何でも売ります、買っていかれますか   作:夜ノ 朱

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第六話

 

 

 

 

「————、きゅーう、じゅーう。さーて、誰と遊ぼうかな...♤」

 

10秒が経ち、霧がさらに濃ゆくなっている。ヒソカは嬉しそうに辺りを見回しているときに、ヒソカ以外の足音が聞こえてきた。

 

「誰か残っていたかな?」

「やっぱだめだわな。こちとらやられっぱなしの上に、出会ったばかりの女を見殺しに出来るほど...出来た人間じゃねーんだよぉオー!」

 

出てきた足音の主は半裸グラサンだった。半裸グラサンは木の枝を片手に持ち、振りかぶって吶喊を仕掛けてきた。ヒソカの背後から俺に向かってだ、こいつら俺に恨みがあるのか?俺は何もしていないだろ...

 

「ダメよ、レオリオ!」

「ん~いい顔だ♢」

 

ドコッ!

 

振り下ろしを紙一重で避け、呆気にとられた半裸グラサンの後ろに回り手を下そうとした瞬間だ。ヒソカの不意を衝く形で投擲物が命中したのだ、俺に対して。

 

「......」(ヒソカ

「......」(半裸グラサン

「......」(俺

「......ふっ」(ミアンダ

 

ヒソカは冷や汗を流し、半裸グラサンは再び呆気に取られた。最後にミアンダが吹き出した。

 

「ミアンダ、笑った?」

「い、いえ。そんなことないです」

「笑った?」

「ワラッテナイデス」

 

頑なに固持しているミアンダから視線を外し、投擲主の方を見れば怒髪天君がそこにいた。

 

「ゴン!?」

 

怒髪天君に対し半裸グラサンが反応したため、仲間だと確信した。怒髪天君の息が上がっていることから、本気で駆け戻ってきたことと過度の緊張を感じる。よって実践経験がないこと、仲間の為なら己を顧みない単純思考。ミアンダと同じような感じか、ミアンダと違うのはお目を許すつもりは無いことだ。

 

「やるじゃねぇか、奇術師(笑)が油断していたとは言えど攻撃を当てたんだ。ちょっと見せて貰える?大丈夫、壊したりしないから。ヒソカ解除しろ、今すぐに」

「ま、待ってよエミル!」

「エミルさん、ステイ!落ち着いてください!」

 

ヒソカが慌てて語尾を忘れ、ミアンダが俺を犬だとでも思っているようだ。今は許すけど、次は殺すからなミアンダ。

ヒソカが解除する気配が無いことも確信したので、無理矢理【伸縮自在の愛】を引き千切り降り立つ。その瞬間を狙ってか、半裸グラサンがもう一度振り下ろしを放った。

 

「てめぇらの相手はこのオレだ!!」

「ジャマ」

 

振り下ろされる前に顎を狙って拳を放てば、半裸グラサンが糸切れた人形のようにその場で崩れた。その時には怒髪天君が姿を消しており、姿を見つけた時にはヒソカに首を抑えられていた。

 

「ナイスだ、ヒソカ。そのまま抑えてろよ」

「ダメだよエミル、彼は合格♡仲間を助けに来たんだろ?いいコだね~♤」

「あ?」

「彼も殺していないよね、彼も合格だよ♧」

 

コイツバカにしているんだな、そうなんだろ?死にたいんだな

 

ピピピピ

 

殺気を込めようとしたときに、電子音が鳴り響きヒソカ以外が呆気に取られた。

 

『ヒソカそろそろ戻って来いよ。どうやらもうそろそろ、二次会試験会場に着くみたいだぜ』

「OK、すぐ行く」

 

電話から聞こえた声からしてイルミのようで、イルミの言うにはもうすぐこのマラソンも終わるようだ。

 

「一人で戻れるかい?」

 

ヒソカは既に半裸グラサンを背負っており、怒髪天君と話していた。怒髪天君の後ろから金髪青年の姿も見えており、その姿を確認した時にはヒソカの姿は霧に消えていた。

この場には、怒髪天君と金髪青年、ミアンダと俺が残されていた。ここにきてアイツは置いていきやがったのか...

