とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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遅れまして更新ですVividも近々更新です。次回は未定です。少なくとも来年の4月くらいまでは不定期更新です。


第五話 オレの名前はナナシ

フッケバイン内に響いたギンガの叫びは乗り込んできたライオット部隊を驚愕させた。エリオやスバルの視線がナナシに集まる。

 

「アキラさん…?」

 

「アキラさん……なの?」

 

「………とうとう狂ったか。俺がアキラなわけがないだろう?俺は、アキラを殺し、その死体を跡形もなく消し去った張本人だぞ?」

 

ナナシは呆れながらギンガに向かってそう言った。

 

「違う………マスクなんて本当はいなかった…あなたが全部仕込んだこと…」

 

「…………」

 

ナナシはぐっと構え、ギンガに向かって走り出そうとした。ギンガは瞳を赤く輝かせ、重い身体を無理やり動かした。ナナシより早くエリオたちの前に飛び、アイシスを抱えた。

 

「スバル!そっちの子を!」

 

「う、うん!」

 

ギンガの指示でスバルもリリィを抱える。ギンガはスバルがリリィを抱えたことを確認すると、エリオを近くに寄せる。

 

「チッ!」

 

ナナシがギンガを追おうとしたとき、ギンガはエリオからストライクカノンを奪い取ってナナシに向かって数発放った。それによって一瞬アキラの動きが止まる。

 

『突入してきた管理局の人へ、さっきの放送聴いてたよね?今から帰り道のご案内をするからそこの民間人をちゃんと確保しておいて』

 

こちらの状況が部分的にしか確認できてなかったステラがギンガたちを輩出する準備を始めていた。

 

「ステラ!奴らの排出は…」

 

『排出!』

 

ナナシの静止も間に合わずギンガたちが排出された。すぐに回収され、追撃も間に合わないだろう。

 

「ナナシ……」

 

現場に残ったフッケバインのメンバーの視線がナナシに集まる。

 

「………トーマを追う」

 

ナナシはトーマが逃げた穴に飛び込んだ。

 

 

 

-ヴォルフラム-

 

 

 

排出されたギンガたちはヴォルフラムに回収された。そしてすぐにシャマルが駆け付ける。

 

「ギンガ!あなた、そんな身体になるまで無茶を…」

 

「私はいいです!それより八神司令!!」

 

ギンガはシャマルの手を振り払い、はやてに通信を取る。

 

『どないした?ギンガ』

 

「ナナシは………いえ、トーマがエクリプスウィルスに感染していました。さっきフッケバインから出て行ったのは彼です。それをいまナナシが追っています」

 

ギンガはナナシのことを報告しようとしたが、それよりもトーマの件を優先した。

 

『…………トーマが…わかった。今トーマをなのはちゃんが追う準備しとる』

 

「ナナシが外にいる状態でなのはさんを出すのは危険です。私が行きます」

 

『あかん!そない身体で出るなんて…』

 

「ご心配なく、対策はあります!完成してるわよね!?ウィード!」

 

ギンガが叫ぶと、奥から巨大な装備の収納箱と共にウィードが現れる。

 

「やれやれ、君といいアキラ君と言い人使いが荒いねぇ」

 

「ウィード!?」

 

「あなたどうしてここに!?」

 

檻の中にいる筈の次元犯罪者が局の船に現れたのだ。当然全員が驚く。

 

「私がファントムの権限で協力させたのよ。リミッター解除の反動で動けなくなる可能性があったからそれの対策を…」

 

ギンガが説明をしながらウィードに近付く途中、ギンガは急に足の力が抜けてその場に倒れる。

 

「………身体が…」

 

「やれやれ、無理をしすぎだ」

 

ウィードはギンガを起き上がらせ、状態を見る。

 

「足に異常はなさそうだ……右腕、それから右目に少し異常が出てる」

 

「それの補助は?」

 

「滞りないよ。時間もないだろうからさっさと準備しようか」

 

 

 

-上空-

 

 

 

ナナシはトーマを必死で追っていた。自然落下しているものだと思ったが、飛行を行っているらしくトーマは結構早かった。

 

「………」

 

(待ってよ!アキラ君!)

