【WR】虹ヶ咲RTA_称号『虹の楽園』獲得ルート   作:一般紳士君

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スクスタフェスのりなりーが出なかったので初投稿です。


サイドストーリー Part26/m

 さて、ここからどうしよっかな。さっきもヘッドホンを見たけど、歩夢はオシャレだから一緒に見て回ったらさっきと違った面白さがあるかも! ピンクで可愛いのとかすっごい似合いそうだからつけてみてほしいんだよねー。

 

「……愛ちゃん、少しだけお手洗いに行ってきてもいい?」

「もちろんいいよ。というかアタシもちょっと行きたいかも」

「じゃあ一緒に行こっ」

 

 一番近くのお手洗いは……よかった、あの店の近くにあった。あんまり遠くに行くと元樹達と合流するのが大変になっちゃうもんね。

 

「ん〜……」

 

 さっきからしきりにお腹をさすっている。

 

「大丈夫? もしかしてお腹痛い?」

「う、うん。お昼くらいからちょっと……でも大丈夫だよ」

「そう? でも辛くなったらすぐに言ってね」

「うん! 心配してくれてありがとう」

 

 無理してる感じではなさそうだし、大丈夫そう……かな。

 

「先に出たら入り口の近くで待ってるね」

「うん、愛ちゃんに連絡が来たら先に合流してて」

「わかった」

 

 ちょうど2人分個室が開いてたので、同時に入る。アタシはささっと済ませて、お手洗いから出る。歩夢はまだ出てきてない。さっきはああ言ってたけどやっぱり心配だなぁ。

 

『プルプルプル』

 

 あれ、電話? 元樹からだ。ヘッドホン買い終わったのかな。

 

『……もしもし、元樹ー?』

『あ、愛先輩? 今どこにいます?』

『あー、今は……えー……』

 

 どうしよう、お手洗いとは言わない方がいいよね。でも別の場所に移動すると歩夢が困っちゃうだろうし……。

 

うぅん、なんて伝えたものか……

 

 ここの近くのお店を伝えるといいのかな。2人が来るまでに歩夢が出てくればそれで問題ないし、出てこなかったらお店を一緒に見て、歩夢が後から合流するって形にしたらいいし。

 とりあえずすぐ裏にあるお店でいいかな。一度も入ったことないし、ここからだとどんなお店なのかもわからないけど。

 

『えっとね、3階の〇〇ってお店の隣にいるよ』

『初めて聞く店だ……まぁ侑先輩が知ってるでしょ。今からそっちに向かうのでそこを動かないでくださいね』

『はいはーい』

 

 元樹との電話が切れる。さてさて、2人がこっちに来るまでに歩夢がいない理由を考えておかないとな―。見たいものが違ったから別行動してた、でいいかな。歩夢にも連絡を送って話を合わせてもらわないと。

 

「……あれ、既読がつかない」

 

 歩夢に送ったメッセージに一向に既読がつかない。お手洗い中一切スマホとか見ないタイプなのか、それとも見る余裕がないのか……。うーん、少し心配……。

 

『ごめんね、今メッセージ見たよ!』

『気を使ってくれてありがとう、愛ちゃんの話に合わせるね』

『あと今確認したらもと君から連絡がきてたよ。私で返しておいて大丈夫?』

 

 アタシに電話するより前に歩夢に連絡してたんだ。アタシは前科があるし、歩夢はちゃんと見てくれそうだし、正しい判断だと思うけど……むぅ、なんか複雑。

 

『さっき元樹から電話もらったから、歩夢からは大丈夫だよ』

『うん、わかった!』

 

 よしっ、これで歩夢と口裏合わせはできた! あとは2人が来るのを待つだけ、なんだけど……来ないなぁ……。さっきの電話からそれなりに時間が経ってるし、あのお店からそこまで遠くはないはずなんだけど……もしかして迷子? 歩夢が戻ってくる時間ができるのはありがたくはあるけど、今度は集合が大変になっちゃうなぁ。とりあえず元樹にメッセージ送ろうかな。

 

「あっ、愛ちゃん!」

「ゆうゆ!」

 

 メッセージを打っているとゆうゆがアタシを呼ぶ声が聞こえた。顔を上げると早歩きでこちらに向かってくるゆうゆと、そんなゆうゆに手を引かれた元樹がいた。

 

「それで、なんでゆうゆは元樹を引っ張ってるの?」

 

