とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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遅くなってすいません…日付的に間に合わせるので誠意一杯でした……。原因はpso2を始めたことです。では、本編をどうぞ…………

次回は恐らく20日後です。10日後にイノセントの方をupします


第二十七話 開始

ーナカジマ家 ギンガの部屋 AM 4:00ー

 

 

早朝。アキラはこの部屋で目覚めた。前日の夜、ギンガに告白され、それを受け入れたアキラは夜ギンガの部屋で寝ることになった。ギンガはベッドで、アキラは客用の敷布団をベッドの隣に敷いて寝た。アキラは、一緒に暮らそうと言われたが、アキラはまだその決心がつけられないでいる。

 

愛する者の側にいれるのは嬉しい筈なのに、なぜ…………。

 

(いま何時だろうな…もうそろそろ目ぇ開けるか)

 

アキラが寝る前に枕元に置いておいた腕時計を取ろうと腕を伸ばす。その瞬間、何か柔らかいものに触れた。一体何に……もちろん柔らかいものを布団にいれて寝た記憶もない。

 

アキラはゆっくり目を開けた。

 

すると、目の前にはギンガの寝顔がある。そしてアキラの手はギンガの胸を掴んでいた。

 

「!?!?!?!?!??」

 

目の前で起きている事態に把握が出来ず、アキラは焦りまくる。一分ほど焦って、ようやく落ち着きを取り戻す。

 

(待て待て、なに焦ってんだ俺は…………いつギンガが入って来たか分からんが、とにかく布団を出よう。起きたんだし、いつまでも布団の中にいる意味はない…)

 

状況を冷静に判断し、アキラはギンガを起こさないように布団から這い出ようとした………が、ギンガがアキラの服の裾を掴んで離さなかった。アキラは一瞬、ギンガが起きているのかと思い、顔を見る。

 

だが、ギンガはよく寝ていた。無意識に身体が動いたのだろうか……。引き離そうとするが、ギンガ離してくれそうにない。アキラはやりたいことがあったので、仕方なく上着を脱いでギンガの部屋を後にした。

 

出て行く直前、何となく罪悪感を感じたアキラはギンガの頭を軽く撫でてやる。すると、僅かにだがギンガが笑顔になった気がした。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ーAM 7:00ー

 

 

「ん……うぅ…」

 

朝、ギンガは何か良い匂いで起きた。甘いような香ばしいような香り。昨夜、アキラが完全に寝てから侵入した布団にアキラの姿はない。ギンガはアキラに何と言われるか少し緊張しながらも立ち上がり、居間に向かった。

 

階段を降り、居間のドアを開ける。

 

「ああ、おはよう」

 

声のした方を向くと、そこにはエプロン姿のアキラが立っていた。しかも何か台所で作っている。

 

「なに作ってるの?アキラ君」

 

「まぁ、座って待っててくれもうすぐできるから」

 

「うん……」

 

言われるがまま、ギンガは食卓に座る。少しすると、アキラが何か器にいれてギンガの前に置いた。

 

「フルーツコンソメスープだ。身体もあったまる」

 

「フ、フルーツ?」

 

スープの色はコンソメスープの様だが、具としてリンゴと鳥肉のような物が入っている。ギンガが説明を要求する目でアキラを見ると、アキラはそれを察して説明する。

 

「まぁ、心配だと思うが食って見てくれ。リンゴ、バナナ、桃を効かせたスープと、リンゴのシナモン風味と鴨肉のオレンジ漬けだ。甘みは抑えて旨味を引き出してるから、そこまで変な味はしない筈だ」

 

ギンガは恐る恐る飲んで見る。そのスープはギンガの予想に反して、とても美味しかった。ギンガは思わず歓喜する。

 

「あ、美味しい!」

 

「そうか……良かった」

 

「それにしても、どうして急にこんなの作ったの?料理する様には見えないけど……」

 

「ははっだろうな。…………料理については、義兄貴から結構学んだ。学んだのは基礎的な事だけだが、セシルが料理作れ作れ五月蝿くてな。なんやかんやで上達しちまった。それから、これを作ったのは、これから世話になる家族にちょっとは役に立つって見せておきたかったから……かな」

 

ギンガは一通り聞くと一瞬流しかけたが、アキラの言葉の意味に気づき、顔を上げた。

 

「これからお世話になるってアキラ君もしかして………」

 

「ああ………ギンガ、俺はここで暮らさせてもらう。いいか?」

 

「……もちろん!」

 

ギンガはにっこり笑う。それを見ると、アキラも笑顔になる。アキラの心が少しあったかくなった気がした。それと同時に、寝ぼけ眼のスバルが今のドアを開けた。

 

ギンガと同じで、スープの匂いを嗅ぎつけてきた様だ。

 

「なんかいい匂いがする〜」

 

「フルーツスープだ。飲むか?」

 

こんなあったかい、普通の家族のような生活を出来るかもしれないと思うと、アキラもこれからが楽しみだった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ー陸士108部隊ー