 

「…アキラ君………か」

 

一方、トーマは人気ない場所を探しながら飛んでいたが、接近するナナシとヴォルフラムからトーマを助けに飛び出していったアイシス、ナナシに続いてトーマを追いかけて行ったアルを確認していた。

 

(誰か来る?来ちゃダメ駄目だ……俺に近付くと……)

 

[敵性存在を排除します。SilverStars "Hundred million"]

 

銀十字の書が接近する相手を排除するべく桁違いの量のエネルギー弾を放った。

 

「………馬鹿野郎が」

 

ナナシはディバイダーを構え、炎を纏わせる。

 

「炎剣・龍頭鉄槌!!」

 

ナナシに向かっていくエネルギー弾が固まってきたタイミングで炎で形成された竜をぶつけ、エネルギー弾を全て破壊した。

 

「そんな破壊兵器なくせに、どこかで死ねると思ってんのか?局でもフッケバインでもいい。生きれる場所はある。お前は死ぬのはまだ早いんだよ。トーマ!」

 

ナナシは加速し、いがみ合っているアイシスとアルを横目にトーマの目の前にまできた。ナナシが目の前にまで迫ったことでトーマは銀十字の指示で戦闘態勢に移行する。

 

「…っ!」

 

巨大なディバイダーを振り上げ、ナナシに切りかかった。

 

(基本的な制御と指示は銀十字が行っている筈。要はアレを破壊すればいい!)

 

ナナシはディバイダーを構え、白兵戦に入った。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

戦闘開始から数時間

 

はやてとヴィータ、エリオはフッケバインの足止め、ナナシはトーマと、アイシスはアルと戦闘を行っていた。

 

そしてヴォルフラムの格納庫ではギンガが準備を完了していた。CW社製のAEC装備とは別に、ギンガがウィードに頼んで作らせた装備だ。リミッター解除によるバックファイアのダメージは計り知れなかった。それでも戦えるように補助用の装備を作らせたのだった。

 

「急ピッチだったからね慣性コントロールシステムは取り付けられなかった。許したまえ」

 

「充分……戦えるなら」

 

「使えなくなっているのは右手だけだが念のためフル装備でやっておいた。僕の作った装備を付けて死なれるのは寝覚めが悪い」

 

「………ええ」

 

「仮設補助装置WW-01ライトアーム「オールドホーク」、WW-02小型プラズマライフル「コシュカ」、WW-03レフトアーム「リボルバープラズマランス」、WW-04「ループリングローラー」、WW-05「エボルスコープ」稼働状況オールグリーン。いつでも出られる」

 

追加された装備はボロボロの右腕全体を包み、その上から脳信号で動くクレーン型のナックルがついた「オールドホーク」。右肩に装備された小型のプラズマ砲「コシュカ」。左腕の上から装備されたランス型の武装「リボルバープラズマランス」。腰部に装備された姿勢補助装備の「ループリングローラー」、視界補正装置「エボルスコープ」の五つ。

 

更に余ったなのはのフォートレスにも使われているCW社のAEC装備である大型盾をつけていた。

 

「了解!フルアーマーライオット0!」

 

「高町なのはフォートレス!」

 

「「行きます!!」」

 

ギンガとなのははナナシたちが戦っている現場に向かって飛んだ。

 

「ギンガ、大丈夫?」

 

「はい…………必ずトーマを連れ戻しましょう」

 

「…………うん。……あっちで何かあった?」

 

「……なにも、なかったです。なのはさんはトーマをお願いします。私はあの男を…」

 

そこまで話した時、なのはの背後にフッケバインから出撃していたドゥビルが迫った。

 

「なのはさん!」

 

ギンガはすぐさま右手を伸ばす。オールドホークは折り畳み式で伸縮する武器であるため、離れた位置にいるドゥビルに充分届いた。

 

「!!」

 

「でぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

そのままウィングロードを一気に伸ばし、左手のリボルバープラズマランスをドゥビルに突き立てた。ドゥビルはギリギリでディバイダーを盾にし、プラズマランスを防いだがかなりふっ飛ばされた。

 

(随分と硬い装備だな……周りの連中の装備とは違うようだが)

 

「ここは私が。なのはさんはトーマを!」

 

「うん!!」

 

「………邪魔をするな。そうすれば戦わずに済む。そんな滅茶苦茶な装備を付けてまでなぜ戦う?お前の目的はナナシだろう?」

 

「確かにそう。だけど、だからって、犯罪者を見逃しておくわけには行かない。そのための私たちでそのための魔法だ!」

 

「虚しいな。ならばここで砕けて消えろ」

 

ドゥビルはリアクトして構える。ギンガも構えた。

 

