ダンジョンで叫ぶのは間違っているだろうか   作:マザハール

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今回からやっとオラリオに行きます。
大体シェオ爺のせい。


第二話 新たなる地へ

<??? >

 

 シェオゴラス。

 狂乱を司るデイドラの王子。狂気、酔狂、発狂、あらゆる狂いを司る存在。突然怒ったかと思えば笑いだし、人を救ったかと思えば殺す。彼におもちゃにされて不幸になった人間は数知れない。

 

「呼び出したのは貴方の方だろう。いきなり連れてこられて、失礼も何もない」

 

 エルディンが呆れて言う。

 

「おっと、そうだったかな? 実はお前に頼み事があるのだ。まあ座れ。前に約束した、イチゴのトルテをご馳走するぞ」

 

 まるで今気づいたかのようにシェオゴラスはとぼける。

 

「貴方の頼みなんて、嫌な予感しかしないな」

 

 エルディンはシェオゴラスに勧められるまま席に座る。席にはチーズタルトが置かれていた。

 

「イチゴのトルテでは無いのか?」

 

「何を言うか!? チーズだぞ? 儂はチーズの為なら何人死んでもいいと思うがね?」

 

 シェオゴラスの発言にエルディンはため息をついた。こんなことしてても意味がないと割り切り、本題を訊き出そうとする。

 

「それで、頼み事とは?」

 

「なんだつまらん。もっと悪あがきをしたらどうだ?」

 

 まあいい、とシェオゴラスは続ける。

 

「実はある場所に行って欲しいのだ。そこは最近我々が見つけてな。実に興味深い場所だ。このイチゴのトルテの中身の次には興味がある」

 

 自分の皿に盛り付けてあるイチゴのトルテを切り分けながら言う。

 

(デイドラが興味を示す場所? オブリビオンの領域か?)

 

 エルディン思っていると、シェオゴラスは心を読んだかのように否定する。

 

「いや、オブリビオンではない。全く未知の世界だ。 まあ、話すよりも実際に見た方が良いだろう」

 

 パチンと指を鳴らすと床が光り、街が映り出された。とても大きな街だ。タムリエル中を旅してきたが、ここまで発展している街は見たことがない。街の中央に巨大な塔が見える。

 

「すごい街だろう? 人やエルフ、他にも獣人や小人がここで生活している。そしてあの摩訶不思議な塔だ。たが、何よりも驚きなのは……」

 

 つまらなそうな顔をしてシェオゴラスが続ける。

 

「あの街には神がおるのだ! 正真正銘の神だぞ! それも何十、何百もの神があの街で自堕落な生活をしておるのだ!」

 

「……神だと?」

 

 黙って聴いていたエルディンだったが、シェオゴラスの言葉に思わず口を挟んだ。

 

「ああ、そうだ。あの街で奴らは己の信者を使って、あの塔の真相を究明しようとしているのだ」

 

 そういうと映像が切り替わる。今度は暗い洞窟のような場所だ。

 

(どこだここは?)

 

 エルディンが考えてると、突然壁が割れ、見たことのないモンスターが現れた。

 

「ここはあの塔の地下だ。ここはダンジョンと呼ばれ、モンスターひしめく世界が広がっている。私の好きなイッカクもいるかもな」

 

「そんなところがあるのか」

 

 エルディンは初めて見る世界に強い興味を持った。

 シェオゴラスに質問する。

 

「それで私はここに行って何をすればいい? あのダンジョンとやらを攻略すれば良いのか?」

 

「傲慢にも程があるな、定命の者よ。儂はお前をあの世界に送るだけだ。そこから何をするかはおまえの勝手だ」

 

 シェオゴラスが鼻で笑うと、真剣な顔をしてエルディンを見つめる。

 

「だが、お前は退屈していたのだろう? あの世界は楽しそうだろ? さあ、どうする? お前はどうするのだ? 定命の者よ?」

 

 エルディンの答えは決まっていた。

 

「面白そうだ。あの世界で私も冒険をしてみたくなった」

 

 そう答えるとシェオゴラスは心底嬉しそうに言った。

 

「おお、お前はそう言うと思ってたぞ! お前は儂と似ている。儂も若い頃は……いや、この話はやめておこう」

 

 かと思えば昔を思い出すかのように寂しそうに呟いた。

 

「それでは行ってこい。定命の者よ。我々は貴様の行動を見ているぞ。死んだらシバリングアイルズに来るがいい。今度こそイチゴのトルテをご馳走するぞ」

 

 そう言い、指を鳴らしたかと思うと辺りが真っ暗になった。

 

 *

 

<オラリオ ダンジョン五階層>

 

 エルディンが目を覚ますと、先程まで映像で見ていた洞窟の中で倒れていた。体を起こすと激しい痛みを感じる。

 

(そういえば、セラーナに手当てしてもらう前に連れてこられたな)

 

