ここ二、三ヵ月忙しくて、精神的にまいってて書く気力すら湧かなかったりしていたのですが、少しづつ戻ってきて再開出来ました。
こんな事になっていたのに、FGOとかゲームは普通に出来てるんだからつくづく自分はダメだなぁと思う次第です。
オルレアンの聖女
「よし。みんな集まったね。それじゃあブリーフィングを始める。今回見つかった特異点はフランス。時代は1431年、百年戦争の頃だね」
ブリーフィングが始まり、今回の特異点についての説明が始まる。まぁ、説明と言っても百年戦争の事を簡単に言っているだけで、特異点で何が起こっているのかは現地でないと分からない。
「ざっと説明するとこんな所かな。何か質問とかあるかい?」
「大丈夫です!」
「同じく」
「私もです!」
「よし。それじゃあコフィンに‥‥、おっと言い忘れていた。三人とも。あちらに着いたらまず最初に召喚サークルを設置してくれ。念話連絡程度ならどうにか出来るけど、物資の輸送とかサーヴァントの召喚とかは召喚サークルがないと出来ないからね」
「了解です!」
「‥‥私の言うこと全部言われた」
「あっ‥‥ご、ごめん所長。呼び出した僕が言わなきゃと思って‥‥」
威厳のへったくれも無いぞ、オルガ。
「はいはい、一体いつまで漫才をやってるんだい?そして、いつまで私を待たせる気だい?というか私のこと忘れてただろ」
「おっとそうだった。紹介するよ、藤丸くん。彼‥‥彼?彼女?‥‥いや、カレ‥‥いや、ダレ?‥‥ええい、ともかく、そこに居るのは我らがカルデアが誇る技術部のトップ、レオナルド氏だ」
やっぱり居たか。というか、ずっと出てくる機会窺ってだろ。
「見てわかる通り、普通の性格じゃない。普通の人間でもない。というか説明したくないので所長、パス」
「ちょっ!?こういう時ばかり私に押し付けるのは止めなさい!まったく‥‥。改めて、彼もしくは彼女はレオナルド。カルデアの技術部トップであり英霊召喚成功例でもあるわ」
「サーヴァント‥‥え、ホントに?」
「はい、先輩。この方、確かにサーヴァントです!」
「ふふん、驚いたかい?カルデア技術局特別名誉顧問、レオナルドは仮の名前。私こそルネサンスに誉れ高い、万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチその人さ!気軽にダ・ヴィンチちゃんって呼ぶように」
「えっ‥‥ダ・ヴィンチちゃん‥‥?」
「お、おかしいです。異常です。倒錯です!だって、そもそもレオナルド・ダ・ヴィンチは男性のはず‥‥!」
「既成事実は疑ってかかるべきだぞー。というかそれってそんなに重要?」
案の定、2人は絶句だった。あのレオナルド・ダ・ヴィンチがこんななのだ。絶句もするだろう。そして、狙い通りなんだろうが満面の笑みを浮かべるな
「実は男だっただとか女だっただとか、一体誰が言い出した事なんだろうね、まったく」
「驚くのも無理ないわ。かくいう私も初対面の時は驚いたし」
「私は美を追求する者で、それは発明も芸術も同じこと。私は私の全てで美を体現する。そして私にとって理想の美とはモナ・リザの事。で、あるならばこうなるのも当然の帰結だろ?」
「当然‥‥?そうかな‥‥?そうかも‥‥」
「落ち着いてください、先輩。絶対当然ではないと思います」
「ボクも学者の端くれだけどカレの持論はこれっぽっちも理解が出来なくてね‥‥」
「私はもう諦めたわ」
「俺も理解できないし、理解しようとする事自体が無理だから諦めた」
「えー、そんなに言うほど?モナ・リザは私の理想。そして私は私の全てを使って理想を体現する。だから私自身で理想を体現しただけだよ?」
「いや、だけだよ?じゃないから。モナ・リザが好きだからって自分までモナ・リザにするとか、そんなねじ曲がった事をする変態はキミぐらいだよレオナルド」
「ふふふ、それはどうかな?Dr.ロマン。文化も円熟すればもうなんでもありだ。事実、最近のサブカルチャーだと異世界に理想の力を持って行ったり、美少女になったり、果てはモンスターになったりしてる。つまり、私はアブノーマルではなくノーマルなんだよ」
「そうではあるけど、キミ、何時の時代の英霊だい?」
「天才に時間は関係ないよ。キミたちも覚えておくといい。これから先出会うであろう何人もの芸術系サーヴァントたち、その誰もが例外なく素晴らしい偏屈者だと‥‥!」
「うわぁ‥‥本当にそんな気がしてきたぞ。というか自分で偏屈者と認めてるのか」
「そりゃあ、ねえ。芸術家なんて自他ともに認める偏屈者がなるようなもんだし。特に歴史に名を残すようなヤツはね」
