【WR】虹ヶ咲RTA_称号『虹の楽園』獲得ルート 作:一般紳士君
「パジャマパジャマー」
バッグの中からパジャマを引っ張り出す。それと一緒に下着も出てきた。それらを身に纏う。その前に裸でベッドに転がろうかと思ったけど、嫌われたくないからやめておく。
「んー……遅いなぁ」
何かしてるのかなぁ……早くもと男といっぱいお話ししたいし、お願いしたいこともあるし、何より喉が渇いた。勝手に冷蔵庫開けるわけにもいかないし……ヨガして待ってようかな。
「んっ……ふぅ……」
いつも見ているヨガのレッスン動画を開き、その動画の通りにヨガを進めていく。
「ただいま」
「あ、おかえりぃ」
「……何やってんだ?」
「これ?」
「ああ」
部屋に戻ってきたもと男はかすみんを見て首をかしげる。もしかしてヨガ知らないのかな?
「ヨガだよ。お風呂上りの日課なんだ」
「はぁ~、これがヨガなのか。俺の知ってるヨガと違うな」
かすみんがしてるのは結構ポピュラーなはずなんだけど……もと男が知ってるヨガってどんなのだろう?
「……熱心だな。ヨガ極めるつもりなのか?」
「うーん、別に極めるつもりはないけどぉ……でも続けてたらもぉっと可愛くなれるかなーって」
「これ以上可愛くなられたら俺が困っちゃうよ」
頭を優しく撫でてくれる。その心地よさを感じながらヨガを続ける。
「でも気をつけろよ? ヨガ極めちゃうと手足が伸びるようになるからな」
「手足が伸びる……?」
もと男は何を言ってるんだろう……。アニメとか漫画のネタなのかな?
「あと口から炎が出るようになるぞ」
「ならない!」
そんなせつ菜先輩が喜びそうなことにはならない。ヨガを何だと思っているのか……。
「あと浮けるようにもなるな。ウケるな」
「浮けないしウケない!」
「おっ、うまいこと言うな」
「何なのさ! 戻ってきていきなり変なことばっか言わないでよ!」
これはこれで楽しいけどさぁ……。
「うーん……じゃあかすみのヨガを見ててもいいか?」
「えぇ~しょうがないなぁ~」
「よしきた」
もと男はうつ伏せに寝転んでかすみんのことを見上げるような姿勢になった。
「そ、そこから見るの……?」
「ダメか?」
「いいけどぉ……」
それを聞いたもと男は満足そうに微笑んで完全に眺める体勢に入った。ヨガが終わるまで動くつもりはないみたい。もと男がそれいいならいいかと思い、ヨガを再開する。
「んしょ……ねぇ、そんなとこから見てて楽しい?」
「もちろん、楽しいよ」
「ならいいんだけど……ふぅ……」
ヨガを続けながらこちらももと男を観察する。視線が上下しているけど、下に固定されていることが多いような……もしかしてかすみんのお股を見てるのかな……。まぁもと男にならいいんだけど、見たいなら見たいって言えばいいのに。
「よしっ、今日の分終わりーっと」
今日の分、動画1本をやり終え、立ち上がって伸びをする。
「もと男ー喉渇いたー」
「キンキンに冷えたお茶か?」
「うん、飲みたーい」
「いいよ。おっちゃんがお茶を取ってきてあげよう。……なんつって」
えぇ……急にダジャレ言い始めたんだけど……。
「なんか、愛先輩みたい」
「まさか、愛先輩のダジャレ力には遠く及ばないよ」
「えー、かすみんはどっちもどっちだと思うけど……」
どっちも急にぶっこんでくるから正直反応に困る。でももと男はそんな愛先輩のダジャレが好きみたい。もと男って面白い人が好きなのかな……。後ろをとことこついてリビングに向かいながらそんなことを考える。
「もと男は……面白い女の人が好きなの?」
「う~ん……まぁ好きっちゃ好きだけど、俺のそばにいてくれる人が一番好きかな」
「そばにいるっていうのは、寄り添ってくれる人ってこと?」
「そうだよ」
