「ミラクルドラゴングレイブを貸してほしいのです」
ある日、レジーナはマナの家でパフェを食べていたらこんな事を言われた。
この発言主は円亜久里。キュアエースの変身者。
自身と同じくマリー・アンジュのプシュケーから生まれた存在であり、双子の片割れとも言える存在だ。
今日はキュアハート達ドキドキプリキュアとの頼み事(頼み主は総理大臣)を終えて一休みしている最中の出来事である。
「……一体どうしたのよ?」
「以前から気になる事があるので、それを確かめたいのです」
「気になる事?」
気になる事というのはなんだろうか? 自身に頼んでいるという事はアンジュ絡みの事なのだろうか。
ミラクルドラゴングレイブはマリー・アンジュが使っていた槍で、現在はレジーナの武器となっている。彼女が敵だった頃はミラクルドラゴングレイブを優雅に扱ってプリキュア達を苦しめた。
「覚えている筈ですが、トランプ王国の地下に刺さっていたミラクルドラゴングレイブはジコチューやマナ達が抜こうとしても抜けませんでした」
「うん」
「そしてあなたがあっさりと引き抜きましたよね?」
「そうよ」
「あなたがミラクルドラゴングレイブを扱えるのは、あなたがマリー・アンジュの分身だからです。それは分かってますよね?」
「まどろっこしいわね。何が言いたいの?」
「私もミラクルドラゴングレイブが使えるかもしれないのです」
その一言によりレジーナは亜久里の言いたい事を察する。
亜久里(キュアエース)はミラクルドラゴングレイブが使えるかどうか試してみたいのだろう。
マリー・アンジュの分身であるレジーナが使えたとすれば亜久里が使えたとしても可笑しくない。今まではレジーナの戦闘用武器として使われていたため、その発想は今まで思い付かなかった。
「あー、そういう事ね。言われてみれば確かに気になるし…… ふふん、良いわ。器の広いお姉ちゃんが貸してくれるわ~」
一言多いです。亜久里は内心そう呟いたが、レジーナミラクルドラゴングレイブを借りる事が出来た。後は試すのみだ。
ミラクルドラゴングレイブを使って模擬戦を行う事になった。場所は四葉邸にある道場のような部屋。かつてありすが武道を再開した部屋である*1。その部屋にはマナ・六花・ありす・真琴・シャルル・ラケル・ランス・ダビィ・アイちゃん・レジーナ・セバスチャン・ジョー岡田(ジョナサン・クロンダイク)・トランプ王国元国王・森本エル・円茉里達が見守っている。
「亜久里ちゃん上手く使えるかな?」
「レジーナと同じ王女の生まれ変わりだから多分使えると思うけど……」
「物は試しですわ♪ こんな事もあろうかとこの部屋を広くして良かったですわ!」
「ありすは何でも有りだね…… ジコチューを模したロボットまであるし……(これを大量生産したら世界征服できるんじゃあ……)」
「凄く広いでシャル~」
「百人一首が出来るでケル!」
「それほどでもないでランス~」
「いや、褒めてないビィ……」
「あい~!」
プリキュアの変身者であるマナ(キュアハート)・六花(キュアダイヤモンド)・ありす(キュアロゼッタ)・真琴(キュアソード)、そして彼女達のパートナー妖精であるシャルル・ラケル・ランス・ダビィ・アイちゃんは今回の模擬戦を楽しみにしている。
「今回は槍を使うジコチューロボットを用意しました。槍は安全のため刺さらないものを使用していますわ」
「はい。分かりました」
相手は槍を使うロボットのようだ。ミラクルドラゴングレイブは槍状の武器なので、相手としてはぴったりだろう。
「応援しております!」
「アンのように振る舞えるのか気になるな……」
「わくわくするな」
「亜久里ちゃん、がんばれー!」
「応援していますわ!」
セバスチャン・ジョー岡田・元国王・エル・茉里も亜久里を応援している。やはり応援を受けると元気が出る。それはプリキュア故か。
「それじゃあこれを貸してあげるわ。触ってみて頂戴」
「えぇ、しばらくお借りしますわ」