 ゆうゆの顔はちょっと赤いし、元樹はちょっと不満そう? うーん、何があったのか読めないなぁ。

 

「いやー、もと君が悪さばかりするからさー」

「いやいやいや、悪さなんて何もしてないですよ。ちょっとイタズラしただけじゃないですか」

「うん、それを悪さって言うんだよ?」

「んー、何したのかは知らないけど、あんまりゆうゆにイタズラしちゃダメだよ? 優しいからってやりすぎちゃうと怒られて見放されちゃうよ」

「さすがに見放しはしないけどね。でも怒りはするかも」

「ほんとですかぁ? 侑先輩が怒ってるとこ見たことないですけど」

 

 確かに。ゆうゆっていっつもニコニコしてるから、怒ってるところのイメージがつかないなぁ。

 

「試しに怒ってみてくださいよ」

 

 すっごい無茶ぶりするなぁ。ゆうゆも苦笑いして困ってるよ。でもゆうゆが怒ってるところはアタシもちょっと見てみたい。

 それはそれとして、歩夢大丈夫かなぁ。なかなか出てこないし……心配だなぁ。

 

「試しにって言われてもなぁ。特に怒りたいこともないし……」

「じゃあ……侑先輩が取っておいたアイスを俺がうっかり食べちゃった、ってシチュエーションで怒ってみてください。はい、3、2、1、キュー」

「えぇ!? えぇっと……もうっ、勝手に食べちゃったの? しょうがないなぁ……代わりに今度クレープおごってね? それで許してあげるっ!」

「ゆうゆの怒り方めっちゃかわい~!」

「えー、結構真剣に怒ったつもりなのに……」

 

 頬をぷくーっと膨らませて怒った後、上目遣いでおねだり。そして最後に満面の笑み。もう怒ってるとは言えない気がするけど、まぁ可愛かったしなんでもいいよね!

 

「ところで、歩夢先輩はどこにいるんです?」

 

 きちゃった……でも大丈夫! さっきいっぱい考えたもんねー。

 

「あーっと、歩夢はねぇ……」

「もしかしてまだお会計中ですか?」

「お会計って何のこと?」

「とぼけなくても大丈夫ですって。ほら、あそこの下着屋さんで買い物してたんですよね?」

「へっ!? な、なんで下着!?」

「だって愛先輩があの下着屋さんの近くで集合って言ったんじゃないですか」

 

 そうやって指差したお店は、確かにアタシが指定したお店だ。そっか、あそこ下着屋さんだったんだ……。これはちゃんと確認しなかった愛さんのミスだなぁ……。でもそれはそれとして、元樹にはちゃんとデリカシーは教えないといけないかな。

 

「こんな場所に呼んだってことは、あそこで買い物してたってことですよね?

「ちょっともと君……」

「あーいやそうじゃなくてぇ……」

「ちなみになんですけど、愛さんはどんな下着をむぐむぐ」

「あぅ……」

 

 ゆうゆが元樹の口を押えて止めてくれたけど、もうこれ以上はアタシのメンタルがもちそうにない。特に今日はジョイポリに続いて2回目だし。

 

「歩夢、ごめん! 歩夢は今お花を摘みに行って、ます……」

「お花? ……ああ、なるほど」

 

 さすがの元樹も、その言葉が何を意味するかは知ってるみたい。でも知ってたせいで歩夢のことがバレちゃった。ふぅ、後で歩夢に謝ろう……。

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 

 侑ちゃん、もと君とうまくいってるかなぁ。2人きりになってからかなり時間が経ってるから、何かしら進展はあったと思うんだけど……。

 

 愛ちゃんにはほんとうに申し訳ないけど、侑ちゃんのために少しだけ嘘をついちゃった。ほんとはもと君からの連絡はすぐに気づいてたし、愛ちゃんからの連絡にも気づいていた。でも侑ちゃんともと君が2人きりになる時間を少しでも増やすために、もと君からの連絡は心を鬼にして気づいてないふりをして、愛ちゃんへの返信はタイミングを少し遅らせた。

 こんな感じに私達と連絡がとれないようにすることで、2人で困ったねーって言い合って、吊り橋効果で仲が進展して……吊り橋効果になるのかなぁ?

