とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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第三話です。タイトル付けるのにルールを付けたので少しタイトル決めで時間食いました
感想待ってます


第三話 夜の戦い、ヤツに討たれた戦士達

とある次元世界の森の中、普段であれば静寂なはずの森には爆発音が響き渡っていた。

 

「はははは!脆弱!貧弱!」

 

「っ!」

 

ギンガとシグナム二人掛りで戦っているがまるでナナシには敵わなかった。ナナシの放つ大きすぎる火炎に近付くことすらできなかった。

 

「くっ………ライジングネメシスさえ使えれば…」

 

「今それを使うことは私が許さん!それ以上……その身体を傷つけるな!」

 

ギンガはバリアジャケットさえ使っているものの、使用機能を極限まで削ることでバックファイアを減少させていた。しかしそれではただでさえ強いナナシを越えることはできなかった。

 

「私は…っ!」

 

何か対策はないか考えていた時、要救助者たち、つまりトーマたちがいる場所に爆発のような光が見えた。

 

「!?」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

スゥちゃんたちに拾われて、アキ兄に牙を立てた。でも、正直あまり後悔はしてなかった。なんとなく、アキ兄が嫌いだった。スゥちゃんたちの優しさ、温かさのなかで、アキ兄からだけはどこか冷徹さが感じられた。

 

だから俺は自然とアキ兄を避けてたし、アキ兄も俺の内心に気付いてたのか自然と俺から遠ざかってくれた。

 

それから、「あの日」こと………。アキ兄を俺が「アキ兄」と呼ぶようになったあの日。あの日のアキ兄は本当に暖かくて…。

 

なのに

 

なのに

 

アキ兄は死体も残さず殺されて。

 

ギン姉は以前とは別人になってしまった。

 

ナカジマ家は表に出さないようにはしているけれど内側が冷え切ってしまって、俺の帰る場所は暗くなった。

 

誰がそんなことをした?誰のせいでそんなことになった?

 

そうだ。あいつだ

 

あいつさえいなければ…

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

トーマは雄たけび、服装が変わった。服装だけではない、全身に刺青のようなものが広がり、髪も白くなった。

 

その様子を見たナナシはシグナムたちに問いかける。

 

 

「…………………さぁどうする?あの少年はもう社会の毒だ。俺のように、その力で無惨に殺すか?」

 

「…っ!」

 

その問いに対しギンガとシグナムは一瞬止まった。ナナシはそんな隙ももちろん見逃さない。

 

「判断が遅い!」

 

次の瞬間ギンガは火炎に包まれた。

 

「くっ!ライジングネメシスギャリバー!ロック解除!」

 

「ギンガ!」

 

ギンガはシステムを解放し、上昇したスピードで火炎から抜け出し、ナナシに殴り掛かる。シグナムもその隙に一気にナナシの背後に回り込む。ギンガは左腕を構え、背後に回ったシグナムは紫電一閃を放つべく、レヴァンティンを振り上げる。

 

「どこまでも…」

 

ナナシは小さく呟いてディバイダーを握りなおす。それと同時に刃に火炎が纏われる。

 

「愚かなぁ!!」

 

振り向きざまにそこそこ距離がある位置にいたシグナムの前にまで移動し、それと同時にシグナムを切り刻んだ。

 

「…っ!」

 

レヴァンティンは砕け、全身から血があふれ出したシグナムはそのまま落ちていった。

 

「シグナムさ…」

 

そしてその後、瞬時にギンガは蹴り飛ばされ、崖に激突した。

 

「がっ…」

 

「…どこまでも愚かな女だ…あの日拾った命を、みすみす捨てに来るとは…これではあの男も浮かばれないだろう………」

 

ナナシの握るディバイダーから噴出する炎はどんどん大きくなり、それが一気に収束された。そのディバイダーを構え、ギンガに突撃する。

 

「ここで燃えてあの世で旦那と会うといい…炎剣一閃」

 

炎が収束された剣の一撃はきっと強力だろうことは見た目から判断できた。食らえばタダでは済まないだろう。しかしギンガの身体は今食らった一撃とバックファイアのダメージで動けなかった。

 

(アキラ君…っ!)

 

「ギンガ!」

 

ギンガの身体を切り裂くはずだった刃はギンガに届くことはなかった。別の人物が間に入り、ギンガへの攻撃を身を挺して防いだのだ。

 

ギンガが目を開くとそこには鮮血を背中から流し、ギンガの盾となっているフェイトがいた。

 

「…っ!」

 

「フェ…フェイトさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

ギンガの悲鳴が夜の空に木霊した。

 

「がはっ…」

 

フェイトの予想外の乱入に戸惑っていたのか、動かなかったナナシにスタンバレットが放たれる。ナナシはすぐに後方回避した。打ったのはフェイトと共に現場に到着したティアナだった。

 

「ちっ、援軍か…」

 

ナナシはそのままアイシスたちの近くまで下がる。

 

