炎は明るく燃え盛る。   作:ドラゴニックナイト

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私、ものすごく筆が遅いのです
どうかご勘弁のほどを


本を開いた、サルが出た。

ダンジョンを探索し始めてどれほどの時が経ったのか。セイバーは既に数えることを放棄していた…放棄せざるをえなかった。

 

『ヴォォ!』

『ギィ!』『ギィィ!』

『グルァ!』

 

「くっ…!」

 

数えていられるほどの暇がない。倒しても倒してもすぐに別のモンスターがセイバーを襲う。途切れることなく戦闘を続けているセイバーは少しずつ余裕がなくなってきていた。

 

一体一体は大したものではない。

 

仮面ライダーとして戦ってきた経験から遅れを取ることはなく、更にスペックで上回っている以上負けることなど万に一つもないだろう。

 

しかし周囲に人気がない…つまり戦う人間が他にいない。そのためモンスターの攻撃はセイバーに集中してしまっているのだ。

 

現在も熊型モンスターの『バグベアー』

狙撃をしてくる『ガン・リベルラ』

鋭い鉤爪を持つ『マッドビートル』の3種類のモンスターが襲いかかってきていた。

 

《ストームイーグル!》《ふむふむ》

 

ストームイーグルワンダーライドブックを読み込んだ火炎剣烈火が赤い風に包まれ、吹き荒れる。

 

《習得一閃!》

 

「竜巻斬!」

 

『『ギィッ!?』』

 

セイバーはまず動きを阻害する最大の要因である『ガン・リベルラ』の群れに暴風を押し付けた。荒れ狂う気流に乗り切れない虫たちの羽が、体が折れ曲がり地に落ちていく。何体かは急所(魔石)を射抜けたのか灰となって消えていた。

 

『グァァア!』

『オオオオ!』

 

大技を放った隙をついてマッドビートルが爪を振るう。更に背後からはバグベアーが頭部を噛みちぎらんと飛びかかろうとしていた。

 

「ここで…」

 

セイバーはマッドビートルの爪を火炎剣烈火で受け止めつつ、ブレイブドラゴンワンダーライドブックを押し込む。

 

《ブレイブドラゴン!》

 

「こう!」

 

マッドビートルから視線を外さずに右腕だけをバグベアーに向け、バーンガンドから火炎弾を発射。

肉の焦げる匂いと共にバグベアーは他のモンスターを巻き込みつつ吹き飛んでいく。

 

「はぁっ!」

 

セイバーも敢えて踏ん張らずに衝撃に身を任せることでマッドビートルを押し返し、ガラ空きとなった胴体に火炎剣烈火を叩き込んだ。

 

その斬撃は体内に潜んでいた魔石ごと胴を真っ二つにし、灰となって消えて行く。襲撃してきたモンスターを全て退け、束の間の休息が訪れた。

 

「やっぱり、弱点がある」

 

頭を跳ね飛ばす、胴をかち割るなど、単に生命を絶つだけでは起こらない現象。

 

戦闘を繰り返すうちに、セイバーはモンスターの弱点…魔石の存在に感づいていた。そこを突けば、モンスターは問答無用で絶命する。

 

この情報を知れたことは大きい。これまでの戦いで同じ種類のモンスターの魔石の位置は把握できていたため、より効率的に戦うことができるだろう。だが、セイバーの目的は戦いに明け暮れることではない。

 

「そういえば喋るモンスターと普通のモンスターの見分け方、聞いてないな…」

 

少年との約束。言葉を操る怪物と友達になる。

しかしその喋るモンスターの特徴、わかりやすい目印等は不明。まるで手がかりが見つからずにいた。

 

仮に喋るモンスターと接触できたとしても、他のモンスターと同様に斬ってしまう可能性がある。

 

ひとまず情報を集めるためにも人と会うことを目標にしているが、そもそも出口すら見当たらない。

 

ひたすら壁沿いに移動している為、いずれは出口又は行き止まりにたどり着くだろうとセイバーは踏んでいるが、それだけだった。

 

現状、無策のままダンジョンを彷徨っている。

 

「どうしようか…ッ!」

 

考える暇もなく再びセイバーを捕捉したダンジョンが牙を剥く。

 

ビキッ、と何かがひび割れる音が天井や地面、少し離れた壁から聴こえてきた。

 

