そして本日。自分が小説を投稿し始めて10年目となりますのでリメイクを投稿し始めます。今は同人誌を書いたりしていて、以前より更新は遅いですが、少しづつ作り、挿絵も入れていきたいと思います。
よろしくお願いします。
RE・チャプター1
これは、ある日のミッドチルダの山中で起きた事件。
民間用に導入されていた作業用ロボ「マシナリー」。それを兵器に転用し、強盗などを起こす事件が頻繁に起こっていた。
マシナリーを兵器に転用した組織を陸士108部隊が突き止め、突入の準備を進めていた。
そしてこの日は、最近108部隊に所属した少女、ギンガ・ナカジマの初出動の日でもあった。
「ギンガ陸士、初陣だからと言ってあまりでしゃばるなよ。今回は制圧任務の空気だけ感じ取ってくれればいい」
部隊の隊長がギンガに対して言った。ギンガ自身まだ年端も行かない少女であり、部隊長の娘でもある
「はい、よろしくお願いします」
どことなく、部隊の一員というよりは部隊長の娘として見られていることにやや不満を持ちながらもギンガは素直に受け入れ返事をした。
「それじゃあ時間だ。突入を開始する!!」
「了解!」
隊長の合図で組織が根城にしていた廃工場のシャッターが爆破され、陸士隊が一斉に工場内に突入していく。
「管理局陸士108部隊だ!!全員動くな!」
「なっ!!管理局!?」
管理局の突入に驚きながら、テロリストたちは慌てて逃げようとする。陸士隊はそれをバインドや格闘術で次々と取り押さえていく。
マシナリーを起動させる隙も与えず、そのまま突入作戦は終わるかに思えた。
「とりあえずあらかた捕獲は完了したかな」
「隊長、奥の部屋も見てみますか?」
工場の中で唯一残った部屋を指さしてギンガが提案する。事前に入手した工場の図面では特に兵器を隠せそうな大きさもなかった。
「ああ、じゃあ頼んだ」
隊長ももう作戦が終わった気でおり、小さな部屋のチェックはギンガに任せた。ギンガは部屋の扉を開け、懐中電灯で部屋の中を照らす。
そこには一人の男がいた。
「容疑組織の一員とみられる男性を発見。あなた、そこで何をしているの?」
「………クソっ!まだ最終調整が終わっていないのに………こんなところで!!」
男は手元の端末を操作する。
「ちょっとなにを……」
次の瞬間、工場の壁が突き破られ、新たな機械兵器が突撃してきた。マシナリーとは違い、青く丸いボディに平たく熱い触手を伸ばして戦闘態勢をとっている。
「!?」
「なんだこいつ!!総員迎撃態勢!!」
「了解!」
隊員の一人が魔力砲を打ち込むが、それは命中する直前で打ち消される。
「なに!?」
「魔法が通じない…?ぐあああ!!!」
機械兵器が伸ばした触手で隊員が吹き飛ばされる。
「あなた……これはいったい………」
「はは、ウチの組織に兵器のテストを頼んでくる連中は少なくなくてね………そんなかでもこいつは一級品さぁ!!」
組織の男が意気揚々と叫ぶと同時に、男は機械兵器の触手に殴り飛ばされた。
「なっ!!見境がないわけ!?」
「こいつ……ぐぁぁぁ!!」
接近戦に持ち込もうとするも、大きさの割には素早く、重い一撃を食らわせてくる触手に陸士隊のメンバーは苦戦を強いられていた。
そしていつの間にか、残ったメンバーはギンガと隊長だけになった。
「くそ!ギンガ!お前は本部に戻ってこのことを報告しろ!!」
「ですが!!」
「こいつがいるせいか、通信がうまくつながらない!!足の速いお前が頼りだ!!はやく……ぐあぁぁぁぁぁ!!」
隊長もやられてしまう。残るはギンガただ一人だ。
「くっ………ごめんなさい!!」
少し悩み、ギンガは本部まで戻る決断をしたすぐにローラーブーツを走らせ、工場の出口に向かおうとした。しかし、残っているのはギンガだけであり、機械兵器の標的はおのずとギンガへ向く。
出口に到着する前に、ギンガは触手に殴り飛ばされた。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
ギンガは工場の壁に叩きつけられる。ギンガが戦闘機人であり、たまたま攻撃を受ける瞬間に身体をひねったことでほかの隊員ほど大きなダメージではなかったがやはり起き上がるのがつらい。
「うう………」
痛む身体で立ち上がろうとするが、痛みが勝り、その場に倒れてしまう。