 

 

アキラとギンガは朝食をとってから、そのまま陸士108部隊に向かう。いつもより少し早くついたロビーはいつもより空いていた。アキラ達がそれぞれの席に向かおうとすると、急にアナウンスがかかる。

 

ゲンヤが応接間で呼んでいるとのことだった。

 

 

「失礼します」

 

「入るぜ」

 

「おお、よく来たな」

 

「ギンガ、アキラ、久しぶりや〜」

 

応接間にはゲンヤと八神はやてがいる。

 

「珍しい客だな」

 

「うん、実はまたお二人の力が借りたくてな〜」

 

「何かあったんですか?」

 

「まぁ、何はともあれ…これを見てくれ」

 

ゲンヤはアキラとギンガを座らせ、とあるデータを見せた。データの頭には「連続辻斬り事件資料」と書かれている。ゲンヤが事件に関する写真を表示した。それは、死体の写真だった。ギンガは一瞬口を押さえる。死体…というのは酷すぎるものだったからだ。人としての形は部分部分にしか残っていない。死体と言うか、肉塊に近い物だった。

 

「これは」

 

「ここ最近起きている辻斬り事件の遺体の写真だ。襲われた人間は、殺され、バラバラにされ……奪われる」

 

「……何を」

 

「過去の人間の力を宿らせた、ジーンリンカーコアを」

 

アキラは一瞬驚くが、すぐに冷静になる。

 

「つまり、無差別ではなく、ジーンリンカーコアを持った人間はのみが襲われると?」

 

ゲンヤとはやては頷く。

 

「ああ、事件が起きているのが六課の隊舎と俺らの隊舎の付近が最も多いってことで俺らに事件に当たれと指令がでた。今んとこわかってるジーンリンカーコアを体内に持っている民間人は保護してある」

 

ギンガはそこでふと思い出す。メグのことだ。彼女の体内にもジーンリンカーコアがある。しかもメグはJS事件依頼、身体にまだ馴染んでいないためほとんど戦えない状況だ。

 

「メグは!?メグは保護されてますか!?」

 

「実は…今日は有給の申し込みがあってから連絡が取れてないんだ。だから、お前たちにこれからメグ・ヴァルチの捜索、及び保護に向かわせる。見つけたら、この施設に連れていってやれ」

 

そういってゲンヤはアキラ達に保護した人達を隔離した施設の住所が書いてあるデータを渡した。

 

「じゃあ、行ってくるぜ」

 

「行ってきます!」

 

二人は急いでメグの家へ向かう。

 

 

ーメグ・ヴァルチ 自宅ー

 

 

メグはマンションに住んでいた。インターフォンを鳴らしてもメグは出てこない。アキラ達は管理人に話を通してメグの部屋に入れてもらった。部屋にはメグの姿はない。

 

死体もないことに二人は少し安堵する。だが、家にいないとなるとどこを探しに行けばいいか、検討がつかなくなる。

 

とりあえず二人は部屋の中に何か手がかりがないか探した。

 

「特に何もないな……ていうか、地味に部屋が片付いてやがる」

 

「メグ、ああ見えて綺麗好きだからねぇ…………あ、アキラ君!」

 

 

「どうした!!」

 

「カレンダー!」

 

ギンガはカレンダーの今日の日付を指差す。そこには「ミッドショッピングモールで買い物!」と書いてあった。アキラはギンガの手をとり、走り出す。

 

「ご協力、ありがとうございます!!」

 

「あ、ありがとうございましたぁぁぁぁぁ〜……」

 

礼儀正しくアキラは管理人に礼を言った後、ギンガをお姫様抱っこで抱え、メグの住んでいるマンションの14階から飛び降りた。ギンガは思わず悲鳴を上げる。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「安心してくれ……死にはしない」

 

アキラがそう言うには心配はないのだろうが、やはり怖くはある。ギンガは目を瞑った。すると、いきなりエンジン音が聞こえたかと思うと、落下時に下から受けていた風はなくなっていた。

 

目を開けると、いつのまにかギンガもアキラもバイクの上にいる。無事に着地もしている。

 

「一体何が起きたの……?」

 

「このバイクの、自動操縦モードで空中で受け止めてもらった。ほとんど衝撃もなかったろ」

 

「うん……」

 

「ほら、ヘルメット。急いでショッピングモールに向かうぞ」

 

 

ーミッドショッピングモールー

 

 

ショッピングモールでは、両手に買い物バッグを持ったメグが満足そうな笑顔で歩きながら鼻歌を歌っていた。前からこのショッピングモール全体で起こるセール日を待っていたのだ。

 

「さぁて、次はどこに行くかな〜……ん?」

 

ショッピングモール内でエンジン音が響いて来たのだ。メグも、辺りの客も音源を探して見渡すが何もない。だが、音はどんどん近づいてくる。かなり近くなった所でようやく音のする方向がわかった。

 

メグが目を凝らすと、バイクに乗ったアキラとギンガがこちらに来るではないか。

 