ミアンダが未だ回復しないということは、俺を運ぶ奴がいない。更にはミアンダを運ぶ必要があるということで。

 

「起きれるか?」

「すみません、もう少し時間がかかりそうです」

「トレーニング量倍だな」

 

顔を青くしているミアンダを背負い、一度怒髪天君に視線を向ければ未だに息が上がっているようでまだ動けそうにない。金髪青年が警戒するように、此方を見ているが時間があまり残っていないのとヒソカが気に入ってしまっているので、ここは無視しておく。

円を使用しヒソカを見つけ出せば、難なく二次試験会場に到着した。

 

ゴルルルルルルルル

グルルルルルルルル

 

到着した会場は、木々が開けている場所にポツンと一軒の倉庫が建っていた。倉庫の中では猛獣の唸り声のような音が響きわたっていた。

 

「みなさん、お疲れ様です。無事湿原を抜けました。ここビスカ森林公園が、二次試験会場となります。それじゃ私はこれで...検討をいのります」

 

そう言い残し、サトツは去っていった。

 

157名 一次試験突破

 

サトツを見送り、ヒソカに文句を言うために探すが既にオーラを絶状態にしているのか見つけ出すのが面倒で、見つけ出してから文句を言えばいいかと諦めた。

 

「エミルさん、この音って声でなく音ですよね?」

「だな、生き物が口から出せる音じゃあねぇな」

 

因みに、扉の前に行けば[本日 正午 二次試験スタート]と貼り紙があったので待機中だ。

 

「そろそろ正午になりますけど、どんな試験になるんですかね」

「さあ?それより回復できたか?二次試験もお前の介護するのは面倒くさいぞ」

「もう大丈夫です。そんな事よりもうすぐ正午ですね...?人間?」

 

時間になり、扉が開けば現れたのは二人の男女。ミアンダが呆気に取られたのは男を見てからだろう、男の方は女の数倍は大きく先ほどから聞こえていた音は男の腹の虫が正体だった。女の方もホットパンツに上半身が黒い下着に鎖帷子のようなものを羽織っているだけ、半裸ばっかだな。

 

「どお、お腹はすいてきた?」

「聞いての通り、もうペコペコだよ」

「そんなわけで、二次試験は料理よ!」

 

どういうわけでそうなったのか、わからないが数時間走らされてマラソンが終われば料理をさせられるとはハンター試験恐るべしだな。

 

「美食ハンターのあたし達2人を満足させる食事を用意してちょうだい」

「まずは、俺の指定する料理を作ってもらい」

「そこで合格した者だけが、あたしの指定する料理を作れるってわけよ。つまり、あたし達2人が「おいしい」と言えば、」晴れて合格。試験はあたし達が満腹になった時点で終了よ」

 

料理はしたことないが、ミアンダが作ったのを分けて貰えばなんとかなりそうだな

 

「俺のメニューはブタの丸焼き!俺の大好物。森林公園に生息するブタなら種類は自由、それじゃ二次試験スタート!」

 

その合図で誰もが、我先にと森林の中に入っていく中でエミルとミアンダだけが残っていた。心なしかミアンダの顔は少し青ざめており、エミルの顔にも冷や汗が浮かんでいた。

 

「あら、貴方たちは行かない訳?審査は、早い者勝ちよ。受験者から奪おうだなんて考えてないでしょうね?」

「そのことで聞きたいことがあるんです。ブタって何種類か生息してますか?」

 

変態女に対してミアンダが恐る恐る質問するが、当然試験官である彼女は答えるわけにいかないと質問を突っぱねた。

 

「しつもーん!おいしいと言わせる以外に、合格判定は無くて満腹になる以外に終了するとは無いで良いんだよな?」

「それは答えてあげるわ。貴方の言う通り、おいしいと言えば合格。満腹になれば終了、それ以外に合否に影響はないわよ」

 

俺の質問には快く答えてくれたが、その答えによりミアンダの顔はますます青ざめていき、今では目に涙を浮かべている。そんなミアンダを不審に思ったのか、変態女が少し慌てたようにして心配してくれている。

 

「ちょちょっと!どうしたのよ」

「ブタいないかもです」

「は?」

「途中、ブタがたくさんいる場所を通って...エミルさんがその過程で全滅させちゃったんです!」

「「は!?」」

「わり!」

 

ミアンダの告白を聞いて、2人の試験官が慌てだした。俺の謝罪を聞いてか聞かずか、変態女はどこかへ電話を掛けだし、男は辺りを円で探っている。

 

「ちょっと!どういうことよ、あんた!」

 

電話を終え、変態女が俺の胸倉を締め上げ詰め寄る。俺の胸元は既に伸びきってゆるゆるになってしまっている。そんなことを考えている途中でも、変態女は更にヒートアップしているようでさっきから唾が飛んできているため止めてほしい。男でも女でも知らない人間の唾を浴びるのはNGなのだ。