小さな水滴のような音は水面を揺るがす大きな波紋へと激化する。

 

『『『オオオオオオ!』』』

 

それは『群れ』の物量。ダンジョンでたった1人戦い続けるセイバーは格好の獲物であり、産まれたばかりのモンスターたちは四方八方から飛びかからんとしていた。仲間もいない今、《一冊》では物量に押され対応に遅れるのは火を見るより明らかである。

 

《西遊ジャーニー!》

 

それなら地力を底上げすればいい。

セイバーの出した結論は極めて単純(シンプル)であった。

 

「フッ!」

 

火炎剣烈火を聖剣ソードライバーに納刀し、ソードライバー必冊ホルダー(ワンダーライドブック携帯用のホルダー)から西遊ジャーニーを取り出し、起動。

 

ガン・リベルラの狙撃を打ち落としながらそのまま物語枠を読み上げるレフトシェルフに差し込み、抜刀した。

 

《烈火抜刀!》

《奇跡の西遊ドラゴン!》

 

セイバーの真後ろに2冊の本が現れる。2冊の本はこれまで足りなかった左半身を補うように重なり、1つの挿絵となる。

 

セイバーの姿も連動するかのように赤く発光し、『ライドレフト』『ライドアーム』に装甲が追加されていく。

 

《烈火2冊!》

 

現れたのは超常的な感覚をもたらす『サイユウボールド』と伸縮自在に伸びる『タイセイガンド』

 

《うっきうきのお猿も加わり、火炎の剣が舞い踊る!》

 

「ウッキー!」

「ブゥ!」

「キィー!」

 

ついでにお供のお猿たちも顕現した。

フォームチェンジの隙をついて攻撃しようとしていたモンスターは軒並み彼らが出現した衝撃で吹き飛んでいく。

 

「えっ、何!?」

 

現れたサル・ブタ・カッパは、セイバーを含めて円陣を組むように背中合わせとなり死角を排除。

 

突然の出来事に驚きつつもセイバーは渡に船だと言わんばかりに連携を開始した。それぞれが互いをカバーし合い、モンスターに対応していく。

 

サルは飛びつきガン・リベルラを撃ち落としつつ円陣を崩しすぎないよう臨機応変・縦横無尽に立ち回り、ブタはバグベアーを投げ飛ばし後続のモンスターを牽制し、投擲を避けて突進を仕掛けたマッドビードルをカッパとセイバーが各個撃破していく。

 

単純に人手が増えたこともあり、大規模な戦闘ではあったが、体力の消耗を最小限に抑え短時間での決着となった。

 

「みんなありがとう!…でも、なんで急にこんなことが…?いや、西遊記に仲間はつきものだけど…」

 

これまで西遊ジャーニーワンダーライドブック使用した際出てきたものといえば伸びる武装や赤い金斗雲程度。決して西遊記の登場人物を召喚するような能力ではない。

 

「ウキー!」

 

バシバシとサルはセイバーの背中を叩く。

まるで「んなこたぁ気にすんなよ!」とでも言うように。カッパとブタも同意するように首を縦に揺らす。

 

「わかった。取り敢えず進もう」

 

考えても正解が出るような問いではないと疑問を頭の隅に追いやり、少し騒がしくなった——1人では無くなった——パーティは探索を再開した。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「———あれ?」

 

ぴたり、と蒼き龍の少女が歩みを止める。

彼女は何かを探すかのように周囲を見渡した。

 

「ウィーネ様っ、足を止めないでください。隊列が乱れてしまいます」

 

それを咎めるのは体の丈に合わない巨大なバックパックを背負う小人族(パルゥム)。彼女はプリプリと怒りながら龍の少女——ウィーネの背中を押しやる。

 

「何か聞こえたのですか?」

 

歩みを再開させたウィーネに美しい金の髪を携えた狐人(ルナール)が声を掛けた。小声で、こわーい小人族(パルゥム)に聞こえないように。

 

ウィーネもそれに応じて、ひそひそと答えた。

 

「たのしそうな人たちの声が聞こえるの…4人くらい、かな?」

 

———仮面の騎士との邂逅は近い。




プリミティブドラゴン「…zzz」ダンジョン「なんやこの子かわええなぁ。欲しいなぁ。でもこの男が邪魔やな消したろ」サル「ウッキー!」ダンジョン「やべっ干渉したら変な異端児できちった」
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