炎は明るく燃え盛る。 作:ドラゴニックナイト
川のせせらぎが脳内に直接響く。
蝉の鳴き声が鼓膜を刺激する。
風が頬を撫で、焚き火がパチパチと唸っている。
神山飛羽真は半覚醒状態で体が浮いているような感覚からこれが夢であると結論づけた。
しかし、見たことのある空間ではあった。
数ヶ月前、ひとりぼっちだった少年竜が友達を見つけることができた時に浮かび上がった情景そのものである。
「ここは…あの子の」
「うん。眠っている時にごめんなさい」
背後から声をかけられ振り向くと、ライオンに跨る少年がいた。少年はライオンをひと撫でしてからゆっくりと地面に足をつけて飛羽真と向き合う。
「大丈夫だよ。俺は君と久しぶりに話せて嬉しいし」
飛羽真は少年に目線を合わせて優しく語りかけた。
「友達、増えたんだね」
虫が増えていたり魚が泳いでいたり、雷が遠くで鳴っていたりと前回より進化している。友達が増えたらしい。そのことに飛羽真は笑みをこぼした。
「飛羽真のおかげだよ。飛羽真が色んな人と仲良くなると、僕にも友達がいっぱいできるんだ!」
きっと神代兄弟と協力関係になったり、倫太郎や賢人が戻ってきたことを指しているのだと飛羽真は察し、照れ臭そうに頬をかいた。
「それで、今日はどうしたの?」
「えっとね、飛羽真にお願いがあるんだ」
少年は話しづらそうに、モジモジと体をくねらせる。
本当に頼んでいいのか悩んでいる…遠慮している様子であると飛羽真は見抜いた。
「言ってごらん。
俺にできることならなんでもするよ」
「…ありがとう。でも、もしかしたら飛羽真の世界に
「えっ」
流石の飛羽真も即答はできなかった。
本屋を開ける期間が長いほど遊びに来てくれる子供たちに申し訳ない上に、小説家としての仕事もできない。
「ちなみにどれくらいになるのかな?」
「…たぶん、1ヶ月くらい?」
ガン。
小説家の頭にタライが落ちてきた。
「1ヶ月、かぁ…」
——ちょっと厳しいかな…。
その言葉をグッと飲み込み、飛羽真はひとまずお願いの内容を聞いてみることにした。
「俺に…何をして欲しいんだい?」
「新しく友達になれそうな人達をみつけたんだ。けど、僕だけじゃその場所に行けないから、手伝って欲しくて…」
しどろもどろながらも懸命に話す少年。
所謂異世界に存在する
しかし力を借りても莫大なエネルギーを消費すれば、それを補填するのにも同じく時間がかかってしまうのは明白。再び異世界転移のためエネルギーを貯めようとすると——戦闘しなければもっと早いが——やはり、提示した期間はかかってしまうらしい。
刃王剣クロスセイバーほどの聖剣の力が有れば行き来もよういだろうが、現在飛羽真は所持していなかった。
(刃王剣クロスセイバーは大秦寺さんが調べてるし、今はちょっと使えないか…)
これまでにないほど興奮した様子の鍛冶士の姿を思い浮かべる。あれは1週間ほど工房から出てこない時の顔で間違いがない。飛羽真だけでなく長年の付き合いがある尾上ですら「あれは何言っても聞きやしない状態だな」と嘆息を漏らしていた。
(…本屋は倫太郎や賢人に任せられるし、小説家の看板も、一応休みが取れないわけじゃない)
鍛錬をしていない時の倫太郎はよく本屋で子供達の相手をしている。賢人も同様に。仕事の方は頭を下げて真摯な態度で望めば、おそらく通る。
飛羽真は既に少年の願いを受け入れ、検討する方向に舵を切っていた。
「…うん、いいよ。オレもキミと一緒にその子たちと友達になりたい」
「いいの!?やったぁ!」
諸手を挙げて喜ぶ少年。
…否。
その体は既に人に在らず、龍の形を成した骨へと変容していた。
「ゔぇぇっ!?」
『それじゃあ早速行こう!全力全開で!』
骨の龍が飛羽真へと飛び込んだ。それに共鳴するように飛羽真の肉体も変化していく。
腰には、いつのまにか巻きついていた聖剣ソードライバーにプリミティブドラゴンライドブックと合体したエレメンタルドラゴンライドブックがすでに展開されており、
頭部を包むはセイバーヘルム。
頭から伸びるハイソードクラウンがキラリと光る。
脚部には鋭い爪を連想させるプリミティブグランタ。
アトミックアームに装着される手部装甲はプリミティブグラスプ。
最後に胸部には硬い絆で結ばれた手を取り合う神獣を象徴する2つの装甲が噛み合い、何人たりと引き裂けない強固な鎧が装着されることで『仮面ライダーセイバー エレメンタルプリミティブドラゴン』への変身がここに完了した。
そしてセイバーの意思とは無関係に火炎剣烈火をソードライバーに納刀、必殺技を発動する。
《必殺読破マシマシ!》《烈火抜刀!》
《エレメンタル合冊斬り!》
「っ……森羅万象斬!」
セイバーはその動きに何とか対応し、必殺技を解き放ち、マシマシされたエレメントの斬撃が空間を切り裂く。
何もなかったはずの場所にヒビが入り、空気のかけらがパラパラと地に落ち始めた。ヒビ割れの先には常に色彩が変転し続ける謎の空間が広がっている。セイバーはそれを確認すると、体を炎へと変化させ空間へと突っ込んでいった。
♢♢♢♢
体感時間にして数十分。セイバーは進むたびに力が抜けていく空間を見事走破し、別世界への移動を完了。
「ゔぁぁぁあ!?」
しかし辿り着いた先は足場のない空。セイバーは投げ出され、受け身も取れず地面へ不時着し、単身で世界間を移動しエネルギーを使い果たしていたセイバーは変身能力を失い神山飛羽真へと姿を戻した。
「いてて…ここは…?」
思い切り打ちつけたお腹をさすりつつ、あたりを見渡す。青や緑に発光する苔、天井や壁面、地面が木皮で出来ている…洞窟のような形をした場所。
耳を澄ますと、猛獣の
すぐにプリミティブドラゴンライドブックを取り出し、飛羽真は少年と会話しようと試みるも、失敗。力を使い切った影響で意識を失っているようである。
一度プリミティブドラゴンライドブックを仕舞い込み、別のライドブック…ブレイブドラゴンを取り出し起動した。
《ブレイブドラゴン!》
少年は言葉を話すモンスターと友達になりたいと話していた。しかし全てのモンスターが友好的とは限らない。仮に友好的ならば先程から向けられている敵意は存在しないはずである。
《烈火抜刀!》
《ブレイブドラゴン!》
再び仮面ライダーセイバーへと変身した飛羽真。
薄暗く満足に視界が確保できない中、彼は洞窟——ダンジョンを探索し始めたのだった。
「グルルァァァァァァ‼︎」
「ゔおおおおおお!?でかい!」
そして秒で襲われた。
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続きは未定。