とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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5月6日よりForce編をスタートさせます。それまでに何とかVivid編をひとくくり付けます


Force編
プロローグ


新暦0080年--悲劇は起きた。

 

 

次元世界に存在する小さな村を中心に多発した襲撃事件。どの襲撃場所でも生存者はなく。全員が殺された。その残虐な事件の犯人は、フルフェイスの仮面をつけた謎の男。管理局内で呼ばれる名前は「マスク」。アキラとギンガは事件解決の為に駆り出され、事件の調査中に遭遇したマスクと戦闘になった。

 

そして、二人は敗北した。

 

ギンガは何とか生き残ったが、アキラはギンガの目の前で殺された。遺体も残らない形で消滅させられて。

 

現場に残されたのは、アキラの刀「黒星」と結婚指輪。は何を思ったのか、アキラを殺した後にマスクはギンガに手を出さずに撤退した。

 

しかし、ギンガは失ったのだ。命よりも大切な、何よりも大切な運命の人を。

 

 

 

-ミッドチルダ西部 墓地-

 

 

 

葬式にはそこそこの人が集まった。アキラの死は民間には知らされず、一部人間だけに伝えられた。そうしたほうがいいという小此木の意向だ。アキラはミッドを救った英雄であり、それが死んだとなると混乱と不安を与え、テロリストにはチャンスを与えると考えたのだ。

 

墓の前にはナカジマ家、高町家、その他アキラと面識のある人物たちが集まっていた。遺体は残らなかったために、アキラの墓にはアキラの愛刀が収められた。葬式のすべての手順は終わったが、ギンガは墓前から動こうとしない。

 

「…ギン姉」

 

そんな姉を心配し、勇気を振り絞ってスバルが声をかけた。

 

「…………」

 

ギンガは何も言わないまま、ようやく墓前から動く。なにかしでかさないか心配したゲンヤはウーノにお目付け役を頼んだ。

 

ギンガがいなくなってから、ゲンヤはアキラの墓を見て小さくつぶやく。

 

「馬鹿野郎が…」

 

その様子を見ていたメグが更にアキラの墓を一蹴りした。

 

「!?」

 

「メグさん!?」

 

「あたし、局に戻るわ。捜査を再開する。ギンガを悲しませた馬鹿の尻拭いにね!」

 

どう見ても苛立っている様子だった。なんだかんだいってメグにとってアキラは良き友だった。それが殺されたのだ。そしてその死は親友を深く悲しませた。

 

犯人に対して相当な恨みを持っていた。

 

一方、ギンガは近くのベンチに行くとそこに座り込んだ。ウーノも隣に座った。

 

「ギンガ…大丈夫?」

 

事件後帰宅してから葬式、そして今まで一度も口をきいてくれなかったギンガがようやく口を開いた。

 

「……ウーノ」

 

「なに?」

 

「アリス…しばらく預かってくれない?今、子育てする余裕…ない」

 

本来は断るべきだ。事情があるとはいえ親が育児を放棄するのは望ましくない。だが、今までの二人を一番冷静に、客観的に見てきたウーノだからこそ断れなかった。

 

「ゲンヤさんに相談してからでないと何とも言えませんが…私個人として了承はしておきます」

 

「それから、ノーリとセッテ、しばらくそっちに置けないか聞いてみて。無理なら私が出ていくから…」

 

「…聞いてみます」

 

 

 

-翌日午後 ナカジマ家-

 

 

 

翌日の午後、ナカジマ家にはギンガとセッテ二人だけだった。ギンガは居間のソファに一人、ただうなだれていた。

 

「…」

 

『昨日午後、ヴァンデイン・コーポレーションで専務取締役ハーディス・ヴァンデイン氏が襲撃される事件が…』

 

居間には付けているテレビの音と、台所でセッテがなにやら作業をする音だけが響いている。

 

午前中にノーリはアリスを連れて出ていった。今でも十分大所帯なゲンヤの家に数人増えたところであまり問題はなかったし、今だけはギンガに負担を与えるわけにはいかなかった。ただ、ギンガは少し情緒が不安定なところがあったので一応セッテが残ったのだ。

 

「ギンガ姉。ココア…入れたから。これだけでも飲んで」

 

ギンガは朝から何も口にしてなかった。起きてからずっと、アキラが使っていた枕を抱きながら一点を見つめているだけだ。

 

「ギンガ姉…」

 

「…」

 

かける言葉なんて見つかるはずがない。どうしたらいいかセッテが悩んでいるとき、ブリッツギャリバーに連絡が入った。着信を知らせるアラームが鳴ってもギンガは反応しない。

 

仕方なくセッテが代わりに出る。

 

「はい」

 

『ん?かける相手を間違えたかな?』

 

通信の相手ははやてだった。はやては通信に出たのがセッテなことに驚いていた。

 

「いえ、ギンガ姉のかわりに私が出ました。今はとても…」

 

『分かってはいるけど……ちょうギンガに代わってもらってええか?』

 

「…ギンガ姉。はやてさんです」

 

セッテがブリッツギャリバーを差し出すと、ギンガは何も言わずそれを受け取る。

 

『ギンガ。大丈夫?』

 

「…」

 

返事はしない。虚ろな目で通信画面を見つめていた。

 

『一応、元六課のメンバーに同じ連絡を回してるんやけど……いま、巷を騒がせている犯罪者たちと彼らが所有する武器の確保の為に、私が部隊長の新しい特務隊を組織することになるかもしれないんよ』

 

「…私に、参加しろと?」

 

ギンガの言葉にはやては頷く。ギンガは戦力としても捜査官としても優秀だ。加わるか加わらないかで隊のつくりも大きく変わるだろう。それはギンガ自身もよく理解していた。

 

「…私、今役に立つように見えますか?」

 

『それはまぁ………自分で判断するといいと思うよ?今、局が追っている組織の名前はフッケバイン。今後うちが組織する特務隊はフッケバインも追う』

 

「…」

 

そこまで話してはやては急に真面目な表情に変わった。

 

『そして先日、そのフッケバインの構成員にマスクが入った可能性があるって話が出てる』

 

はやては通信画面にマスクの写真を表示した。その瞬間、ギンガはようやくうなだれていた首を直し、はやてにまっすぐ向き合う。

 

「…マスクを……この手で………………捕らえられるんですか」

 

『…それはギンガ次第やね』

 

ギンガの目つきが変わった。虚ろな瞳から少しは生気のある瞳に戻る。

 

「なら…やります。いいえ。やらせてください。必ず…この手で、マスクを…」

 

 

 

 

時空の海に浮かぶ広大な次元世界

 

そこでかつては世界を駆け巡る大規模な戦乱の時代があった。ひと時の平和が築かれた現代においても、時に争いは巻き起こる。

 

新暦0075年・JS事件 天才開発者ジェイル・スカリエッティによる大規模テロ。

 

新暦0078年・マリアージュ事件 複数世界における連続放火殺人事件。

 

新暦0079年・黙示録事件 世界滅亡と謳われた大規模テロ。

 

新暦0080年・ダズマ事件 世界の神と言われたダズマ復活による大規模テロ。

 

 

そして新暦0081年。始まりは一人の英雄の死。

 

 

 

続く

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