とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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約束を守れず大変申し訳ありません。なのセントでギンガのイベントがGWに始まりますね。頑張っていきましょー!!

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第二十一話 限界

ーギンガの精神世界ー

 

 

「ギンガ………」

 

「んうぅ…」

 

ギンガが起き上がると、そこにはアキラがいた。ギンガは驚く。

 

「アキラ君!」

 

ギンガはアキラを抱きしめようと手を伸ばしたが、その手はアキラの身体をすり抜けた。ギンガの目の前にいるアキラは、アキラがギンガの脳内に残したメッセージなのだ。

 

「こんなことになっちまって申し訳ないと思ってる……。本当に勝手で悪いが………お前の体のリミッターを少し解除した。これで俺の体を乗っ取ってる奴と対等に戦える。俺はいい。だからせめて、メグとFWの奴らを頼む……タイムリミットは…10分だ。10分経つとお前のリミッターが元に戻る……ごめんな…」

 

そう言うと、アキラは消えてしまった。ギンガは、それと同時に目覚める。

 

あたりを見回すと、ボロボロになっている仲間たちと、恐怖で座り込み、動けなくなっている妹に近づくアキラ…いや、アーベル。ギンガはそれを見ると、反射的にスバルを助けるために立ち上がり、アーベルを蹴り飛ばしにいった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「ごめんね、アキラ君………アキラ君のくれたこの力は…あなたのために使わせてもらって……いいよね。私はあなたのことが…大好きだから」

 

ギンガはそう呟き、アーベルに突進して行く。

 

「消えやがれぇ!」

 

アーベルはディバイダーで魔力砲を放った。ギンガは少し角度をつけたバリアで魔力砲を逸らしつつ、一気に接近する。アーベルはギリギリまでギンガを引き寄せ、ギンガが拳を伸ばせば当たるギリギリのところに来た瞬間刀でついた。

 

ギンガはそれすらも紙一重でかわす。そして、隙だらけの鳩尾に左拳をめり込ませた。

 

「ぐおぉぉぉぉぉ!?」

 

アーベルはぶっ飛ばされた。

 

「!?」

 

ギンガが追い打ちをかけようとすると、ギンガの身体をバインドが縛る。アーベルが殴り飛ばされる直前に時間差で発動するように仕掛けた物だ。

 

「ただのバインドじゃねぇぞ?俺が生前に工夫に工夫を凝らして作った…」

 

バキン……。

 

アーベルが説明している途中で、バインドの砕ける音がする。アーベルが驚きギンガに視線を移した。ギンガは涼しい顔をしながらバインドの欠片を投げ捨てた。

 

「今の私、舐めないで…」

 

「フンッ………たかがバインドを砕いたくらいでいい気になるよ?」

 

アーベルは刀を構えてギンガに接近する。ギンガは蹴りを放ったが、アーベルはそれをかわして刀で突いた。ギンガはガードでそれを逸らし、そらしつつも膝蹴りを放つ。アーベルは間一髪で避け、ディバイダーを向けた。

 

ギンガはディバイダーを蹴り上げ、ディバイダーを吹っ飛ばした。

 

アーベルは刀に魔力を込めてギンガに向かって飛ぶ。ギンガは接触するまでの数秒で腕時計を確認した。脳のリミッターが解除されてる時間はあと七分。それを確認すると、リボルバーナックルに魔力を込めてアーベルが向かってくる方向に向けて拳を突き出した。

 

「リボルバーブレイク!!!」

 

「ぐぅ!」

 

その拳はアーベルの振り下ろした刀にちょうど当たる。魔力同士がぶつかり合い、攻撃は相殺され、二人は壁に叩きつけられた。

 

「ちぃ!!」

 

アーベルはすぐ起き上がり、近くに落ちていたディバイダーを拾い上げ、魔力砲を連射する。ギンガは魔力砲を一発ずつ殴り飛ばした。

 

「はぁ…はぁ……」

 

「んなデタラメな………だがまぁ、身体はもう所々ガタが来てんだろ?」

 

アーベルのいう通り、ギンガはまだリミッター解除の時間があるのにも関わらず、体力に限界が近づいていた。アキラが予想していたよりも激しい戦闘になっているからだ。

 

アキラは元々、主に速力上昇や、腕力上昇等の逃亡用に向いている力をギンガ授けていた。そのため、解放されてる力はそこまで戦闘に向いてはいない。

 

(あと六分半……このままじゃ…………)

 

「食らえぇ!!!!!」

 

