とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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またもや遅れてしまってすいません!!!春休みが終わって忙しくなったもので〜ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
とても微妙なとこで終わってますが、今後の伏線としておきます!(回収されるかは未定
次回からようやくマリアージュ事件に突入します!次回はおそらく十日以内としておきますが、多分また遅れます!!!!すいません!!!!それと番外編で魔導辞典も出しときます!お楽しみに!


第三十七話 感染

「オラァ!!!!」

 

「ぐぁ!!!!」

 

アキラが森の中で出会った男は、有無を言わさず襲いかかって来た。アキラが持っているのと同系統の銃剣。そして、ECの模様。間違いなくエクリプスウィルスの感染者だ。アキラはエクリプスウィルスの実験は、自分で終わっていたと思っていた。だが、実験は続いていたのだ。より強く、より残虐な兵器とするために。

 

「フロストショット!」

 

「!!」

 

木の影から放ったアキラの魔力砲は相手の足元で炸裂し、相手の足と地面を氷らせて動けなくする。

 

「くそっ!」

 

「リアクトオン!」

 

アキラは一気に木の影から飛び出し、リアクトして男に突っ込んで行った。男はアキラにディバイダーを向けて魔力弾を放つがアキラは素早い身のこなしでうまく避ける。アキラは開放したディバイダーを振りかざし、上空に飛んだ。

 

「氷刀一閃!!!」

 

氷属性が付与された魔力斬撃波が男に飛んで行く。リアクトしたアキラの一撃、簡単に防ぎ通せるものではない。男は魔力を可能な限り詰めた一撃をアキラの斬撃にぶつけ、直撃を避けた。攻撃のぶつかり合いで発生した爆煙の中から、アキラが特攻してくる。

 

それと同時に男の足を高速していた氷を男が砕く。

 

「おおおおおおお!!!!」

 

魔力の込められたディバイダー同士がぶつかり合い、炸裂した。アキラと男は吹き飛ばされるが二人ともうまく着地した。アキラは一瞬だったが、

ぶつかりあっていた時のことを思い出す。

 

(アイツ…ぶつかってる間、あの妙な鎧がついた左手の方で俺を掴もうとしやがった……気をつけた方がいいな)

 

「おもしれぇぞ!公務員!俺の前に立って五分立ち続けたやつは久しぶりだ」

 

「お前………どうやってエクリプスに感染した?」

 

「ん?………逆に聞くが、どうしてそんなことを知りたい?」

 

その刹那、アキラは男の視界から消え、一瞬で男との間合いを詰めた。ディバイダーで男を吹っ飛ばそうとした瞬間だった。アキラは背後に殺気を感じ、刀を抜いた。

 

アキラは抜いた刀を自分の背後に回す。それと同時に重い衝撃が刀に来た。

 

「あら、防がれちゃった?」

 

背後には何時の間にか刀を持った黒髪の女がいる。アキラがそっちに集中しかけた時、前方の男がアームのついた左手でアキラの手を掴んだ。アキラは振りほどこうとしたが、アームから発せられる魔力派で抵抗がうまくいかなくなる。

 

「右腕、いただきだ」

 

「くっ!」

 

「リボルバースマッシュ!!!!!」

 

避けきれないと思った瞬間だった。男の背後から叫び声が聞こえ、男が振り向く前に男は背後からの攻撃に吹っ飛ばされる。男は木に激突する。男を吹き飛ばしたのはギンガだ。

 

「ヴェイロン!?」

 

「余所見してる………」

 

「!」

 

「暇はねぇよ!!チェーンバインド!!!!」

 

アキラはバインドで女を縛り、刀を振りかざした。刀に電撃が纏われ、アキラが叫ぶ。

 

「雷剣轟雷!!!!!!!」

 

「くうっ!」

 

女は吹っ飛ばされたが、それと同時にアキラの肩から血が噴き出す。吹き飛ばされる瞬間、女が一瞬の隙をついて反撃したのだ。さすがはEC感染者。並の反射神経ではない。

 

「大丈夫?」

 

「かすり傷だ。大したことねーよ。それにしてもよくここがわかったな」

 

「銃声がすれば誰でも気づくよ。この人達は?」

 

「俺の同類……EC感染者だ」

 

アキラが女を吹っ飛ばした方向から足音がした。二人は構える。

 

「ふー、ちょっとびっくりしたわね」

 

「油断しすぎだ、カレン。相手はあくまで俺らと同類だ」

 

ヴェイロンと呼ばれた男が。何時の間にかカレンと呼ばれた女と合流している。カレンの方もよく見ると、全身に藍色の刺青。やはりアキラと同じEC感染者だ。男は銃剣。女は刀と、魔導書を手に持っている。先日トーマから聞いた話………。本と銃剣の2人組。この二人ならその情報と当てはまる。

 

「おい、お前ら」

 

「?」

 