「!?」

 

「メグゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

バイクはメグの前で止まった。

 

「無事か!!」

 

「ちょっとあんたら!なにやってんの!」

 

「メグ、私が降りるからアキラ君のバイクに乗って!」

 

「はぁ?ギンガなにいって……」

 

「いいから!」

 

メグは無理やりヘルメットを被らされ、バイクに載せられた。

 

「しっかり捕まってろよ!」

 

「待って!買い物バッグとか持ったままだし………」

 

「私が後で家においてくるから、あ、鍵借りるね」

 

「そうじゃなくってぇぇぇぇぇぇぇぇ…………」

 

アキラはバインドでメグと自分の身体を離れないようにした後、メグの意見を聞かずにバイクを強制発進させる。メグは最後まで何かを言おうとしていたがアキラに連れ去られ、ギンガはその言葉を聞けなかった。しかし、ギンガにとっての最優先行動はメグを連れていかせることだったので、あまり気にしていなかった。

 

ギンガはアキラなら無事にメグを届けてくれるだろうと信じ、メグが落として行ったバッグを拾いってメグの家に向かった。

 

 

 

ー道中 メグとアキラー

 

 

「ちょっとアキラ!」

 

「事情は後で話す!今はとにかく言う通りにしてくれ!」

 

「あんたの達の目的って今騒ぎになってる連続辻斬り事件?」

 

「知ってんのか!?なら話は早い!いいか、犯人の狙いは…」

 

「ジーンリンカーコアでしょ!?知ってる!被害者は全員、私のかつての知り合いだった!もうかつて戦友だった奴は全員死んだわ!だから、次の標的はきっと私!」

 

メグは事件についてかなり理解をしていた。それどころか、自分が標的なのもしっかり理解し、次の標的まで予測していた。

 

「お前知っててなんで出歩いたり…」

 

「犯人はいつも被害者を自宅で殺してる。被害者の行動を見る限り…チャンスはいくらでもあったのに……だから、人混みにいれば……アキラ?どうしたの?」

 

「………おい、待て」

 

犯人は人を容赦なく殺す、自宅で、人混みを嫌う、狙うとしたら自宅に帰ってきた時……。総合すると、今最も危険なのはメグではない。メグの家に向かっているギンガだ。

 

アキラはバイクを急停車させ、一気にUターンする。そしてアクセル全開で走り出した。

 

「戻るぞ!」

 

「え!?」

 

まだアキラの考えを理解できてないメグは混乱するばかり。

 

「いいから!ギンガが危ない!犯人がどうやってジーンリンカーコアを持った人間を特定しているかはわからん!だが、もし持っている人間の家にいる人間を襲うのであれば…今お前の家に向かっている、ギンガが殺される可能性もある!!」

 

「……確率は低いけど、そうなる可能性もなくはないわね……」

 

「飛ばすぞ!!!」

 

 

一方のギンガは、合鍵を持って家に入る前だった。マンションの自動ドアを開け、十四階に住んでいるメグの部屋に行くためにエレベーターに乗った。

 

ギンガがちょうど五階くらいまで上がったところであろうか、アキラ達も到着する。

 

「背中に掴まれ!」

 

「え?うん…」

 

アキラはワイヤー銃を取り出す。銃口から、先端が逆さまに棘がついているワイヤーが勢い良く発射され、命中した所に引っかかり、そのままワイヤーを巻き取る事で、上に上がれる仕組みだ。

 

「お前の住んでいる部屋は!どの窓だ!?」

 

「ほら、あそこのクマのぬいぐるみがある部屋!あんたなら見えるでしょ!」

 

「ああ!後で弁償するから許せよ!窓割るぜ!」

 

アキラは部屋の窓に向けてワイヤーを放った。ワイヤーの先端はうまい感じに窓を突き破り、窓際に引っかかった。

 

「しっかり捕まっとけよ!」

 

アキラはワイヤーを巻き取る。二人背負っているにしては早く巻きとってくれた。アキラ達はメグの部屋に入り込む。幸い、まだギンガはついていなかった。

 

「はぁ、はぁ、しかし、さっきも思ったがずいぶん高そうなとこに住んでんだな」

 

「あたしなら、これくらいでちょうどいいでしょ」

 

妙に落ち着いた会話をしていると、鍵を開ける音がした。

 

「来たか」

 

「ふー……ってあれ!?アキラ君!?」

 

「ギンガ、急いでこの場を離れるぞ」

 

「?」

 

ギンガが何を言われているのか混乱している途中、アキラの後ろにいるメグの背後に、誰かがいるのを見てしまった。ギンガは反射的に叫んだ。

 

「メグ!!!!!後ろ!!」

 

「!?」

 

アキラも急いで振り返る。メグの背後には、フード付きのマントのように汚い布を被った子供のような体型の物が刀を抜き、メグを背後から襲おうとしていた。

 

 

「メグ!!!!!」

 

 

 

続く

 


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