの攻撃は緩い。
「ロキ。あいつは本当にLv.5なのか? 甘く見積もってもLv.4ってところじゃねえか?」
ベートがロキに尋ねる。
「ウチもドチビから聞いただけやからな。なんや、拍子抜けやな。…お?」
ロキ達が話をしているうちに、アイズのレイピアがエルディンの胸を突く。
「一本! …両者離れて」
フィンが試合を止める。
「…エルディンさん」
アイズがエルディンに話しかける。
「何だ?」
「…本気でやってますか?」
「…」
アイズの問いにエルディンは答えない。
アイズは沸々と何かが湧き上がるのを感じた。
*
「始め!」
二本目が始まる。
またアイズが先に動く。
凄まじい速さで突きを放つが、エルディンは盾で剣先を逸らす。
アイズは隙を見せず、レイピアを横に振る。
エルディンは片手剣でそれを受け止める。
エルディンが剣を押し返して、アイズの体勢を崩す。
エルディンがアイズの右腕めがけて剣を振る。
アイズは後ろに下がり、攻撃を回避する。
(なんで?)
エルディンが強いのは一本目で分かった。
単純なステイタスはアイズのほうが上だが、武器の扱いや立ち回り、駆け引きなどにおいてはエルディンの方が上手だ。
たが、攻撃は急所ではなく腕や武器ばかりを狙ってくるし、剣撃にはアイズを倒そうとする意思が宿っていない。
エルディンと戦えば何かを得られると思っていたアイズは呆気ない戦いに苛立ちを募らせる。
そして、苛立ちとは別の感情が大きくなる。
「
アイズの体に風が纏われる。
先程までとは比べ物にならない速度で近づき、剣撃を放つ。
レイピアは盾を弾き飛ばし、エルディンの体勢を崩す。
アイズがそのまま首元にレイピアを突きつける。
エルディンは少し驚いた顔でアイズを見つめる。
「…一本。離れて」
フィンが両者を引き離す。
エルディンは起き上がると盾を拾う。
周りからはアイズへの歓声と、エルディンへの罵声が飛び交う。
「なんだか、アイズ怒ってる?」
ティオナが不安そうに言う。
「ええ。それにエルディンさんもなんだか考え事しているみたいね」
ティオネも頷く。
「あんな雑魚に構うなんて、時間の無駄だったようだな」
「エルディンがあのまま終わるとは思えんがな」
ベートとガレスが言葉を続ける。
「…エルディン。何考えとんねん」
ロキがつぶやく。
「始め!」
*
三本目はあっけなく終わった。
アイズが【エアリアル】を発動させて斬りかかり、またもやエルディンの盾を弾き飛ばし、一撃を見舞ったのだ。
エルディンとアイズが距離を取る。
(ロキも面倒事を押し付けてくれたな)
エルディンはロキからの頼みの内容を思い返す。
それは中庭についた後、フィンが他のメンバーを呼びに行き、ロキと二人きりになったときの話だ。
…
「それで、私は誰と戦うのだ?」
「なんや、せっかちやな。対戦相手はアイズたんのつもりや」
「ほう、【剣姫】か。それは楽しみだ」
ロキの回答にエルディンは笑う。
「なんや余裕やな。ウチのアイズたんに勝てる自信があるん?」
「そうだな。…日が出ているうちは勝てないかもしれないが、日が沈んだら勝てるな」
「なんやそれ?」
エルディンの回答にロキが眉を釣り上げる。
「私の持っている【スキル】でな。夜強くなる代わりに、日光に当たっていると弱くなってしまうんだ」
「なんや、随分と難儀な【スキル】やな」
そこでロキは少し考えると、エルディンに話しかける。
「エルディン、ちょっと頼まれてくれるか?」
「何だ、改まって」
「アイズやけどな。最近【ステイタス】が伸び悩んでんねん。それですごい焦ってるんや」
ロキの話をエルディンは黙って聴く。
「レフィーヤから聞いたんやけど、あの子に何かしてくれたんやろ? 明らかに大きく成長してるわ」
「…まあな。だが私はレフィーヤを後押ししただけだ。成長したのはあいつ自身の強さのおかげだ」
「…ならそれでいい。アイズを強くしてくれとは言わん。ただ、きっかけだけでも与えてくれんか?」
「…善処しよう」
エルディンの答えにロキは笑う。
「…あと、どさくさに紛れて体触ったり、顔とかに傷とかつけたらただじゃおかんからな!」
「…心に留めておこう」
…
(【剣姫】相手によくここまで耐えたな)
エルディンは自画自賛する。
この三本の試合で、攻撃に乗せられる彼女の感情を嫌というほど感じ取っていた。
(剣は口ほどよく語ると言っていたのはスコールだったか?)
距離を取ろうとするとアイズが話しかけてくる。
「…どうして…本気を出してくれないのですか?」
「そう怖い顔をするな。綺麗な顔が台無しだ」
エルディンの言葉にアイズは怒りをあらわにする。
「ふざけないでください! …私は、強くなりたい! …あなたはもっと強いはず。…あなたと闘えば何か掴めるはずなんです!」
「…」
何も答えないエルディンにアイズは怒りを抑えきれずにいる。
アイズは自分でもなぜこんなに感情が昂るのかわからずにいた。
「…もういいです」
アイズは踵を返し、エルディンから離れる。
夕日が完全に隠れ、辺りが急に暗くなる。
「始め!」
(さっさと終わらせよう)
アイズは魔法を使い、弾丸のように接近する。
エルディンが盾を構える。
(その手は通用しない!)
