「‥‥何でかしら。あのキャスター、ちょっと苦手ね」
それはあれだな。カルデア式のお陰でかすかに第五次の事を記憶として持っているせいだな。
「‥‥一転、不利になってしまいましたか。ここは一度引かせてもらいます」
「はっ!そう簡単に逃がすわけがねえだろ!」
「逃げるだけなら」
「どうとでもなるとでも?」
「ッ!これは!」
ランサーが青髪のキャスターの攻撃を避けて逃げようとしたその時、足元に陣が現れその場に拘束される。
いつ仕掛けたのかも分からない鮮やかな手際。ホント、神代の魔術師って恐ろしいな。
「ふふ、動けないでしょう?本当ならここから情報を吐かせたりするべきなのでしょうけど、あのキャスターがいるから意味ないわね。‥‥アサシン!」
「委細承知」
最後はアサシンの一撃で倒し、戦闘は終了した。
「お疲れさん。なかなかいいガッツしてたぜ、アンタら。あの場面で怖気づくでもなく、しっかりと抵抗してたんだ。いい
「あの、ありがとうございます。危ない所を助けて頂いて」
「ハハッ、あの程度のこたァ気にすんな。あんなん貸しにもなんねぇよ。‥‥それよりも自分の身体のことを心配しな。アサシンの野郎に嫌味ったらしい所ばっか狙われてたろ?」
「ひゃん!」
((うーわ))
めっちゃ堂々とセクハラしていくな。大雑把というかなんというか‥‥。流石ケルトの戦士。
女性陣、特にメディアなんかジト目で見ながらこっち一発撃ってもいいかとチラチラ見てくる。
いやダメだからな。
「‥‥まともな英霊かと思ったけどただのセクハラオヤジじゃない」
『アハハ‥‥、取り敢えず話を聞こうか。彼はどうやらあの襲ってきたサーヴァントとは違い、まともみたいだし』
ナイスタイミングだロマン。あのままだとマジで撃ちそうだったからな、ウチのメディア。
「おっ、ソイツは魔術による連絡手段か?」
『初めまして。御身が何処の英霊かは存じ上げませんが我々は尊敬と畏怖をもって』
「そう言う前口上は結構だ。手っ取り早く要件だけ話せよ軟弱男。そういうの得意だろ?」
『な、軟弱‥‥、どうしてこう初対面だと毎回‥‥』
ロマンが若干項垂れながらも、キャスターに説明をしていく。カルデアのこと、この時代に来た目的、その他諸々を。
『‥‥というのが我々の現状と事情です。確認しますが、貴方がこの街で起きた聖杯戦争のサーヴァントであり、唯一の生存者なのですね?』
「負けてない、という意味ならな。俺たちの聖杯戦争はいつの間にか違うものにすり替わっていた」
「すり替わっていた?」
「あぁ。経緯は俺にも分からねぇ。街は一夜で炎に覆われ、人間は居なくなり、残ったのはサーヴァントだけだった」
「そんな‥‥」
「真っ先に聖杯戦争を再開したのはセイバーのヤツだ。やっこさん、水を得た魚みてえに暴れだしてよ。セイバーの手でアーチャー、ランサー、ライダー、バーサーカー、アサシンが倒された。」
「七騎の英霊によるサバイバル。それが再開された聖杯戦争のルールだった訳ね?」
「キャスターさんはその中で勝ち残った‥‥、いえ、生き残ったサーヴァントという訳ですね」
「ああ。そしてセイバーに倒されたサーヴァントはさっきのヤツらよろしく、真っ黒い泥に汚染された」
「あの、アサシンってなんであんなに居たんですか?」
立香の疑問ももっともだ。あれは宝具で増えたとかではなく、全くの同じ人物が複数人居たように見受けられた。
「ありゃあ、俺にも分からねえ。恐らくはセイバーの仕業だろう。どういう理屈か、能力を縛ることでその数を増やしやがった。元がアサシンだ。不意打ち、暗殺、真っ正面からやり合わないクラスだからそれもまかり通ったんだろうがな」
「なら、まだ他にもいる可能性があるのか?」
「いや、多分だがさっき倒したので全部の筈だ。ライダーを倒して、各地に散らばったのを虱潰しに潰してアソコが最後だったからな。連中、何が目的か即座に湧いて出てきた怪物共と何か探し始めやがった」
『何かを探索‥‥』
「んで、面倒なことにその探し物には俺も含まれてる。まぁ、俺を仕留めない限り聖杯戦争は終わらねえから当たり前なんだが」
『という事は、残ったのサーヴァントは貴方とセイバーの2人だけ。そして貴方がセイバーを倒せば‥‥』
「十中八九、聖杯戦争が終わるだろうよ。この街が元に戻るかは分からねえがな」
この惨状だ。元に戻る可能性は低いだろうな。‥‥ここは特異点だからその発生源を解消すればこの地は消えてなくなる。元に戻るも何もないけどな。
