君がこっちに手を伸ばしたんだよ。   作:大日陰山

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配信描写なし


Eluding

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企画決定しました「おはな」              

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【22】モミジ             
●●●

2017年10月19日

11月の3、4、5日の三連休を用いて旅行を企画しています。

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旅行と言っても近場で、二泊三日を予定しています。

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【21】退会したユーザー             
●●●

2017年10月19日

パス

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【22】セチア             
●●●

2017年10月19日

私はいーですけど、あんま人集まんないんじゃないですか?

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【23】スイレン             
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2017年10月19日

ウチとスモモは行ける。なんならウチが全額出すけど

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【24】モミジ             
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2017年10月19日

お金の話は後にしましょう。サボテンさんはどうですか?

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【25】スモモ             
●●●

2017年10月19日

勝手に決められた(◎_◎;)!?

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【26】スイレン             
●●●

2017年10月19日

三連休ぐーたら家でゲームするくらいしか予定無いだろ

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【27】モミジ             
●●●

2017年10月19日

サボテンさんまだ来ていないようなので、

また後で聞いておきますね

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 あることがあってからカリンの付き合いは良くなったけれど、それまでは取り付く島もないくらい非協力的というか、多分全員が全員「コイツと仲良くやっていける気がしねぇ~」と思っていたと思う。いやそんな口調じゃないだろうけど。

 人間社会に溶け込むことに余りに不慣れ。はっきり言えば、嫌な奴。それがカリンだった。

 サボテン……リーダーは単純に忙しくての返信の遅さだったけれど、カリンの奴は意図的に返信をしないこともあったりして、色々揉めたっけ。

 

 そんなカリンが変わった"切っ掛け"。

 それはある人との出会い──というか、ぶっちゃけ私との出会いだったと、後から聞いて。

 結構こっ恥ずかしかったのを覚えている。

 

 

 

 ГГГ

 

 

 

「はぁ~……だる」

 

 10月20日。

 私はなんだかオッサレなカフェで、カランコロンと氷を回してはため息をついている。

 "待ち合わせ場所"と称されたこのお店は、少なくとも小学ろくねんちぇーな私が居て良い場所じゃないというか。

 店内はとても静かで、恐らくジャズとか言われるタイプの音楽が鳴っていて、お客さんはほとんどいなくて。シックな色合いの壁やテーブル、寒すぎない空間に、何も頼んでないのに「どうぞ」と出されたココナッツミルク。

 

 やばいって。

 絶対高いって。

 

「や」

「ん……あ、はい」

 

 内心ガクブルでココナッツミルクを飲んでいると、いつの間にか対面へと座る影があった。

 そう、お噂のカリンさんである。

 カリンはモミジの企画した旅行は拒否ったくせに、私からの「ちょっとお話しません?」というお誘いには乗ってきたのである。すわロリコンかと思ったぜ。

 それで、指定してきたのがココ、と。

 

「セチアちゃんは、絶対時間より早くに来ると思ってたから、あらかじめココナッツミルクを頼んでおいたってだけだよ」

「これいきなり出されたんですけど何か言ってあっ……え」

「これやると嫌われるんだけどね。聞きたそうなことがあったから、先に答えておいた」

 

 ナンダコイツ。

 それが第一印象だろうか。

 前回の顔合わせでは大人数だったこともあって、サシで話す事は無かったから……こういう、本来のパーソナリティみたいな部分が見えて、うん。

 こっっっわ。ナンダコイツ。

 

「でも、どうして呼び出されたのかまではわかんないや。わたし、セチアちゃんに何かしたっけ?」

「……とりあえずカリンさんもなんか注文したらどうで」

「こちらを」

「ありがとう、マスター」

 

 どうですか、と問う前に、紅茶が来た。

 ……予知能力者? 

 インターネットに早期に触れた事で厨二病という概念を覚え、そういうノウリョクみたいなものを痛いと思うようになった私らしからぬ思考だけど、そうとしか思えないタイミングで……ふう。

 いや、いるんだなぁ、って。

 こういう……なに、頭の回る人? 美人で頭が良くて、それでVTuber?

