【WR】虹ヶ咲RTA_称号『虹の楽園』獲得ルート 作:一般紳士君
Part53ではエマさんは果林さんの部屋に行ったことがない設定で書いてました。
でもPart32を見返したら、なんとエマさんが果林さんの部屋に行ったことがある発言をしているんですね。
どうやらこの世界には果林さんの部屋に遊びに行ったことがあるエマさんとそうでないエマさん、少なくとも2人がいるようです……怖いですね……。
「元樹君、おはよー」
「おはようございます。……エマ先輩の私服初めて見たけど似合ってますね、可愛いです」
「ありがとー。元樹君も似合ってるよ」
元樹君と会ってから結構経つけど、こうやってプライベートで遊ぶのは初めてだなぁ。私服姿はすごく新鮮だ。
「果林先輩は一緒じゃないんですか? もしかして不参加?」
「えっとね、実は元樹君に手伝ってもらいたいことがあって……寝起きトックリって知ってる?」
「トックリ……?」
あれ? テレビとかでよく見かけるけど、実はそこまで有名じゃないのかな? うーん、どう説明すればいいんだろう……。
「ああ、もしかしてドッキリのことですか?」
「そう、ドッキリ! 果林ちゃんに寝起きドッキリをやってみたくて……手伝ってくれる?」
「うーん……いいですよ。寝起きの果林先輩とかちょっと気になりますし」
「ありがとう! それじゃあ早速果林ちゃんのお部屋に遊びに行こ!」
元樹君を連れて寮の中へ戻る。男の子を連れているからか、すれ違う人が皆元樹君を怪訝な目で見ている。仕方のないことだけど、元樹君自身は特に気にする様子もなくあくびをしてるから大丈夫そう、かな?
「ところで、どうして急にドッキリを? なんかテレビでも見ました?」
「えへへ~バレちゃった。昨日テレビで見てね、やってみたくなっちゃったの!」
「あー、なんかやってましたね。ドッキリのスペシャル番組みたいなの。見てないですけど。何か道具とか使うんですか?」
「ううん、時間がなくて何も用意できなかったの……本当はテレビみたいに、バズーカでこうバーンってしたかったんだけど……」
ネットで調べてみたけどすぐに届くものはなかったし、何より簡単に手を出せるような値段じゃなかったし……。一度でいいからあんなことやってみたいなぁ。
「まぁバズーカは用意しなくて正解ですね。部屋が散らかるだけですし。あとうるさいし」
それもそっか。朝だから近くの部屋の人の迷惑になっちゃうし、この後ピクニックに行くのに片付けしてる時間なんてないもんね。
「果林ちゃん、ちゃんと寝てるかな……」
「まぁ寝てるんじゃないですかね。なんとなーくですけど、果林先輩私生活だらしなさそうだし」
「それ、果林ちゃんに言ったらダメだよ?」
「もちろん」
真実はわからないけど、そんなことを言われて喜ぶ人はいないだろうし。
「ここが果林ちゃんのお部屋だよ。果林ちゃん、おはよー」
ドアをノックし声をかけてみる。けどいつまで経っても果林ちゃんから返事は返ってこない。
「うん、まだ寝てるみたい」
「プランはどうします? ドッキリ大成功のプラカードは持ってるので、果林先輩が起きたらバーンと出しますね」
「うん、よろしくね」
明らかに元樹君のカバンにしまうことができるサイズではないプラカードだけど、いつものことだからどう持ち運んだのか聞くのはやめよう。手品としか答えてくれないし……すっごい収納術があるなら教えてほしいんだけどね。
「それじゃあ果林ちゃんのお部屋に入ろう。果林ちゃんが起きないようそぉっとね」
「あいあいさー」
物音で果林ちゃんが起きないように気をつけながら、そっと玄関のドアを開ける。一番最初に視界に入ってきた景色は玄関でバラバラに脱ぎ捨てられた靴。廊下は綺麗だけど……。
「うっわ」
「わっ、すごい散らかってる……」
少し前に玄関だけ覗かしてもらったことがあるけど、その時はこんな状況じゃなかった。
「整頓したい……」
確か元樹君はA型だったかな? A型だからこういうのが気になっちゃうって前に言ってた気がする。あまり詳しくは知らないけど、日本では血液型と性格に何か関係があるみたい。
かくいう私も直したくて直したくて仕方がない……きちんと1足1足並べて、使わない靴は靴棚にしまいたい。
「えっと、とりあえず果林ちゃんを起こさないと……」
「あい」
果林ちゃんの部屋に足を踏み入れると、中はさらにひどい散らかりようだった、雑誌や服がありとあらゆるところに散乱している。こんな状態だと下着の1つや2つ置いてありそうで心配になる。
「……まあドッキリには影響なさそうですし、気にせず行きましょう」
元樹君の言葉に軽く頷き、床の物を踏まないよう気をつけながら忍び足で近づく。
「すぅ……すぅ……」
「果林先輩、可愛い……」
果林ちゃんの寝顔にときめいたのか、顔を赤くしながら近くで眺めたり写真を撮ったりしている。果林ちゃんが知ったら怒りそう……でも気持ちはわかる。気持ちはわかるけど……ほんの少し、ほんの少しだけ、果林ちゃんに夢中になっている元樹君にムッとしちゃう。
「ドッキリってどうすればいいのかな?」
「え?」
「普通に起こしても大丈夫なの?」
「んー。普通に起こしてもいいけど、やっぱり何かひと手間ほしいですね。クラッカー持ってるんですけど使います? こうパーンって」
「面白そう! ありがとう、元樹君」
よくパーティーとかで見るような手のひらサイズのクラッカーを1つ受け取る。プラカードもだけど、どういう目的でこんなものを持ち歩いているのかな……。
「それじゃあいくよ……えいっ」
2人で同時にクラッカーを鳴らす。パンッという音が響くとともに、果林ちゃんが勢いよく目を覚ました。
「でっででーん」
「っ! な、なにっ!?」
「果林ちゃん、おはよう」
……あれ? 反応が返ってこない……ドッキリだって気づいてないのかな?