「テメェ等が…………この近くの鉱山街を破壊したのか……!」

 

「この近く?……鉱山街………ん〜よくわかんないけど、もしそうだったら?」

 

アキラはディバイダーを地面に突き刺す。リアクト状態では威力は上がってるのだがアキラにはリアクト状態のディバイダーが使い勝手が悪かったのだ。そしてアキラは刀を構えた。

 

「とっ捕まえさせてもらうぜ!」

 

アキラが走り出すと同時にカレンもアキラに突っ込んで行く。ギンガもヴェイロンに攻撃を仕掛ける。

 

「風剣疾風!!!!!」

 

「甘い!」

 

カレンはアキラの技を避け、アキラに斬りかかる。カレンの斬撃を刀で受け止めようとしたアキラだが、アキラの足元から伸びてきた棘のある茨のような植物の触手がアキラの手を拘束して防御の手段をなくした。

 

「ぐあっ!くっそ!!!」

 

「じゃ、さよなら」

 

アキラの首に刀の刃が数ミリ入り込むが、拘束されてない足でカレンの手首の辺りを蹴る。剣が吹っ飛び、予想外の抵抗をされたカレンが一瞬だけ驚いた隙にアキラはカレンの腹に蹴りを入れた。

 

カレンはそれを防いだが次の行動に移るまでの僅かなロスタイムでアキラは触手を引きちぎり、刀で反撃に移る。アキラの反撃の瞬間、カレンの手にしていた本が開き、そこからページが次々と飛び出し、鋭利な刃物となってアキラを襲った。襲ってくる大量の本のページにアキラは少し距離をとってから刀を振り上げる。

 

「氷刀一閃!!!!」

 

強力な氷結魔法でページを全て凍らす。だがその直後、飛ばされた刀を空中で掴んだカレンがその切っ先をアキラに向けた。

 

「白雪!」

 

「くそっ!」

 

防御がギリギリで間に合わず、アキラはカレンの放った数発の魔力弾のようなものをまともに食らった。アキラは空中で体制を立て直し、うまく着地するがカレンの追撃は止まらない。

 

「茨姫!!!」

 

「食らうかよ!!!」

 

再び伸びてきた茨の触手をアキラは取り押さえられる前に切り落とした。

 

「はぁ!!」

 

「おお!!!!」

 

互いに額を狙って刀を突き出す。アキラは頬を、カレンは髪が少し切られた。だが、完全に腕が伸び切らないうちにアキラは抱きつくようにカレンに身体を密着する。

 

「んっ!」

 

アキラが密着した直後、カレンは急に距離をとった。アキラが小刀をカレンの腹部に刺したのだ。

 

「あらら、今のは結構本気で殺しにかかってたねぇ。管理局員が簡単に殺そうとしていいの?」

 

「EC感染者に手加減が必要か?」

 

「そうね……ま、殺しに来てるんなら……殺されたって文句は言えないわよね?」

 

「なんだ、まだ殺す気で来てなかったのか?」

 

 

 

 

一方のギンガは、ヴェイロンを相手に中々善戦していた。素早い攻撃の連発で完全にヴェイロンを翻弄している。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「くそっ!!!」

 

「アクセルスマッシュ!!!!!」

 

ディバイダーを構えるのが僅かに遅れたヴェイロンにギンガは右拳で腹部に一発叩き込んだ。ヴェイロン軽く吹っ飛ばされるが、ギンガはその吹っ飛ばされる速度に合わせて前進し、左拳を振りかざした。

 

「アキラ君直伝、空断!!!!!!」

 

アキラがこっそり練習していた我流の格闘技。その中の一つをギンガはこの間教わったのだ。単純な拳とさして変わりないが、構えてから打ち出すまでの形が決まっており、うまく放てば空気の壁を突き破る速度で打てる結構危険な技だ。だが、そんな拳をヴェイロンは左腕で受け止めた。もちろん衝撃をモロに食らったわけだから無傷とは言えないが。

 

「!」

 

「さっきのやつは失敗したが…この腕もらうぜ?」

 

「くっ!!!」

 

ギンガは必死に振りほどこうとするが、凄まじい握力で押さえつけられていて簡単にはふりほどけそうにない。ギンガは足に魔力を圧縮し、ヴェイロンの腕を横から思いっきり蹴り飛ばした。ヴェイロンの腕からは出血、ギンガはどうにか彼の腕から脱出し、距離をとった。

 

「ちっ、もうちょいだったのによ…」

 

「…あなたは……なにが目的なの?どうしてアキラ君を……」

 

ギンガが尋ねると、ヴェイロンはディバイダーを方に担いで答える。

 

「俺はただ、生きるために殺そうとしただけだ。あの男を殺そうとしたら、あいつも感染者だった。だから久々に面白い戦いができると思って遊んでただけだ」

 

「生きるために……?」

 

ギンガが尋ねると、一瞬ヴェイロンは拍子抜けな表情をした。そしてそのあとすぐに笑い出す。

 