 あと今更だけど、計画に穴がいっぱいだよね。私じゃなくて愛ちゃんの方に最初連絡する可能性ももちろんあったわけで……今回こんなにうまくいったのはたまたま。とっさに思いついた計画だから、あまりにも運任せなものになっちゃった。

 

 ちなみにお腹が痛いのは本当のこと。お昼にいっぱい食べちゃったからかなぁ……。ずっと愛ちゃんを1人にさせちゃってるからそろそろ出ていきたいけど、まだ少し痛みが治まらない。もと君に知られちゃうのは恥ずかしいから、2人が愛ちゃんと合流するまでには出たいよぉ。

 

『愛先輩と合流したので、トイレの前で待ってます』

『急いではないので、ゆっくり出すもの出してきてください』

 

 もと君から連絡が来た。3人が合流したらしいことと、ついでに私がお手洗いに行っていることもバレちゃったみたい。愛ちゃんの考えてくれたストーリーは完璧だったけど、もと君って変なところで勘がいいから……。それはそれとして、もと君は後でお説教だね。少し前にデリカシーについてお話ししたばかりなのに……。

 

「よしっ、出よう」

 

 調子が良くなってきたので、スカートを履きなおして個室を出る。ずっと占領してるのも申し訳ないもんね。

 

「皆おまたせー。遅くなっちゃってごめんね」

 

 お手洗いから出ると、侑ちゃん、もと君、愛ちゃんの3人がワイワイと楽しそうに話していた。いいなぁ……。

 私が出てきたことに気づいていなさそうだったので、近寄って声をかける。

 

「あ、歩夢先輩おかえりなさい」

 

 一番最初に反応してくれたのはもと君。声をかけた瞬間バッと振り返って、飛びつくように近づいてくれるのが子供みたいでとっても可愛い。

 

「そうだ、折角なので歩夢先輩も怒ったふりしてみてください」

「怒ったふり……?」

 

 何の話だろう。歩夢先輩『も』ってどういうこと? 私がいない間にどんな会話をしてたの……?

 

「ごめん、少しだけ元樹に付き合ってあげて?」

 

 愛ちゃんが耳元で囁いてくる。言い方から察するに、侑ちゃんや愛ちゃんが怒るところを見てみたいってもと君が言い始めたのかな。

 

「う、うん。よくわからないけど、とりあえずやってみるね」

 

 怒るって言われても、具体的にどんな風にするといいんだろう……。さっきのデリカシーの話をしてもいいけど、あんまり大勢の前ではしない方がいい話だよね。あと私も恥ずかしいし……。

 

「シチュエーションはどうしよう……ずっと食べ物ばかりで飽きたんで、別のにします。そうだなぁ……俺と歩夢先輩が付き合ってるって前提で、俺が誰かと浮気してるのが歩夢先輩にバレた、ってシチュエーションで」

「もと君が私の恋人で、だけどもと君が他の女の子と浮気しちゃうんだね。辛いシチュエーションだけど頑張ってみる」

 

 大好きな人に浮気されるって考えただけでも心が痛い。それにもと君に無自覚に恋してる侑ちゃんの前で、もと君の恋人役を演じるというのもかなり困る……。もし私と侑ちゃんの立場が逆だったら、絶対侑ちゃんに嫉妬しちゃう。でも任されちゃったならやるしかないよね……?

 もと君が浮気してるところを見つけちゃった、ってシチュエーションが一番わかりやすいよね。肝心の浮気現場だけど……女の人と一緒に出かけてるだけ、じゃ証拠として少し弱いかなぁ。この程度ならまだもと君のこと信じてあげたいし……。もっと決定的な証拠……あ、キスしてる現場とか! あとはえ、えっちしてるところとか……ド、ドラマで見たシチュエーションだから! 別に私の思考がえっちなんじゃなくて、ドラマで見たことあるから想像しやすいかなーって思っただけだから!