「えぇと、こういう時は……ドッキリだいせいこ~う! ……で合ってるのかな?」
「合ってますよ。それを言えば日本ではなんでも許されます」
「え? ……え?」
「……果林ちゃん?」
果林ちゃんの様子が少しおかしい。元樹君をじっと見つめた状態に固まった後、顔を真っ赤にしてわなわなと震えだした。そんなに元樹君に会えて嬉しかったのかな? 2人とも仲良いもんね。一緒に動物園に行く約束をしてたり。
「果林先輩どうかしました? おしっこですか?」
「な、なんで元樹君がここにいるのよっ!?」
「うぉっと、危ない。プラカードがなければ即死だった」
果林ちゃんの手からすごい速さで枕が飛んでゆく。ギリギリで手のプラカードで防いでいたけど、あの速さの物がぶつかったら枕だったとしてもすごい痛そう……。
「寝起きドッキリでビックリしちゃいました?」
「ビックリするに決まってるわよ! 目が覚めたら元樹君が目の前に、変なものを持って立っているんだもの……」
「元樹君と仲良しさんだから喜んでくれるかなって思ったんだけど……」
「いくら仲良しでも、部屋の中だったり寝顔を見られるのは恥ずかしいのよ……それが異性なら尚更」
「そう?」
わたしだったら、起きてすぐ元樹君に会えたら嬉しくなっちゃうのになぁ。
「それで、今日は何の用なの?」
「そうそう、今から元樹君達と一緒にピクニックに行くんだけど、果林ちゃんも一緒にどう?」
「そうなのね……お誘いは嬉しいけど、今日は撮影があるの。だから行けないわ」
「そっかぁ……」
お仕事があるなら仕方ないよね……モデルさんのお仕事も想像以上に忙しいみたい。
「えー、果林先輩も一緒に行きましょうよ。うぇーんうぇーん」
「泣いたふりをしてもダメなものはダメなのよ」
「そうだよ。あまりわがままばかりだと果林ちゃんが困っちゃうよ」
「それ以前に今この状況に困っているのだけど……」
「そうですか? 俺は楽しいですよ? 足の踏み場には困ってますけど」
そう言った元樹君は楽しそうにしながら果林ちゃんの隣に腰を下ろす。そして甘えるように果林ちゃんの肩に頭を乗せた。果林ちゃんも困ったような顔はしつつも、どこか嬉しそうに受け入れている。
「2人とも、いつの間にかすっごい仲良しさんだね」
「まぁ仲は悪くはないと思うけど……」
「お似合いだね!」
「え、ちっ、ちが……元樹君とはそういう関係じゃないのよ!」
「え……仲良しさんじゃないの……?」
果林ちゃんは顔を真っ赤にして否定しているけど、元樹君はどこか楽しそうにニヤニヤしている。今の2人の姿を見ていると、とても仲良しじゃないなんて思えない。
「仲良しだけど、そういう関係じゃないの。ほら、元樹君からも言ってあげて」
「えー、でも俺達秘密の関係じゃないですか。誰にも言えないような秘密を持った……ね。これって実質付き合っているようなものだと思いませんか?」
「ち、が、う、わ、よ」
「いふぁい……かりんへんはい、いふぁいれふ」
怒った果林ちゃんが元樹君の頬を引っ張っている。アニメだとたまに見る光景だったけど、実際にする人もいるんだ、と妙な感動を覚える。怒っている果林ちゃんも、痛そうにする元樹君もどちらも楽しそう。やっぱりすごくお似合いだ。
「痛いなぁもう……もし俺が本当に果林先輩とそういう関係になりたいと思ってたらどうするんですか? ひどい仕打ちですよ」
「からかう気満々な顔してたわよ」
「ありゃ、バレちゃいました?」
わたしを忘れてしまったかのように2人で笑い合う姿に少しだけ嫉妬してしまう。2人は出会ってまだ1週間くらいなのに……わたしの時は1週間で元樹君とこんなに仲良くなれてたかな?