じゃあ絶対大丈夫。好きになってもらうためじゃなくて、もと男のこと大好きだから自然と寄り添いたくなっちゃう。楽しい時や嬉しい時はもちろん、苦しかったり辛かったりしてもと男が悩んでいる時も一緒にいてあげたい。
「それと努力家な子は結構グッとくるね。勉強でも部活でも、何かに一生懸命取り組んで努力できる子には結構惹かれちゃうかな。かすみなんかそうだな。1人でも必死に同好会を守ってくれたり、そんな中でもちゃんと練習してたり」
「ふ、ふーん……」
かすみんのことそんな風に思ってくれてたんだ……。嬉しさで顔がにやけちゃう。えへへー、かすみんも努力家なもと男のことだーい好きだよ。……って言いたいなぁ。
「あとありのままな子がいいな」
「ありのまま……どういうこと?」
「俺もあんましうまく言えないんだけど……好きな人が好きなファッションだから我慢して着るとか、好きな人が好きな食べ物だから苦手だけど我慢して食べる、みたいなことしないで、ありのままの自分で勝負してくれる子……かな」
「ふぅん……」
でもかすみんは苦手なピーマンをもと男に食べさせられたんだけど……自分が無理やり食べさせる分にはいいのかなぁ……。
「もと男に合わせる女の子は嫌いなの?」
「嫌いではないけど、好きではないな」
「ぷっ、なにそれ」
つまりは普通ってことじゃん。わざわざそんな面白い言い回ししなくてもいいのに……でもまぁもと男のこういうところ好き~。
「はい、お茶。キンキンに冷えてるぞ」
「ありがと。ごくっ……ごくっ……」
雑談の間に入れてくれたコップ一杯の水を受け取り、一気に飲み干す。ほんとキンキンに冷えてて美味しい。全身に染み渡る。
「ぷはぁ! もと男も飲む?」
「飲みたい」
今かすみんが使っていたコップにお茶を入れてもと男に渡す。
「はい、どうぞ」
「えっと……間接キスになるけど、それはいいのか?」
もと男は少し恥ずかしそうにしている。今更そんなこと気にするんだ……。もう2回もキスしてるのに。
「いいじゃん別に。今更気にするようなことでもないでしょ。……それとも、ほんとのキスの方がいい?」
「ああ、ほんとのキスの方がいい」
もと男ってキス好きなのかな? かすみんも好きだから同じだ。
「というか口移しで飲ませてくれ」
「く、口移しまでするの? 汚いよ……」
「かすみに汚いとこなんてない」
腰にもと男の腕が回され、そのまま抱き寄せられる。
「だから口移ししてくれ」
「うぅ……」
なんでこんなに積極的なのさぁ……
「じゃ、じゃあ口移ししてあげるね……」
先程入れたお茶を口に含み、飲み込まずにそのまま唇を突き出す。
「ん」
「なんか……フグみたいだな」
結構量あったんだから仕方ないじゃん……。そんなことはいいから早くしてほしい。ずっとこのままでいるのは恥ずかしいし、意外と苦しい。声は出せないので、唇をさらに突き出すことで訴えかける。
「はいはい」
伝わったのかもと男が唇を重ねてくる。もう3度目のキスになるけど、何度味わっても飽きない不思議な味だ。
「んぅ……」
口の中のお茶をもと男の口の中に流し込んでいく。この時意図的にかすみんの唾液を混ぜておく。自分の体液が好きな人の中に入っていくのを想像したら少し興奮してしまった。きっとイケナイ快感なんだろうなぁ……。
「ぷはぁ……」
全て流し込み終えて唇を離す。その時お互いの口の端から銀色の糸が引いていて、それがとってもえっちに感じた。このまま切れて落ちちゃうのがもったいない気がして、舌で舐めとる。……うん、かすみんの唾液の味。
「美味しい?」
「ああ、美味しかったよ。お茶に交じってたちょっとネバッとした液体……かすみの唾液かな? それが美味しかった。こうネチャネチャと舌に絡んできてさ……」
