君がこっちに手を伸ばしたんだよ。   作:大日陰山

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Elation

 コミュニティ「おはな」。

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企画決定しました「おはな」              

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【13】サボテン             
●●●

2017年10月12日

はじめまして

募集見てきた方ですか?

私サボテンって言います。

お名前教えてくださいませんか?

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 コメント(15)              
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【14】モミジ             
●●●

2017年10月13日

はじめまして

この度は新しくプロジェクトを開始なさるということで

僭越ながらお力添えを、と

歌が得意です

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【15】セチア             
●●●

2017年10月13日

はじめまして

マジでガチで何も知らないですけどダンスは得意です。

運動神経は負けません

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【16】スイレン             
●●●

2017年10月13日

新しいトピの、20にも行かない内に全部集まるとは

ウチの嗅覚も捨てたもんじゃない

よろしくね、みんな

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 当時の参加メンバーは私含めて八人。

 コミュニティ管理者の一人と、その設立に立ち会った一人。他は後から来た人達で、私は最後。

 そう、なんと。

 "このチャンスを逃したら私は普通に戻ってしまうから"なんて……本来の募集内容に見合った思いを持つ人達の中では余りに相応しくない動機を持つ私が、最後の一人。

 私が入った事で募集は打ち切られ──そのユニットは始動した。

 

 

 

 ГГГ

 

 

 

 さて、私の周りにいるトクベツな人達は、まだまだいる。

 その一人がこの人。

 今目の前でパソコンに向かいながらコーヒーを飲みつつ顎に手をやってどや顔で私を見てきている、この人。

 

「沙月さん大分ウザイです」

「ガクッ……。おいおい、今のは私に惚れてきゅんきゅんしちゃうところだろう? それともなんだ、小雪にやらせた方がよかったかい?」

「やったら写真取ってグループLONEに貼り付けるかも」

「私もそうする」

 

 この人も名前の綺麗な人。

 先に紹介した神原湊元ちゃんの、お姉さん。

 神原沙月さん。

 

「自分が見つからなくなってきてる……と、そんなところか?」

「沙月さん大分ウザイです」

「はは、ウザイ程度なら受け入れるさ。アイツがもういないんだ、こういう役回りは積極的にやらせてもらう」

 

 沙月さんは、大人だ。

 私や湊元ちゃんといった中学生の子、他メンバーの高校生の子や大学生の小雪さんをすっ飛ばして、大人。成人済みの……お酒も飲める年齢、というヤツ。

 クリエイターさん達も大人だから唯一の、というわけじゃないんだけど、一番私達に接する機会の多い大人だからか、こうしてカウンセラーみたいなことをしてくる。

 それ自体は別にいいんだけど……口調がちょっとウザイのと、図星突きすぎて超うざいのと。

 

 何より、別に相談してないのに見抜いてくるのが……うざい。

 

「お前さん、今年でいくつだっけ。36?」

「あみさんじゅうろくさい。ああいや、十五だよ。来年は高校生」

「なるほど多感な時期だな。それで、今の活動に不満がある、か?」

「不満……ってほどじゃないけど、マンネリ気味だな、とは。私さ、知ってると思うけど、元々ゲーム実況やってたんだよね。ちょっとの間」

「ああ、聞いてるよ」

「その時と……なんもかわってない、っていうか。なんか、新しい事を求めて、自分を変えたくてVになったのにさー。……なんもだな、って」

「そうか……」

 

 もう何度も何度も考えた事だ。

 もう何度も何度も反芻して、その度に――じゃあ、思い切ってやめちゃえばいいじゃん、なんて答えしか出て来ない。

 思い切って辞めちゃって、新しい事さがそうよ、と。悪魔が……ううん、私が囁くのだ。何をしているのかはわからないけど、楽しそうな私。何が楽しいのかわからないけれど、キラキラしている私。

 

 VTuberの亜美より、普通の中学生の玉川ななの方が……なんだか。

 

「ひと月ほど、休止してみるのはアリだぞ」

「え?」

「別に活動は義務じゃない。ひと月、ちゃんと告知を出せばわかってくれる。心身共に疲れているので一か月間お休みを取って、旅行にでも行ってきます、と……そういえばいい」

「お休み……」

「ひと月が長かったら一週間でも良い。なな、私には、私の目には……君は少し、疲れてしまっているように見える。模索を焦りすぎて、自分がどこにいるのかもわからなくなっているんだ」

