【WR】虹ヶ咲RTA_称号『虹の楽園』獲得ルート   作:一般紳士君

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えー……2週間ぶりの投稿です。

時間や精神やPCが破壊されていたので投稿できていませんでした。いやー、まいっちゃいますね。
PCはオニューになったので無問題ですが、時間は当分破壊されたままになると思うので、当分はクソ投稿頻度になると思います。いやー、まいっちゃいますね。

さて、7話と8話の感想を後書きに書こうと思っていたのですが、この後お出かけする必要があり、書いている時間がとれないため、また時間のある時に活動報告の方に垂れ流しておきます。6話の感想につきましてはすでに活動報告の方に垂れ流されております。



あっ、そうだ(唐突)
Day1落選しました……悲しいね。


サイドストーリー Part20/m

「昨日担任から伝えてもらったと思うが、今日は1年普通科のクラスと合同でやるからなー。ちゃんと優しくしてやれよー」

 

 1年生と合同かぁ。同好会の中だと普通科なのはかすみんと元樹だけだよね。どっちかと一緒だといいなー。2人に限った話ではないけど、同好会の皆がクラスだとどんな感じなのか気になるんだよね。同好会だといろんな意味で人気者な元樹がクラスでも人気者なのか、とか!

 

せんせー、今日の体育休みまーす

 

 むむっ? あれはもしかして……

 

むっ、誰だ君は

1年普通科の堀口元樹でーす

 

 遠目だから確信が持てなかったけどやっぱり元樹だ! まさかほんとに一緒になるとかすっごい奇跡じゃん! でも元樹は参加できないのかぁ……ま、わかってたことだけどね。あーあ、元樹とテニスしたかったなー。

 それにしても元樹の隣にいるあの子は誰だろう。遠目で見てもすっごい可愛い子だし、なんだか距離が近いような……もしかして元樹の彼女? ありえなくないのがなぁ……よしっ! りなりーのために確認しよう!

 

「ねぇねぇ、ちょっといいかな?」

「ひゃ、ひゃい!」

 

 近くにいた1年生の子の肩を叩く。

 

「も、もしかして宮下先輩!?」

「ん? アタシのこと知ってるの?」

「もちろんです! 運動部所属で宮下先輩のこと知らない人間なんていないですよ!」

「そっかぁ、嬉しいな」

「あ、握手してもらってもいいですか?」

「もちろん!」

 

 両手でギュっと握手する。

 

「あの、とある人に聞いたんですけど、スクールアイドル始めたって本当ですか?」

「うん、本当だよ。誰に聞いたの?」

 

 デビューライブでビックリさせようと思ってまだ友達の誰にも言ってなかったんだけどなぁ。元樹が教えたのかな?

 

「誰かは言えないですけど、学内の事情にちょぉっと詳しい人から……」

 

 そんな人いるんだぁ……どこまで詳しいんだろう。誰と誰が付き合ってるーみたいなこともわかっちゃうのかな?

 

「俺、宮下先輩がスクールアイドルになっても応援してますから頑張ってください!」

「うん! 愛さん頑張っちゃうよー!! デビューライブも絶対見に来てね」

「はい! たとえ風邪をひこうと熱が出ようと絶対に見に行きます!」

「うんうん、さすがにそれは休もうね」

 

 愛さんにももうファンができちゃったかぁ……うん、予想の何倍も嬉しい! 部活の時に皆に報告しちゃお!

 

「ところで、宮下先輩は何の用だったんですか?」

「あ、そうそう。実は聞きたいことがあってさー」

「聞きたいこと?」

「あの2人って付き合ってるのかな?」

「えっと、2人っていうのはあそこにいる堀口と三船のことですか?」

「うん、そうだよ」

 

 あの子は三船さんって言うのかぁ。

 

「あの2人は付き合ってないっすよ」

「そっか、よかったぁ」

 

 これでりなりーに悲しい報告をしなくて済むよ。誰と付き合うかはもちろん元樹の自由なんだけど、愛さん的にはやっぱりりなりーと結ばれてほしいんだよねー。

 

「でもあの2人そのうち付き合うと思いますよ」

「え」

「堀口も相当な鈍感ですけど、付き合えないのは三船にも問題があると思うんですよね」

「えっと……」

「あいつ変なところで真面目なんですよ。そのせいでチャンスを逃したりするんですよね。この前もくじ引きで決めたバスの席を譲ろうとしたんだけど、不正だからダメだって三船に怒られちゃったんですよ。堀口の隣っていうプレミアチケットなんだから遠慮せず受け取ればよかったのに」