寧ろ自覚していて、それを無視してるからタチが悪い気がするぞ。‥‥この先出会うであろう芸術系サーヴァント、ゲームだと本当に偏屈者ばっかりだったし、不安だ。
「なるほど‥‥。信じたくない、知りたくなかった事実ですがご忠告感謝します。ダ・ヴィンチちゃん」
「うんうん。マシュは相変わらず物わかりがいいね。じゃ、私の紹介はこれで終わり。これからは支援物資の供給・開発、英霊契約の更新といったバックアップを行う。私はカルデアに召喚されたサーヴァントだからね。マシュの様に各時代にはそうそう行けない。ま、藤丸くんかアルくんが契約できたら話は別だけどね」
「そうは言っても、アナタはウチの技術部トップなんだからそう易々と契約なんてさせません。したとしても特異点には殆ど向かわせる気は無いわ。これはカルデア所長としての考えよ」
「分かっているさ。私が主導しないと調整がきかないやつもあるしね」
その言葉を最後にこの場を離れるダ・ヴィンチ。本当に自己紹介だけで帰ってったぞ、アイツ。
「‥‥ちょっと色々あったけど、このまま行けるかい?申し訳ないけどボクらにも余り余裕はなくてね」
「大丈夫です。直ぐにでも行けます」
「よし。それじゃあレイシフト準備に取り掛かってくれ。君たち用に調整したコフィンがあるからセーフティとかも万全だし、心配はしなくていい。それでは、健闘を祈る」
《アンサモンプログラム スタート》
《霊子変換を開始 します》
人理修復の第一歩、それが漸く始まる。
《レイシフトまで 5、4、3、2、1》
《グランドオーダー 実証を 開始 します》
〇☆〇☆〇☆〇☆
さて、レイシフトが無事成功し、たどり着いたのは平原であった。
「ふう。無事に転移出来ましたね、先輩、アルさん」
「そうだな。冬木の時はイレギュラーなレイシフトだったし、これが初めての正式な転移だったが体調に問題もないみたいだ」
「フォウフォーウ!」
ん?今なにか聞こえるはずのない鳴き声が聞こえたような。
「えっ、フォウさん!?まさか着いてきてしまったのですか!?」
「フォウ‥‥ンキャウ‥‥フォーウ」
「もしかしてマシュのコフィンに紛れ込んでた?」
「‥‥おそらく私か先輩、アルさんの誰がのコフィンに入り込んだのでしょう」
途中から見かけなくなったからもしかして着いてこないこともあるのかとか思ってたが、そんな事はなかった。
「では、ドクターに言われた召喚サークルを‥‥先輩?」
マシュの呼び掛けに応えず、空を見上げる立香につられて空を見上げると光輪があった。
あー、こんなのもあったなー。細かいことは覚えてないが、ストーリーの重要な部分はなんとなく覚えている。‥‥とはいえ、もう1部のストーリーの記憶は余りなくて、2部の記憶ばかりなんだが。
「あれは一体‥‥」
『よし!やっと通信が‥‥って3人とも空を見上げてどうしたの?』
「ドクター、映像を送ります。あれは何ですか?」
『これは、光の輪‥‥いや、何か大規模な魔術式か?いずれにせよ人類が作ったものでは無いし、その時代に存在する筈のない現象だ。間違いなく人理崩壊の原因の一端だろうからこちらで調べておくよ』
「頼んだ。俺たちは召喚サークルの設置を急がないとな」
辺りには生物一ついない平原だが、ここは特異点だ。サーヴァントのいない俺たちでは襲われたらひとたまりもない。
いくらマシュがデミサーヴァントと言えど、1人で2人を守るなんて不可能に近いし、前回みたいに敵対サーヴァントが2人以上同時に襲ってくればそれで詰みだ。
「その通りです。他にもこの時代の人間との接触などやるべき事は多いです。先ずは街に向かいましょう」
「あの、別に街に行くのはいいんだけどさ。俺、フランス語とかは喋れないよ?」
「それなら心配ない。俺たちが着る礼装には特異点における活動をサポートする機能が幾つか付与されていてな。その内の一つに自動翻訳機能があるから、相手の言葉は普通に理解出来るし、こっちの言葉も伝わる」
他にも極地並の環境に対応出来たり、魔力の自然回復を増幅したりと思ってた以上に高性能な礼装だった。
「何その超便利機能。この服ってそんな高性能だったんだ」
まぁ、ゲームでも魔術を知らない一般人がガンドを普通に打てるようになるとか規格外な性能してたしそこまで驚くほどの事でもないのかもしれない。
「じゃあ早く第一村人を発見しに行きましょう!」
「そうですね!(第一村人‥‥初めて会う現地の人のことでしょうか?)」
街へ向かおうとするが、何故か通信がまたやって来る。
『何度も連絡を入れてすまないね。歩きながら聞いてもらえれば良いから、足はとめなくていいよ』
今度はダ・ヴィンチからの連絡だった。何か伝え忘れた事でもあったのか?
