<ホームへの帰路>
日が沈み、薄暗くなった道を白髪の少年が駆けていた。
普段よりも少し早いが、死にかけたこともあり、ダンジョンには戻らず、ホームへ向かっていた。
(神様、もう帰ってるかな?)
そんな事を思いながら少年、ベル・クラネルは帰り道を走る。
今日は本当にいろんなことがあった。
ミノタウロスとの遭遇、そこからの逃走劇、そして運命の出会い…。
アイズのことを考え、ベルの顔が真っ赤になる。
(かっこよかったなー)
女神にも劣らない美貌もそうだが、その強さにベルは惹かれた。
僕なんか、逃げるので精一杯だったもんな。早く強くなって、今度はあの人を守れる様になりたいな。
と考えてたところで何か大事なことを忘れていることに気がつく。
「あああああぁぁ!!?」
ベル自分がミノタウロスに追いかけられた理由を思い出して、
つい声を上げる。
(ミノタウロスと戦ってる人が負けそうになっていたから、気を引こうと石を投げたんだった!)
アイズのことで頭がいっぱいで、ベルはそのことをすっかり忘れていた。
(あのは無事だったんだろうか? 明日エイナさんに聴いてみよう)
今から戻ると帰りが遅くなって、神様に心配かけてしまうため、
安否が気になりつつもベルは家路を急いだ。
*
「ただいま戻りました!」
「ベル君、おかえり! 今日は早かったね!」
ベルが扉を開けると、ヘスティアはベルに飛びついた。
抱きつかれたベルの顔が少し赤くなる。
「すいません、神様。実はモンスターに襲われて殺されかけちゃって…」
「ええ!? 大丈夫かい? 怪我はないかい?」
ヘスティアがはベルの体をあちこち触り始める。
ベルはヘスティア降ろすと、跪いて応えた。
「大丈夫ですよ。僕は神様を置いて死んだりなんかしません」
「ベル君…」
ベルが言うとヘスティアが目を潤ませる。
今にも抱きそうな勢いだ。
しかし、ベルは目の端に映った人を見て驚愕し、
ヘスティアから離れ、その人の方へ近づいた。
「へっ?」
まさに抱きつく所を空振りしたヘスティアが声を上げる。
ゴツッ
ヘスティアが壁にぶつかる。
しかしベルはそんなことはお構いなしに、目の前の人物に意識が持ってかれていた。
2M近い体躯、金髪に白い肌と赤い目、体を覆う真っ黒な鎧。
素顔は見ていなかったが、間違いない。
ベルは確信した。
「お前は…」
男もベルに気がつく。
「あなたはもしかして今日ミノタウロスと戦ってた人ですか!?」
ベルとエルディンが対面した。
*
<ホーム ベル君が来る少し前>
「戦いの中で死に、ソブンガルデに行きたい」
(そうだ。ここに来た理由は死に場所を探していたからだ。
向こうの世界では俺に敵う者はいなかった。
ミラークもアルドゥインもハルコンも、あの黒檀を纏った男にさえも俺は打ち勝った。
誰も俺を倒し、ソブンガルデに送ってくれる者は居なかった。
世界を救い、英雄として讃えられた俺は力を持ちすぎた結果、化け物として恐れられた。
そして吸血鬼となり、正真正銘の化け物となった。
俺は英雄を求めているのだ。
俺を殺し、救ってくれる英雄を。
全力で闘い、ソブンガルデへと送ってくれる英雄を)
エルディンの答えに、ヘスティアは困った様に笑った。
「冒険したいのも、強い奴と戦いたいのもまあ分かるけど、まさか戦って死にたいとはねー」
そして真剣な顔になる。
「それで君が救われるというのなら僕は止めない。
でも、僕は家族として君がダンジョンから無事に帰ってくるのを待つよ」
だから、とヘスティアは続ける。
「一人で勝手に死なないでくれ。待っている人がいる事を忘れてないでくれ」
(同じ様な事をセラーナにも言われたな。
そういえばセラーナをスカイリムに置いてきてしまった。
オラリオで死んだら彼女はなんと言うだろうか)
セラーナのことを思い、エルディンは微笑んで応えた。
「安心しろ。私は簡単に死にはしない」
その言葉を聴き、ヘスティアは微笑んだ。
と、そこで入り口で物音がした。
ヘスティアもそれに気付き、満面の笑みを浮かべ扉へ向かう。
やがて、扉が開かれ、1人の少年が入ってきた。
「ただいま戻りました!」
「ベル君、おかえり! 遅かったじゃないか!」
ヘスティアが少年に抱きついた。
先程までの神らしい一面は消え、無邪気に振る舞っている。
それはまるで恋する乙女のようだった。
(どうやら神々にも色恋沙汰に興じる感情がある様だな)
その様子を見て、エルディンはそんなことを考える。
エルディンはベルと呼ばれた少年に目を向ける。
随分と若い。
まだ十代半ばくらいだろう。
白髪が目立つ。まるでウサギの様だ。
ふと、ベルと目が合う。
同じ赤い目にエルディンは親近感を抱いた。
するとベルは驚いた顔をして近づいてきた。
ヘスティアが奥の方で壁に追突する。
近くに来たところでエルディンも気付いた。
「お前は…」
「あなたはもしかして今日ミノタウロスと戦ってた人ですか!?」
遠目にしか見ていなかったが確かにミノタウロスの時の少年だ。
「無事だったんですね! 良かったあ」
ベルが安堵の声を上げる。
エルディンは自分を助けてくれたベルに感謝の言葉を述べる。
「おかげで命拾いした。お前も無事で何よりだ。
あのモンスターを倒したのか?」
「間一髪のところをアイズ・ヴァレンシュタインさんに助けてもらっちゃいました」
ベルはアイズのことを思い出して頬を赤らめる。
エルディンはベルの反応を見て、怪訝に思うが、自己紹介をした。
「自己紹介がまだだったな。私はエルディン・ホワイトメーンだ」
手を差し出しす。
「僕はベル・クラネルと言います」
ベルが差し出された手に応える。
「痛たた…。君たち知り合いだったのかい?」
頭をさすりながらヘスティアが尋ねる。
ベルが事情を説明する。
「実は……」
*
「まさか、ベル君がエルディン君とダンジョンで会ってたとはねー。