 

 やっぱり馬鹿にしてる。

 容姿に優れなくて頭も悪い奴が多いこの界隈で無双してやろう、とか。そういう思いで来たに決まってる。付き合い悪いのも納得と言うか、私達となんか慣れあう気はないんだろう。ある程度有名になったら離脱とかしそう。

 好きになれないわ、こういう人。

 

「そう? わたしはセチアちゃんのこと、可愛い子だって思ってるけどね」

「……何も言ってないんですけど」

「いいよタメ口で。内心は随分と馬鹿にしてくれてるようだし。素直だからね、評価点も高い」

 

 サイコメトラー……?

 性格の好き嫌い以前に、何か別の生き物を相手にしている気がする。

 

「ごめんごめん。冗談はこれくらいにしておくよ。セチアちゃん面白いから、ちょっと揶揄いたくなっちゃっただけ。ほら、好きな物頼んで良いからさ」

「……謝られた程度で第一印象は変わらないんだけど」

「それでいいよ。ほら、なんだっけ……モミジちゃん? あの子みたいに本心隠して仲良くしましょうね、って来られるよりよっぽどいい。あ、これ陰口じゃないからね。昨日本人に直電でぶつけたばっか」

「何してんの……」

 

 不和の源だ。

 こいつやべーわ。ユニットとかグループに置いといて良い存在じゃない。

 絶対こいつを中心に瓦解する。今の内に私が排斥しておくべきじゃないだろうか?

 

「カリンは」

「ん」

「なんでこの募集に応募したの? 私は……実は、何も知らずに来たんだけど」

「興味があったから、なんて普通の答えが欲しいんじゃないよね」

「うん。何か……トクベツな思いがあるのかな、って。言っちゃなんだけど、Vになるって……それもユニットでデビューする、って。そんなにポピュラーな事じゃないじゃん」

「なるほど、なるほど。特異な動機さえあれば、目標も在り方も変わるかも、って感じかな」

「……真面目に答えてよ」

 

 図星だけど。

 コイツ友達いなそー。

 

「といっても、興味があったから、なんだよね」

「嘘だ。カリンみたいな人がわざわざVになる必要ないもん絶対」

「興味、じゃ弱いか。憧れかな。ちょっと前にVのライブを見てさ。友達に連れていかれて、だったけど。それで、綺麗で、カッコよくて──何かが見えた気がしたから。わたしの動機は、ただそれだけ。今のところは、だけどね」

「……それは、そのステージに立ちたい、ってこと? それとも──越したい、ってこと?」

 

 問えば、カリンはきょとん、とした顔をした。

 考えてなかった。考えた事も無かった。そんな顔。

 

 意味が分からない。そんだけトクベツな性格をしておいて、そんな普遍的な動機で行動を起こせるものなのか。

 憧れたから? そんなのお笑い種だ。モデルに憧れた。スポーツ選手に憧れた。芸能人に憧れた。

 ただそれだけの理由でそれを目指すなんて。

 そもそも、自分にその才能があるかどうかもわからないのに。

 しかも憧れたのはちょっと前だという。正直、馬鹿だと思う。行動力がありすぎて、馬鹿。意味が分からない。理解不能。気持ちが悪い。

 

 そんなの。

 

「はは……良いね。やっぱり良いね。予感はしてたんだ。今日の出会いは、絶対に良いモノになる、って」

「こわ。いきなりテンションあげないでよ」

「──だから、お返しをあげよう。セチアちゃん。君は自らを普通だと、平凡だと──トクベツではない、と思っているようだけど」

 

 

 ──理想を追い求めるのも、程々にね?

 

 

 カリンは。

 ニヤリと笑って、それはもう悪役みたいに目を細めて。

 今までちびちびと飲んでいた紅茶を一気に飲み干す。

 

「じゃ、お会計しておくから。またね」

「え」

「ああ、何か頼む? なら今にしてほしいかな。その代金も払っておくからさ」

 

 ナンダコイツ。

 言うだけ言って、帰る?

 意味の分からない動機を明かして、私に納得のナの字も感じさせないままに。つか別に自分の事普通だとか思ってねーわ。小学生の身分でこういう事に応募した時点でトクベツだわ十分に。うるせー。

 

 やべーな。やべーわ。

 私小学生だけどわかったわ。

 社会には……というか大人には、こういう理解の出来ねーやべー奴がいるんだ。

 怖い。社会怖い。

 

「じゃあ、モンブランタルト一つ」

「りょーかい。あ、そうそう。モミジちゃんの旅行の件ね。行くよ。気が変わったからさ」

「え」

「んじゃバイビー」

 

 それはもう、楽しそうに。

 カリンは手を振って去っていった。

 

「……なんだアイツ。ぜってー友達いねーわ」

「どうぞ」

 

 悪態をつき、呆けている私の前に出されるモンブランタルト。

 

 ……まぁ、食べ物に罪はない。

 モンブランタルトは──うんまっ!?