「……」

「そのくせヘタレだからなー。ここしかないだろってタイミングなのに日和って話題逸らすんですよ。で、堀口と別れた後落ち込んでですねぇ……ま、そこがあいつの可愛いとこなんですけどね」

 

 うーん……どんどん情報が出てきて愛さんあんまりついていけてないんだけど、あの三船さんって子は元樹のことが好き、っていう認識でいいのかな? しかもクラス公認? これはりなりーに教えてあげないとなぁ……。

 

「でもこの前元樹の友達みたいな子達来てたじゃん?」

 

 別の子が来てこんなことを言い始めた。元樹の友達……? 誰のことだろう。りなりー?

 

「ああ、あのうるさいショートボブの可愛い子か。すぐ帰ってったけど。名前なんだっけ?」

「えーっと、かすみたいな名前じゃなかった?」

「もしかしてだけど、自分のことかすみんって呼んでなかった?」

「あっ! 確かにそう言ってました!」

「よくわかりましたね」

「愛さんの友達だからね」

 

 そっかぁ、この子達が言ってた友達ってかすみんのことだったのかぁ。愛さんから見るとかすみんも結構怪しいんだよね。しずくやせっつー並に距離が近いし……。

 

「そのかすみんって子と元樹ってどんな関係なんだろうな」

「さぁ……いうてただの友達だろ」

「でもそれにしてはやけに親し気な雰囲気出してなかった? なんかあだ名で呼んでたし。滅茶苦茶変なあだ名だったけど」

 

 確かに元樹とかすみんは仲良しだね。同好会の中だとりなりーの次くらいには仲良しかも。抱きついたり頭を撫でてもらってたり、もしかして付き合ってる? と時々思わされるくらいには仲がいい。

 

「三船はあの子のことどう思ってるんだろ……やっぱり警戒してんのかな?」

「どうなんだろ……まぁ多少は警戒してんじゃないか? 交友関係は気にしないって口では言ってるけど、あいつ絶対気にしてるだろ。なんだかんだ嫉妬深いし」

「あー……最近鳴りを潜めてたから忘れてたわ。懐かしいな、『しおにゃん威嚇事件』」

「しおにゃん……? 威嚇事件……?」

 

 聞きなれない言葉に思わず聞き返す。しおにゃんっていうのは三船さんのことでいいのかな?

 

「あ、そっか。俺ら以外は知らないに決まってますよね。聞きます?」

「聞く聞く! 愛さんにも教えて!」

「まぁ大した内容ではないですけどね。ある日突然三船が堀口と仲良く話してた女子に威嚇し始めたってだけですよ。八重歯をチラ見させて、爪も立てて、こうシャーっと」

「その様子が猫みたいだったからしおにゃん威嚇事件。いやー、今思い出しても面白いな。あんな威嚇してたのに、元樹に頭を撫でてもらった途端表情が和らいだからなぁ」

「そこも猫っぽいよな。猫飼ったことないから知らないけど」

「俺も猫アレルギーだから知らん」

 

 猫っぽい子なのかぁ……そういえば元樹ってどっち派なんだろう? りなりーはアランっていう名前の猫を飼ってるみたいだし、元樹も猫派なのかな?

 

「おーい、もう始めるから並べー!」

 

 もう始まっちゃうのかぁ、まだまだ聞きたいことたっくさんあったのになぁ……。ま、おっきな情報は聞けたしそれでいっか!

 

「いろいろ教えてくれてありがとね」

「はい! 宮下先輩のお役に立てて光栄です! スクールアイドル応援してます!」

「うん! よろしくね!」

「……え、ちょっと待って。今のが宮下先輩?

そうだよ

 

 自分のクラスの列に並んで座る。先生の話を片耳で聞きつつ、1年生の列から元樹を探す。でも見学だからか列には混じっていないみたい。近くにいたらお話しできたのになぁ……。まぁ『ほ』と『み』だからそうそう近くにはならないか。

 

「……あ」

 

 適当にグラウンドの端を見回していると、ほんとに隅っこの方に元樹を見つけた。向こうもアタシの方を見ていて、こんなに離れているのに目が合った。それがわかった途端ニコリと笑って大きく手を振ってきた。先生に見られたら怒られるだろうけど、この先生は見学の子なんて全く気にしないので大丈夫。きっと元樹もそれをわかっているのだろう。あの子頭の回転速いもんね。

 

愛先輩

「ん?」

 

 何か言ってる……? ううん、あれは口パクかなぁ。何度もやってくれてるけど、動きが速くてさすがに何を伝えたいのかわからない。首をかしげてそれを伝えると、察してくれたのか今度はゆっくりと口を開いた。

 

あ、い、せ、ん、ぱ、い

 

 もしかして愛先輩って言ってる? ずっとアタシのこと呼んでくれてたのかー。気づけなくて申し訳ないことしたなー。じゃあお詫びに今度が愛さんが元樹の名前を呼んであげよう!