アーベルは再び魔力砲の連射を始めた。ギンガは持ち前の速力で、ウィングロードを敷き、砲撃の間をすり抜けたながらアーベルに接近する。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「こいつはどうだぁ!?」

 

今まで一直線に飛ぶだけの魔力砲だったが、アーベルは急に打ち方を変えた。魔力が銃口の前で収縮され、それが一気に弾け、無数の魔力弾に姿を変え、ギンガに降りかかった。

 

「くっ!」

 

着弾範囲が広いため、ギンガは止むを得ずガードで魔力弾の雨を防ぐが、その後ろにアーベルが回り込んでくる。

 

(しまっ………)

 

「きゃぁぁぁぁ!!!!!」

 

ギンガは蹴られ、一気に壁に叩きつけられた。更に間髪いれず、アーベルが追撃にかかる。ギンガは時計を確認する。あと五分。

 

(もう………こうなったら一か八か………)

 

ギンガは起き上がり、低い姿勢のままアーベルが来るのを待った。アーベルはギンガは主に左手でガードを張る癖を見抜き、右手の刀でフェイントをかけながら左手のディバイダーでギンガを切り裂こうとする。ギンガはディバイダーの刃が振り下ろされるよりも先にガードを張らず、低い姿勢のままアーベルの懐潜り込んで右手に持っていた物をジーンリンカーコアに当てた。

 

「な…………」

 

ギンガが当てたのは、あの日、アキラが落として行った折れた刀。三分の一ほど残った刀身の刃は、アーベルのジーンリンカーコアにしっかりめり込んでいた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

ギンガは突き刺した刀を軸に、ジーンリンカーコアをねじり取ろうとしたが、かなり融合が進んでいた為、なかなか取れない。ギンガは全力全開で刀をねじった。

 

だが、刀の方が耐えきれずに刀はジーンリンカーコアに刃の一部を残して折れてしまう。

 

「そんな………」

 

「ずいぶんと工夫した見たいだが、それで終わりか?」

 

アーベルは銃口をギンガに向けた。たった一度のチャンスだったさっきの時間を逃してしまっては、もうジーンリンカーコアに触れさせてはくれないだろう……ギンガは必死に作戦を練っていたが、もう案が出てこない。唯一出てくる案は…もう僅かしか残ってないこの刀を使い、アーベルが自分を突き刺した時、心中すること……。

 

ギンガは戦闘態勢を解いた。

 

「もうお手上げみたいだな………もう少し楽しみたかったが…もうすぐ神威を支えてる俺の代用が壊れそうなのでね。もう終わらせる……っ!」

 

アーベルは左手に持ったディバイダーをギンガの胸目掛けて突こうとした。しかし、ギンガに刃が刺さる直前、左手が止まる。

 

「…………?なんだ?」

 

「………?」

 

(なにしてるのかしら…………)

 

アーベルが必死に動かそうとしても左手は動かない。それどころか勝手に動き、ディバイダーを投げ捨てた。更に、左手だけが別生物の様に動きながらジーンリンカーコアを掴んだ。

 

「!?」

 

「まさか…………」

 

アーベルは慌てて右手で左手を抑えたが、遅い。左手は無理矢理ジーンリンカーコアを引きちぎろうとした。無理矢理外そうとしたジーンリンカーコアからは、半分アキラの身体に溶けていたコアの外装を戻そうと、大量の魔力が周囲に発せられた。その魔力波動は遠くにいる筈のナンバーズにまでも片手を前にでしてしまう程の物。

 

それだけの威力だ、近くにいるギンガは当然吹っ飛ばされた。ギンガは吹っ飛ばされながらも、反射的に掴んだ鉄骨に捕まり、どうにか吹っ飛ばされ過ぎずに済んだ。

 

「くぅぅ……………アキラ君………」

 

アーベルは必死に身体を抑えたが、アキラの肉体とジーンリンカーコアのシンクロはほとんど解除されてしまっていた。

 

「くそぉぉぉ!!なぜだ!なぜ!!!!!俺は……俺はぁぁぁぁぁ!」

 

ギンガはふとアーベルの後方を見る。そこにはナンバーズが向かってきているのを確認できた。まだアキラからジーンリンカーコアが剥がれるのには時間がかかりる。その間に、ナンバーズがジーンリンカーコアの再融合を行えばもう本物に今度こそチャンスはないだろう。

 

「………ブリッツギャリバー、一回足から外れて」

 

「All right」

 

