回路焼付機様、ジンギ様、シンナイト様、okara様、フツーのテートク様、MaoAl様より評価9
茜。様、mothi様、爆裂斎様、稲村 リィンFC会員・No.931506様、匿名既望様、朱点様より評価8
藤堂伯約様より評価7
SEVEN様より評価5
を頂きました!
久々の更新ですね
他の作品の執筆が忙しくて中々更新出来ずに申し訳ありません…
──中央暦1639年1月24日、ロデニウス大陸東方沖──
いくつかの雲が青空に浮かび、程よい風が吹く絶好の航海日和。
何時攻めてくるか分からないロウリア王国海軍の軍艦を警戒しつつも、どこか長閑な哨戒活動をしていたクワ・トイネ公国海軍所属の軍船『ピーマ』は巨大な島を前に帆を畳んでいた。
否、正確にはピーマの前にあるのは島ではない。
全体的に直線が多く、地表は大きな段差がある以外は殆ど平坦であり、外周部は砂浜や磯が無い反り返った断崖絶壁のようになっており上陸なぞ出来そうにない。
というか明らかに人工物であろう事が見て取れる。
「これは…船…なのか…?」
口寂しさを紛らわせる為に咥えていた火の点いていないパイプを甲板に落としぎこち無い言葉を紡ぐのは、ピーマの船長であるミドリだ。
彼の部下であるピーマの見張り員が海図に載っていない島を見付けたと報告してきたのが凡そ1時間程前。
その報告を受けたミドリは、対ロウリア海軍戦の拠点になるかもしれないと判断し、上陸しての調査を命じたのだ。
しかし、島に接近するにつれてその"島"は向きを変えて向こうから近付いてきた。
「動く島なんて聞いた事ないぞ」
「まさか、デカい海魔じゃないのか?」
「リーン・ノウのエルフから聞いた事があるんだが…魔帝には海に浮かぶ城があるって…」
当直の水兵のみならず、夜勤明けで寝ていた水兵までも甲板に上がって"島"を眺めて口々にその正体を推測している。
「皆、落ち着け。自然界にはあんな直線や真っ平らな物はそうそう存在しない。おそらくは人工物…船だろう。君、あの船からの応答は?」
「ありません。先程から何度も呼び掛けているのですが…」
未知の存在を前にして徐々に広がる不安を払拭する為に自らの考えを示し、水兵達を落ち着かせつつも通信士に問いかけるミドリ。
しかし、操舵輪の隣に置かれた魔信を操作する通信士は、半ば諦めたようにそう応えた。
「ふむ…もし、あれが船だったとしたら相当高い技術力を持った国家の持ち物だろう。となればムーか神聖ミリシアル帝国か…しかし、魔信が通じないというのは…」
《あー、あー。そこの帆船、聴こえますか?言葉は通じますか?聴こえて通じるのであれば、帽子を振って下さい》
この世界における標準的な通信手段すら受け付けない相手にどうコンタクトを取ろうか考えていたミドリだが、彼の心配は直ぐに払拭された。
まるで巨人が話すような大音声が"島"から鳴り響いたからだ。
「や、やっぱり人が居るのか!?」
「なんてデカい声なんだ!」
「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」
「落ち着け!…こうか?」
慌てふためく水兵達を一括して鎮めたミドリは、声に従って帽子を取ると頭の上で仰ぐように大きく振った。
《……。ありがとうございます。言葉が通じるのでしたら一安心です。そちらに指向性マイクを向けるので、そのまま話されて下さい》
"シコウセイマイク"とは何だろうか?そんな疑問はあるが、ともかく話をしなければ埒が明かない。
「こちらはクワ・トイネ公国海軍所属のピーマである。そちらは?」
《こちらは、アーク船団所属の護衛空母イズモです。我々はフォールド断層に落下し、偶発的にこの惑星に降下してしまいました。侵略の意思はありませんが、再び宇宙に戻るにしても修理等が必要であるため、暫くは停泊しようと考えています。それにあたって食料が必要となるため、よろしければ貴国と食料輸入についての会談の場を設けたいのですが…》
「ま…待ってくれ…」
一度に様々な情報を叩き付けられ、頭が混乱しそうだ。
信じるかどうかはさて置き、侵略の意思が無い事はとりあえず安心出来る要素であるが…
「あー…その、なんだ…。そちらは…船…でよろしいのか?」
《はい、広義の意味では船という認識で間違いないかと…》
「何と…」
島と見紛うこの巨大な物体が船…そうではないかと思っていたが、肯定されるとやはり驚愕してしまう。
《と、とりあえず直接会って話しませんか?如何せん、この状態では話し難いので…》
「う…うむ、そうであるな。我々としても我が国の主権を維持する為にそちらを臨検せねばならない。しかし、どう乗り込めば…?」
《整備用のゴンドラリフトを下ろします。それに乗れば、甲板まで直ぐに行けますよ》
その声と共に、反り返った壁の上端から鉄製の大きなカゴが太いワイヤーに吊るされて降りてきた。
「君、本国に未確認船を臨検すると伝えてくれ」
「り…了解」
「それと…君と君は私と共にあの船を臨検するぞ。…あれだけ大きな船だ。剣ではなく、槍を持った方がいいだろう」
「はっ!」
「承知しました」
通信士へ指示を出し、護衛の兵士を2名指名したミドリは小舟を降ろさせると、それを使ってゴンドラへと乗り込んだ。
──ウィィィィィ…
「おぉ…」
ゴンドラによって吊り上げられるミドリと護衛達。
クワ・トイネ公国にもロープや滑車を使う原始的なクレーンはあるが、こんな巨大なゴンドラを軽々と持ち上げるだけの力は無い。
それだけでも驚愕に値するというのに、ゴンドラの終着点に辿り着いた彼らは更なる驚愕を覚えた。
「うぉっ!何だこれは!?」
槍を担いだ護衛の一人が目の前に広がる光景に思わず声を張り上げた。
「こ…これが船…?馬上試合が出来そうな広さではないか!」
ミドリは若かりし頃から水兵として船に乗ってきたが、眼前に広がる光景は彼の常識では考えられないものだった。
殆ど凹凸の無い甲板にはマスト等は無く、縁に鉄棒のような物が幾つも生えており、唯一右側に砦のような建造物が聳え立っているだけだ。
(確か…文明国や列強国には竜母と呼ばれる洋上からワイバーンを飛び立たせる船があるらしいが…これもそうなのか?竜母は平らな甲板を持つという噂だが…)
──イィィィィィィィン…
何とも殺風景な甲板の風景を見渡していたミドリの耳に届く微かな音…海風に掻き消されてしまいそうな音の源に目を向けると、奇妙な乗り物らしき物が此方に向かって来るのが見えた。
「はじめまして、貴方があの帆船の船長ですか?」
「そうだが…そちらは…?」
馬の居ない馬車のような物に乗って現れた男は一目見て分かる程に上等な仕立ての服を着ており、朗らかな笑顔であった。
敵意なぞ微塵も感じないが、それでも警戒感を抱くミドリへその男は掌に乗る程の小さな厚紙を差出しながら名乗る。
「申し遅れました。私はアーク船団外務省の外交官、カルロス・田中と申します。田中、とお呼び下さい」
マクロス作品は色々と設定が深いので、調べても出てこなかったりするんですよね…
マクロスクロニクルを買うべきか…
異世界国家との関係について
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積極的に介入して強化する
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介入は民間レベルに留める