「そんな具体的に言わなくていいよぉ……」
「そう?」
美味しいって思ってくれたのは嬉しいけど、ネチャネチャとかあまり具体的に言われると生々しさが増すというか、恥ずかしくなってくるというか……。
「さてと、部屋に戻るか」
もと男はコップとポットに入ったお茶を持って部屋の方へと戻っていく。今度はちゃんとコップを2つ持っている。もう間接キスする必要もない。嬉しいような悲しいような……。
「さて、今から何する?」
「ん~っとねぇ……」
普通にお話しするのもいいし、一緒に漫画読むのもいいし、ライバルの研究するのも……うーん、迷っちゃうなぁ……。
「あ、そうだ! 実はもと男に見てもらいたいものがあるの!」
「見てもらいたいもの?」
「えっと、これとこれと……」
カバンの中からファイルを取り出して、その中から紙を何枚か出してテーブルに並べる。
「……これは? 復活の呪文か何かか?」
「これは歌詞なの! 今度のライブで使う歌の歌詞を考えてみたんだけど、なんていうか、あんまりしっくりこないというか……だからもと男のアドバイスもほしいなーって」
「俺の知らないところでこんな頑張ってたんだな……かすみはすごいな」
「えへへ~」
「見てもいいか?」
「もちろん。歌詞が書いてあるのはこれで、他のはアイデアを走り書きしたやつね」
「はいよ」
歌詞を書いた紙を差し出すと、もと男は食い入るように読んでくれる。かすみんが真剣に考えたものを同じくらい真剣に読んでくれる、そんなもと男が大好きだ。
「ふぅん、なるほどね」
読み終えたのか紙をテーブルの上に戻す。
「どう? 可愛い?」
「ああ、滅茶苦茶可愛いよ。歌詞見てるだけでも可愛いが溢れてくるのに、実際に歌ってるかすみを見たら多分昇天しちゃうな」
「でしょでしょ!」
かすみんの可愛さに悶えるもと男が見てみたい。ほんとに昇天しちゃったら悲しいけど……。
「でも少し語感が悪いかなぁって思うところがあって……。それにまだまだかすみんの可愛さも伝えきれてない気もするし……だからお願い! もと男の力を貸して!」
「ああ、いいよ。まずここ、『秘密』よりも『内緒』にした方が可愛らしさが……」
「ありがともと男! おかげで最高の歌詞になっちゃった!」
「どういたしまして」
1時間くらい歌詞について話し合っていた。ちょっと意見が衝突しちゃうこともあったけど、でもその分だけよりいいものに仕上がった。もと男と一緒に作り上げたものを本番で歌えるなんてこれ以上ない幸せだ。
「ふっふーん、これさえあればかすみんの優勝間違いなし!」
「ああ、そうだな」
でもまだ足りない。ほんとはもっともっと欲しい……。これ以上はもと男の負担になっちゃう、それはわかってる。でも我慢できない……。
「ねぇ、1個わがまま言ってもいい?」
「なんだ? 何でも言ってくれ」
「かすみんの歌、もと男に作ってほしいの……」
「……へっ? それって作曲してくれってことか?」
「うん……」
「侑先輩の作った曲は嫌なのか?」
「違う、そうじゃないの。侑先輩に作曲してもらうのが嫌ってわけじゃないし、侑先輩が作ってくれた曲でライブしてみたいとも思う」
きっと侑先輩が作ってくれる曲も素敵だ。
「けど初めてのライブはもと男に作ってもらった曲で歌いたい」
「それはなんで……」
「人生初のライブだから、かすみんきっと緊張しちゃう……。もしかしたら緊張に負けてヘマしちゃうかもしれない」
歌詞やダンスを間違えるくらいならまだいい。途中で躓いてステージから落ちちゃったりしたら一生スクールアイドルができなくなるかもしれない。そんなの絶対にイヤ。