亜久里がレジーナから渡されたミラクルドラゴングレイブに触れる。ジコチューが触れたら槍に電撃が流れて「ヤマジィ!」と言ってしまう*2が特にこれといった反応は無い。亜久里はプリキュアなので当然である。
「ビリってきたら笑うところだったわ」
「いや、そこは笑わないでくださいよ……」
触った後は少し持ち上げたり構えたりしてみる。こちらも特に反応は無い。亜久里もミラクルドラゴングレイブを扱えるのは間違い無いようだ。
「次はプリキュアに変身しても扱えるか確認してみます。アイちゃん!」
「きゅぴらっぱ~!」
「愛の切り札、キュアエース!」
変身が完了し、キュアエースは手で「A」の文字を作り決めポーズをする。
「じゃあこの姿でも触れる?」
「えぇ、試してみますわ」
キュアエースはミラクルドラゴングレイブを触る。こちらも特に反応は無い。
「まぁ、予想はしてたけど普通に触れるわね」
「えぇ、以前少しだけ触ったこともありますし……」
かつてプリキュアとレジーナが敵対していた時の話、キュアエースはレジーナと一騎打ちをする時があったが、その時キュアエースはミラクルドラゴングレイブに触る場面があった*3。そのためキュアエースはミラクルドラゴングレイブに触れるというのは前から分かっていた。
「それでは模擬戦を始めますわ!」
「お願いします」
こうして模擬戦が始まった。
床が開くと、そこからやや大きめのジコチューのロボットが出てきた。槍の形をしているジコチューのロボットで、両手に槍を持っている。これが今回模擬戦の相手のようだ。
ジコチューロボットの目が光り、本格的に起動した。機械の起動音は聞こえない。無音のまま動いているようだ。四葉財団の技術の高さを窺える。
「やりたいように好きな事をやるぜ~! “やり”だけに~!」
ジコチューロボットはジコチューが言いそうな、自己中心的な台詞を言った。あと何かギャグを言っている。会話文から人工知能(AI)も高度のようだ。流石は四葉財団である。
「いきますわよ!」
「ヤリ~!」
ジコチューロボットは最初に右手の槍をキュアエースに向けて突撃してくる。キュアエースはそれをミラクルドラゴングレイブで防ぎ、払う事でジコチューロボットの右手の槍を落とす。
「ヤリ!? ならば左手の槍でやります~!」
今度は左手の槍で攻撃してくる。エースはミラクルドラゴングレイブの突きで相殺。
槍先とミラクルドラゴングレイブの槍先が拮抗している。二つの槍は全く動いていない。完全に拮抗している。ここまで動かないのは最早神業としか思えない。
「ヤリ~!!? ならば連続突き~!」
「ならばこちらも! ハアアァァァ!」
全く動かない事に驚いたジコチューロボットは、高速突きを連続で繰り出してきた。キュアエースも同じく高速の連続突きを繰り出す。
一般人ならとても対応出来ない程のスピードで繰り出される突き。プリキュアでもこれらを捌くのは難しい。しかし、キュアエースは全てミラクルドラゴングレイブで対応している。
「凄い! 全部防いでるよ!」
「さすがはエースね……」
「ロボットもよく頑張っていますわ! 改良を重ねただけの事はありますわ!」
「改良……? 本当に何やってるんだろう、四葉財団って……」
「トップシークレットでランス~」
「結構上手く使ってるわね……」
キュアエースとジコチューロボットの模擬戦の最中、プリキュアの変身者4人とランスはそのような会話をしており、ジョー岡田達は模擬戦のレベルの高さに驚いていて、目を逸らさずに観戦している。
この槍による戦闘が30秒程続いたところで、ジコチューロボットは槍を一旦収めた。すると、今度は槍状の頭頂部から……
「今度はこれでいくヤリ~!」
何と光線を出した。
しかもただの光線ではなく、光線がある程度球状に集まってエネルギー弾が形成された。
「こんな事まで出来るの!?」
「はい♪ 四葉財団の技術の塊ですから♪」
「凄い! 超技術だね!」
「最早映画に出てきそうな侵略兵器ね……」