『ロマニのヤツが伝えてないことにさっき気づいてね。君たちの身につけている礼装の機能についてだ』
「あ、それならさっきアルさんに教えて貰いましたよ」
『ああ、そっちもあったか。すまないね、説明不足が多くて』
「いえ、そんなことは‥‥」
『もっとフランクに接してくれていいんだよ?まあ、後は慣れだろうけど。で、これから説明するのは戦闘に関することだ』
「それは魔術が使えるようになるとかとは別か?」
『モチロン!何しろあの事件の後取り急ぎ作ったヤツだからね』
そんな機能が‥‥よくそんな短期間で作れたな。
『その名も
「その制限とは?」
『サーヴァントを模したと言っても劣化コピーを生み出すだけ。その力はそこらのエネミーには負けないだろうけど、対サーヴァント戦に使えるわけもない。そして、必ず自身がマスターとして契約したことがあるサーヴァントのみしか出せない。指示をしないと動いてくれない。そんな所かな。呼び出し方は呼び出したい英霊をイメージしてクラス名を言ってくれればいい。消す時は退去と言ってくれ』
ダ・ヴィンチの言葉に、俺たちは1度試してみることにした。
「こい、ランサー!」
「来て、セイバー!」
俺たちの声に呼応するように目の前にメリュジーヌとアルトリアの2人が現れた。が、特に動くことはなく、本当に指示しない限り動かないのだろう。確認が取れたところで2人を消す。
『確認が出来たようだね。召喚サークルを設置するまでのその場しのぎ程度だから過信しなければ問題は無い。ま、規約をブッチしたこんな機能、あの事件以降じゃないと作れなかったんだけどね』
ダ・ヴィンチから追加された機能についてレクチャーが終わり、少し歩くと街が見えてきたが何やら様子がおかしかった。
「何か慌ただしいけど、どうしたんだろう」
「フォア!」
少し様子を静観していると、3人程兵士がやって来てこちらを取り囲んできた。フォウはあとは頼んだと言ったのかマシュの盾に‥‥え、今から戦闘になりそうなのにそこに入るのか。
「貴様ら、何者だ!」
「えっと、俺たちはカルデアって組織なんですけど‥‥平和的に話し合いをしませんか?」
「かるであ?なんだそれは。見るからに怪しいし、まさか竜の魔女の仲間か!」
「竜の魔女?そのような方は存じませんが‥‥」
「おい!魔女の仲間らしき奴らが来たぞ!敵襲だ!」
話し合いをする余地もなく臨戦態勢を取られたな。こうなっては仕方ない。
「マシュ、立香。ここは鎮圧して話をできる状態にするぞ」
「はい!」
「ちょっ!?二人とも何言ってるの!?」
「立香。こういう時、敵だと思ってる相手の話に耳を貸すか?無視して倒そうとするだろ?だから一旦鎮圧するんだ。なに殺しはしないさ」
「それは分かりますけど‥‥(魔術師って実は脳筋だったりするのかな)」
「ならよし。こい、ランサー!殺さない程度になぎ払え!マシュはランサーに合わせて攻撃を」
「了解です!」
《ーーーッ!》
呼び出したランサーは喋ることなく、頷きで返事を返し全体を薙ぎ払う。マシュもそこに合わせて盾を振るい兵士たちを無力化していく。
どうやらある程度大雑把でも動いてくれるみたいだな。
元々、こちらを襲撃してきた兵士たちの数が少なかったこともあり、数分とかからず決着が着いた。
「うぅ‥‥ひっ!お、お前らの望みはなんだ!」
死なない程度とは言ったが、思ったより弱めに攻撃していたらしく、気絶まではせずに意識のあるものが多かった。
「あ、俺たちは別に皆さんを害そうと言う訳じゃなくて、旅をしているんですよ」
「‥‥旅?なら敵ではない、のか」