 浮気相手はどうしよう。具体的なイメージがあった方が怒りやすいよね。もと君の浮気相手だったら一番ショックな人……璃奈ちゃん? でもショックだけど、浮気相手として納得してしまいそうで、逆にショックが薄れちゃう気も……ぁ、侑ちゃんだった時が一番ショックかも……。私と付き合ってるのに、私の幼馴染の侑ちゃんと浮気してるなんて、絶対にもと君のことを許せない。

 うん、私の中で状況は決まった。もと君と侑ちゃんがえっちしてるところを私が見ちゃう。この状況を想定して、もと君に対して……

 

「すぅ……もと君、なんで浮気なんてしたの? 私という彼女がいるのにどうして? 大好きだったのに……ずっと好きでいてもらえるように、もっと好きになってもらえるように、いっぱいいっぱい努力もしたのに、どうして侑ちゃんと……しかも私がすぐ隣にいる侑ちゃんの部屋で、エッチなことまで。ねぇどうして? いつも言ってくれたよね、大好き、愛してる、ずっと一緒にいたいって。昨日もいっぱいいっぱい愛してくれたよね。いっぱい抱きしめてくれたし、キスもエッチも私が満足するまでしてくれたよね。今までの言葉は、行為は全部嘘だったの? それとも私のこと嫌いになっちゃったの……? 私にダメなところがあるなら全部教えて? ちゃんと直すから、してほしいこと全部してあげるから、あなたの大好きな私になるから……だからお願い、嫌いにならないで? …………あ、そっかぁ。私の大好きな気持ちがもと君に全然伝わってなかったんだぁ。だからこんなつまらないことしちゃったんだよね。ふふっ、大丈夫だよ。もと君が悪いんじゃなくて、私の伝え方が悪かっただけだもん。はぁ、想いを伝えるのって難しいなぁ。……さて、侑ちゃんとのお別れは済んだよね。じゃあ行こっか。え、どこにって? 決まってるでしょ。誰にも邪魔されず、私ともと君が2人きりでずっと一緒にいられるところだよ。うふふ、怖がらなくてもいいのに。いつもみたいに、一緒に起きて、一緒にご飯食べて、一緒にお風呂に入って、いっぱい愛し合って、一緒に寝る、そんな毎日を過ごすだけだよ。毎日一緒に過ごしたらきっと私の気持ちも伝わると思うから。ちょっと気持ちが早いかもしれないけど結婚生活と同じだよ。本物の結婚式は開けないかもしれないけど……ウェディングドレス着て、もと君と一緒に歩きたかったなぁ。学校? そんなの行く必要ある? そんなところに毎日毎日行ってたらもと君に悪い虫がついちゃうでしょ。現にこうなってるんだから。浮気するたびに怒るのは私もヤダもん。私はもと君とずっと仲良く、何事もなく、平和に過ごしていたいの。今まではできてたんだからできないってことはないでしょ。ほら、この写真見て。いつ撮った写真か覚えてる? あっ、覚えててくれたんだ、嬉しいなぁ。私たちが付き合って、初めてデートに行った時の写真だよ。懐かしいなぁ。あの時はお互い恥ずかしくてまだ手すら繋げなかったよね。それでも一緒の時間を過ごすだけで幸せで、大好きで溢れていて、私にとっては今でも大切な思い出だよ。2人であの頃みたいな気持ちからやり直さない? そうすればきっと今度こそうまくいくと思うんだ。……もうっ、なんで逃げようとするの? 力で私に勝てないってわかってるのに。ねぇ、どうして私の気持ちわかってくれないの? 私はただもと君と一緒にいたいだけ、もと君の一番でいたいだけなのに……どうしてもわかってくれないのなら、いっそ今ここで……なーんて、どうだったかな?」

 

 臨場感を出すために、もと君に近づいて、下を向いてあえて顔を合わせないように演じてみた。でも逆に怒ってる感が出なかったかも……。それにちょっと気持ちが乗りすぎて刺すふりをしちゃったけど、これはやりすぎだったのかなぁ。チラッともと君の反応を伺うと、冷や汗をかきながら視線をあっちこっち移動させていた。

 

「歩夢先輩、怖かったです……」

「そうかな? 自分ではあんまり自信はなかったんだけど……」

「うん、すごく怖かった。うん……ねぇ?」

「傍から見てるだけでも怖かったもん。ちょっと……けど

 

 侑ちゃんと愛ちゃんも怖がってくれたみたい。えへへ、ちゃんと演技できててよかったぁ。

 

「元樹大丈夫?」

「いや、ちょっとダメかも……」

 

 ブルブルと小刻みに体を震わしたもと君が、体を寄せて泣きついてくる。少しやりすぎちゃったかなぁ? 頭を撫でると、胸に押し当てるように顔をすりすりして甘えてきた。可愛いなぁ。可愛いけど……周りにいっぱい人がいるから、少し恥ずかしいかも……。




ずっと愛さん視点の予定だったけど、後半は歩夢視点も面白そうだったので。
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