 お値段なんと980円……。ひぇぇっ。

 

 

 とまぁこれが、私とカリンの最初の対話。

 彼女もまたトクベツ……劣悪なトクベツ。

 ちなみにコイツだけ、本名を知らないのです。アイツ基本名乗らないからね。

 

 

 

 ГГГ

 

 

 

 お風呂上り。

 広くもなく狭くもない一軒家の、これまた広くもなく狭くもないお風呂。

 良い湯でした、とは言っておく。

 

 持ってきたパジャマに着替え、そのままの足でリビングへ向かえば、いつの間にか帰ってきていたらしいカリンがソファで伸びていた。

 

「ご飯、テーブルの上ね」

「あ、うん」

 

 指だけ差された先にあるのは白いビニール袋。

 中身は注文通り、ソコイチのカレー。soco'壱番屋。チーズカツカレーの十辛。

 ちなみに十辛にして、と頼んだら、カリンから化け物を見るような目で見られた。

 

「お仕事お疲れ様、って言えばいい?」

「ん-。別に疲れてはないかな。楽しいし」

「楽しくても疲れはするでしょ」

「それはSAW」

 

 カリンは、はっきり言ってヘンな人だ。

 何にもできないクセに、妙な自信を持っている。私は何も間違っていないんですよ、とばかりに胸を張っている。

 "得意な事以外は苦手"。これはカリンの口癖だ。

 カリンは歌が得意だけど、絵は苦手。カリンは歌が得意だけど、ゲームは苦手。カリンは歌が得意で、人付き合いもクイズも運動もダンスも何もかも──苦手。

 それがカリン。

 

 だから彼女が普通に会社へ就職する、と言った時は驚いたし、特にトラブルもなく続けられている事に更に驚いているし、副業まで始めて、しっかり働けている事実に驚き桃の木山椒の木。

 大分丸くなったとはいえ、それでも性格に難がある。だからよっぽど受け皿の広い会社なんだろうなぁ、と。

 

「アミちゃんさー」

「ん?」

「ちゅーがっこ、男子とお付き合いとかしないの?」

「するワケ。普通にスキャンダルだろアホ」

「中学生の恋愛事情にまで口出してくるユニコーンばっかりだもんね」

 

 わかってるなら聞くな。

 

 ……出会った当初は言葉の先回りや予知めいた言動に翻弄されたものだけど、種を明かせばなんてことはなかった。いやなんてことはないこともないんだけど、割と単純な仕組み。

 コイツは知ってる事をわざわざ聞くのだ。あるいは学校の先生のように、答えも式も歴史さえも分かった上で、"それではここはどうなっているのでしょうか?"と問いかける。問いかけて、相手が答えあぐねている間にニヤつきながら正解を提示する。

 

 素直にせこい。

 

「アミちゃん今いくつだっけ」

「15」

「中三かぁ。なつかしーなー」

「なんか今日やけに蕩けてない? やっぱ疲れてるでしょカリン」

「バレた?」

 

 バレバレだよ。

 ……でも、確かになぁ、と。

 確か十五時まで普通に会社で働いて、すぐに副業の方へ行って、帰りにソコイチ買って帰ってきたワケで。

 ハードスケジュール、な気がする。プラスで宅録の歌とか録ってるとか、働き過ぎじゃない?