 

 そう、だろうか。

 そんな簡単なことだろうか。

 休めば、何かが変わるのか。

 凡人が休んだ所で天才になれるわけもなし。トクベツは休んでもトクベツでいられるだろうけど、普通が休んだら……用済みにならないか。

 

 なんて。

 そこまで自分を卑下するつもりはない。

 そこまで思いつめてはいない。

 

 ただ。

 

「まぁ、考えとく。配信自体は楽しいしさ。……それでもなんか、ヤバいこと口走りそうになったら、っていうか、ヤバそうだったら、ちょっと休むかも」

「ああ。いつでも相談してくれ。私も、なんなら小雪にも……あ、いや、アイツには言わない方が良いな」

「絶対過剰に心配してくるもんね」

「最近のアイツは自分に厳しいが他人に甘すぎるきらいがな……。やはり奴のことがトラウマにはなっているんだろうさ」

「いなくなってもメーワクな奴だよね」

「本当にな」

 

 もう一人、実はいた。

 もういなくなった人だけど、もう一人仲間がいた。

 ソイツは私達のコミュニティをグチャグチャのメチャメチャにして、荒らして荒らして荒らしまわった挙句、それじゃ! と言わんばかりに去っていった。

 ホント、サイテー。

 

「……あの、さ」

「いいぞ。ついでに湊元も巻き込むか」

「まだ何も言ってないんだけど」

「ん? "適当になんか楽しい企画考えてよ"、だろう?」

「……そうだけどサ」

 

 こういうところも、ウザポイント。

 本当に──気遣いが出来過ぎて、逆に出来てないの典型例だと思う。

 

 神原沙月さん。

 色々な事を教えてくれるし、私達の事を第一に考えてくれるし、頼りになるお姉さん……なんだけど。

 トクベツで、うざったるくて……。

 お姉さんというより、お母さんみたいな人だ。

 

「今失礼な事考えなかったか?」

「え、別に。沙月さんってちょっとオバサンっぽいよね、とか全然考えて無いよ一度も考えた事ない」

「ははーん、お前さん前々から生意気だ生意気だと思っていたが、これはちょいと教育が必要なようだ」

「ちょ、ストップストップステイステイ。まず喋り方からしてババ臭いよね、とか欠片も思ってないって!」

「表出ろォ!!」

 

 本当に。

 心からそんなこと、思ってない。

 頼れるあったかいお母さん。それがあなたです。

 

 

 

 ГГГ

 

 

 

「で、そんな感じで決まったのがコレ」

 

 配信ソフトを操作し、取り込んだ画像を可視化、画面中央に寄せる。

「きちゃ」
「開始一秒」

「きちゃ」
「亜美ちゃんの悪い所は話が早すぎる所」
「草」
「投げパン?」

「草」
「きちゃ」

「そう、投げパン競争。ま、語感で競争ってつけてるけど別に走ったりはしないよ。ハルさんが投げたパンを私達が全力で食いつくっていうしょーもな企画」

「自分達でしょーもないって言うの草」
「リリちゃん死にそう」

「食べ物粗末にするな」
「餌やりじゃん」
「草」
「床に落としたらバチクソ叩かれそう」

「雪さんがいるからヘーキヘーキ」
「ローアングルのカメラはありますか?」

 なんか適当に企画して、とは言ったけど、ここまで考えられていないゲームが来るとは思ってなかった次第でありますへぇ。

 投げられるパンは三種類。アンパン食パンメロンパン。いやメロンパンはいてーだろ、とか、食パン空気抵抗やばそう、とか、色々考える事がある。割と楽しそうだとも思う。

 ただ投げるのが沙月さんなのがなー。かなりいやらしい所に投げてくるはず。

 

「バーチャル食べ物だから平気平気。元手無しにコピペして増やせるから。バイバ○ンかけてあるから」

「宇宙がやばい」
「劇場版の背景にされるぞ」

 確かにまぁ、3Dで何かをやる、というのは、ただの実況者だった頃には出来なかった事だ。でもそんなのは実写の連中がやってるし、なんなら実況者の中にも顔出して身体出してワチャワチャしてたこともあった。

 だから、なんというか。

 やっぱり進歩してないなー、って。

 

 こう、ないの?

