【WR】虹ヶ咲RTA_称号『虹の楽園』獲得ルート   作:一般紳士君

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もういくつ寝ると7thライブですよ。Waku Waku Saturday Morningです。


サイドストーリー Part31/m

「すぅ……すぅ……」

 

 可愛い可愛い後輩が彼方ちゃんのお膝の上で眠っている。いろいろあったけどこんなにすぐに寝ちゃうなんて、よっぽど疲れてたんだね。よしよしと髪を撫でる。

 

「……」

 

 目の前に腰を下ろしたしずくちゃんがジト目でこちらを凝視してくる。さて、この状況どうしたものか……しずくちゃんに譲ろうとしてもと君を起こしちゃったら申し訳ないし……なによりこの天使のような寝顔を他の子に譲りたくない。

 

「むにゃ……かなたしぇんぱい……」

「……」

 

 後輩の可愛い寝言に思わずキュンキュンしちゃうけど、同時にしずくちゃんの火に油を注ぐ寝言でもある。この子はほんとにもう、天使なのか悪魔なのかよくわからないなぁ……。

 

「元樹君スヤスヤだねぇ。彼方ちゃんの膝枕が気持ちいいのかな?」

「だと嬉しいけどねぇ」

「……」

「しずくちゃん、もしかして怒ってる?」

「……はい。元樹君に、少しだけ」

「もと君に? なんで?」

「元樹君が鈍感さんだからです」

「……?」

 

 『私の気持ちに気づいて。私にもっと甘えて。私に膝枕をさせて』ってところかな。確かにもと君は鈍感さんだけど、しずくちゃんももっと直接的な言葉で言ってあげた方がいいと思うんだけどなぁ。

 それはそれとして、エマちゃんと侑ちゃんも鈍感さんだなぁ。きっともと君としずくちゃんはすっごい仲良しくらいの認識なんだろう。

 

「まぁまぁしずくちゃん、気分転換にバドミントンでもして遊ばない?」

「……侑ちゃん、それどこから出したの?」

「もと君のリュックからです!」

 

 うーん、明らかにあのリュックに収まるサイズではないんだけど……四次元ポケットか何かかな?

 

「……遊びます」

「わたしもいい?」

「もちろん! あっちに広いスペースがあるのでそこで遊ぼっか」

「いってらっしゃーい。彼方ちゃんはもと君が起きるまでここで待ってるねー」

「うん。元樹君が起きたら一緒に遊ぼうね」

 

 ふぅ、ひとまず一難は去ったかな。まったく、もと君は女の子周りでのトラブルが多いねぇ。いつも女の子に囲まれてるし、今も可愛い寝顔で彼方ちゃんをときめかせるし……。  

 

「ほんと、罪な男の子だよ。うりうり~」

「うーん……」

「可愛いなぁ、ほんとにもう」

「はむ……」

「ひゃっ!?」

 

 もと君の頬をツンツンしていると、鬱陶しかったのか、彼方ちゃんの指をパクっと口に咥えた。

 

「あむあむ……ちゅぱちゅぱ……」

「だ、だめだよぉ……んっ……」

 

 まるでおしゃぶりかのように指全体をしゃぶられる。時折甘噛みされ、指先を舌でべっとりと舐められる。段々とエッチな気分になってきてしまう……爪と指の隙間を舐められるのが気持ちよくて……こんなところしずくちゃんに見られてしまったら……。

 

「あの、彼方さん……」

「ひゃいっ!?」

「んむっ」

 

 そんなことを思っていたら、狙いすましたかのように背後からしずくちゃんが近づいてくる。びっくりしすぎてもと君の口から乱暴に指を引き抜いてしまった。えっと、指にたっぷりと付着した唾液はどうしよう……いきなりハンカチを出したら怪しまれるし、かといって服で拭くのはやだし……。

 

「彼方さん?」

「んっ! んーんんん?」

「えっと、なんで指を咥えてるんです……?」

「んーと、ちょっと指がかゆくて……」

 

 焦りすぎて指を自分の口に咥えて、自分の唾液で偽装するしかできなかった……んー、自分の判断力の低さが心配になっちゃうなぁ。

 もと君の唾液を飲んじゃうなんてほとんどキスみたいなものだし……嫌ではないけど、恥ずかしいは恥ずかしいし、なんだか変態さんみたいだし…‥言い訳も苦しくてしずくちゃんも怪訝な…‥