『随分と簡単に信用するね。理性を取り戻したのか、それとも抵抗するだけの気力がもう無いのか‥‥?』
「うお!?また変なのが‥‥いや今更か」
「戦争‥‥をしている筈がありませんよね。なら、シャルル王は停戦条約を結ばなかったのですか‥‥?」
「シャルル王?あんた達、旅してる中で聞かなかったのか?王なら死んだよ。魔女の炎によって」
「死んだ‥‥?魔女の炎によって‥‥?」
「ああ。ジャンヌ・ダルクだ。あの方は竜の魔女となって蘇ったんだ。‥‥いつまでもここに居るわけには行かないし詳しいことは砦で話す。だから、仲間の介抱を頼んでもいいか?」
「別に構わない」
動けなくしたのは俺たちだしな。襲いかかられてきたからだけど、お互い様ってことで。
砦に動けない兵士たちを運んでいる最中に少数の襲撃があったが簡単に退けることが出来、無事全員を運ぶことが出来た。
「それで、ジャンヌ・ダルクが蘇ったというのは本当の話ですか?」
「あぁ。俺はオルレアン包囲戦と式典に参加したからよく覚えている。髪や肌の色は違ったが、あれはまさしく聖女様だった。あの方は‥‥」
『話の最中にすまない!君たちの近くへと大型の生物反応がかなりのスピードで向かっている!』
「生物反応?‥‥っ!こちらでも視認出来ました」
「あれって‥‥ワイバーン!?」
「くそっ!戦力が少ないって時に来やがった!あれが聖女様が蘇った時に悪魔と取引したモノ!そして、フランス各地を襲っているやつだ!」
「まかり間違ってもこの時代のフランスに存在していい奴じゃないな。マシュ、立香。サーヴァントの呼び出しがまだ出来てないがやれるか?」
「私はやれます!しかし先輩は‥‥」
「お、俺も大丈夫です。支援ぐらいなら出来ます!」
やはりまだ経験が少ないからだろう。ガチガチに緊張して、恐怖が体を支配している。
「無理だけはするなよ」
「分かってます!」
無理するなとは言ったが、あれは無理するだろうな。できる限りフォロー出来るようにしよう。
「こい、ランサー!アーチャー!」
「来てくれ、セイバー!ランサー!」
最大召喚人数を聞いていなかったが、2人は余裕で出来るみたいだな。‥‥こんなぶっつけ本番でやる事じゃないんだけどな。
「ゴアアアアアァァァァ!!」
「アーチャーは遠距離攻撃、ランサーは近接でマシュと連携だ!‥‥後は俺の攻撃がどこまで通用するか!」
試しに鋼糸で薙ぐようにしてみたが、一本づつだと鱗に阻まれてダメージはあまり与えられなかった。
「ならばっ!」
今度は同じタイミングで同じ箇所を一度に攻撃する。すると、今度は首を切断することが出来た。
とはいえ‥‥
「流石に一体倒すのにこの労力は非効率的だな」
少しのズレ程度ならば問題は無いが、それでも同じ箇所に合わせるのは集中力がいる。
かといって有効打は少ないからあれこれ言ってられない。
「針金動物たちでも複数で一体がようやくか」
鳥型、犬型、蛇型の三体で連携してようやく一体を倒せた。自律型ではあるからそこまで指示を行わなくてもどうにかなっている。
「やあ!‥‥ッ!危ない!」
後ろに回り込んだ二匹のワイバーンにマシュが最初に気づき、その声で俺達も気づく。だが、もうブレスを行う体勢でどうしたって間に合わない。そう思った時、炎と同時に金の光が見え、兵士たちが炎に包まれた。
炎が収まると、そこにいた兵士たちは全員無事だった。
「兵たちよ、水を被りなさい!彼らの炎を一瞬ですが防げます!」
「えっ」
「この人は‥‥」
『サーヴァント‥‥にしては反応が弱いな。彼女はいったい』
「‥‥‥」
現れたのはジャンヌ・ダルクその人だった。