 

「聞いてるの!?説明を早くしなさいよ、早く!」

 

話せない原因を作っているのは、間違いなくこいつのせいだ。そんなことを言ってしまえば襟首が伸びきるだけでなく、破れてしまう危険があるため我慢して口を開き説明をした。

 

あれはヒソカに置いていかれた時間に巻き戻るのだが、ミアンダを背負った状態でヒソカを追いかけるのはお互いに負荷があれども危険だということで、ヒソカとは違うルートを通ったことが今回の原因と言えるだろう。

 

「エミルさん、今回のご褒美って本当にアレだったんですか?」

 

ミアンダを背負い、二次試験会場まで歩いている途中に不愉快そうに聞いてくる。ミアンダの言うアレとは、ヒソカとの戦闘更に腹部への一撃のことを指しているのだろう。

 

「違ぇよ、今この状況でお前を見捨てずに背負って運んでいることだ」

「マッチポンプだと思うんですけど...大体、巻き込まれなかったら自分で完走できてました。何なら一番だったのに」

「そんな些細なことなんてどうでもいい、ていうかめっちゃ豚がいるけど殺していいかな?今更迂回するの嫌なんだよね、ヒソカは仕方ないにしろ豚に迂回するのって嫌じゃね?嫌だな、嫌だ。殺そう」

「え、なんでそんな短絡思考なんですか!?何も殺す必要ないじゃないですか!見てくださいよ、殺されるのが嫌で命乞いしてそうですよ!」

 

目の前には群れを成した豚の集団がおり、迂回するにはかなりの距離になりそうだった。既に苛立ちが募っていたエミルには、その存在だけで殺意が湧き出すのだ。実際に向かってきた生き物は全て皆殺しにしている、今更豚ごときが何頭死のうと知ったことでは無いのだ。

 

そんなエミルを止めようと、何度も説得しているミアンダはヒソカに殴られたことよりもエミルが暴走しないかどうかで胃が痛んでいた。今回の豚もまだこちらに気づいていないようだが、エミルを止めるために必死だ。

 

「全然命乞いなんてしてねぇよ、豚どもは今日死ぬことなんて知らないでいるだろうしな。先手必勝だ、恨むなら俺を歩かせたヒソカを恨めよ」

 

こうして惨殺が始まった。弱点が頭部だとは早々に気づき、抵抗をさせぬよう【絶】で気配を消して一頭ずつ丁寧に拳や足で陥没させていく。返り血で汚れないようにだけ気を付けて、時間にして約10分足らずで全滅させた。

 

「チッ、余計な手間かけさせやがって...」

「【絶】で通り過ぎれば、殺さないで済んだんじゃ?」

「その場合、お前はお前の不完全な制御じゃバレて豚の餌だったがな」

「全滅の未来は避けれなかったようですね」

 

あっさり掌を返したミアンダに、少し不満抱いたが苛立ちが収まりつつあったので何も言わずにミアンダを背負いなおし、再び歩き出した。

 

———ってな事がありましたねぇ」

「ありましたねぇじゃないわよ!どうしてくれんのよ、この森林公園にはその豚の1種類しかいないのよ!」

 

俺の説明を聞いて納得したのか、胸倉を掴んでいた手を離してくれたが俺を許すつもりはないらしい。

 

「ハンターが自分の得物を横取りされたってのは、その時点で資格なしってことで良いのでは?」

「その場合はアンタ達も失格になるのよ!?」

 

その発言を聞き、ミアンダが声を上げて泣き出したが俺としては半ば強制だったので、それならそれでいいと思っていた。風呂に入りたいし

 

「やだー!せっかく走ったのに!痛い思いもしてグロテスクなものまで見せられてこんなに頑張ったのに!こんな理不尽なことで不合格なんて嫌だよー!」

 

泣き叫んでいるミアンダを見ながら、メンタルトレーニングも必要だなんて呑気な事を考えていれば流石に居心地が悪くなってきたのか変態女は俺を開放して、ふらふらと奥に引っ込んでいった。

いつの間にか近くにいた男もいなくなっており、ミアンダと2人のみ残されたので必然的にミアンダの嘆きの矛先が俺に向けられた。

 

「エミルさんのせいで!エミルさんのせいで、こんなことになってるんですよ!こんなに沢山の人に迷惑かけて何とも思わないんですか!今だって、100人以上の人が居もしない豚を探しているんですよ!私は止めましたよね!止めましょう!殺さないで迂回しましょうって!どうしてくれるんですかあああ!」