 

「って鼻血!? 大丈夫っ!? えっとティッシュと……」

「大丈夫です、シャトルが顔にぶつかっただけなので」

「それは大丈夫じゃないよぉ。ひとまずこれで拭こうか、しずくちゃんの綺麗な顔が汚れてるよ」

「ん、ありがとうございます」

 

 しずくちゃんの鼻の下についた血をウェットティッシュで拭き取る。

 

「しずくちゃんって運動苦手?」

「そんなことはないんですが、球技だけは例外で……いつも顔にボールが飛んでくるんです」

「えっと、バドミントンは球技じゃないよね。何か別の遊びしてたの?」

「いえ、バドミントンをやっていました。彼方さんの仰る通り球技ではないんですが、何故かことごとくシャトルが私の顔に飛んできて……」

「そうなんだ、だから鼻血が出ちゃってたんだね。よしよし、大変だったねー」

 

体育の授業とか大丈夫なのかな。バスケとかサッカーとか、硬いボールを使う球技も結構あるし……しずくちゃんの顔が心配だ。

 

「……なんだか彼方さんに頭を撫でられると落ち着きます」

「そう? よかった。じゃあもっといっぱいなでなでしてあげるね」

 

 本当はもと君になでなでしてもらった方がしずくちゃんも嬉しいんだろうけどねぇ。

 

「元樹君の方が嬉しいんじゃないかー、とか考えてます?」

「へっ? 彼方ちゃん顔に出てた?」

「はい。だって露骨に元樹君と私に視線を送るんですもん」

「えへへ、ごめんね~」

「彼方さんに撫でられると落ち着くのは本当です。でも彼方さんの言いたいこともわかりますよ。だって私は元樹君のこと大好きですから」

「すやぁ……」

 

 本人が聞いていない状況なら、たとえ目の前にいても声に出せるんだね。ライバルもすごく多いんだし、本人に直接言えるようになったらいいんだけどなぁ。

 

「好きだからこそ撫でられると落ち着かないといいますか……こう、嬉しくて嬉しくて興奮しちゃうといいますか……」

「そういうものなの?」

「そういうものなんです。彼方さんも恋をすればわかるようになりますよ」

 

 恋、かぁ……もう高校3年生になっちゃったけど、未だに恋をしたことがないんだよねぇ。しずくちゃんともと君は青春してて羨ましいなぁ。

 

「……彼方さんは元樹君のことどう思ってるんですか?」

「うーん、弟みたいな存在、かな?」

「好き、とかではなく?」

「うん。もちろんもと君のことはだーいすきだけど、それは後輩や友達としての好きで、恋愛的な好きじゃないよ」

 

 恋愛的な好きが全くない、とは言わないけれど。多少なりと恋愛感情がなければ異性に膝枕をしてあげたり、ましてや添い寝やお胸を触らせたりなんてしてあげない。

 

「それは私達に遠慮して、とかではないですよね」

「もちろん」

「それならいいんですけど……」

「どうしてそんなこと聞いたの?」

「彼方さんに、私と同じものを感じたからです。いつもの元樹君への接し方や、元樹君に送る視線がその、恋する乙女のものに見えて……」

 

 まぁたしかに、よく添い寝とかしてたからそう見えてもおかしくないよね。視線についてはよくわからないけど。

 

「彼方さんも同じ気持ちなのに、いつも私の応援ばかりしてもらうのは申し訳ないなと思っていたので……でも違ったのならいいんです」

「しずくちゃんは優しいんだね」

「え?」

「かすみちゃんの時もそうだったけど、ちゃんとライバルとも向き合って、正々堂々と勝負しようとするところがしずくちゃんのすごく優しいところだよ」

「ありがとう、ございます」

 

 彼方ちゃんならきっとそんなことできないなぁ。だって本当に好きな人は独り占めしたいんだもん。無自覚な子が気持ちを自覚する機会をあげるなんて、そんなライバルを増やす行為絶対にできない気がする。

 

「えっと、私そろそろ戻りますね。元樹君もまた後でね。起きたら一緒に遊ぼうね」

「ふが」

 