「セイバーの居場所とかってもう分かってたりするの?」
「ソイツは‥‥後で話してやるよ。そら、お客さんが来たぞ!」
「GuOOOOOOOO!!」
「ヒィ!」
唐突に現れたエネミーにオルガは悲鳴を上げて俺の後ろに隠れた。普段気丈に振舞ったりしているが、そもそもこっちがオルガの素だ。
今までは来るとわかっていて気を張って我慢していたんだろうが、ひと段落して、情報交換してる最中に唐突に現れたから素のヘタレが出てきたんだろう。
だから、立香。そんな「えっ、所長さっきまで普通に戦闘してましたよね」見たいな顔で見ないでやってくれ。
「まずはあれを殲滅して、移動するべきね。指示をちょうだい、マスター」
メディアと小太郎が前に出る。マシュは一歩下がってこちらをいつでも守れる様にしていた。
小太郎が前衛、メディアが中衛、マシュが後衛といった具合の並びだ。
「ま、サクッとやってとっとと移動すっか!」
そして始まる蹂躙戦。あの程度のエネミーにサーヴァントが負けるはずもないし、俺らでも対処できる程度の強さだ。当たり前だった。
流石に立香は無理だけど。カルデア式礼装は身につけるだけで感覚で魔術を行使できる代物だが、今立香が身につけているものには、応急回復と瞬間強化、後は緊急回避と完全サポート用の物しか使えない。魔術師でも無いから独自の魔術を持っている訳でもない彼に戦えという方が無茶だ。
「この先、一時的休憩所に使えそうな場所がある。一度ソコに向かうぞ」
キャスターの言葉に従い、その場を移動した。
〇☆〇☆〇☆〇☆
「そらそら!ボサっとしてるとマスターがおっちんじまうぞ!」
「や、あ!‥‥‥はぁ、はぁ、はぁ‥‥これ、以上は、流石に‥‥根性論じゃなく、もっと、理屈に沿ったものを‥‥」
「分かってねぇなぁ‥‥、それとも見込み違いだっか?まあ、そん時はそん時だ」
休憩場所に移動したはいいが、マシュが自分はどうしても宝具が使用できない。と悩んでいたため、キャスターによるスパルタ指導が行われていた。
「全く、強引なやり方にも程があるわ。あの男。まぁ、宝具とは元来私たち英霊の一部。それもそれが無いと自分であると言えないレベルの物。それは本能に直結すると言うのは間違っては無いのだけど」
「あのキャスター、理屈よりも感覚で物事を進めるタイプみたいだからな」
「‥‥本当ならマシュ殿の援護をしたい所ですが、ここは心を鬼にして見守るべき事。頑張ってください、マスター。マシュ」
「死ぬんじゃないわよ、藤丸。マシュ」
俺、オルガ、メディア、小太郎は少し離れた場所から3人の戦闘を見守っていた。これはマシュとそのマスターである立香にとっての試練だ。
マシュはその英霊の力を少しでもいいから引き出すこと。立香はマスターとしてマシュを信じ、指示を出すこと。
立香はもう大丈夫だろう。後は場数を踏めば、立派にマスターをこなせるはずだ。後はマシュだ。
ただ、まぁ‥‥‥それはいい事でもあるし、悲しい事でもある。何しろ、仕方の無いこととはいえこれまで普通に生きてきた”一般人”にいきなり”戦争で戦う兵士”になる事を強制し、それを受け入れてしまった様なものだ。
幾ら配慮を続けたとしても、彼はもうこれまでの彼に戻れない。魔術という神秘に関わり、これからマスターとして人理修復を行う。それはかけがえの無い経験をすると共に、何も知らない一般人では居られなくなる。
サポートは勿論手厚くされるだろうし、俺もするつもりだ。けど、記憶を消すなどしない限り魔術に関わる人生を送ることになるだろう。
「そろそろ仕上げだな。チョイと威力は下げるが、出来なきゃそれでおしまいだ。気張れよ嬢ちゃん!‥‥さぁ、主共々燃え尽きな!」
「マシュ。マシュなら出来るって信じてる」
「セン、パイ‥‥」
「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果報応、人事の厄清める
「あ、--------ぁあ。(守らないと、ここで使わないと皆消える。例え、偽物でも。‥‥私が)守るんだ!あああぁぁぁ!!」
それは完全とは言えない。けれど確かにその一端を自らの意思で顕現させた。それはマシュにとって大きな一歩だ。
大きな爆発の後に現れた二人は特に怪我をおうことも無く現れた。
「あ、今‥‥宝具を展開、できたんしょうか」
「やるじゃねえか。今のでも軽く二人ごと消し飛ばすぐらいの威力はあったのに、まさかの無傷とは。喜べ‥‥いや、褒めてやれよ立香」