 

も、と、き

 

 先生にバレるといけないので同じく口パクで。サービスで小さく手も振ってあげる。それに気づいた元樹は少し照れ臭そうに頬を掻いた。

 う~ん……りなりーが好きになる気持ちわかっちゃうな~。なんていうか元樹って子供っぽいんだよね~。今のとかもそうだし、せつ菜とかっこいいセリフを1時間くらい考えてたり。でもアタシを励ましてくれたり、真面目な話し合いをする時なんかはアタシよりも大人っぽくて……そんな元樹を知っていると、普段の子供っぽい姿が余計に可愛く見えちゃう。

 

「愛ちゃんどうしたの?」

「んー? 友達と話してるんだよー」

「へー、友達ってあの見学の子?」

「うん、そうだよ」

「あの子1年生だよね? 愛ちゃんってほんといっぱい友達いるよねー」

「そうかなー? でもあの子と会ったのはつい最近だよ」

「ふぅん、どんな子なの?」

「どんな子……どんな子かぁ……」

 

 面白い子っていうのは少し抽象的だし、可愛い子、かっこいい子っていうのも間違ってはないけど……。

 

「う~ん……」

「愛ちゃんが悩むほど個性のない子なの?」

「ううん、むしろ逆。個性満載だから何を言おうか迷って……あ、そうだ。あの子はね、すっごいモテモテな鈍感さんなんだよ」

 

 うん、これが一番いい気がする!

 

「モテモテ? 鈍感? そんな子ほんとにいるんだ……なんか創作の世界の中の子みたいだね。愛ちゃんもその子のこと好きなの?」

「ふぇっ!?」

 

 あまりにも唐突だったのでついつい大きな声を出してしまった。まだ話を続けている先生にも余裕で聞こえちゃう声量だ。

 

「おい宮下、先生の話はちゃんと聞け」

「あはは、すみませーん」

「まったく……じゃあ話を続けるぞ」

 

 怒られちゃった。元樹に変なとこ見せちゃったなぁ……。少し頬を膨らませて隣の美緒に不服を伝える。

 

「ふふっ、こんな表情の愛ちゃん初めてかも」

「もぉ……」

「それでそれで? あの子のこと好きなの?」

「ま、まだ出会ったばっかりだし、それに……」

 

 元樹はりなりーの好きな人だ。アタシが元樹に会う前からずっとずっと好きなんだろう。親友の好きな人を奪う気になんて到底ならないし、アタシはりなりーの恋を応援してあげたい。だから元樹のことを好きになるなんてありえない。もちろん友達としては大好きだけど!

 

「何言ってるの。恋に時間なんて関係ないんだよ? 相手が素敵な人なら、一緒に過ごした時間なんて関係なく突然好きになっちゃうものなの」

「確かに心惹かれる部分はあるけど……」

「じゃあ思い切って付き合っちゃえばいいじゃん」

「つっ……!」

「愛ちゃんは一緒にいて楽しいし、すっごい美人だし、おっp……スタイルも抜群だから、『試しに付き合ってみない?』みたいなラフな感じでもきっとOKもらえるよ」

「さすがにそれはないんじゃないかな……。それにOKを貰っちゃったら困るというか、あの子とは付き合えないというか……」

「何か理由でもあるの? もしかして彼女持ち?」

「まぁ、そんな感じかな」

「ふぅん……」

 

 美緒は少し悩んだ後、何か言いたげな表情でこちらを見てきた。

 

「よし、じゃあ準備運動してからランニング3周だ。サボらずちゃんとやれよー」

『はーい』

「……ま、後でいっか」

 

 た、助かった……このまま続いてたら何を言われていたかわからない。それに何故かアタシが元樹のこと好きな前提で話が進んでるし……。

 

「ん~っ」

 

 念入りに準備運動をして体をほぐしていく。さっきまで変な話をしていたせいか、妙に体を動かすのが楽しい。

 