「別に?ライセンスが欲しいなら売ってやるよ、豚だって売ってやるさ。ハンターになりたいなら来年また受験したらいい。大体俺が言ったように、得物を横取りされたなんてハンター失格でしょ」

「な!?何を開き直っているんですか!?私の話聞いて、そんなことどうして言えるんですか!」

 

怒鳴り続けるミアンダに辟易しつつ、何とか落ち着かせるべく念能力を発動する。

 

「そう怒鳴るなよ、今回はサービスで俺の豚分けてやっからよっと!」

「...え?」

 

念空間から引っ張り上げたのは、惨殺した豚2頭。殺してすぐに収納していたため、地面に血だまりを作っているが新鮮の証だろう。

 

「え、え?どこから出したんですか?」

「念空間」

「なんでこのタイミングだったんですか?」

「2頭だけ奇跡的に見つけたわーって言えば、俺らは合格間違い無しだろ」

「えー...」

「いらないのか?」

「いりますよ!」

 

ミアンダを宥めることに成功したし、豚もある。一石二鳥作戦は大成功だな。

 

「じゃあ、焼け。俺のもな」

「えぇ...」

 

納得できずにいるミアンダの横で、呑気に本でも読む。焼きあがったタイミングで試験官が戻ってきた、焼きあがった豚をみて呆気に取られているが後は盛り付ければ完成だ。

 

「え、アンタ豚いたの!?」

「奇跡的にな、証拠に血抜きした後の血だまりが残っているから不正じゃねぇぞ。ほら、コイツのも併せて2頭焼きあがったぜ。おあがりよ」

 

未だ呆気に取られている変態女とは対照的に、大柄な男の方は嬉しそうに食べ始めた。黙々と食べ続ける男を横目に、ミアンダは不安そうに眺めていた。

 

「うまーい!2人とも合格だね!」

「やったー!」

 

合格を告げた男と、喜びを隠せないミアンダを見て人心地付いた後、状況がつかめず呆気に取られている変態女に向き直る。

 

「で、次は?」

「なに、一件落着みたいな雰囲気出してるのよ!アンタのせいで他の受験者たちはまだ豚を探しているのよ!」

「ドンマイ!で、次は?」

「ふざけんなー!次のお題はスシよ!それもニギリスシしか認めないからね!」

 

スシと言えば、ジャポン料理だったはず。ノブナガにミアンダを連れて食わせて貰ってからは一時期ドはまりして、ミアンダに板前修業をさせたのだ。ミアンダに死角は無い!魚を捕りに行くのが面倒だったため、豚をもう1頭取り出し、肉ズシを作る。

ネタは俺が担当し、シャリをミアンダに用意させる。流石に生だと食中毒になる可能性があるため、しっかり火を通し焼く。余った肉は豚丼にするのもいいし、大柄な男性試験官に食わせるも良し。

 

「ミアンダー次はニギリズシらしいからよ、シャリの用意しろよー」

「エミルさんはネタですか?」

「あぁ、肉ズシで行くのは決めたが炙りか焼きかで悩んでる、とりあえずどっちも試すけどな」

 

ミアンダに指示を出せば、もう一度念空間から豚を取り出す。

 

「あ、アンタ!それって皆殺しにしたって言っていた奴じゃない!?どういう事なのよ!それに分担作業なんて、何考えてるわけ!?」

「うるせぇ!スシなめてんじゃねぇぞ!初心者が適当にやっていい物じゃねぇんだよ!てめぇもプロなら半端な事させてんじゃねぇよ!握り方一つとっても横返しや小手返しなどなど沢山あれば、シャリの形にも種類がある!これは金を貰うことが出来る技術なんだ、軽い気持ちで試験に出してんじゃねぇ!!」

 

俺から反論が来るとおもってい思っていなかったのか、怒涛の反論により変態女は怯んだ。その隙に距離を取り、解体して精肉。調理を開始した。調理中は己が調理人ゆえに、調理中にまでは絡みに来なかった。

ネタの準備を終えた頃には、ミアンダの準備も終わっており最後をミアンダに任せて完成させた。完成したスシを変態女の前に並べ、ドヤ顔を繰り出す。

 

「さぁ、おあがりよ」

 

 

 






因みにですが、エミルは雨合羽にお面です
ヒソカに背負われている時も
ゴンに攻撃された時も
レオリオに狙われた時も
調理中も

雨合羽にお面です。

そりゃあ狙われるわ、怪しいもん
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