「ふふっ、やっぱりお似合いだね」
「あのねエマ、お似合いって言葉は恋人や夫婦の人達に使う言葉で、友達同士にはあまり使わないのよ」
「えっ、そうなの?」
「そうですね。友達関係の人たちにはあんまり使わないですね」
「そうなんだぁ、日本語って難しいなぁ……」
だから元樹君はあんなにニヤニヤ……間違った使い方をするわたしを見て楽しんでたんだ、むぅ……。
「まったく、元樹君が悪ノリするから」
「だってこんな足の踏み場もないような汚い部屋に上がらされたんですもん」
「勝手に上がられたのだけど……まぁいいわ。元樹君だし、なによりエマと一緒だったし」
「エマ先輩はともかく、随分俺のことを信用してくれてるんですね。その気になれば寝起きの果林先輩を襲うことだって……」
「信頼してるに決まってるでしょ。一緒に撮影をした仲じゃないの。それに、誰も知らない元樹君の可愛い秘密、私にだけ教えてくれたからね」
「元樹君の秘密?」
「エマ先輩は知らなくてもいいんです。果林先輩も言わないでください。足の指でもなんでも舐めますから」
「えぇ~可愛い秘密って言われたら気になっちゃうよ~」
あの元樹君がこんなに慌ててしまうような秘密って何なんだろう……最近おねしょしちゃったとかかな?
「うふっ、エマも気になるのね。実は……ってそんな必死な顔しなくても言わないわよ」
泣く寸前の表情で懇願するかのように果林ちゃんを見つめている。
「……こんな元樹君初めて見たかも。可愛いね」
そう呟くと元樹君の顔が一気に真っ赤に染まり、ぷしゅ~と湯気を出しながらふらふらと果林ちゃんの上に倒れ込む。そして甘えるかのようにギュッとしがみつく。
「あら、照れちゃったみたいね」
「元樹君ってこんなに甘えんぼさんだったんだ……」
「この子も1年生だもの。まだまだ甘えたいお年頃なのよ」
確かに、しずくちゃんやかすみちゃんと一緒にいる時はお兄ちゃんっぽい振る舞いだけど、歩夢ちゃんと一緒にいる時は少し子供っぽいかも……。
普段はマネージャーらしく支えてくれたり、部長らしく引っ張ってくれたりしてくれているけど、果林ちゃんの言う通りまだ1年生だもんね。彼方ちゃんもただ元樹君に甘えているだけのように見えて、実は元樹君が甘えやすいような空気を作っているのかもしれない。わたしも元樹君にいっぱい甘えてほしいなぁ。
それはそれとして、そろそろ気になっていたことを果林ちゃんに確認しないといけない。
「ところで果林ちゃん……果林ちゃんのお部屋、いつもこんな感じなの?」
「……たまたまよ」
「ほんとに?」
そう問いかけると果林ちゃんはぷいっと目を逸らす。どういうわけか元樹君まで顔を背ける。
「果林ちゃん、わたしの目を見て話して」
「……私、部屋の片づけとか苦手なのよ」
「まぁでしょうね。こんな無残に放り出された服とか、適当に散らかった雑誌とか見てるとね、当然そうだろうなと思いますよ」
「少し棘を感じる言い方だけど、まぁそうね」
「……果林ちゃんのお部屋、わたしが片づけしてもいい?」
「それは……ってなんでそんなワクワクしてるのよ」
「スイスの妹たちのことを思い出しちゃったの!」
日本に来てしばらく経ったからか、それとも少し前までスイスに帰っていたからか、時々ホームシックというか妹たちのように誰かをお世話したくなる時がある。彼方ちゃんを膝枕してあげるだけでは満足できない時もいっぱいある。果林ちゃんのお部屋掃除ならわたしの欲求を満たせるかもしれない。
「果林ちゃん、ダメ……?」
「……たまになら」
「やったっ、じゃあいまから片付けしてもいい? いいよね?」
「今日はやめておいた方がいいんじゃないかしら。これからピクニックに行くんでしょう?」
「そうですよ。エマさんがいないと困っちゃいます」
「あ、そっか……じゃあ今度お片付けするね。その時は元樹君も一緒にどうかな?」
元樹君は掃除が好きそうな感じだったし、喜んで来てくれるんじゃないかな。果林ちゃんも元樹君が来たら喜ぶだろうし、わたしも元樹君に会えたら嬉しいし。
「行きたいですけど……果林先輩的にはOK?」