ブリッツギャリバーはバリアジャケットを残してローラーブーツのみを解除する。一応ローラーブーツの内側には靴は装着されているので、ギンガは自分の足で踏ん張りながら凄まじい波動の中を一歩一歩歩き出した。

 

「ぐぅぅ………………」

 

「ギン………ガ………」

 

「え?」

 

ギンガは耳を疑った。今、確かにアキラの声で自分の名前が呼ばれたのだ。アーベルがアキラの身体を支配していた時はアキラと誰かの声が一緒に話されてる感じだったのに。アーベルをよくみると、必死に視線でギンガになにか訴えてる表情になっていることに気づく。

 

「ギンガ……やれ!!お前の力で、コアを飛ばしてくれ!」

 

「アキラ君!」

 

ギンガの表情は希望に満ちた表情になった。だが、アキラの表情は急に変わり、何かに訴えた。

 

「はっ!いいのか⁉ジーンリンカーコアを無理矢理取り除けば、お前だってただでは済まんぞ!!!」

 

どうやらアキラとアーベルが身体の中で争っている様だ。

 

「構わねぇ………ギンガ!!やれ!!!!!早く!!」

 

ギンガの顔には戸惑いの色が出てしまっていた。

 

「でも!アキラ君が!!」

 

「安心しろよ……こんなんでくたばる俺じゃねぇ…。俺が託した力を…俺のために使ってくれたお前には感謝してる。だから…この事件が、この戦いが終わるまでは!FWも含めて全員俺が守ってやる!!!だから!やれ!俺を信じてくれ!!!!!」

 

ギンガは戸惑いを振り払い、足と左腕に魔力を込めた。

 

「魔力……………全開!!!!!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!リボルバァァァァァァァ!!!!」

 

一気に魔力を使い、ギンガは魔力波動の中を一気に走り抜け、アキラの目の前まで接近した。そして、下から拳を上に上げる。

 

「ブレイクッッ!!」

 

空中に欠けた刃が突き刺さったままのジーンリンカーコアが飛び、アキラは気を失って仰向けに倒れ、ギンガは一気に魔力を解放させた反動で一時的に身体の力が抜けてアキラの上に倒れてしまった。

 

「はぁ……はぁ………はぁ………アキ………ラ君………?」

 

「………」

 

ギンガはアキラを揺すったが返事はない。もっと揺すろうと起き上がった瞬間、魔力弾が数発ギンガたちの周辺に降り注いだ。ギンガはまだリミッター解除状態にあるので反射的に自分とアキラのいる場所に魔力を集中させて小さいながらも頑丈なガードを張る。

 

「なに!?」

 

「あっれぇ?そんな状態で防げたんスねぇ。ちょっと驚きッス」

 

ギンガは別のビルの屋上を見た。そこには、ウェンディ、オットー、ディード、チンク、ノーヴェが立っている。ギンガは腕時計を見た。あと約一分半。

 

「一人倒すのに18秒………やって見せる!」

 

ギンガは走り出そうとしたが、身体に力が入らずまた倒れてしまった。

 

「嘘…………そんな…こんな所で……」

 

もうナンバーズは魔力のチャージを始めている。もう避けようがない。何とか立ち上がろうとするも、またすぐに倒れてしまう。段々と力がなくなり、起き上がる力も失せ、身体は重くなって行った。

 

腕時計からはタイムリミットを告げるブザーが鳴り響いている。やっとここまで来たのに……そんな悲しい感情がこみ上げ、ギンガは涙を零した。

 

(どうして………なんで……?やっとアキラ君を助けられたのに………どうして…………………助けて……………助けて)

 

「エネルギーマックス♪もう防げないッスよ〜」

 

ウェンディのボードから、圧縮魔力砲が発射され、ギンガは思っていたことを口に出してしまった。

 

「助けてアキラ君!!!!!!!!」

 

刹那、ギンガを吹っ飛ばす筈だったその光は何かに遮られ、ギンガ傷一つ追わなかった。

 

「悪りぃ、遅れた」

 

「…………………………アキラ君…」

 

ギンガの前には、バリアジャケットが元に戻り、いつもの表情をしたリアクト状態のアキラが立っていた。

 

続く

 




次回予告

アキラ「俺だって、こんな風になれたんだ!お前だってきっとできる!」
ギンガ「これが…神威の力…………」
アーベル「まだだ!!まだ終わらん!!!!!この俺が虫ケラ如きにぃ!!

アキラ「ただ守るため、誰かのためのこの力。使い尽くせるんならそれで俺は満足だ」

次回「突入」

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