 

「んー。あ、そうだアミちゃん」

「体を揉め、という依頼であればお金が発生します」

「うわ、中学生にお金払って身体揉んでもらうの凄い背徳的だね。お願い~」

「……仕方ないなぁ」

 

 ホントに丸くなったなぁ、と思う。

 前は仲間だ仲間だ言っておきながら、決して自分のスペースには踏み入らせなかったカリンが、自分の身体を揉ませる、なんて。

 

 よぉし。

 

「痛いっ!? ちょ、ちょアミちゃん、痛い痛い痛い痛い」

「ハハーハ、こないだの握力テストで私をゴリラ呼ばわりしたのを忘れたわけではなかろうな」

「ああそうだったね56kgだっけイダダダダ」

「……めっっっっっちゃ凝ってるね。マッサージとか行かないの?」

「行く暇あったらオタ活してる」

「馬鹿」

 

 ちょっとくらい身体を労われバカリン。

 小雪さんや沙月さんもだけど、どうしてこう大人組は自分を労わらないのか。普段あれだけ頑張っているんだから、ちょっとくらい休んだって誰も文句は言わないだろうに。

 

「それ、ブーメランね」

「何が?」

「いったい!?」

 

 首だけグリンと振り返って、ニヤリとまたあの笑みを浮かべてきたのでメチャクチャ痛いツボを突いてやった。

 ……何が。

 つか、当然の様に心読むのホントやめろ。

 

「最近、ストレスでしょ。配信するのあだだだだ」

「……何も相談してないからズケズケ人の心に入って来ないで欲しい」

「ふふふ、ダメでーす。一番にウチに来たのだって、一番思いっきりぶっ刺してくれる人だと思ったからでしょ? あそこ気持ちいい痛い痛い痛い。……他の子だと、慰めちゃうし、応援しちゃうもんね?」

「うるせーなコイツ。あ、口に出してしまった」

 

 うるせー。

 全部正解だよバーカ。

 

 ……そうだよ。一週間のお休みなんかするつもりなかったのに、いつの間にか口を突いて出ていた。ということは、無意識に疲れがたまっているんだって考えた。で、私が自分の考えている以上にストレスになっている事って何かな、とも考えた。

 考えた結果──配信しかないな、と。

 そう結論に至ったのだ。

 

「それねー、半分正解だけど、半分間違い。もうちょっと自分と話し合う()()が必要だね。期間じゃなくて機会」

「……何。じゃあカリンは、私の悩み事全部わかるって言いたいワケ?」

「ん-ん。ちっとも。あちょ、痛い痛いいたたたたっ!」

「ふざけてるの?」

「わたし、ふざけてない時ってあったっけ?」

「……いつも大真面目じゃん。死ぬほど全員の事考えてたじゃん、あの頃は」

「わぁお、その歳で老眼? 節穴も大概にしなよ」

 

 偽悪的なだけだ。

 カリンは。

 ほんとは、ちゃんと。周りを見ている。

 特に私達のユニットについての立ち回りは、ほぼほぼカリンのおかげで良い方向になったといっても過言ではない。あの時。あの日。あの喫茶店での会話から、突然仲良くする方へ方向転換したカリンが、とても役に立つ事を色々提示してくれた。

 勿論大部分は沙月さんの努力だし、小雪さんや他のメンバーの助力もあったけれど、船を流れに乗せたのは、その舵を切ったのはカリンだ。

 

「アミちゃんさ。その癖止めた方がいいよ」

「……? 何が?」

「自覚してない内に言うのはまぁよくないんだけど、こればっかりは他のメンバーじゃ気付きそうにないから、言ってあげる」

 

 傾聴する。

 カリンの言葉は、いつだって──いつか、役に立つから。

 

「自分を仲間外れにする癖。自分を数えない癖。……ああこれ、アミちゃんには言ってないからね?」

「真面目に聞いた私の気持ちを返せ」

「ぐえぇぇっ!? い、今ごすって言った! 今背骨ゴスって逝った!!」

「折れて無いからヘーキヘーキ」

「うぅ……助けてニーナちゃん、君の癒しを、早くわたしに……ぐぇえええええ」

「私は積もりに積もった恨みを晴らせる。カリンは溜まりに溜まった疲れを癒せる。Win-Winじゃん」

「いい、いいから、別に痛い思いして癒されたくなガガガガガ」

 

 全く。揶揄う時と真面目な時のトーンが同一すぎてわからないのホントやめて。

 

 ……でもまぁ、今は意味わかんない事だけど、いつか役に立ったりする……のかも?

 一つ言えるのは、コイツは相談相手には向かない、って事かな……。

 

 劣悪なトクベツ。

 カリンに関しては、"こうはなりたくないな"と思うトクベツ。

 でもやっぱりトクベツはトクベツで。

 無いよりは有る方が、いいよなぁ、って。

 

 

 

 

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