「わ~! すご~い!」
プリキュアの変身者達とレジーナは驚いたりと様々な反応を見せる。これ程の超技術を作れるあたり流石は四葉財団、底知れぬ技術を持っている。
そうしている内にエネルギー塊は大きくなり、前方に発射された。
驚きの技が出たものの、キュアエースは特に動じることなく、ミラクルドラゴングレイブを持ち直す。そして、少し高くジャンプした。ジャンプの頂点はエネルギー弾が当たりそうな高度。
「これでフィニッシュですわ! ハァ!」
ミラクルドラゴングレイブが白く光りだし、その状態で大きく縦に振ると赤い斬撃が形成された。
更にすかさず今度は横に一閃を振るうと再び斬撃が形成される。
斬撃は十字状となり、一気に前に移動を始めた。
エネルギー弾と十字状の斬撃がぶつかり合う。大きな音が激突する一点から放出される。
斬撃はエネルギー弾を押しており、その速度も徐々に早くなっている。
「ヤリイイイィィィィィィ……!? 押されて…… グワ~!!」
遂にジコチューロボットは十字状の斬撃に直撃してしまった。大ダメージを受けてしまい、そのまま倒れてしまった。両目は渦巻のようにグルグル目で、頭頂部からは「負け」と書かれた白旗が出てきた。旗はパタパタと揺らめいている。
キュアエースは振り返ることなく、ミラクルドラゴングレイブを再び持ち直し、
「アデュー ですわ」
模擬戦を終えた。
「凄いよ! 圧勝してたよ!」
「初めてとは思えない位使いこなしてたわ!」
「素晴らしい戦いっぷりですわ!(ジコチューロボットもなかなかの戦いっぷりでした♪)」
「王女様よりも使いこなせてるかもしれなかったわ!」
「凄かったシャル!」
「目にも止まらぬ槍捌きだったケル!」
「神業の連発だったでランス~」
「お見事ダビィ!」
「ちゅご~い!」
プリキュアの変身者4人と妖精達はキュアエースの健闘ぶりを高く評価していた。
「いえ、そんな事は……」
キュアエースは幾度となく出てくる高評価に少し謙遜していたが、
「謙遜する事はありません! お見事でした!」
「いや、そんな事無いよ。アンみたいに素晴らしい槍捌きだったよ!」
「あぁ、まさにアンのようにミラクルドラゴングレイブを使いこなしてたよ」
「凄かったよ! 目に見えない程槍を早く動かしてたんだもん!」
「流石ですわ、亜久里」
「み、皆さん……」
セバスチャンやジョー岡田達もキュアエースの健闘ぶりを称え、流石のキュアエースも恥ずかしくなってしまう。実際、キュアエースの頬は少し赤くなっている。
「ふぅ~ん、あんたもそういう顔するんだ~」
側でニヤニヤと笑っているレジーナ。どうやらからかっているようだ。無邪気な感じの笑顔を呈している。
「な、何ですか! その顔は~!」
「別に~!」
微笑ましいやり取りが、四葉財閥の屋敷で繰り広げられた。
後日……
「はぁ!」
レジーナがミラクルドラゴングレイブを持って練習をしている。どうやら前回のキュアエースの模擬戦に触発されてレジーナ自身もミラクルドラゴングレイブを扱う練習を始めたのだ。
「以前より上達していますわ!」
「そりゃ負けてられないもんね~♪」
「勿論こちらも負けていられませんわ!」
亜久里もこれから練習するつもりのようだ。これからも二人共お互いの実力を高めあうだろう。
「二人共すっかり仲良いなぁ~」
「姉妹や双子、て感じになってるね……」
「見ていて微笑ましいですわ♪」
「今日は何時までやるのかな?」
「アイ~」
プリキュアの変身者4人とアイちゃんはその様子を微笑ましく見ていた。
「更に強力なジコチューロボットを用意してあるので、何時でも模擬戦を受け付けていますわ!」
「……本当に何やってるの……? ありす……?」
「トップシークレットでランス~」
微笑ましい場でこんなやり取りもあったという……
自分は、円亜久里(キュアエース)はミラクルドラゴングレイブを使えると考えています。
余談ですが、プリキュアシリーズで一番好きなキャラはレジーナ(紫)です。