「いいわよ。ちゃんと事前に教えてくれるならね」
「やったぜ。じゃあ毎日果林先輩の部屋に入り浸りますね」
「毎日来てくれるのは嬉しいけど、さすがに寮長に怒られるわよ?」
「それなら元樹君も寮に住んだらいいんじゃないかな。それなら毎日一緒にいられるね」
建物自体は別だけど、すぐ近くだからいつでも遊ぶことができる。わたし達が元樹君の部屋に遊びに行くこともできるもんね。
「うーん……」
「さすがに難しいんじゃないかしら……」
「そうですね……そんな気軽に引っ越せないし、そもそも遠方じゃないから入寮審査通らないだろうし。あと璃奈に会えなくなるし」
「そっかぁ……元樹君、璃奈ちゃんのこと大好きだもんね」
「もち」
わたしは幼馴染なんていないから元樹君達が羨ましいなぁ。何も言わなくても通じ合っているような、友達とも恋人とも違った関係性に憧れる。
もしわたしにも幼馴染がいたなら、元樹君みたいにスクールアイドルの道を応援してくれたかな。もしかしたら日本まで一緒に来てくれたかもしれない。どこまで行っても妄想でしかないけど、やっぱり幼馴染という存在には憧れてしまう。
「……2人とも、そろそろ出なくていいの?」
「あっ、そろそろ時間だね。でもまだ荷物をまとめられてなくて……少し待ってもらってもいい?」
「いいですよー。エマさんの部屋についていけばいいですか?」
「それなら、エマの準備が終わるまでここでゆっくりしていきなさい。話し相手くらいにはなってあげるから」
「やったー、果林先輩好き~」
よほど嬉しいのか、果林ちゃんのお膝に頭を乗せたまま足をパタパタとさせる。よっぽど果林ちゃんに懐いてるんだね。仲良しさんなのはいいことだけど、なんだか寂しいな……わたしにはこんなに懐いてくれてないから……。
「ありがとう果林ちゃん。急いで準備してくるから待っててね!」
逃げ出すように果林ちゃんの部屋を後にする。どうしてこんな気持ちになっちゃうんだろう……。
「あっ、エマちゃん! さっきの男の子はどうしたの?」
「えっ?」
「エマちゃんが男の子を連れ込んだって話題になってるよ」
「さっきちらっと見たけどカッコイイ子だったよねー」
皆元樹君のこと見ていたけど、怪しんでたんじゃなくてそういう風に思ってたんだ……少し安心しちゃった。確かに元樹君はカッコイイよね。わたしもすごくそう思うし、同好会の皆も、特にしずくちゃんがよく言っている気がする。
「たしか雑誌のモデルさん? 来週発売される雑誌にあの子に似た人が載ってた気がする」
「あっ、私も見た! 期待の新人だってSNSで少し話題になってたよね」
「少し前にモデルのお手伝いをしてたからその時のなのかな?」
でもほんの数日前に撮影したばかりだった気が……来週発売なんてすごく早いねー。SNSで話題になるなんて、元樹君すごいなぁ。わたしも絶対に買わなくちゃ。
「……エマさんの彼氏?」
「え、ち、ちちち違うよっ!? 元樹君は同好会のマネージャーで、わたしとはただの友達だから!」
「へぇーそうなんだ。へー……」
「わざわざ寮にまで連れてくる男の子なんだから、てっきり彼氏かと思っちゃった」
そっか、そうだよね……他の人からすれば寮に男の子を連れてきたら彼氏に見えちゃうよね……。
「も、元樹君は今果林ちゃんの部屋にいるから……」
「果林……あ、朝香さんね。朝香さんもモデルだから、えーと元樹君? とお似合いかもね」
「今朝香さんの部屋にいるってことは、もしかして2人きり? ということは……」
「きゃー、2人ともおっとなー!」
ごめんね果林ちゃん。心の中で果林ちゃんを囮にしてしまったことを謝りながら、早々にその場を立ち去る。もし明日学校で果林ちゃんと元樹君の噂が流れてたらどうしよう……2人とも困っちゃうよね。でも短い時間で
「ううん、そんなこと考えちゃダメだよね。どうしようと2人の自由なんだし……」
自室に戻り、少しえっちな方向に行ってしまった思考を振り払う。
「よしっ、まずはサンドイッチの準備をしないと! みんな喜んでくれるといいなー」
もうすぐ7thですね。毎日それを楽しみに頑張っています。