(ライト、レフトアーム稼働状態正常…ループリングローラー起動)

 

ギンガの腰に装備されているリングに付けられた四本の足が稼働する。足の先端にはローラーが付いており、それがループリングを回ってギンガの姿勢制御を補助する仕掛けとなっている。

 

「行くぞ」

 

ドゥビルは一瞬でギンガの背後に回り込み、斧型のディバイダーを振り上げた。

 

「!!」

 

ギンガも反応できない速度で回り込まれたが、ライトアームのオールドホークはそれに反応した。ギンガの右腕は完全に機能停止したため、脳からの電気信号とエボルスコープに内蔵された戦闘AIの判断による二種類の行動が可能だった。

 

今回はギンガが反応できなかった攻撃に対してエボルスコープが反応し、オールドホークを動かしてドゥビルの攻撃を受け止めた。

 

「プラズマ……っ!」

 

更にギンガは攻撃を受けとめた状態からループリングローラーを活用して身体を捻り、リボルバープラズマランスをドゥビルに突き立てる。

 

「!!」

 

「ブレイク!!!」

 

CW社のウォーハンマーと似た仕組みでプラズマジェッドが発動し、爆発と共にドゥビルの身体にダメージが入る。しかし、爆煙が晴れたその先にいたドゥビルは大したダメージを負っていなかった。

 

(無駄に早い上に固い……攻撃力も高い一筋縄ではいかないか………)

 

防御も攻撃も速度も上の敵。長期戦はおろか子の装備を全損しても刺し違えれるかどうかといった感じだった。ギンガが覚悟を決めた時、上空からストライクカノンの砲撃が撃ち込まれた。

 

「!?」

 

「プラズマパイル!!」

 

更にドゥビルにウォーハンマーによる一撃が放たれた。それを打ちこんだ張本人は、セッテだった。

 

「セッテ!」

 

「スバル姉さんから事情は聴きました。此処は私が対応します。ギンガ姉は、早くアキ……ナナシのところへ」

 

「………ありがとう!」

 

ギンガはその場を離脱し、なのはの後を追った。

 

「次から次へと……あんな状態の姉を少年のところへ向かわせるとは、なぜだ?」

 

「私の姉とその旦那は私の恩人だ。だから今度は私が恩を返す。貴様らにはわからんだろうがな」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

辺りに島もないような海洋の上空で剣がぶつかり合う音が響き渡る。ナナシとトーマは白兵戦にて拮抗していた。正しくはトーマはまだ感染が完全でないため、致命傷を負わせられないナナシが加減し、拮抗しているのだ。

 

(いろいろと狙いずれぇ…あの銀十字、戦闘面ではかなり優秀なAIだな…)

 

上手く銀十字のみの撃破を狙うが、それも中々難しい。アルも後方支援してはいるがそれでも難しい。どうしようかと考えている時、盾形の飛行ユニットがどこからともなく飛んできた。

 

「!?」

 

『敵性飛行ユニット接近 飽和射撃にて殲滅します』

 

銀十字の指示で辺りにエネルギー弾が放たれる。ナナシがそれを躱すために横に逸れると、その後ろにいたなのはがストライクカノンと単独飛行モードのレイジングハートによる射撃を行使した。

 

「シュート!!」

 

「!」

 

しかし、トーマには大したダメージはなかった。

 

「トーマ……」

 

「邪魔をするな高町なのは」

 

ナナシはなのはに対峙する。

 

「そういうわけには行かない。トーマのことは絶対に助ける」

 

「助ける……か。仲間一人助けられなかったお前ら管理局が何ができる?」

 

ナナシが言ったのはアキラのことだ。

 

「そうだね……あなたの手からアキラ君を救うことはできなかったかもしれないけど、だからこそ、今度は必ず助けるって決めたんだ」

 

「抜かせ!」

 

ナナシはなのはに飛び掛かる。なのはは右腕に付けた大盾でナナシの攻撃を防ぐ。そして次の瞬間にナナシの腹部にストライクカノンを突きつけてそのままトリガーを引いた。

 

「エクサランスカノンヴァリアブルレイド!」

 

更に近くに飛ばしていた盾形飛行ユニットの砲も合わせて砲撃をナナシに集中させた。

 

「シュート!!」

 

「炎壁!」

 

ナナシはとっさに炎の壁を出現させたが、一部砲撃はそのまま食らった。

 

「………お前も焼かれて灰になりたいようだな、あの男の様に……」

 