「でももと男が作ってくれた曲があれば、ステージ上では1人でも隣にもと男がいてくれる気がして、きっと緊張なんてどこかに吹き飛んで、最高のパフォーマンスができる気がするの。だから……ダメ?」
もと男にもたれかかって上目遣いでおねだりする。
「ダメってわけじゃないけどさ……でも俺作曲したことねぇぞ?」
「うん、知ってる。叶わないってことが最初からかすみんもわかってる。だからお願い。もと男の口から無理だって言って」
ちゃんと無理だって伝えてくれたら、かすみんもきっと諦めがつく。もと男が作ってくれた歌じゃなくても、もと男が応援してくれるだけできっと緊張も吹き飛ぶ。最高のパフォーマンスができる。だから……
「……はぁぁぁぁぁぁ、そんな顔されたら無理なんて言えないじゃん……」
「え……?」
かすみんの手が温かいものに包まれる。もと男が手を握ってくれたんだ。それに気づいた途端心までポカポカしてきた。手を握り返して、心も体も完全にもと男に預ける。
「侑先輩に作曲を教えてもらうよ。でもいくら侑先輩の指導があっても実際に曲が作れるレベルになるまで結構時間がかかると思う。さらにそこから作曲するとなると完成がかなり遅くなる。それでもいいか?」
「いい! どんなに短い時間でもいっぱい練習して完璧に仕上げてみせるから!」
「よく言った。それでこそかすみだ」
子供を褒める時のように頭をガシガシ撫でてくる。頭を撫でられるのは嬉しいけど、でもこんな子供扱いされた感じのはイヤだ。頭をブンブン振って手を振り払う。
「今から侑先輩に連絡してみるな。でも1つだけ約束、侑先輩に断られたらちゃんと引き下がること。侑先輩はかすみを除いても8人分作曲しないといけないからな。それも1ヶ月以内、練習のことを考えると半月くらいか……とにかくかなりの負担に違いない。そこに俺の指導まで加わるとなるともっと大変だ。無理強いなんてできない。だから断られたり渋られたらちゃんと引き下がること。これが俺との約束だ。守れるか?」
「うん、守る!」
「おっけー、じゃあ侑先輩にメッセージ送るな」
『突然すみません。俺に作曲を教えてくれませんか?』
もと男は何のためらいもなく送信ボタンを押した。侑先輩は引き受けてくれるだろうか。返事が返ってくるまでドキドキが……ってもう既読がついた!?
『いいよ!』
これは引き受けてくれるってことだよね!? やったー! 嬉しくてつい足をパタパタしちゃう。
『でも急にどうしたの?』
『かすみの曲を作曲してあげたいんです』
『そっか。じゃあ頑張らないとね』
『1年の時に使ってた教科書とか明日持っていってあげるね』
教科書まで貸してくれるんだ……やっぱりすごく優しい。ワンダーフォーゲル部に部室を奪われそうになって困ってた時も、会ったばかりなのに侑先輩は助けようとしてくれた。そんなこと優しさの塊のような人にしかできっこない。
『時間も限られてるし、厳しい指導になるけどついてこれる?』
『もちろん。どこまでだって侑先輩についていきますよ』
『一緒に頑張ろうね』
『皆の初ライブ、2人で最高の曲を用意してあげよう』
『はい、頑張りましょう!』
「ふぅ……」
一先ずメッセージのやり取りは終わったみたい。慌ててスマホから目を逸らす。なんとなく盗み見していたのを知られたくなかった。
「教えてくれるってさ」
「あっ! OKもらえたんだ!」
「ああ」
「えへへっ、お互い頑張らないとね!」
「もちろんだ。かすみも練習頑張ってくれよ? かすみの頑張る姿を見たら、俺だってもっと頑張れるんだ」
「うん! でもそれはかすみんも同じだよ。もと男が頑張ってるところを見ると、かすみんももーっと頑張らなくちゃってなるんだ~」
お互いがお互いの頑張る姿を見てもっと頑張れる、きっと理想的な関係の1つに違いない。かすみん達予想以上にお似合いなのかも?