「凄かった。本当に凄かったよ、おめでとうマシュ」
『驚いたな。まさかこんなに早く宝具の解放が出来るなんて‥‥。マシュのメンタルはまだそこまで強くないはずなのに』
「そらアンタのとらえ方が間違ってたんだよ。嬢ちゃんは守られる側じゃなくて守る側だったんだよ。‥‥だがまあ、宝具の真名までは解放できなかったから」
「はい。宝具は使えるようになりましたが、まだ宝具の真名も、力を貸してくれている英霊の真名も分からないままです」
マシュは自分に力を貸してくれている英霊が誰かを知らない。まぁ、今はそれでいいと思う。何事も段階を踏んでいかないとだし。
「やったわね、マシュ」
「あ、所長」
「貴方の頑張り、見させてもらったわ。けど、真名が分からないにしても名前が無いというのは不便よね‥‥一先ず”ロード・カルデアス”って名前にするのはどうかしら」
『おや、マシュの宝具にその名前をつけるとは‥‥』
「‥‥何よその顔は。言いたいことがあるなら言いなさいよ!」
『別に〜?僕はマシュにピッタリの名前だなって思っただけですよ〜?』
「その顔腹立つ‥‥!貴方、Aチームと関わるようになってからだいぶ性格変わったわよね。特にそういう所。いえ、そっちが素なのかしら?」
『はてさてなんの事やら』
やたらニマニマした顔のロマンとそれに突っかかっていくオルガを微笑ましく思いながら、気づかれないようにそばを離れる。
「あ”ー、危なかっ‥‥こふっ。‥‥ふぅ。あんな所で吐血する所だった」
立香やマシュたちと合流した最初の方は確かに痛みはなかった。だが次第に痛みを感じるようになり、流石に支障を来すと思い魔術で痛覚を遮断していた。人体の構造やら弄り方は家系的にかなり詳しいのだ。だがそれが不味かった。
頭では痛みがないだけで無茶してはいけないと分かっていても、行動を自制なんてできる訳もなく度々バレない様に吐血していた。
いやほんと、我ながら無茶してると思う。
そして何事も無かったかのように戻る。よし、流石にキャスターには気づかれてるけど、黙っていてくれてるみたいだから他のみんなには気づかれずにいる。
「よし。嬢ちゃんの宝具の件もどうにかなった事だ。少し休憩したらいよいよセイバーの居る場所へ行くぞ」
キャスターの言葉に従い、思い思いに休憩を取る事となった。俺もまた1人で休憩しようとした時、メディアに声を掛けられた。
「マスター、ちょっとこっち来なさい」
「ん、分かった」
一体何なのだろうか。もしかしなくても、バレてたか?
「そこに少し座りなさい」
「分かった」
「‥‥全く。相当な無茶をするわね、貴方。私が気づかないとでも思ったの?」
「‥‥バレてた?」
「当たり前よ。寧ろ契約してようがしてなかろうが、共に行動するサーヴァントが気づかない方が有り得ないわ」
「あはは‥‥」
つまり、召喚して割とすぐに気づいて、それでもこっちの考えに気を使って触れないようにしてくれていたのか。
「ほら、じっとしてて。貴方の中で何がどうなっているか見てる時間もないから多少無茶しても大丈夫な程度には回復してあげるから」
「助かる」
メディアからの治療を受けて数分後、遂にセイバーの本拠地へと向かうことになった。
〇☆〇☆〇☆〇☆
「この先にある洞窟に大聖杯がある。そこにセイバーのやつも居る筈だ」
たどり着いたのはとある山だった。
いざ山を進もうとした時、立香からとても重要で、けど俺も含めて皆すっかり忘れていた事を問いかけられた。
「あの、そう言えば聞いてなかったんですけどセイバーの正体とかって教えてもらえたりします?」
「「「‥‥‥‥‥」」」
皆がだまる。そりゃそうだ。その情報を伝えられてなかったのに、その事実に気づいていなかったから。
「ん?おお、そういえばまだ伝えてなかったな。すっかり忘れてたわアッハッハ」
「笑い事じゃないでしょ!いや、すっかりその事を忘れていた私たちも私たちだけど」
「はい。何だかんだと色々なことが立て続けに起きていましたが最も基本的な敵対サーヴァントの情報収集のことがすっかり頭から抜け落ちてました」
『本来なら英霊たる私たちが指摘するべきことなのに、マスターの事で頭いっぱいだった事もあってすっかり忘れてたわ』
「ナイスだ立香。多分ここで聞いてなかったら何も知らずにぶつかってたな」
『流石ですマスター!』
立香に指摘されるまで誰一人としてセイバーの正体についての話をしなかった事すら気づいていなかった俺たち。こう、下手に知識があると疑問に思うべき所をスルーしてしまうよね。