 元樹君の髪を一撫でした後、しずくちゃんは皆のもとに戻っていった。少し騒がしくしちゃったけど、それでも起きないなんてよほど疲れが溜まっているのだろう。

 本人は璃奈ちゃんとのエッチが原因で寝不足かもって言ってたけど、きっとそれだけじゃなくてもっといろんな疲労が溜まっているはず。肉体的にも精神的にも。彼方ちゃんがいない間も、同好会を元に戻すためにいろいろ奔走してくれてたんだもんね。

 

「ありがとう、もと君」

 

 いつかちゃんとお礼をしないといけないよね。何がいいかなぁ……手作りお弁当とかどうかな。料理には自信があるから、もと君も美味しいって言ってくれるようなお弁当を作れるはず。今度璃奈ちゃんにもと君の好きな食べ物教えてもらおうかなー。

 

「彼方ちゃん、そろそろ交代する?」

「エマちゃん? いつからいたの?」

「えっとね、『ありがとう、もと君』ってところから! 元樹君のこといっぱいなでなでしてたねー」

 

 うわー、恥ずかしいところ見られちゃったかも。ニヤニヤした表情で覗き込んでくる。

 

「えっと、交代ってなんのこと?」

「元樹君の膝枕。ずっと彼方ちゃんがしてくれてるから、そろそろ交代してほしいなーって」

「交代してほしい、なんだね」

「うん! わたしも彼方ちゃんや果林ちゃんみたいに元樹君を甘えさせてあげたいもん」

「果林ちゃんみたいに? たしかにもと君と果林ちゃんは仲がいいけど、あんまり甘えてるイメージがないけど……」

 

 そもそもあまり一緒にいるところを見たことがない気が……この前一緒にモデルさんのお仕事をしていたから、その時の話をエマちゃんが聞いたのかも?

 

「えっとね、実は今日果林ちゃんに寝起きドッキリをしたんだー。その時に元樹君がいっぱい果林ちゃんに甘えててね。肩に頭を乗せたり、膝枕してもらったり」

「ちょっと待って。もしかしてその寝起きドッキリにもと君も参加してたの?」

「もちろん! いろいろアイディアを出してくれて、クラッカーも貸してくれたり楽しそうにしてくれたよ」

「うん、もと君が楽しそうなのはいいんだけど……果林ちゃん怒ってなかった?」

「少しだけ怒ってたかも……元樹君に枕が飛んでたし」

 

 実際に手が出てるって、それは結構オコなんじゃ……でも果林ちゃんの気持ちもよくわかる。同じ状況だったら彼方ちゃんも同じことをするかもしれない。だって男の子にスッピンの寝顔を見られるのは恥ずかしいもん。

 

「まぁそれは置いておいて、もと君果林ちゃんにそんなことしてたんだね」

「そうなの。なのにわたしにだけ甘えてくれないんだよ? 果林ちゃんにも彼方ちゃんにも甘えてるのに……それが少し寂しくて……」

「なるほど~。エマちゃんはもと君にもっと甘えてほしいんだね?」

「うん。わたしにだけ甘えてほしいなんて言わないけど、いろいろ甘えてほしいの。ぎゅーは恥ずかしいけど、膝枕ならいっぱいしてあげられるもん」

「多分もと君はエマちゃんに甘えていいのかわかってないんじゃないかな?」

「そうなの?」

「多分だけどねー。昔は彼方ちゃんにも甘えてくれなかったんだけど、一度膝枕をしてあげたらそれ以降いっぱい甘えてくれるようになったんだー。甘えてもいいってのを教えてあげると、いっぱい甘えてくれるようになるんだと思うよ」

「そうだったんだぁ。なら後で元樹君に膝枕してあげようかな」

「うん、それがいいよ」

 

 とはいえ、今交代するともと君が起きちゃうかもしれないから、もと君が目覚めてからのバトンタッチだけどね。

 

「……可愛いね寝顔だねぇ」

「そうだねぇ、わかるよー」

「果林ちゃんにも見せてあげたいねぇ」

「じゃあ写真で送ってあげる?」

「そうしよっか」

 

 もと君が目覚めるまでの間、いくつか寝顔を写真に収め、厳選した数枚を果林ちゃんに送ることになった。ちなみにこのことがもと君にバレて、少しの間口をきいてくれなくなったのはまた別のお話。




実は彼方さんのサイドストーリーは初めてだったり。
次回もサイドストーリーなので、本編の続きが投稿されるのは114514ミリ後になります。
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