「あ………?くっ!ははっ!はっはっはっはっ!!!!!!なんだテメェあいつの仲間なのに知らねぇのか!!!!」

 

「…………何を知らないっていうの?」

 

「くっくっく………いいか?俺たちEC感染者は人を殺さずにはいられない」

 

「!!!!!!!!」

 

ギンガは驚いた。口を開いたまま呆然と立ち尽くす。EC感染者は人を殺さずにはいられない。もしそれが本当ならば、今もアキラが生きて自分のそばにいるってことは……。

 

ギンガは怯えた目で戦闘中のアキラを見た。

 

(まさか………まさか………)

 

「おしゃべりが過ぎたな。さぁ、続けようぜ!!!!!」

 

ヴェイロンは笑いながらディバイダーの剣の部分でギンガを刺しにかかった。最も最悪な想像をしながらアキラを見ていたギンガは対抗できずに刺されそうになる。

 

「ギンガっ!!!!!」

 

何時の間にかアキラがこちらに走ってきていた。そのアキラの叫び声でようやくギンガは自分に危機が迫ってることに気づく。アキラは身を呈してギンガの盾となる。

 

「何ボーッとしてんだ!!!!!ギンガ!!!」

 

「へ……あ…」

 

「くたばれ!!!」

 

ヴェイロンが左手でアキラの腕を掴もうとした時、カレンの放った白雪がアキラとギンガを吹っ飛ばした。

 

「おいカレン、邪魔すんな」

 

「お楽しみのところ悪いけど、管理局の連中が集まってきたわ。全然切り抜けられるけど、局が相手だと色々面倒だからさっさと逃げるよ」

 

「ちっ、仕方ねぇな」

 

二人は森の奥に逃げて行く。アキラは刺された部分を押さえながら立ち上がった。そして、ギンガに手を伸ばす。

 

「大丈夫か?」

 

「…………アキラ君……」

 

「どうした?」

 

怯えた表情でアキラを見る。さっきまで考えていた最悪の想像。ギンガはこのことを聞くべきか否か相当悩んでいた。だが、もし想像が当たっていたらこれ以上被害を増やさせる訳にはいかない。ギンガはぐっと全身に力をいれてからアキラに尋ねた。

 

「アキラ君は……………人を殺してるの?」

 

「あ?………ん〜確かに殺したが、それは前にも話した研究所でのことだぞ?」

 

「今は………殺してないの?」

 

「当たり前だろ?…………ギンガ、お前いったいどうした?」

 

「だって、さっきの人が、EC感染者は人を殺さないと……生きていけないって」

 

「…………」

 

アキラは少しため息をついてギンガに手を伸ばす。ギンガは一瞬怯えて後退ろうととしたが、その動きを止めた。アキラはギンガの頭を撫でる。アキラのことを信用して、自分に触れさせたのだ。

 

「ちゃんとわかってくれてるじゃねぇか」

 

「それは……アキラ君のことは信用してるけど………でも殺してないとしたらなんで大丈夫なの?」

 

「………俺の感染してるECは、俺が感染したときに書き換えた。殺人衝動、破壊衝動、自己追滅が起きない代わりに、あいつらよりか力は劣るけどな」

 

「本当に?」

 

不安そうなギンガを、アキラは抱きしめる。

 

「信用してるんだろ?疑ってくれるなよ」

 

「うん………ごめんね?傷、大丈夫?」

 

「大したことねぇよ」

 

誤解が解けたところで、アキラたちが森に入ってきた方向から後輩、シノブの声が聞こえてくる。

 

「ギンガせんぱーい!アキラせんぱーい!!」

 

「ギンガ、先戻っててくれ。ちょっとションベンに行ってくる。そこらの茂みでしてくるわ」

 

突拍子もないことを言われ、ギンガはため息をついてシノブの声のする方へ歩き出すが、アキラが止めた。

 

「ああ、それとさ、さっきの奴らのことは誰にも言わないでくれ」

 

「なんで?」

 

「頼む………あとで必ず話すから」

 

ギンガは不満そうな顔を浮かべたが、小さく頷いて歩いて行く。アキラは軽く一息つくと、近くの川まで向かった。川に着いたアキラはバリアジャケットの上着を脱いで、上半身裸になると、先ほど刺されたところに水をかけた。血が洗われ、傷の形がはっきりする。

 

「……………」

 

もう傷が塞がりかけていた。リアクト状態なら普通だが、今はリアクトもしていない。ECが進行している可能性が高い。今までそんな兆候はなかったのに………最近ECウィルスが活性化し始めてきている。

 

アキラ顔を洗い、髪をかきあげて空を見つめた。

 

「チクショウ……………」

 

その後、ヴァイゼン鉱山の調査は続けられたが、特に何も見つかることはなく、改めて事故ということで処理された。

 

 

 


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