「ねぇねぇ、一緒にライバルの研究しない?」
「いいよ。折角だしベッドで寝転がりながらするか」
もと男はかすみんの手を離して布団に入り込む。かすみんも後に続いてもと男の隣に寝転がる。
「えへへ、おじゃましまーす」
「いらっしゃーい」
グルグル転がってもと男と密着する。でももと男はそんなこと気にせずタブレットを手に取り、動画サイトを開いてからそれを渡してきた。少しくらい意識してくれてもいいじゃん……そんなことを考えながらタブレットを受け取る。
「今度のライブに出てきそうなスクールアイドルで、かすみんのライバルになりそうなのは……」
「同好会の皆じゃないか?」
「ま、まぁ皆は多分手強いライバルになるだろうけどぉ……データとか全くないからここじゃ研究できないもん」
「せつ菜先輩はどうだ? 多分いろいろ動画も上がってるだろ」
試しにせつ菜先輩の名前を入れて検索してみると、確かに動画がいっぱい出てきた。
「じゃあ今日はせつ菜先輩の研究しよーっと。もと男も気づいたことがあったら何でも言ってね」
「まかせろ」
まずは一番上にあった動画を開く。……あ、これ昔で見たことあるやつだ。虹ヶ咲にこんなスクールアイドルもいるんだーって思いながら見た記憶がある。
「むぅ……さすがせつ菜先輩、隙がない……」
あの時はただすごいなぁとしか思わなかったけど、実際にスクールアイドルを始めてから見るといろんな気づきがある。
まずは歌。伸びのある声で、楽しそうなのが動画越しでも伝わってくる。そしてダンスも結構激しいはずなのにほとんどブレてない。一体どれだけ練習したのだろう……。
次にダンス。動きは大きく大胆でキレもある。それでいてブレない。きっと体幹がすっごくしっかりしているのだろう。
「ねぇもと男、どうしたらせつ菜先輩みたいなライブができるかなぁ?」
「そりゃもう練習あるのみ」
「うーん、やっぱりそうだよね……でもせつ菜先輩も居残り練習するみたいだし、なかなか差が縮められないよぉ」
練習量が一緒だから、余程効率のいい練習をしないと差を縮められない。
「でもかすみは風呂上がりにヨガしたり、ライバルを研究したり、いろいろ頑張ってるじゃないか。頑張った分ちゃんと結果もついてくるよ」
「そう、だといいな」
「それにせつ菜先輩と全く同じライブはする必要なんかないぞ。せつ菜先輩はかっこいいを意識したライブだけど、かすみんの強みは圧倒的可愛さじゃないか」
「あ、そっか」
「皆それぞれ自分の個性を活かし、それぞれのやりたいことをやる。それができるのがスクールアイドルだ。だからかすみも自分の可愛さを存分に活かしていこう。可愛さをさらに引き出せるようなMCとかダンスも考えないとな」
そっか、歌詞だけじゃなくてそれも考えないといけないのか。ダンスはもちろんだけど、MCもファンの皆の心を鷲掴みするのに必要不可欠だ。
「考えることがいっぱいだなぁ……」
「大変か?」
「ううん、むしろワクワクする!」
「そうか、そりゃよかった。……ふわぁ」
ダンスは曲ができてからじゃないと無理だから、まずはMCの方からかなぁ。
「困ったらまたもと男にアドバイスもらうことになるかも!」
「ああ……せつ菜先輩でもいいぞ」
「ダンスとかはせつ菜先輩の方がいいのかな」
「ああ……衣装とかは果林先輩が……」
「果林先輩モデルさんだもんね。……ってもと男?」
もと男の頭がコクコクと揺れ始めた。瞼も閉じたり開いたりしている。
「もしかして眠い?」
「うん……ごめんな」
「モデルさんのお仕事とかあったんだもん、いつもより疲れてるよね。いいよ、おやすみ、もと男」
頭を優しく撫でてあげる。いつものお返しだ。
「うん、おやすみ……」
頭を撫で続けているともと男は瞼を閉じてそのまま寝息をたて始めた。
「すぅ……すぅ……」
「ふふっ、可愛いなぁ」
普段はかっこいいくせに寝顔はすっごく可愛い。写真撮っておこーっと。
「えへへ~」
ホーム画面を今撮った寝顔に変える。明日しず子に自慢しちゃお!