 自分が重症を負っていたことを思い出す。

 当たりを見渡すと、エルディンが使っていた盾に剣、斧が落ちている。背中には大剣と弓を背負っている。

 エルディンは落ちている装備を拾い、回復魔法を使う。そこで違和感を感じた。傷が治りにくい。さらにマジカが回復しないことにも気が付く。

 

 シェオゴラスが別の世界だと言っていたため、ある程度スカイリムと違うことは予想していたが、エルディンは軽く舌打ちをした。

 

「マッドゴッドめ……」

 

 エルディンが悪態を付くと、何かの気配を感じた。枝分かれした道の一つから巨大な影が現れた。

 巨人のような大きな体をしているが、それよりも遥かに筋肉が発達している。何よりも特徴的なのはその頭部。まるで牛ような顔をしている。

 初めて見るモンスターだ。

 

「ヴォモオオオオオ!!!!」

 

 エルディンを見て牛頭のモンスター【ミノタウロス】が咆哮をする。エルディンが斧と盾を構える。ミノタウロスが突進をしてくる。

 

「早いな」

 

 盾では防ぎきれないと判断して、エルディンは咄嗟に横っ飛びで回避する。ミノタウロスが壁にぶつかり、壁が砕ける。

 

 エルディンが斧を振り上げ力任せに叩き込む。右腕に命中するが、途中で止まる。ミノタウロスはその発達した筋肉によって刃を受け止めたのだ。

 ミノタウロスが左腕を振りかざし、攻撃する。エルディンは斧を引き抜き、距離を取る。

 

「手強いな」

 

 全開の状態ならともかく、今の状態で勝つのは厳しいと判断する。

 

 ミノタウロスが飛びかかってくる。エルディンは回避するが、ミノタウロスがそこから腕を薙ぎ払った。エルディンは盾で防ぐが、吹き飛ばされる。なんとか壁で受け身を取ったエルディンに、ミノタウロスが向かってくる。

 

「これならどうだ」

 

 エルディンが息を吸い込み、叫ぶ。

 

「【Yol() Toor(業火) Shul(太陽)】!!」

 

 ミノタウロスに向かって炎の塊が飛んでいく。

 炎の塊に直撃したミノタウロスは勢いよく炎上した。

 

「ヴォモオ!!?」

 

 ミノタウロスが燃え上がる。それなりにダメージを与えられたようだ。

 

(なんとか勝てるか?)

 

 エルディンが思った時、短い叫び声が聞こえる。

 咄嗟にそちらを見ると、明らかに駆け出し冒険者であろう白髪の少年がこちらを見て立ちすくんでいた。

 

「何をしている! 逃げろ!」

 

 エルディンが少年に気を取られた瞬間を狙って、ミノタウロスが拳を叩き込んでくる。エルディンはもろに受けてしまい、壁に叩きつけられた。肺から空気が強制的に吐き出される。

 

「ぐっ……」

 

 エルディンはなんとか立ち上がるが、視界がぼやけている。身体も動かない。ミノタウロスがこちらに来るのがわかる。エルディンは笑みを浮かべる。

 

「ここで死ぬのか。……それも良いだろう」

 

 せっかく来たのに何も出来ずに死ぬのは残念だが、これでソブンガルデへ行ける。

 エルディンが死を覚悟すると、

 

「こ、こっちだ!」

 

 と、声が聞こえる。ミノタウロスがそちらに気を取られる。

 エルディンもそちらを見ると、白髪の少年がミノタウロスに石を投げつけていた。

 

「こっちに来い!」

 

 そう言って少年は逃げ出す。

 

「ヴォモオオオオ!!」

 

 ミノタウロスが少年を追いかけていった。

 エルディンも追いかけようとするがその場に倒れる。

 気を失う寸前、エルディンは声が聞こえた気がした。

 

 *

 

「あのミノタウロス、どこに行きやがった!」

 

 銀色の髪に耳が生えた狼人がイラついた声を上げる。

 

「ベートさん! あれ!」

 

 金髪の少女が視界の端に入った人を見て指を指す。全身黒い鎧を身に纏った冒険者が倒れていた。

 

「ミノタウロスに襲われたみたい。助けなきゃ」

 

「ああ? ……ダメだ。死んでやがる。大層な装備の割にとんだ雑魚だな」

 

 ベートと呼ばれた狼人が鼻をひくつかせ、悪態をつく。

 

「俺はこっち行く。お前はあっちだ、アイズ!」

 

 アイズと呼ばれた少女頷くと、黒い鎧の冒険者を見た。

 

「助けられなくてごめんなさい。後で必ず戻るから」

 

 アイズは頭を下げ、枝分かれした道の一つを進んだ。

 

 *

 

 逃げる。ひたすら逃げる。

 後ろからミノタウロスが咆哮しながら追いかけてくる。

 

(怖い)

 

 情けない悲鳴を上げて白髪の少年は逃げる。後ろを振り返ることができない。

 狭い道の角を曲がる。

 しかし、

 

「行き止まり!?」

 