「よしっ、走ろう!」

 

 十分準備運動をしたのでランニングを始める。周りも同じタイミングで走り始めていたので、飛ばしすぎないよう周りのペースに合わせて走る。頭を空っぽにして全力で走るのも好きだけど、この後のテニスで元樹にかっこいいところを見せたいから、ここではまだ体力を温存しておく。

 

「ねぇねぇ愛ちゃん」

 

 大体1周目の半分くらいに差し掛かったタイミングで、後ろから追いついてきた美緒が話しかけてくる。

 

「さっきの話の続きなんだけどね」

「そ、その話はやめにしない……?」

「ダメだよ。あの子のこと好きなんでしょ? だったら我慢なんかしちゃダメだよ」

「そういうわけじゃ……」

「彼女持ち、なんだっけ? でもそんなの関係ないよ。好きなんだったらどんな手を使ってでも手に入れなきゃ! 略奪愛だよ!」

「りゃくだつあいぃ!?」

 

 つまり愛さんがりなりーから元樹を奪って付き合うってこと……だよね?

 

「そんなの無理だよぉおおおおお!」

「ちょっ、愛ちゃん!」

 

 全力を出して美緒を振り切る。この話題から逃げたい気持ちもあったし、頭を空っぽにしてこの変な気持ちを頭の中からかき消したかった。

 顔が熱い。胸がドキドキする。きっと運動のせいだけじゃない。どれだけ考えないようにしても元樹のことが頭に浮かんでくる。これも全部……あー全然空っぽにできない! いつもならできるのに~!

 

「はぁはぁ……」

「今日は宮下が一番だな。ってどこまで行くつもりだ」

「……え?」

 

 先生の言葉に振り返るとすでにスタートラインを通り過ぎていて、どうやらもうグラウンド3周走り終えていたようだ。負担がかからないようにゆっくりとペースを落とす。

 

「随分と速いペースだったようだがどうかしたか?」

「あはは、ちょっとペース間違えちゃって……」

「……まぁちゃんと走っているようだからなんでもいいが。だが怪我だけはしないよう気をつけろよ」

「はーい!」

「あと先生の話はちゃんと聞くように」

「は-い……」

「あの後もまだ隣と話してたろ。いつもはちゃんと聞いているから今回は許すが、来週はちゃんと聞けよ?」

「はーい、わかりましたー!」

「じゃあ他のやつらがある程度走り終わるまで休んでていいぞ」

 

 うーん、休んでていいって言われてもなぁ。今はもっと体を動かしたい気分だし……壁打ちでもして待ってようかな。

 

「愛先輩、愛先輩」

 

 アタシの名前を呼ぶ声が聞こえ、そちらを見ると元樹がニコニコしながら手招きをしている。さっきの話題のせいもあり顔を見るだけで少しドキドキしちゃうけど、無視するわけにもいかないので元樹のいる木陰まで歩いていく。

 

「愛先輩こんちはー」

「ち、ちーす……」

「……愛先輩?」

 

 どうしよ……何を話せばいいか全くわからない。

 

「どうかしましたか?」

 

 いつものように言葉がすらすら出てこない。こんなの初めて……と、とにかく何か話題を見つけないと。

 

「あっはっはー、先生に怒られちゃったよー」

「ああ、そういえば怒られてましたね。愛先輩でもあんなことあるんだなーと少し意外でした」

「まぁでもああやって怒られたのは初めてかな」

「そうですよね。愛先輩って普段からちゃんと先生の話とか聞いてそうですし」

 

 元樹は……うん、聞いてたり聞いてなかったりしてそうだね。普段はちゃんと聞いてるけど、たまに考え事とかしてて聞いてない時がありそう。勝手なイメージだけどね。

 

「愛先輩はランニングしないんですか? みんな走ってますよ?」

「ランニング? それならもう終わったよ」

「え、もうですか? さすが愛先輩……俺だったら今頃最後尾でひぃひぃ言ってるだろうなぁ

 

 びっくりするくらい体力ないもんね……。でもみんなと一緒にランニングしたり、体力をつけようと頑張ってるから、きっとすぐに効果が出てくると思う。

 