それにしてもほんと可愛い……。勝手にキスしたら怒るかなぁ?
『パサッ』
本棚から本が1冊落ちる音がした。ここからだと絶妙に表紙が見えない。直すのも兼ねてベッドを降りて本棚まで行く。
「あれ……これ日記かな?」
表紙も裏表紙も無地の本だけど、中身をサーッと見た感じでは日記のようだ。どんなこと書いてあるのかなー。気になるし読んじゃお!
日記を持ったまままたベッドに寝転がる。
「最後のページは……あ、これかな」
『今日は璃奈と愛先輩が同好会に入ってくれた。これで部員は6人になった』
これは1週間くらい前の、りな子と愛先輩が同好会に入ってくれた日の日記のようだ。これが最後ってことは結構サボってるなぁ。でも書かれてるのは本の3分の1くらいのページだし、これ以前はちゃんと書いてたのかも。同好会に戻って忙しくて書けてないのかな?
『会長との約束まであと5人。彼方先輩にエマ先輩、せつ菜先輩を連れ戻して、侑先輩にも入ってもらえれば残り1人。栞子にでもお願いしようかな。可愛いし努力家だし』
「むっ……栞子って誰さ」
それに可愛いって……クラスメイトだろうか。かすみんの知らないところでかすみんの知らない可愛い女の子とと考えると……少しむかつく。頬をツンツンして不服を伝える。
『愛先輩が同好会に入ってくれたのも嬉しいけど、璃奈が入ってくれたのがとにかく嬉しかった。中学の時は俺も璃奈も同好会に入ってなかったから、高校に入って一緒に部活できるのが嬉しい。ずっと一緒にいた璃奈と、ずっと一緒に何かに打ち込みたかった。だから嬉しくてたまらない。璃奈のためにも、俺自身のためにも、絶対同好会を復活させなければ』
「……ふふっ、ほんとりな子と仲良いなぁ」
もと男もりな子もお互いを大切に思っている。それにもと男がこんな風に考えていたなんて全く知らなかった。侑先輩と歩夢先輩もそうだけど、やっぱり幼馴染っていいなぁ……。ちょっとだけりな子に妬いちゃう。
「もと男はー、りな子のことが好きなんですかー?」
頬をツンツンしながら聞いてみる。もちろん寝ているから答えなんて返ってこない。日記を全部読めばわかるかもしれないけど、読むのはやめておく。知るのであればちゃんともと男の口から聞きたい。恋の終わりを日記で知るだなんて絶対イヤ。
「ん~……かすみんも眠たくなってきた……」
もと男の寝顔を見ているとこちらまで眠たくなってきた。手に持っていた日記をベッドのすぐそばの台に置いて、もと男にギュっと抱きつく。もと男の体を全身で感じる。
「おやすみ、また明日……」
瞼を閉じて眠りにつく。明日ももと男といっぱい話せるといいな……。
感想とか評価とかいっぱいほしいな(定期)
かすみんお泊まり編はこれで終わりです。次回は本編……に戻る前にかすみん達のお昼休みをサイドストーリーとして1話投稿します。(誰視点にするかはまだ決めて)ないです。