「ダメ………このままじゃ……みんなが…」
まだ動くギンガを確認し、機械兵器が迫ってきた。死をも覚悟したその時、ギンガの目の前に白いコートがなびいた。
「……え?」
顔を上げると、そこには白いロングコートに茶髪、刀を携えた少年が立っていた。ギンガはこの少年が管理局の人間でないことはすぐに分かった。
「き、君!何やってるの!?早く逃げて……」
ギンガの声を聞くと、少年は振り返る。
「………………なんだ、生きてんのか」
「ちょっと!!」
少年は機械兵器に向かって走り出す。
機械兵器は向かってきた少年に触手を伸ばして攻撃するが、少年はそれを紙一重で躱す。そして、触手をすべて使わせたところで一気に機械兵器に近づき、刀を掴む。
「一閃必斬・空断」
少年の放った一撃は、頑丈そうな機械兵器の装甲を切り裂き、真っ二つにした。
「なっ…」
「…こんなもんか」
機械兵器に接近戦を挑んだ兵士もいたが、その攻撃は表面に傷をつける程度だった。にも関わらず、兵士でもなんでもないただの少年がそれを両断したのだ。
少年は納刀し、ギンガに手を差し伸べた。
「おいあんた、大丈夫か」
「う………うん」
少年の手を掴んだ瞬間、ギンガはぞっとする。何も知らないはずなのに、まるで恨みや悲しみが流れ込んでくるような恐ろしい感覚。
「ひっ……」
掴んだ手を放してしまった。しかし、ギンガは少年の顔を見てすぐそのことに謝罪をする。
「あ………ご、ごめんなさい!」
「………気にするな。無事ならいい」
少年はギンガの服を掴んで立ち上がらせ、バリアジャケットの埃を払った。
「……」
「あ、ありがとう………」
少年はギンガの礼も聞かずにそのまま立ち去って行ってしまった。
―陸士108部隊―
「随分大変な目に遭ったみたいだな。大丈夫か?」
108に戻り、ギンガは今回の作戦についての報告を父であり、部隊長のゲンヤ・ナカジマに行っていた。
「はい………民間人に助けられてしまったこと、恥ずかしく思います」
「ま、しょうがねぇ。こっちが想定していた以上の兵器を持ってた敵と、その兵器すら打ち倒せる民間人が近くにいた。それだけだ。それにしてもお前を助けたってボウズ、多分最近話題に上がってるやつだな」
「そうなんですか?」
「ああ。別の部隊からも何度か話が上がってる。白いコートに片目を隠した茶髪、刀を使った少年が自警団まがいのマネしてるって。こっちとしちゃあぶねぇからやめてほしいんだけどな」
どうやら今回たまたま少年がギンガの前に現れたのではなく、少年はいたるところで人助けをしているらしい。
「腕試し………感覚何でしょうかね」
「さぁな。…………ギンガ、もしまたあったならちょっとそいつ捕らえろ……とは言わねぇが、保護してくれねぇか?」
「それはまぁ………でも、どうしてですか?」
「民間人だからな。危ないマネしてるんなら保護してやるのが管理局だろう」
ギンガはまあそうかと納得し、報告も終えたので部隊長室を後にした。
ギンガが出ていったあとで、ゲンヤは机に置いてある妻、クイントの写真を見つめる。
「まさかな……」
―数日後―
ギンガは別の事件の捜査で街中の倒産した会社のビルの前に来ていた。ここでテロ行為を企てている組織が潜んでいるという情報を聞きつけたのだ。
「じゃあ、行くぞ」
「はい!」
「突入!!」
扉を蹴り開け、デバイスを構えながらビル内に突入する。しかし、情報はデマだったようで、ただの廃ビルだった。
「…………デマだったか」
特に犯罪組織が使っていたような形跡もなく、ただ単にデマ情報だったようだ。そのことに落胆していると、ビルの奥の方で何かが動いたのをギンガは見た。
「今の……」
ギンガは慌ててそちらへ走る。
曲がり角を曲がった先に、先日会った少年がいるのを目にした。
「あなた!このあいだの!」
「…」
少年は一瞬ギンガを見たが、そのまま去ろうとする。ギンガはあわてて引き留める。
「動かないで!」
「…」
返事はないが少年はギンガの方を見た。
「ここは、テロリストのアジトと思われている場所よ。どうしてあなたがここにいるの…?」
「……」
少年は肩に担いだ刀を抜く。
「え?」
ギンガはまさかと思う。確かに先日この少年はギンガを助けてくれたが、良い人間だと決まったわけではない。ギンガは臨戦態勢に入る。