「そのつもりはないし、そればっかりだね」

 

「何?」

 

「あなたは私たち管理局と対峙すると、必ずアキラ君の話を持ち出す。それはどうして」

 

なのははナナシに対して尋ねた。ナナシは局員に対峙すると決まってアキラの話を持ちだして脅すことから始める。まるで、力の差を見せて逃げ出すことを促すように。

 

「………」

 

「あなたは他のフッケバイン構成員に比べて、比較的局員の前に現れることが多い。そしてあなたと出会った局員が死んだことはない」

 

「………奴を殺してからここのリーダーに不用意に局員を殺すなと言われてな。まぁ全員を灰にするのも面倒なだけだ」

 

「私はそれだけじゃないと思う。貴方は、管理局にフッケバインを追うなって言ってるように見えるな。あなた達が面倒だからっていうのじゃなくて、あなたの心遣いに見えるけど」

 

「………口の減らねぇ奴だ。俺がそんなことする訳ねぇだろ。その証明にお前も今すぐ灰にしてやるよ!」

 

ナナシはディバイダーを構え、なのはに突貫した。しかし、ナナシとなのはの間に何者かが入り込んでナナシの攻撃を防いだ。セッテにドゥビルを任せたギンガが下りてきたのだ。

 

「テメェ…」

 

「あとは頼める?」

 

「はい。任せてください」

 

なのははトーマを救うべくナナシをギンガに任せてその場を移動した。

 

「そんな装備まで付けて………お前はどこまで………!」

 

「…………決着をつけましょう。はぁぁぁ!」

 

「…っ!」

 

ギンガの突きをディバイダーで反らす。リボルバープラズマランスを凌がれたギンガはオールドホークを繰り出す。ナナシは何とか躱した。

 

「……いい加減目障りなんだよ!さっさと失せろ!」

 

「だったらあなたも私を殺してみなさい…。あなたなら難しい話ではないでしょう!?」

 

その時だった、突然海水が持ち上がり、それがフッケバイン上空で集まり、巨大な氷塊となった。それがフッケバインに当たれば確実に落とされるだろう。

 

「あれは………八神はやてか!」

 

「よそ見をしている暇が!」

 

そういってギンガはコシュカの砲塔をナナシに向けて発射した。ナナシはそれを宙がえりをすることで躱し、そのままディバイダーを構えて斬りに行った。その斬撃はギンガが自動飛行させていた大型ACE盾が受け止めた。

 

「この程度!」

 

ナナシはディバイダーに炎を集中し、盾をそのまま斬り裂いた。しかしその先にギンガはいない。

 

「!」

 

次の瞬間、上からオールドホークのハンドアームがナナシのディバイダーを掴む。

 

「!!」

 

「ブレイク!」

 

オールドホークに握りつぶされ、ナナシのディバイダーが砕かれる。

 

「チッ!」

 

ナナシは砕かれたディバイダーの刃の先端を掴み、折られたディバイダー本体をギンガのループリングローラーに突き刺した。

 

「!」

 

「おぉぉぉぉぉ!」

 

更にナナシは足に炎を纏わせ、それをギンガのわき腹に食らわせる。ミシミシと嫌な音を立ててギンガは吹っ飛んだ。

 

(さっさと八神はやてを止めねぇと!)

 

はやてを止めようとフッケバインの方に向かうナナシだったが、念話で誰かがそれを静止した。

 

(大丈夫よ)

 

「なに…?!……よせぇ!!」

 

次の瞬間、首領のカレン・フッケバインがはやてを背後から刺した。それにより氷塊は崩れて海へ散った。

 

「カレン…っ!」

 

「YES♪フッケバイン一家の首領、カレン・フッケバインただいま現着!」

 

カレンの登場と共にナナシたちに退避命令が出た。トーマ奪還の為に出撃していたアルとドゥビルは撤退した。残るはナナシだけとなったが、ナナシはそこから動こうと

しない。

 

(ナナシ?)

 

「………俺は…」

 

(どしたの?)

 

「俺とあんたらは………ここまでだ」

 

(……………………そう)

 

ナナシはその場でフッケバイン一家からの脱退を望んだ。少し残念そうだったが、カレンは拒否しなかった。

 

「シーラ!荷物を頼む!」

 

(了解)

 

ナナシが連れていた少女、シーラに荷物を任せトーマの方に向き直る。

 

「俺は、俺なりのケジメをつけなくちゃならねぇ」

 

 

 

続く

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