ベル君、なかなか勇気があるじゃないか!」
ヘスティアがベル説明を聴き、納得して笑った。
「でも、僕はただ逃げるしかできませんでした。それにホワイトメーンさんも、僕に気を取られたせいで、ミノタウロスの攻撃を受けちゃったんですし…」
ベルが沈んだ顔をして言う。
それに対してエルディンはフォローを入れる。
「お前が来なかったら、私はあの場でミノタウロスに殺されていた。
お前の勇気ある行動が私を助けたのだ。なかなかできる事ではない。
それを誇るべきだ」
その言葉を聴き、ベルが表情を明るくする。
「そんな、命の恩人だなんて…。
でも、ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです」
一旦話が落ち着いた所で、ベルがエルディンに質問する。
「ところで、ホワイトメーンさんはどうしてここに?」
そういえば、まだ説明をしていなかった。
ヘスティア様が嬉しそうに答えた。
「それはね…。なんと、エルディン君は僕のファミリアに入ってくれるんだ!」
「……ええええ!?」
一瞬間を置いてベルが驚きの声を上げた。
「そういう事だ。これからよろしく頼むぞ、ベル・クラネル」
「え、あ、はい。よろしくお願いします?
…というより、ホワイトメーンさんはまだファミリアに所属してなかったんですか!?」
ベルの質問に対し、ヘスティアも気付いてに声を出す。
「言われてみれば…。エルディン君、もしかして恩恵を受けないでダンジョンに入ったのかい!?」
エルディンがヘスティアの質問に対して答える。
「入った、というより無理矢理連れてこられたというのが正しいな。
こちらに来た時にダンジョン内に飛ばされたんだ」
ヘスティアが信じられないという顔をする。
「恩恵も受けずにダンジョンから生きて出られたなんて。
しかもミノタウロスと戦って生きているなんて奇跡だよ。
ダンジョンに置き去りにするなんて、そのシェオゴラスってのも酷い奴だな」
「同感だ」
エルディンが苦笑して同意する。
ベルにはなにがなんだか分からないため、エルディンとヘスティアに尋ねる。
「えっと、話についていけてないのですがが?」
ヘスティアがエルディンを見て、無言でどうするかを問いかける。
エルディンは少し考えたが、説明しておいた方が良いと判断し、吸血鬼である事は伏せて自分の素性を説明した。
*
説明し終えるとベルが難しい顔をする。
「まさか、ホワイトメーンさんが異世界から来た人だなんて」
ヘスティアがフォローを入れる。
「僕も最初は信じられなかったけど、彼は嘘を言っていないよ」
「あ、いえ、信じられない訳じゃないです。ただ、話が急すぎて…」
「混乱するのも無理はない。だが、私の素性がどうであれ、同じファミリアに所属する以上は、共にダンジョンに行くことになる。
すまないが、私の事を信頼してくれ。私もお前を信頼しよう」
エルディンがそう言うと、ベルは笑って応える。
「分かりました。改めて、これからよろしくお願いします。
…それと、僕の事はベルって呼んでください」
「それなら、私の事もエルディンと呼んでくれ。
これから、よろしく頼む…ベル」
「よし、自己紹介も終わったし、夜ご飯にしよう!
今日はとっておきのものがあるんだ!」
一通り、説明が済んだところでヘスティアが提案する。
確かに空腹を感じていた。
ヘスティアが指差した先には、揚げたパンの様な食べ物が大量に置かれていた。
「わあ! どうしたんですか、これ?」
ベルが尋ねる。
「バイト先から賄いでじゃが丸君を貰ったんだ!
エルディンの歓迎会と洒落込もう! ベル君、今日は君を寝かせないぜ」
ヘスティアが親指を立てて言う。
「私の歓迎会ではないのか?」
「ごめんごめん、つい。エルディン君も寝かせないぜ!」
エルディンがツッコミを入れると、ヘスティアが笑って付け加えた。
「あの、エルディンさんは元の世界でドラゴンとか、いろんなモンスターと戦ったんですよね? その話、もっと聴かせてくれませんか!?
僕、英雄譚とか大好きで…」
「エルディン君のいた世界の話、僕にも聴かせてくれ!」
ベルとヘスティアが目を輝かせながらエルディンにせがむ。
「そうだな。……では、私が初めてドラゴンと戦い、自分の宿命を知った時の話をしようか」
(英雄か)
ベルの言葉に複雑な感情を抱きながら、エルディンは自分がドラゴンボーンだと知った時の話を語り始めた。
補足
ドヴァキンはミラーク→アルドゥイン→黒檀の戦士→ハルコン
の順番で倒しています。
訂正:ハルコンと黒檀の戦士が逆でした。
今後、話ができるかは分かりませんが…。
ドヴァキンの強さってダンまちの世界だと、どれくらいのLv.だと思いますか?(ドヴァキンは全スキルを習得済みとします。)
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Lv.8以上
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Lv.7
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Lv.6
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Lv.5
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Lv.4
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Lv.3
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Lv.2
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Lv.1