 VTuberだから出来る事、みたいなのさ。

 

「……あ、そうそう」

「ん?」
「勿論手は縛るんですよね?」

「私、この企画終わったら一週間くらいお休み取るから」

「え」
「え」

「え?」
「マ?」
「どっか悪いの?」
「旅行?」

「え?」
「は?」

 ……あれ、そんなこと言うつもりなかったんだけどな。

 考えとく、扱いで、別に特に休むつもりとかなかったんだけど。

 

 まぁ、いいか。言っちゃったし。

 一週間くらい休むか。

 

「理由は特にないかなー。まぁデビューしてからずっと配信してたからさ、小休止ってカンジ。予定とかないけど、それこそ旅行とか行って気分リフレッシュしてくるよ」

「いってら」
「ホント珍しいね」

「寂しい」
「じゃあ俺一週間全裸かよ」
「草」
「えー」

「その企画いつなの」
「旅行配信オネ」

「企画自体は明後日。だから、明後日から一週間、になるかな。ああ、旅行中はトゥイッタも動かさないから。すっきりさっぱり、亜美ちゃんはすやすやするのです」

 

 また、思ってもいない事を。

 別に休む必要なんかないんだから、SNSも辞める必要ないのに。

 

 ……ホントに疲れてるのかな、私。

 

「ああそうそう。今日私のSchemeにクッソ面白そうなサメゲー送り付けてきた骸骨仮面、後で説教な」

「出た名誉リスナー骸骨仮面」
「面白そうなのに説教なのか」

「サメ好きなのはリリちゃんだからじゃない?」
「送付ミス?」
「つかSchemeフレンドなのか骸骨仮面」
「えー」

「何者だよ骸骨仮面」
「ワンチャン仮面ラ○ダー」

「何度も言うけど自分でクリアしてないゲームを送りつけてやらせるな。クリア者見たら0%だったぞヴォイ」

「鬼畜ゲーで草」
「骸骨仮面ー! 俺だー! 結婚してくれー!」

 ほとほと呆れかえる。

 ゲーム実況というのはクリアしてこそだ。シリーズものをクリアせずに放置すれば、その後の配信でまでも「○○は?」とか「○○から逃げるな」とかせっつかれる。自分のペースでゆっくりやるよ、と公言しても、それでもそれでもとリスナーはせっついてくる。

 だからあんまり難しいゲームはやらない方が良い。クリアできる自信がないのなら。

 

 その点、この送られてきたインディーズのサメゲーは、最悪レベルの難しさだった。

 まず日本語化されてない。コントローラーが使えない。死にゲー。トリプル役満。多少触ってみて面白かったので面白い事は面白いんだろうけど、もっとこう……あるじゃん。

 手加減をさ。そろそろ覚えてくれ。名誉リスナー。

 

「……つかさ、死にゲーとか鬼畜ゲーってみてて楽しい?」

「俺は楽しい」
「亜美ちゃん悲鳴上げる系じゃないけどびっくりすると目ぇかっぴらくからおもろいよ」

「知識豊富でおもろい」
「上手いからいい」
「ストレスフリーを楽しむもの」
「あ」

「楽しい」
「言う程つまんなくないとおもうけど」

「いやさ、こういうのってグダるじゃん。編集とかでDIEジェストとかあった方が見やすいんじゃないかなーって」

「DIEジェストとかいう懐かしいワード」
「さては貴様古のミコミコ民」

「亜美ちゃんはミコ厨だって公言してる」
「プレイよりリアクション」
「そういうのが好きなら切り抜き見てるよ」
「切り抜きいけってこと?」

「ぐだっててイライラしてるの見るの好き」
「毎秒イライラしろ」

「あ、そういうね」

 

 なるほど、そういうのを求める層もいるのか。

 ……女の子がイライラしてるのをみたい、ってこと? 

 とんだ変態の集まりだなぁ。知ってたけど。

 

 ……休むか。

 本当に。

 

「今日ちょっとミミズリオやるかなー。一時間だけね」

「オッケスナイプする」
「1位3時間粘った俺をなめないでほしい」

 

 それじゃあ。

 まぁ、そういうことで。

 

 

 

 ГГГ

 

 

 

 平凡。平凡。普通普通。

 玉川ななちゃんは、普通の子なのです。

 生い立ちだとか、性格だとか、なんかそういう話じゃなくて。

 目を瞠るようなトクベツ。誰もの目を引くようなトクベツ。

 欲しい。それが欲しい。欲しい。欲しい。

 

 

 亜美ちゃんは、それがほしいのです。

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