「壁炎!」

 

そして大量の炎を地面から発生させ炎の壁を作り出した。炎の壁は厚く、簡単に貫けるものではなかった。

 

「よぉ!ナナシ!」

 

下から声が聞こえた。下を見ると、そこには入れ墨を入れた少女が三人を眠らせた状態で捕獲していた。少女の名前はアルナージ・フッケバイン。ナナシと同じフッケバインファミリーの一人だ。

 

「アル」

 

「おうナナシ!ちゃちゃっと捕まえておいたぜ~」

 

「こいつは覚醒したか」

 

ナナシはトーマを見て訪ねる。

 

「おう。バッチリ」

 

「…」

 

ナナシは少しトーマを眺めてからアイシスとリリィを抱える。

 

「シーラは」

 

「ちゃんとつれてきておいたよ。シーラ」

 

アルが呼ぶと、森の奥からバイザーをした少女が現れる。

 

「その子達運べばいいの?」

 

「ああ。頼む。さっさとずらかるぞ。局の連中が追ってくる」

 

一方そのころ、ギンガとフェイトを介抱していたティアナは目の前に現れた炎の壁をどう超えようかと考えていた時、本部から連絡が入る。

 

『ティアナさん!大変です!現場から犯人及び要救助者たちの反応が消えました!』

 

「消えた!?転移魔法!?」

 

『いえ、転移魔法系の反応は感知されませんでした。ただ単に消えたとしか……』

 

「そんな………」

 

 

 

ー数時間後ー

 

 

 

『犯人は複数名と見られており、現在も逃走をしています。本事件は地元警邏隊のみでなく本局次元航行部・脅威対策室が事件の調査を担当。特別編成の特務課が操作と状況対応を行い、全力をもって事件の解決と犯人の確保を行うとの事です』

 

これは戦闘後、近くの町や次元世界に流れたニュース放送だ。それは管理局の管理下にある病院内でも流れた。それを待合室近くで聞いていたのはギンガだ。

 

「………」

 

「まったく、今回も無理したわね」

 

待合室で一緒に待っていたのはお見舞いにきたメグだった。ギンガもかなりダメージは負ったのだが、入院するほどではなかった。なので検査と軽い治療だけで済んだ。

 

「別に、私は平気。ただ私の気合いが足りなかっただけ。次こそは……必ず…」

 

「あんた一回落ち着きなさいよ。焦りすぎ」

 

「焦りもするわよ…私のせいでフェイトさんが………シグナムさんが…」

 

「だから落ち着けって言ってんの!二人がやられたのはアンタの責任じゃない。あの男のせいでしょう?」

 

「でも…」

 

ギンガは責任を感じているようだった。自分が先行しすぎたせいで二人も優秀な捜査官をしばらく戦線復帰できなくさせてしまったと考えていた。メグがしょい込まないように言うが、あまり効果はないようだった。

 

 

 

「う……」

 

病室でシグナムは目を覚ます。

 

「シグナム!?」

 

「アギト…?」

 

朦朧とする意識の中で自分の視界に入った小さな相棒の姿を認識する。アギトは今にも泣きそうな状態でシグナムのそばに寄り添う。

 

「私は…」

 

「ナナシにやられたんだ………あ、待ってて!今先生呼んでくるから!!」

 

そういってアギトは飛んでいった。シグナムは起き上がろうとするが、全身が痛み、動くことすらままならなかった。

 

「確か、あの男に一瞬でやられて………情けない話だ……」

 

しばらくすると、アギトに呼ばれた医者が来てシグナムの現状検査をして、今の状態を説明した。重傷で完治まで絶対安静だが、命に別条はないとのことだった。

 

「いやぁ、それにしてもさすがはシグナムさんですね」

 

「?」

 

「傷は深いですが全て致命傷が避けられてます。おかげで早めに退院できそうですよ」

 

(致命傷を避けた?あの状況で?)

 

シグナムがやられたのは刹那の出来事だった。致命傷を避けるための回避行動なんてできる筈が無かった。となれば、それに気になることもあった。

 

(このガキを殺されたくなかったら大人しくその装備を解除しろ)

 

ギンガに警告していたあの言葉。殺す、もしくは気絶等、動かなくなるまで攻撃すれば済むものをわざわざ降伏を促していた。ある意味ギンガの身体を心配していたようにも見える。無茶して新しいバリアジャケットをしていたギンガを。

 

「あの男は一体……」

 

 

 

ーフッケバイン艇内ー

 

 

 

「う…」

 

船内のとある部屋の中でトーマは目を覚ました。ぼやける視界に移っていたのは三人の男だった。一人は妙に優しい表情だが裏がありそうな男フォルティス、もう一人は体格が良く上半身裸の男ドゥビル、最後の一人はナナシだった。

 

「ああトーマ君いいタイミングで起きてくれましたね」

 

目を覚ましたトーマにフォルティスは飲み物を運ぶ。

 