「それにしてもビックリしたよ。今日は合同で体育とは聞いてたけど、まさかそれが元樹のクラスとだなんてさー」

「俺もビックリしました。まさか愛先輩と一緒になるとは……こんな偶然あるんですね」

「元樹にいっぱいかっこいいところ見せないとね。よーし! 愛さん張り切っちゃうぞー!」

「……そういえば、愛先輩がスポーツするところ何気に見たことありませんでしたね。今日は何するんですか?」

「今日はテニスだよ」

「ふーん、テニスかぁ」

「元樹はテニスしたことある?」

「現実ではないですね。テニスゲームなら昔璃奈と何度もやったことあるんですけどね。いやーあれは楽しかったなぁ」

 

 元樹は昔を懐かしむように空を仰いでいる。口元がわずかに綻んでいて、元樹にとって大切な思い出なんだということが伝わってくる。愛さんには幼馴染がいないからわからないけど、りなりーと元樹、ゆうゆと歩夢を見ていると幼馴染というのはお互いにとってとっても大きな存在なんだなーと思わされる。

 

「テニスって楽しいんですか?」

「テニスはすっごく楽しいよ! アタシが教えてあげるから、今度一緒にやろうね」

「ぜひぜひ! 愛先輩の指導があれば俺でもなんとかなりそうです」

「おぉ、嬉しいこと言ってくれるじゃん。このこの~……あっ、そうだ。足の調子はどう? だいぶ良くなった?」

「んー、だいぶ治ってはきましたね。普通に歩くだけなら痛みはないです。保健室で先生に言われたので念のため今日は見学してますけど」

「よかったぁ……実は明日のことちょっと迷ってるんだよね」

「えっと……明日のことっていうのは一緒に運動しようって話のことですよね? 迷ってるというのは……」

「んーとね、運動するかどうか」

「……んへ? もともと運動するって目的でしたよね……?」

「そうだけど、元樹が足怪我しちゃったし……」

 

 足を怪我してるのに運動なんてもってのほかだ。無理に運動した結果さらにひどい怪我をしてしまう可能性だってある。

 

「いやでももうすぐ治りますよ? 明日にはもう完治ですよ? 保健室の先生にも3日で治るって言われましたし」

「でも治ってすぐに運動ってあんましよくないじゃん? だから……」

 

 最後まで言葉を紡ぐ前に元樹が腕にギュッと抱きついてきた。

 

「嫌です! 愛先輩とお出かけしたいです!」

 

 その表情は今にも泣きだしそうで、今まで見たことのないような表情に心をくすぐられる。

 

「……そんなに慌てなくて大丈夫だよ。運動するのをやめるだけで、お出かけまでやめるつもりなんてないから!」

「ほんとですか?」

「ほんとだよ。愛さんも元樹とお出かけして、お互いのこともっと知りたいもん。これから一緒に同好会で頑張っていく仲間だもんね」

「……そうですね。俺ももっと愛先輩のこと知りたいです」

 

 元樹もアタシと同じ気持ちでよかった。

 

「実はアタシの実家がもんじゃ焼き屋さんなんだけど、もしよかったら明日遊びに来ない? 愛さんが美味しいもんじゃをお腹いっぱいご馳走してあげる!」

「へぇ、実家がもんじゃ屋さんなんてすごいですね」

「もんじゃ好き?」

「はい、大好きです」

「よかった。うちのもんじゃは他とはひと味違うから期待してもいいよ」

「それは楽しみです」

 

 本当に楽しみなのか、口の端から少しよだれを垂らしている。そんなに楽しみにされると少し緊張しちゃうなぁ。

 

「そうだ、一昨日話したぬか漬けも一緒に出してあげるね」

「ぬか、漬け? なんの話です?」

「え~、もしかして忘れちゃった?」

「……何のことやらさっぱり。そんな話しましたっけ?」

「……もしかして元樹ってちょっと忘れっぽい?」

「そうかもしれません……」

 

 ちょっと意外かも……元樹って細かい出来事とかも覚えてるーみたいなイメージがあったけど、こんな風に忘れちゃうこともあるんだね。

 

「アタシとの約束は忘れてもいいけどさ、りなりーとの約束は絶対忘れたらダメだからね。りなりーに嫌われちゃうよ?」

「うーん……まぁ気を付けるようにします」

 

 でもきっとりなりーはそんな元樹も含めて大好きなんだろうなぁ。誰よりも元樹との付き合いの長いりなりーが知らないわけないもんね。

 

「さてと、愛さんそろそろ行ってくるね。元樹も楽しそうだからってテニスしちゃダメだよ?」

「そんなことしませんよ……」

「じゃあまた部活でね。バイバーイ!」

「はい、また部活で」

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