「このまま歩きながら伝えるぞ。まず、セイバーの真名は奴の宝具を喰らえば誰だって分かる」
「うわ、それ最悪じゃない」
「?何でです所長。すぐに分かるならむしろいい事じゃ?」
「いえ先輩。普通はそう考えますが、サーヴァント相手ではそうとも言えないんです」
「どういうこと?」
「相手の真名が一発でわかる。それは相手の弱点をすぐに理解することが出来ると同時に相手に致命的な弱点がない時、実力勝負になってしまいます。ここで重要になってくるのがサーヴァントの知名度です」
「知名度が重要?」
「例えばギリシャの神様ゼウス。彼のことは知ってますよね」
「うん。ゲームとかにもよく出てくるよね」
「そういった文化圏における知名度、これによって英霊の強さが変わってくるのです」
例えば戦国時代の武将、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などを召喚したとする。彼らは日本において絶大な知名度を持ち、日本で召喚されれば現代に伝えられている伝承に近い強さとなる。まぁ、同一視されているものやら後天的に付け加えられた物も取り込む羽目になるからメリットばかりでは無いが、基本はメリットが大きい。
しかし、これが例えばイギリスであったならばどうだろう。日本について調べている人ならば知っているかもしれないが、普通は知らないだろう。こうなってくると召喚された土地では知名度がないと判断され弱体化する。
これが知名度の簡単な仕組みだ。
「先程の宝具が分かれば一発で正体が分かる。これはつまりセイバーはこの日本の地においても伝承に近い強さとなっている可能性が高いという訳です」
「なるほど」
「で、その宝具なんだが、バカみたいに強い代物でな。ソイツのせいで他のサーヴァントが負けたと言っても過言ではない」
「それはまた‥‥」
「王を選定する剣のふた振り目。お前さんたちの時代において最も有名な聖剣」
「それってまさか‥‥!」
「そう、かの騎士王が使い湖の乙女に返還されたとされる剣。その名は-----」
「
「「「!!」」」
確かにちょうど目の前に目的地である洞窟は見えるが、俺たちが話していたのは基本的に歩きながらだ。それを初めから聞いていた様にセリフを被せてくるということは近くに居たか?
「へっ、やっぱり出てくるかアーチャー。相変わらず聖剣使いを護ってやがったな。が、今のセリフのかぶせ方。お前俺たちの会話を初めから聞いてやがったのか?」
「ふっ、それはただの偶然だよキャスター。聖剣の話が出たあたりからはこの場にいたとしても聞こえてくる距離だった。それだけだ」
褐色の肌に左頬から左目にかけて赤黒いヒビのような線があり、いつもなら羽織っている赤い外套が無くなっている、白髪の人物がいた。
「変わらねえ信奉者ぶりで安心したよ」
「信奉者になった覚えはないのだがな。‥‥なに、無粋な侵入者を追い払う程度の事ぐらいはするさ」
「要は門番じゃねえか。何からセイバーのヤツを護ってるかは知らねえがここらで決着をつけようや」
「悪いがそこまで暇では、ない!」
アーチャーはキャスターに向けて、ではなく確実にこっちに向けて矢を放ってきた。マシュがそれを防ごうと動く中、キャスターが先に矢を消し去った。
「つれねぇこと言うなよアーチャー。それとも、俺との勝負は自信がねぇってか!?」
キャスターがアーチャーに向かって火球を放つ。やっぱあのルーン魔術便利だな。空中だろうがなんだろうが文字を設置すれば即発動可能だし。
「ほらアーチャーの相手は俺に任せてさっさと行きな!セイバーならその奥に居るはずだ!」
「え、でも‥‥」
「心配すんな坊主。俺も後で行くからよ」
「立香、行くぞ!」
「わ、分かった!」
本当なら全員でことに当たった方が良いとは思うが、アーサー王が余程ヤバいのだろう。キャスター以外の全員で先に進んで行く
「チッ!」
「おいおい、俺を無視しようとしてんじゃねえよ。言ったろ?決着つけようってな」
「‥‥来たか」
洞窟の奥地にたどり着くと、そこには待ち構えていたセイバー、アーサー王が佇んでいた。
水着イベントのお陰でアナスタシアの扱いどうしようと悩みまくってる。ホントどうしよう‥‥。可愛さ天元突破しちゃって‥‥最悪アンケにしよっかなって思ってます
最初はカドックの相棒にしようとしてたのになー、意思が弱いからもうブレッブレで悩みまくる羽目になった