二度も盾を弾き飛ばしているアイズはそのまま盾に斬りかかる。
これでまたアイズが一本を取ると誰もが予想する。
「ッ!?」
しかし、予想に反して弾き飛ばされたのはアイズのレイピアだった。
そして、体勢の崩れたアイズの喉にエルディンの剣が突きつけられる。
「一本! 離れて」
エルディンの突然の反撃に皆騒然とする。
(どうして!?)
アイズは状況を飲み込めずにいる。
エルディンを改めて見ると、彼の雰囲気が別人のようになっていることに気がつく。
「すまなかったな、アイズ。ここからは本気を見せてやる」
…
*
五本目が始まる。
先程までと違い、アイズは動かなかった。
「先程までの威勢はどうした?」
エルディンが挑発するが、アイズはエルディンの出方を待つ。
二人とも距離を保っていたが、やがてエルディンが動いた。
「なっ!?」
ティオナが驚き、周りの観戦者もざわめく。
エルディンは攻撃の構えをせず、両手を広げてゆっくりとアイズの方へ歩き始めた。
どこからどう見ても隙だらけだが、アイズは動けなかった。
(なんて威圧感)
エルディンが放つ殺気がアイズを硬直させる。
まるでナイフを喉元に突きつけられている感覚だ。
息をしたら殺される。
そんな馬鹿げた考えすら浮かんでくる。
そうして一歩、また一歩とエルディンが近づいてくる。
(間合いに入ったら斬る!)
アイズの額に汗が流れる。
あと一歩で間合いに入る。
エルディンがその一歩を踏み出したとき、アイズの前からエルディンが消えた。
アイズが目を見開く。
視界から消えただけでなく、殺気も全く感じない。
そして、驚きの声を出すまもなく、頭に軽い衝撃を受ける。
エルディンがアイズの背後に周り、頭に剣を振り下ろしていた。
「…一本」
アイズが完全に後ろを取られたことに、フィンも驚く。
「これで一本差だな」
エルディンはそういうと距離を取る。
「…どうなってんだ? さっきとまるで動きが違うじゃねえか?」
ベートが呆気に取られて言う。
「…恐らくだが、エルディンの【スキル】だろう。日が落ちてから格段に見違えた」
リヴェリアが見解を述べる。
六本目が始まり、アイズが先手を取る。
「
アイズは込み上げる感情が何なのか分からずにいた。
その謎の感情に身を任せて、エルディンを斬ろうとする。
しかしどの攻撃も剣、あるいは盾でいなされる。
「
エルディンが【激しき力】を二つ目まで答える。
エルディンの体に風が纏われる。
(私と同じ!?)
アイズが驚く。
エルディンの剣速が爆発的に上昇する。
斬り合いの末、アイズが打ち負ける。
エルディンが居合の構えを取る。
「くっ!」
アイズはたまらず大きく後退する。
「
しかし、エルディンは逃がさない。
【旋風の疾走】で一瞬でアイズの前に現れる。
「捉えた」
エルディンの剣が振り抜かれる。
その一撃は辛うじて防御しようとしたアイズのレイピアを簡単に弾き飛ばした。
「一本」
「「おお!」」
エルディンがアイズに追いついた。
周囲が湧く。
「…あれは何だ? 魔法ではないのか?」
リヴェリアが興味を持つ。
「短い詠唱? はしていますが…」
レフィーヤも、エルディンの使う魔法が何かわからない。
「すごいけど…なんだか怖いわね」
ティオネが感想を述べる。
「うん。…アイズも、エルディン君もなんか怖い」
ティオナも同じ感想を抱く。
そして七本目が始まった。
*
相変わらずアイズが攻撃を仕掛け、エルディンが全て受け流すという攻防が続いている。
(わからない。この気持ちは何?)
アイズは自分の感情を制御できずにいた。
攻撃にキレがなくなっている。
このままでは何も答えが出ないまま負けてしまう。
「…お前のその感情の正体、教えてやろう」
エルディンの言葉にアイズの足が止まる。
エルディンも動きを止め、アイズを見つめる。
「…なんでわかるの?」
アイズは驚きを隠せない。
「剣を交えれば大体わかるだろう?
お前だって私が本気じゃないことに気づいたではないか。
人が強さを求めるとき、その根源には何かしらの感情が潜んでいる。
羨望、恐怖、愛…人は些細な感情の発露がきっかけで強くなる」
「…」
「お前のその感情の正体、それは…」
そしてエルディンが答えた感情の正体にアイズは呆然とした。
「…憎悪だ」
心の壊れかけたドヴァキンに母性を感じるアストリッドママ。
アイズと同点にまで追いつくドヴァキン。
アイズはドヴァキンとの戦いで何かを掴むことができるのか?
決着は次回!
補足① ドヴァキンを庇った女性について
ドヴァキンを庇ったのはソリチュードの家を買うと従者になる「ソードメイデンのジョディス」のことです。
ドヴァキンは帝国軍にいた頃、彼女と共にソリチュードに住んでおり、彼女を自分の部隊の副官にしていました。
お互い、憎からず思っていた関係です。
罠に嵌められて囲まれた際、彼女を含めドヴァキンを尊敬していた何人かの部下がドヴァキンと共に戦い、最終的にドヴァキン以外は全滅してしまいました。
補足②模擬戦五本目について
スキル【影の戦士】による強制隠密状態からのフィニッシュムーブを再現してます。あれが決まるとめっちゃかっこいいですよね。
戦闘描写が難しい。
ドヴァキンの強さってダンまちの世界だと、どれくらいのLv.だと思いますか?(ドヴァキンは全スキルを習得済みとします。)
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Lv.8以上
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Lv.7
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Lv.6
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Lv.5
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Lv.4
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Lv.3
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Lv.2
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Lv.1