 そこに道はなく、壁が広がっていた。

 ミノタウロスがすぐ後ろに迫る。少年が壁を背にしてへたり込む。

 ミノタウロスが壁を殴る。ミノタウロスの動きに少年は違和感を覚える。攻撃したというより、何かから逃げるような動きだ。

 

 瞬間、ミノタウロスが出血した。ミノタウロスが後ろに目を向ける。そこにはアイズが剣を構えていた。

 ミノタウロスはアイズに向かって攻撃を仕掛けるが全く当たらない。そのままいくつも斬撃を放ち、ミノタウロスを切り刻む。

 ミノタウロスが少年に倒れ込む。アイズがミノタウロスに剣を突き立てると血飛沫が上がる。

 少年はもろにその血液を浴びてしまう。ミノタウロスは灰となって消え去った。

 

「あの、大丈夫ですか……?」

 

 アイズが少年に声をかける。

 少年の鼓動が高まる。恐怖とは別の感情が膨れ上がってくる。

 

「う、うああああ!」

 

 恥ずかしくなった少年は脱兎の如く逃げ出した。

 

「クックック……。逃げられてやんの」

 

 後ろで追いかけてきたベートが笑っている。

 

「ベートさん……笑わないでください」

 

 *

 

「それにしてもまさか、返り血で真っ赤になったまま逃げるとはなあ。これは傑作だぜ。帰ったらみんなにも話してやろうぜ!」

 

「ベートさん、いい加減に笑うのやめてください」

 

 アイズはベートにからかわれながら、先程見かけた死体を持ち帰るために来た道を戻っていた。

 

「まさしくトマトみたいだったぜ。牛野郎のくっせえ血を浴びてよお」

 

「……めんどくさい」

 

 アイズが呆れて前を向く。もうすぐ死体のある場所だ。

 

「?」

 

 死体がない。死体があったはずの場所には血溜まりがあるだけだった。

 

「ああ? 死体がねえぞ?」

 

「ベートさん、これ」

 

 アイズは大量の血痕が続いていることに気が付き、指を指した。

 

「野郎、生きていたのか? いや、確かに死臭がしていたが……」

 

 ベートは一瞬怪訝な顔を見せたが、すぐに仏頂面に戻る。

 

「けっ! 死んだふりでやり過ごすとは情けない野郎だぜ。行くぞ、アイズ!」

 

(あの装備……駆け出しには見えなかった。どうしてここに倒れてたんだろ?)

 

 アイズは不思議に思いながらベートを追いかけた。

 

 *

 

(この短時間で2回も死にかけるとは……)

 

 エルディンは息を殺し、慎重に進みながら先程の戦いを思い出す。

 あの後、死にかけた時に自動で発動する治癒魔法により、何とか動けるようになったエルディンは外に出る道を探っていた。

 

(あれ程のモンスターが他にもいるのだろうか? とても楽しみだ)

 

 エルディンはこのダンジョンなら自分を満足させることができると確信した。

 

「まずは脱出だな」

 

 エルディンは息を吸うと、小声で囁いた。

 

「【Laas() Yah(捜索) Nir(狩り)】……」

 

 一瞬視界が暗転し、すぐに明るくなる。

 通路の奥や、壁の向こう、頭上に赤い影が現れた。

 

【オーラウィスパー】

 

 他のシャウトとは違い、叫ぶのではなく囁く事で生き物やアンデッド、機械などの存在を感知する。周りを見渡し、赤い影が多く見える方向を確認する。

 

(人が多く見える。あちらが出口か)

 

 エルディンは息を殺し、静かに歩み始めた。

 

 *

 

 エルディンがしばらく歩いていると光が差し始めた。様々な武装をした多様な種族のの人々が行き交う。まずは無事、外に出られたことに安堵する。

 

 塔の外に出た。エルディンは当たりを見渡す。

 人間、エルフ、獣耳の生えた獣人、小人……。

 冒険者だけでなく、何かの制服を着た者、見たことのない食べ物を売る者など、活気に溢れていた。

 

(これほどの街はタムリエルのどこにもないな)

 

 エルディンが感心していると、周りから目線を感じた。皆、ジロジロとエルディンを見ている。

 エルディンの格好は周りから相当浮いていた。あまり目立つのは良くない。それに日の当たる場所も避けたい。

 エルディンはそう思い、歩き始めた。

 通りを進んで裏路地に入った。そこでぼろぼろの布を見つけたので装備を隠すため、身に纏う。

 

(まずは情報収集だ)

 

 そう思うとエルディンは街の声に耳を澄ませ、情報を集め始めた。




<スカイリム語録>

オーラウィスパー
使用すると、ダンジョン内にいるNPCが赤いオーラで表示される。
隠密プレイの時に重宝する。

ドヴァキンの強さってダンまちの世界だと、どれくらいのLv.だと思いますか?(ドヴァキンは全スキルを習得済みとします。)

  • Lv.8以上
  • Lv.7
  • Lv.6
  • Lv.5
  • Lv.4
  • Lv.3
  • Lv.2
  • Lv.1
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