「ひどく頭が痛むでしょう?これを飲めば少し楽になりますよ」

 

そういってフォルティスはトーマに飲み物を飲ませた。少しトーマは苦しそうだったが必要な処置だったため、フォルティスは少し無理矢理飲ませた。

 

「けほっけほっ……ここどこだ?あんたたちは…?」

 

「ここは僕らの本拠地で、僕らは世界から凶悪犯罪者集団なんて呼ばれてる「フッケバイン」のメンバーです」

 

それからフォルティスはトーマが求めるであろう情報を話した。自分たちの名前、自分たちはトーマたちの仇ではないこと。トーマがエクリプスウィルスに感染したこと。

 

その他色々話した。仲間への勧誘、アイシスたちの現状等。一通り話した後で食事を運ぶ為に二人は退室した。

 

「………そんな…俺が…」

 

「………現実を知ってショックだろう?気持ちは分かるさ」

 

ナナシが一人うなだれるトーマに簡単に励ましの言葉を掛ける。トーマはナナシを見て小さくため息をつく。

 

「あんた………ここの組織の人間だったのか」

 

「ああ」

 

「…………なんでアキ兄を殺した?」

 

沈黙が気まずく、トーマはとりあえず思いついた質問を投げかける。

 

「橘アキラの………アキラ・ナカジマのことか。俺は次元犯罪者で、アイツは管理局員。ただそれだけだ」

 

「だからって…お前のせいでギン姉は………!」

 

「そんなことはどうでもいい。俺の話を聞け」

 

「………なんだよ?」

 

「ここから出たいか?」

 

「…なに?」

 

予想外の出来事だった。まさかこの男が自分を助けるような提案をしてくるとは思ってもみなかった。

 

「お前が望むなら助けてやる。もちろんお友達も一緒だ」

 

「どういうつもりだ?」

 

ここまで連れてきたのはナナシ自身だ。

 

「お前をここまで連れてきたのはお前の状況を確認させるためでそこから先はお前の判断に任せる」

 

その時だった、艇内に警告が流れる。

 

『現在本機に向かって大型航空戦力が接近中。対象はLS級管理局戦艦識別名称ヴォルフラム』

 

「……すまない。この話はあとにしよう」

 

「待て!一体それはどういう……」

 

引き止めようとするトーマを無視してナナシはさっさと部屋を出て行った。部屋を出たナナシは通路で他のメンバーに会う。

 

「状況は」

 

「ナナシ。心配ありませんよ。いつものことです」

 

「奴らをそう甘く見ないほうがいい」

 

「あなたの言っていた新型の兵器ですか?さすがにそんなに早く完成するとは……」

 

その瞬間、フッケバインに大きな衝撃が響く。

 

「!」

 

「ほらな…」

 

「中和フィールドを抜けてきた?久々の質量兵器ですかね?」

 

こういう攻撃は前にもあった。しかし少々のダメージが与えられただけで大した問題はなかった。

 

「特務隊も本気ということでしょうかね」

 

「そういうことだ。ステラ、外部映像出せるか」

 

ナナシが通信で言うと、外部映像が目の前に投影された。

 

「空を飛んでる赤いのと、撃ってきている白いの。両方とも厄介なやつだ。恐らく今まで通りにはいかないだろう。」

 

「よくご存じなんですね」

 

「いろいろな。恐らくだが入って来るぞ戦闘準備だ」

 

ナナシの予想通り、次の瞬間大きな衝撃が再び船体を揺らす。その一撃でフッケバインに穴が開き、侵入可能な状態を作り出してしまった。

 

「俺が出る。あとは………サイファーとドゥビルでいいか」

 

「了解した」

 

「ああ」

 

ナナシは冷静に戦力判断を行い、すぐに侵入者の迎撃にでた。管理局の侵入者は三名。ギンガ、スバル、エリオのライオットチーム三名だ。本来ならギンガではなくフェイトがライオットチームにいたがフェイトは重症のためギンガが志願したのもあり、ギンガが交代した。

 

ナナシ、サイファー、ドゥビルとライオットチームの三名が会敵した。

 

「…………やっと見つけた」

 

「管理局特務六課制圧部隊です。武器を捨てて投降しなさい」

 

「…」

 

スバルとエリオはドゥビルとサイファー、そしてギンガはナナシに対峙した。

 

「性懲りもなく…」

 

「あなたは私の獲物よ。貴方を狩るまで。私は止まらない。止まれない」

 

「ほぉ。ならば立ち上がる気も起きないほどにすりつぶしてやろう」

 

「できるかしら?」

 

「なに?」

 

ギンガは姿勢を低くし、構える。気迫が違う。気配が違う。ナナシはこれを感じたことがあった。何度も、何度も。覚悟を決めた気配。後退を感じさせない気配。

 

刺し違えても相手を殺すという歪みない決意。

 

「いくわよ…」

 

ギンガの瞳が赤くなった。

 

「…!」

 

 

 

続く

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