「邪魔だ」
少年はボソッと呟いたあと、刀から斬撃を飛ばし、天井を切り裂いた。
「!」
切り刻まれた天井がギンガと少年の間に落ちたことで、壁が作られる。
「……なんなのよ!」
八つ当たり気味にギンガは叫んだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
また、別の日。
ギンガはこの日、休日だった。友人であり同僚のメグ・ヴァルチと共に街中でショッピングを楽しんでいた。
色々楽しんでいたが、少しの休憩として喫茶店に入った。冷房の効いた店内で話題に上がったのは
「それにしてもそのコートの男?何なのかしらね」
「本当にね………父さんは保護したいって言ってるけど……」
喫茶店のテラス席でそんな話をしながら、ふと道路を挟んだ先の道を見ていると、今話題に上がっている少年の姿が見えた。
「あれって………」
ギンガは慌てて立ち上がり、人混みに紛れていく少年を追いかけた。
「ちょ、ちょっとギンガ!!ああもう!すいませんお会計!!」
おいて行かれたメグはすぐに会計をするために伝票をもって店内へ入っていく。
一方のギンガは急いで少年を追いかけるが、少年は完全に人混みに紛れてしまった。だが、まだ近くにいるのではと思いながらあたりを見渡す。
すると、地面に何か、水滴のようなものが垂れているのが見えた。その跡は路地裏へとつながっている。
「…………これって……」
路地裏へとつながる跡を追っていくと、気づけばギンガは地下水路にたどり着いていた。
「……気味が悪いわね…」
だが、跡はまだ続いている。少し進んでいくと、先の通路になにか大きなものが置いてあるのが見えた。
「あれって………」
目を凝らしてみると、モノが置いてあるのではなく、少年が倒れているのだとギンガは気づく。
「!!」
慌てて駆け寄ってみると、少年は気を失っていた。顔色が悪く、少し体を動かしてみると、脇腹のあたりから出血があった。ここまでの道で続いていた水滴は、少年の血だったのだ。
「大丈夫!?」
「……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「…………う」
少年は見知らぬ部屋で目を覚ます。起き上がってみると、随分と良い布団で寝かされていた。どこかの病院の様だ。
「目、覚めた?」
声がした方を見るとギンガがいた。
「大丈夫?血が足りてなかったみたいだったから輸血はさせてもらったけど……」
「………っ!」
少年はベッドの近くに置かれていた刀を掴み、ギンガにとびかかった。そしてギンガを地面に倒し、首を掴んで刀の切先をギンガに向ける。
「あぐ………」
「管理局か?俺を助けて何のつもりだ………俺は、モルモットになるつもりはねぇぞ」
ものすごい剣幕でにらまれ、ギンガは少し怖気づく。
「ち………ちが……私は……」
「はぁい、そこまで」
その時、少年の首にトンファーが当てられる。それと同時に霧の中から現れるようにメグが少年の背後に現れた。
「助けられたっていうのに、その態度はないんじゃない?おとなしくベッドに戻ってくれると、お姉さんうれしいなぁ」
(………幻術か。面倒だな)
少年は刀を地面に置き、両手を上げた。
「はい、いい子」
少年はベッドに戻った。ギンガは多少打撲などをしたものの、大したことはなかった。
「さて、じゃあ改めて聞きたいんだけど………君は何者?事件があると君を見かけるのはどうして?」
「……………」
ギンガが優しく尋ねるが、少年は黙ったままだ。
「名前くらい言ったらどぉー?」
「………………………………橘アキラ」
聞き取れるのがぎりぎりの小さい声で少年、改めアキラは答えた。
「どうして、戦っているの?」
「………………」
アキラは少し顔を逸らす。
「あのね、私たちはあなたをどうこうしようと思っているわけじゃないの、ただ、心配なの」
「………………俺は、戦うことしかできない。だから、戦ってる」
「それって…?」
「………もう、いいだろ。疲れてんだ。あとで金は払う」
アキラは布団に倒れこんだ。
「そうじゃなくって…………寝てる」
ギンガはため息をつく。しかし、目の前の少年は、なぜか自然と憎めなかった。それどころか、少し親近感すら感じていた。
続く